ラ・ボケリア
ラ・ボケリーア[1](スペイン語: La Boquería )、ラ・ブカリーア[1](カタルーニャ語: La Boqueria 発音: [ɫə βu.kəˈɾi.ə])はバルセロナのシウタ・ベリャにある大きな公設市場。日本語ではボケリア、ボケリア市場、ラ・ブカリア[2] などとも表記されるサン・ジュゼップ市場(カタルーニャ語:Mercat de Sant Josep)[3]のこと。 青果・精肉・鮮魚・調味料・乾物・乳製品・菓子類など多様な品揃えを備えた市場であり、市民とレストランに新鮮な食材を供給する[4]。ランブラス通りから西に少し入った場所に市場の入口がある[5]。
歴史
[編集]ラ・ボケリアは1217年に古い城壁の外に立てられた肉売りの市に起源があるとされる[6][7]。後に野菜も扱うようになり、1794年までメルカット・ダ・ラ・パリャ (Mercat de la Palla) として知られた。当時市場は周囲を囲われず、公的な地位もなく、プラサ・ダル・ピ (Plaça del Pi) まで続くプラサ・ノバ (Plaça Nova) 市場の延長と見なされていた。
19世紀のバルセロナは人口増加に伴って点在する大きな宗教施設が市民の生活の妨げとなっていた[8][9]。1835年に焼き討ちに遭ったサン・ジュゼップ修道院の跡地が、修道院廃止令によって当局に没収・破却され、屋根を持つ広場として整備されることになった[6][10]。1836年まで市場は公式に認められていなかった[6]。1840年3月19日に、広場の建設が始まり、同年に市場は公式に開場したが、広場の建築計画は何度も変更された[6][11]。広場は1853年に完成した。現在も使用される金属製の屋根は1914年に建設された[6]。
近隣
[編集]脚注
[編集]- ^ a b この名称はスペイン語ではLa Boquería、カタルーニャ語ではLa Boqueriaと表記され、語末から2番目の文字"i"の上にアクセント記号があるかないかの違いである。これはこの"ia"は二重母音ではなく母音接続で、スペイン語の正書法上の規則では"ia"は二重母音となるのに対してカタルーニャ語では二重母音ではないということによる表記上の違いで、スペイン語では"ia"を母音接続とするためには"i"の上にアクセント符号をつける必要があるためである。音節に分けるとそれぞれBo-que-rí-a、Bo-que-ri-aのようになり、ともに後ろから2番目の音節にアクセントがある。また標準カタルーニャ語はアクセントのない音節は曖昧音化するため、母音字"o"は[u]で、"e"は[ə](シュワー)で発音され、つまりアクセントのないBoはブ、queはカのように発音される。
- ^ カタルーニャ語に基づく表記。
- ^ スペイン語ではMercado de San Joséでサン・ホセ市場と呼ばれる
- ^ 神吉 (1992) pp.211-212.
- ^ Lina Goldberg 10 of the world's best fresh markets CNN Travel (2013-02-24). 2013年4月1日閲覧.
- ^ a b c d e THE BOQUERIA MARKET バルセロナ市議会. 2013年4月1日閲覧
- ^ 岡部 (2010) p.217
- ^ 山道 (2009) pp.14-17.
- ^ 岡部 (2010) p.14
- ^ 山道 (2009) pp.15-17.
- ^ 岡部 (2010) p.34.
参考文献
[編集]- THE BOQUERIA MARKET バルセロナ市議会
- 神吉敬三 『バルセローナ 世界の都市の物語3』、文藝春秋、1992年
- 山道佳子・鳥居徳敏・木下亮・八嶋由香利 著『近代都市バルセロナの形成 都市空間・芸術家・パトロン』、慶應義塾大学出版会、2009年
- 岡部明子 『バルセロナ 地中海都市の歴史と文化』、中央公論新社、2010年