フロンティア・デベロップメンツ
以前の社名 | フロンティア・デベロップメンツ Ltd. (1994年–2013年) |
---|---|
種類 | 公開有限会社 |
市場情報 | AIM: FDEV |
ISIN | GB00BBT32N39 |
業種 | ビデオゲーム開発 |
設立 | 1994年1月28日 |
創業者 | デビッド・ブレイベン |
本社 | ケンブリッジ・サイエンスパーク、、 |
主要人物 | |
製品 | |
売上高 | 114 millionポンド[1] (2022) |
営業利益 | 41.1 millionポンド[1] (2022) |
利益 | 1.5 millionポンド[1] (2022) |
従業員数 | 790 [2] (31 May 2022) |
子会社 | コンプレックス・ゲームズ (Complex Games) |
ウェブサイト | frontier.co.uk |
フロンティア・デベロップメンツ(英: Frontier Developments PLC.)は、1994年にイギリス・イングランドのケンブリッジ・サイエンスパークにデビッド・ブレイベンが設立したビデオゲーム開発会社[3]。遊園地の建設管理シミュレーションゲームである『プラネットコースター』や動物園の建設管理シミュレーションゲームである『プラネット ズー』、『エリート デンジャラス』を含むデビッド・ブレイベンによる「エリートシリーズ」を制作。社名はデビッド・ブレイベンが開発に関わった『フロンティア エリートII』や『フロンティア ファースト エンカウンターズ』が由来。2013年にはロンドン証券取引所のAIM (代替投資市場)に上場した。2019年から2022年まで、「フロンティア・ファウンドリー (Frontier Foundry) 」というレーベルからサードパーティのゲームを発売。
歴史
[編集]フロンティア・デベロップメンツの開発は、1984年にエイコーン・コンピュータのソフトウェア部門であるエイコンソフトから発売された『エリート』の続編かつ1993年にAmiga CD32に移植され、アメリカのゲームテックと日本のコナミから発売された『フロンティア エリートII』と、その続編として1995年にゲームテックから発売された『フロンティア ファースト エンカウンターズ』に始まる。なおこのエリートシリーズの生みの親であるデビッド・ブレイベンは2008年に全権利を同社に譲渡している。
フロンティア・デベロップメンツは、他にもソニー・コンピュータエンタテインメントからPlayStation 2で発売された犬を操作するアクションアドベンチャーゲーム『ドッグズライフ』、遊園地建設管理シミュレーションゲームとしては、ルーカスアーツから発売された『スリルビル』やローラーコースタータイクーンシリーズなど多くのゲームを制作している。また、同社は「ウォレスとグルミットシリーズ」のゲームも制作しており、2003年にはBAM!エンターテインメントから発売された『ウォレスとグルミット・イン・プロジェクト・ズー』、2005年にはコナミから発売された映画『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』のタイアップゲームも制作している。2008年には、任天堂のWiiウェア向けのローンチタイトルとし日本ではスクウェア・エニックスから発売された『ロストウィンズ』、2009年にはその続編として同じくスクウェア・エニックスから発売された『ロストウィンズ ウィンター オブ メロディアス』も制作した。2010年、フロンティア・デベロップメンツはマイクロソフトのXbox 360用コントローラKinect向けにバーチャルペットゲーム『キネクティマルズ』を開発。2011年には『Kinect: ディズニーランド・アドベンチャーズ』と『キネクティマルズ』のダウンロードコンテンツである『キネクティマルズ ナウ ウィズ ベアーズ!(拡張パック)』を開発し、そのほか『ロストウィンズ』はiOS版、『Kinectimals』はiOS版およびWindows Phone版として移植された。そして、2005年以降、発売元であるコードマスターズの資金提供を受け、ワシントンDCを舞台にしたアクションアドベンチャーゲーム「アウトサイダー (The Outsider) 」の開発に5年費やしていたが[4]、2011年1月、コードマスターズの経営陣変更による影響で、完全にプロジェクトが中止され、30人近いスタッフが解雇された[5][6]。
- 2013年
- 7月15日、フロンティア・デベロップメンツはロンドン証券取引所のAIM (代替投資市場)に上場した。
- 11月22日、マイクロソフト・スタジオのXbox OneおよびXbox 360に向けた動物園の建設管理シミュレーションゲーム『ズー タイクーン』を発売し、同年12月には『エリート デンジャラス』の支援者によるアルファテストを開始した。
- 2016年
- 9月17日、ローラーコースター・タイクーンシリーズに似た建設管理シミュレーションゲーム『プラネットコースター』を発売すると、このゲームがヒットし、エリートシリーズに並ぶフロンティアの代表作になった。そして、この『プラネットコースター』を皮切りに、フロンティア・デベロップメンツは、今後自社が開発したゲームはすべて自社から発売することを発表した[7]。
- 2017年
- 1月3日、フロンティア・デベロップメンツは2004年に発売された『ローラーコースタータイクーン3』のロイヤリティをめぐって十分に支払われていないとしてATARIを訴えたとTMZが報じた[8]。フロンティア・デベロップメンツは、337万ドル必要なのに117万ドルしか受け取っていないと報じた。当時フロンティア・デベロップメンツのCOOだったデビッド・ウォルシュ (David Walsh) はGameSpotのインタビューでこの報告を確認し、2016年4月以来、法的措置をとらずに問題の解決を試みてきたと述べた[9]。
- 2月6日、フロンティア・デベロップメンツはユニバーサル・ピクチャーズから、「世界的に有名な不朽の映画シリーズ」であり、3作目の自社発売タイトルに使用されるライセンス権を獲得したと発表した[10]。そして、これはのちに『ジュラシック・ワールド・エボリューション』であると判明する[11]。
