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ヘヴィサイドの展開定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヘビサイドの定理から転送)

ヘヴィサイドの展開定理(ヘヴィサイドのてんかいていり、: Heaviside's expansion theorem[1])は、ある種の関数ラプラス逆変換を与える定理である。オリヴァー・ヘヴィサイドはイギリスの電気技師。有理関数に関するもののみを指す場合が多いが、より一般の有理型関数に対する主張へ拡張される[2]。以下では、有理関数のみ扱うものとする。

概要

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P(s), Q(s) は共通因子を持たない実数係数多項式で、次数は P の方が小さいとし、有理関数 F(s) = P(s) / Q(s) のラプラス変換による原像を求めたいものとする。代数学の基本定理より、分母 Q(s) は複素数の範囲で一次式の積に分解できて

となる。これを部分分数分解すれば

の形になる。ここに、各係数は

で与えられる。各部分分数の原像は

で与えられるので、F(s) の原像が求まる。

以上より、有理関数のラプラス逆変換は理論的には求まるが、計算しやすい公式の形で与えられたものを「展開定理」と称することが多い。その式の形は文献によって多少の差異があるが、本質的には同じものである。

Q(s) が虚根を持つ場合、一旦は虚数が現れるが、オイラーの公式を用いて三角関数に変形すれば、実関数の範囲で原像が求まる。計算上は、複素数の範囲で一次式に分解するのではなく、実数の範囲で高々二次式にまで分解しておき、

などを用いる方が実践的である場合もある。

分母が単根のみを持つ場合

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分母が単根のみを持つ有理関数

の原像は

で与えられる。Q′(ai) は、より具体的には

として計算できる。

分母が重根を持つ場合

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分母がn重根 a を持つ有理関数

に対しては、

であるから、

が成り立つ。右辺第1項は

と同じものである。

脚注

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  1. ^ (一松 ほか 1979, p. 1066)
  2. ^ (一松 ほか 1979, p. 548)

参考文献

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  • 一松信 ほか編 編『新数学事典』大阪書籍、1979年11月。ISBN 4-7548-2009-6 

外部リンク

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