イシュケンベ
イシュケンベ(トルコ語:İşkembe)とは、トルコ、ギリシャ、ブルガリア、マケドニア共和国、セルビア、ルーマニア等のバルカン半島とその周辺でみられる臓物のスープである。酢やレモン果汁で味付けされることもある。一般に、二日酔いに効くと信じられている。イシュケンベは、一般に牛乳とヒマワリ油が調理に使われ、ニンニク、酢、唐辛子などで味付けされる。
各地域のイシュケンベ
[編集]セルビア語およびブルガリア語ではシュケンベ・チョルバ(Шкембе чорба / Shkembe chorba、Škembe čorba)[1]、マケドニア語ではチュケンベ・チョルバ(Чкембе чорба / Čkembe čorba)と呼ばれる。セルビアでは、新鮮なウシの胃袋をタマネギ、ニンニク、パプリカとともに調理する。揚げたベーコンとニンニクなどで味付けされる。
ギリシャ語ではパツァス(πατσάς / patsás)と呼ばれる。これはトルコ語で「足」等を意味する言葉「paça」に由来する。トルコ語の「işkembe」に由来するスケンベス(σκεμπές / skempés)の呼び名もまた広く用いられている。ギリシャ版では仔牛の足を用いることもあり、赤ブドウ酢やニンニク、アボゴレモノ(avgolemono)で味付けされる。
ルーマニア語ではチョルバ・デ・ブルタ(ciorbă de burtă)と呼ばれ、ブタの脚のスープ、チョルバ・デ・チョカネレ(ciorbă de ciocănele)の変種として、これと同様に調理して供される。
また、異なる種類の胃袋のスープはチェコでよく見られ、ドルシュチコヴァー・ポレーフカ(dršťková polévka)と呼ばれる。これもまた、二日酔いに効くとされている。
呼称
[編集]トルコ語で「イシュケンベ」(İşkembe)とは「腹」あるいは「胃」を意味し、「チョルバ」(çorba)とは「スープ」を意味する。いずれも、ペルシャ語に起源を持つ言葉である。
脚注
[編集]- ^ 『地球の歩き方 2017〜18 ブルガリア/ルーマニア』ダイヤモンド・ビッグ社、2017年、40頁。ISBN 978-4-478-06019-3。