- 7月26日、同社の『エリート デンジャラス』、『プラネットコースター』、『ジュラシック・ワールド・エボリューション』に焦点を当てたプレス・コミュニティ向けイベント「フロンティア エキスポ 2017 (Frontier Expo 2017) 」を開催することを発表し[12]、このイベントは同年10月7日にイギリス・ロンドンのクイーン・エリザベス・オリンピック・パークで開催された[13]。
- 7月28日、Eurogamerの記者は、中国の投資会社Tencentが、9%の株式を購入したと報じた[14]。
- 2020年
- 3月10日、フォーミュラ1とスーパーライセンスに基づく複数の経営シミュレーションゲームを開発・発売する契約を締結したと発表した。この契約により、フロンティア・デベロップメンツは2022年の『F1 マネージャー2022』を皮切りに、一定の財務業績基準値の達成を条件として2025年までに計4本のゲームを発売する計画を組んだ[15]。
- 2021年
- 6月10日、2018年発売の恐竜テーマパーク建設管理シミュレーションゲームの続編『ジュラシック・ワールド・エボリューション2』を年内に発売すると発表した[16]。
- 2022年
- 3月10日、『エリート デンジャラス』の最新拡張パックである『エリート デンジャラス オデッセイ』で相次いだバグに対処できなくなったため、当時CEOだったデビッド・ブレイベンが謝罪する事態にまで発展したが[17]、最終的にはコンソールでの開発をすべて中止し、今後のコンテンツはPC版のみに限定することを決定した[18]。
- 8月10日、フロンティア・デベロップメンツはデビッド・ブラベンがCEOの職を退き、新たに設立された社長兼創業者という役職に就くと発表した。新CEOには、同社に24年間在籍し、過去10年間はチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めていたジョニー・ワッツ (Jonny Watts) が就任した。また、2012年から会長職を務めていたデビッド・ギャモン(David Gammon)が2022年12月に退任し、新たにデビッド・ウィルトン (David Wilton) が会長職に就任することも発表された[19]。
- 11月2日、フロンティア・デベロップメンツは半年前にフロンティア・ファウンドリー・レーベルから発売された『ウォーハンマー 40,000 カオスゲート デーモンハンターズ』の成功を受け、コンプレックス・ゲームズ (Complex Games) の買収を完了したと発表した[20]。
販売レーベルとして
[編集]- 2019年
- 6月、フロンティア・デベロップメンツは「フロンティア・パブリッシング (Frontier Publishing) 」という新たな販売レーベルのもと、サードパーティ開発者のゲームの販売を開始すると発表し、その最初の提携パートナーとなったブルガリアのゲーム開発会社「ヘミモント ゲームズ (Haemimont Games)」の時期プロジェクトを販売することが明らかになった[22][23]。その後、このゲームは『ストランデッド エイリアン ダウン (Stranded: Alien Dawn) 』と名付けられ、2022年10月12日にSteamで早期アクセスタイトルとして[24]、2023年4月25日に製品版として発売された[25]。
- 2020年
- ゲームズコム2020でフロンティア・デベロップメンツは、販売レーベルを「フロンティア・ファウンドリー (Frontier Foundry) 」に改名し、2020年にカナダのゲーム開発会社「チェイシング ラッツ ゲームズ (Chasing Rats Games) 」の『ストラグリング (Struggling) 』[26]、2021年に同じくカナダのゲーム開発会社「ラットループ ゲームズ (Ratloop Games) 」の『レムニス ゲート (Lemnis Gate) 』を販売すると発表した[27]。
- 2021年
- 6月3日、ゲームズワークショップのイベント「ウォーハンマー スカルス (Warhammer Skulls) 」において、フロンティア・ファウンドリーは1998年に発売されたターン制ゲーム『ウォーハンマー 40,000 カオスゲート (Warhammer 40,000 Chaos Gate) 』のリブート版『ウォーハンマー 40,000 カオスゲート デーモンハンターズ (Warhammer 40,000 Chaos Gate - Daemonhunters) 』を発売すると発表した[28]。このリブートはカナダのゲーム開発会社であるコンプレックス・ゲームズ (Complex Games) が開発し、フロンティア・ファウンドリーから2022年に販売された。
- 6月13日から開催中のE3にて、『レムニス ゲート』を8月3日に発売し[29]、ベータテストを7月に予定していると発表した[30]。
- 2022年
- 1月11日、スイスのゲーム開発会社「オコモーティブ (Okomotive) 」が開発した『ファー ローン セイルス (FAR: Lone Sails) 』の続編『ファー チェンジング タイズ (FAR: Changing Tides) 』について、同年3月1日にフロンティア・ファウンドリーから販売することが明らかになった[31]。
- 3月24日、GamesRadar+の主催で開催されたイベント「フューチャー ゲームズ ショウ スプリング ショーケース 2022 (Future Games Show Spring Showcase 2022) 」の一部として『デリバー アズ ザ ムーン (Deliver Us The Moon) 』の10年後を舞台にした『デリバー アズ マーズ (Deliver Us Mars) 』について、オランダのゲーム開発会社「ケオケン インタラクティブ (KeokeN Interactive) 」が開発し、フロンティア・ファウンドリーから販売することが明らかになった[32]。
- 8月25日、アメリカ・ラスベガスのゲーム開発会社「ペトログリフ ゲームズ (Petroglyph Games) 」が開発し、フロンティア・ファウンドリーが販売するリアルタイム戦略ゲーム『ザ グレート ウォー ウェスタン フロント (The Great War: Western Front) 』が、8月24日に開催されたゲームズコム2022の「フューチャー ゲームズ ショウ (Future Games Show) 」の一部として発表された[33]。
- 2023年
