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ヒャン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒヤンから転送)
ヒャン
Sinomicrurus boettgeri
保全状況評価[1]
NEAR THREATENED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
: コブラ科 Elapidae
: ワモンベニヘビ属 Sinomicrurus
: ヒャン S. japonicus
学名
Sinomicrurus japonicus
(Gunther1869)[2][3]
シノニム[3]

Callophis japonicus Gunther, 1869
Calliophis boettgeri Fritze, 1894
Hemibungarus japonicus takarai
Ota, Ito & Lin, 1999

和名
ヒャン[2]
英名
Japanese coral snake[1][3]

ヒャン (学名:Sinomicrurus japonicus) は、爬虫綱有鱗目コブラ科ワモンベニヘビ属に分類されるヘビ。別名リュウキュウベニヘビ[4]

分布

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日本奄美諸島沖縄諸島固有種[1]

種小名 japonicus は「日本の」の意。

分類

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久米島などに分布する個体群を、横縞が入らないことなどから亜種クメジマハイS. j. takaraiとする説もあった[5]。2017年に発表された本種の形態比較および核DNAミトコンドリアDNAの分子系統推定では、亜種クメジマハイは亜種ハイと形態の差異も連続的で、亜種ハイから2回にわたって分岐した個体群とする解析結果が得られた[6]。そのため亜種クメジマハイを、亜種ハイのシノニムとする説が提唱された[6]

以下の分類は日本爬虫両棲類学会(2018)・Reptile Database(2018)に、和名は日本爬虫両棲類学会(2018)に従う。

Sinomicrurus japonicus japonicus (Gunther, 1869) ヒャン[7]
奄美大島請島加計呂麻島与路島[7]
頭胴長28 - 50センチメートル[7]。背面の体色は淡赤褐色や橙色で、1 - 5本の暗褐色の細い縦縞が入る[7]。縦縞は体色部よりも幅が狭い[7]。胴体に11 - 16本の、腹部で繋がり環状になる暗色斑が入る[7]
Sinomicrurus japonicus boettgeri (Fritze, 1894) ハイ[7][5]
伊平屋島伊是名島沖縄島具志川島、久米島、古宇利島瀬底島渡嘉敷島徳之島渡名喜島座間味島野甫島屋我地島屋那覇島[5]
頭胴長29 - 53センチメートル[7]。背面の体色は赤褐色や橙色で、5本の暗褐色の縦縞が入る[5]。中央の縦縞は両脇の体色部と同じ幅か、より太くなることもある[7]。胴体に6 - 14本の暗色斑が入るが、腹部で繋がらないため環状にならない[7]。暗色斑(横縞)は黒く、白で縁どられる個体が多い[5]。一方で久米島などの一部の島嶼では、横縞が入らない個体群もいる[5]

生態

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常緑広葉樹からなる一次林や二次林・植生の発達した石灰岩の岩場などに生息する[7]。湿潤な環境に生息するが、基亜種はやや乾燥した環境でみられることもある[7]。掴まれると、尾の先端を相手に押し付ける[5]

ブラーミニメクラヘビを食べた報告例があり、亜種ハイはクロイワトカゲモドキヘリグロヒメトカゲを食べた報告例もある[7]

繁殖様式は卵生。基亜種は4月下旬に交尾を行い、6月下旬に1回に2 - 4個の卵を産んだ例がある[7]。亜種ハイは6月中旬から下旬に、約5個の卵を産んだ例がある[7]

毒は神経毒。毒性は強いが、性質が大人しく小型種の上に口も小型でさらに毒量が少ないため危険なヘビとはされていない。ただし毒性はハブの4〜5倍の強さである。

人間との関係

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森林伐採などの生息地の破壊、人為的に移入されたフイリマングースなどによる捕食により生息数は減少している[7]。環境省レッドリストでは分類の変更に伴い、2018年版では亜種クメジマハイの判定が削除されている[8]

S. j. japonicus ヒャン
準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト[7]
S. j. boettgeri ハイ
名護市の方言名ではナナフシやナナフシーと呼称される[5]。2017年の時点では沖縄県レッドリストで、準絶滅危惧と判定されている[5]
準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト[7]

日本では2021年の時点でコブラ科単位で特定動物に指定されており、2019年6月には愛玩目的での飼育が禁止された(2020年6月に施行)[9]

出典

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  1. ^ a b c Kidera, N. & Ota, H. 2017. Sinomicrurus japonicus. The IUCN Red List of Threatened Species 2017: e.T177491A96877688. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2017-3.RLTS.T177491A96877688.en. Downloaded on 08 February 2021.
  2. ^ a b 日本爬虫両棲類学会 (2020) 日本産爬虫両生類標準和名リスト(2020年11月16日版). https://herpetology.jp/wamei/ (2021年2月8日閲覧)
  3. ^ a b c Sinomicrurus japonicus. Uetz, P., Freed, P. & Hošek, J. (eds.) (2020), The Reptile Database, http://www.reptile-database.org, accessed 8 Feb 2021.
  4. ^ 疋田努千石正一日本産爬虫両生類の和名の変遷と現状」『爬虫両棲類学会報』第2000巻 1号、日本爬虫両棲類学会、2000年、20-33頁。
  5. ^ a b c d e f g h i 戸田守・千木良芳範 「ハイ」『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 (レッドデータおきなわ) 第3版 動物編』、沖縄県文化環境部自然保護課、2017年、210 - 211頁。
  6. ^ a b Takuma Kaito, Hidetoshi Ota, Mamoru Toda, "The evolutionary history and taxonomic reevaluation of the Japanese coral snake, Sinomicrurus japonicus (Serpentes, Elapidae), endemic to the Ryukyu Archipelago, Japan, by use of molecular and morphological analyses," Journal of Zoological Systematics and Evolutionary Research, Volume 55, Number 2, 2017, Pages 156 - 166
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 太田英利 「ハイ」「ヒャン」『レッドデータブック2014 日本の絶滅のおそれのある野生動物 3 爬虫類・両生類』環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、株式会社ぎょうせい、2014年、81頁。
  8. ^ 環境省レッドリスト2018の公表について環境省レッドリスト2018環境省レッドリスト2018補遺資料環境省・2021年2月8日に利用)
  9. ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理)環境省・2021年2月8日に利用)

関連項目

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