- 2023年6月14日、フロンティア・ファウンドリーの業績に関する総括の結果、同レーベル下で発売されたほとんどのゲームが発売後1年以内に黒字化しなかったという不本意な業績により、今後のすべてのサードパーティ販売活動を中止するという結論に達したことが発表された。すでに発売されたゲームは引き続きサポートされるが、今後同レーベルから発売されるゲームはないことが明言された。その代わりに、この目的のために割り当てられるはずだった今後の資金は、社内のゲーム制作に転用されることになった[34]。
ゲーム
[編集]開発したゲーム
[編集]販売したゲーム
[編集]年 | タイトル | 開発 | プラットフォーム |
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2020 | ストラグリング (Struggling) | チェイシング ラッツ ゲームズ (Chasing Rats Games) | Microsoft Windows, Nintendo Switch, PlayStation 4, Xbox One |
2020 | ローラーコースタータイクーン3 コンプリートエディテョン | フロンティア・デベロップメンツ | Microsoft Windows, Nintendo Switch |
2021 | レムニス ゲート | ラットループ ゲームズ カナダ (Ratloop Games Canada) | Microsoft Windows, PlayStation 4, Xbox One, PlayStation 5, Xbox Series X/S |
2022 | ファー チェンジング タイズ | オコモーティブ (Okomotive) |
Microsoft Windows, PlayStation 4, Xbox One, PlayStation 5, Xbox Series X/S, Nintendo Switch |
2022 | ウォーハンマー 40,000 カオスゲート デーモンハンターズ | コンプレックス・ゲームズ (Complex Games) | Microsoft Windows |
2023 | ストランデッド エイリアン ダウン | ヘミモント ゲームズ | Microsoft Windows, PlayStation 4, Xbox One, PlayStation 5, Xbox Series X/S |
2023 | デリバー アズ マーズ | ケオケン インタラクティブ (KeokeN Interactive) | |
2023 | ザ グレート ウォー ウェスタン フロント | ペトログリフ ゲームズ | Microsoft Windows |
外部リンク
[編集]出典
[編集]- ^ a b c “Annual Results”. London Stock Exchange (21 September 2022). 22 September 2022閲覧。
- ^ “FY22 Interim Results”. London Stock Exchange. 2022年6月14日閲覧。
- ^ “David Braben to step down as CEO of Frontier”. gamesindustry.biz (2022年8月10日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “David Braben - The Outsider”. ComputerAndVideoGames.com (2005年9月23日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “The Outsider ‘not cancelled’”. MCV/DEVELOP (2011年1月20日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “David Braben says The Outsider "probably is gone for good"”. Eurogamer (2014年11月11日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Frontier cements total independence with self-published Planet Coaster”. MCV/DEVELOP (2016年3月31日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “YOU'VE TAKEN US ON A ROYALTIES ROLLER COASTER!!!”. TMZ (2017年1月3日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Atari Being Sued for Alleged Unpaid Rollercoaster Tycoon Royalties”. GameSpot (2017年1月3日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Frontier Developments license rights from Hollywood studio”. Gamereactor (2017年2月6日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Jurassic World Evolution Debuts at Gamescom 2017”. Game Rant (2017年8月20日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Frontier Developments announces Frontier Expo 2017”. OnRPG (2017年7月26日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Frontier Expo 2017: Science, history, and gaming make for a great first con”. Massively Overpowered (2017年10月14日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Chinese game giant Tencent buys 9% of Elite Dangerous dev Frontier”. Eurogamer (2014年7月28日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Elite developer Frontier now making F1 management games”. Eurogamer (2020年3月10日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Jurassic World Evolution 2 Announced, Launching in 2021”. GameSpot (2021年1月10日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Elite Dangerous co-creator apologizes for Odyssey’s buggy launch”. Polygon (2021年5月26日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Elite Dangerous console development canceled, new content will be for PC only”. Polygon (2022年3月10日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “David Braben to step down as CEO of Frontier”. GamesIndustry.biz (2022年8月10日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Frontier acquires Complex Games”. GamesIndustry.biz (2022年11月2日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Frontier to lay off unknown number of staff in organisational review”. GamesIndustry.biz (2023年10月17日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Frontier Developments : Publishing Partnership Agreement”. MarketScreener (2019年6月11日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Frontier signs first deal as third-party publisher”. GamesIndustry.biz (2019年1月12日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Stranded: Alien Dawn Is a New Survival Sim About a Community Marooned in Space”. IGN (2022年8月24日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “未知の惑星で開拓生活の指揮を取れ!惑星開拓シム『Stranded: Alien Dawn』4月25日正式リリース”. Game*Spark (2023年3月24日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Flesh-flailing co-op platformer Struggling is the first game from Frontier Development's new publishing label”. Eurogamer (2020年8月27日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Time Looping Lemnis Gate Featured At Gamescom 2020”. ゲーム・インフォーマー (2020年8月27日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Warhammer 40,000: Chaos Gate - Daemonhunters will reboot the turn-based classic”. Polygon (2021年1月3日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “[E3 2021]タイムループを繰り返すターン制FPS「Lemnis Gate」の発売日が8月3日に決定。”. 4Gamer.net (2021年6月14日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Turn-based FPS Lemnis Gate begins beta testing on July 22”. PC Gamer (2021年7月8日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Far: Changing Tides now has a release date”. Eurogamer (2022年1月11日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “‘Deliver Us The Moon’ sequel ‘Deliver Us Mars’ announced with new trailer”. NME (2022年3月25日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “Command and Conquer Remastered studio reveals a brand-new RTS”. PC Gamer (2022年8月25日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ "FULL YEAR TRADING UPDATE & FRONTIER FOUNDRY REVIEW" (Press release). Frontier. 14 June 2023. 2024年3月16日閲覧。