ボルジア家
ボルジア家 Família Borja | |
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黒い貴族 | |
ボルジアあるいはボルハの紋章 | |
国 |
アラゴン連合王国 スペイン王国 フランス王国 ナポリ王国 教皇領 |
創設 | 1455年 |
最後の当主 | マリア・アナ公爵 |
滅亡 | 1748年 |
民族 | アラゴン人 |
著名な人物 |
カリストゥス3世(事実上の創設者) アレクサンデル6世 フアン・ボルジア チェーザレ・ボルジア ルクレツィア・ボルジア フランシスコ・ボルハ |
ボルジア家(イタリア語: Borgia イタリア語発音: [ˈbɔrdʒa]、バレンシア語: Borja [ˈbɔɾdʒa]、スペイン語: Borja [ˈborxa])は、スペイン・アラゴン王国のボルハ(現アラゴン州サラゴサ県の町)に由来する家名を持ち、バレンシアを発祥とする、15・16世紀にイタリアで繁栄した貴族の家系である[1]。
その一族にはローマ教皇カリストゥス3世、アレクサンデル6世、ロマーニャ公爵にして教会軍総司令官チェーザレ・ボルジア、フェラーラ公妃ルクレツィア・ボルジア、スクイッラーチェ領主ホフレ・ボルジアらがいる。
アレクサンデル6世の息子フアン・ボルジアの系統にあたるガンディア公家は1748年に断絶した。ガンディア公家からはイエズス会の第3代総長フランシスコ・ボルハが出ている。スクイッラーチェ侯家はボルジア家の子孫である。今日、ボルジア家を名乗る家系には、ボルジア・デ・ミラ家、ボルジア=ランソル家、ボルジア=マトゥッツィ家があり、これらはボルジア家の女系にあたる。
なお、日本では慣習的に「ボルジア」の表記が用いられているが、実際には「ボルジャ」の表記の方がよりイタリア語の原音に近い。
ボルジア家のイメージ
[編集]アレクサンデル6世は世俗化した教皇の代表的存在であり、(本来なら持つべきではない)息子のチェーザレや娘のルクレツィアを使って政治的な辣腕を振るい、一族の繁栄と教皇領の軍事的自立に精力を注いだ。これによって、ボルジアの名前は好色さ、強欲さ、残忍さ、冷酷さなどを代表するものとなった。カンタレラと呼ばれるボルジア家独特の猛毒を用いて政敵を次々に毒殺した、チェーザレとルクレツィアは近親姦の関係であったなどの噂が付きまとっている[2]。
このような悪いイメージはヨーロッパでは根強く、文学作品や映画等でしばしば言及されている。例えば、映画「第三の男」では、「ボルジア家の悪政はルネッサンスを生んだが、スイスの平和は鳩時計を産んだだけだ」との台詞が登場するし[3]、『ゴッドファーザー Part III』ではバチカンの老獪なやり方に苛立った主人公が「ボルジャめ!」と吐き捨てるシーンがあったり、『モンテ・クリスト伯』の宝物は、ボルジア家に暗殺されたローマの枢機卿が隠したものとされている。
系図
[編集]ボルジア家
[編集]ペドロ・デ・アタレス (-1151) ボルハ領主 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エステバン・デ・ボルハ ハティバ領主 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
フランシスカ・マルティン | ドミンゴ・デ・ボルハ (1340?-1428) | ロドリーゴ・デ・ボルハ ボルハ家本家 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
フアン・デ・ミラ | カタリーナ | フアナ | アロンソ (教皇カリストゥス3世) | イサベル (-1468) ルガール・イ・トーレ・デ・カナルス女領主 | ホフレ・デ・ボルハ・イ・オムス (-1437) | フアナ | バルトロメオ・セーラ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ペドロ | ルイス・フアン (1430-1510) 枢機卿 1458 | (庶子) フランシスコ(フランチェスコ) (1441-1511) テアーノ司教 1495 コセンツァ司教 1499 枢機卿 1500 | ハイメ・セーラ (-1517) 枢機卿 1510 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アドリア―ナ (c.1455-) | ルドヴィーコ・オルシーニ (-1489) バッサネッロ領主 | ロドリーゴ (教皇アレクサンデル6世) | ヴァノッツァ・カタネイ | ペドロ・ルイス (1432-1458) スポレート公 教皇軍総司令官 | ダミアータ | ベアトリス =ヒメン・ペレス・デ・アレナス | テクラ =ビダル・デ・ビラノバ | フアナ =ペドロ・グイレン・ランソル・デ・ロマーニ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジュリア・ファルネーゼ アレクサンデル6世の愛妾 | オルシーノ・オルシーニ | ペドロ・ルイス (1462/3-1488) 初代ガンディア公 | ジェロニマ (ジロラーマ) (1469-1483) =ジェナンドレア・チェザリーニ | イザベッラ (1467/70-1541) =ピエル・マトゥッツィ | チェーザレ ヴァレンティーノ公 | フアン 2代ガンディア公 | ルクレツィア | ホフレ スクイッラーチェ領主 | ボルジア=ランソル家 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ルイーザ | フアナ・ダラゴン | フアン (1494-1543) 3代ガンディア公 | フランシスカ・デ・カストロ | スクイッラーチェ侯家 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
フランシスコ 4代ガンディア公 3代イエズス会総長 | ロドリーゴ (-1537) 枢機卿 1536 | エンリケ (-1540) 枢機卿 1539 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
カルロス 5代ガンディア公 | フアン 初代マヤルデ伯 | フアナ | フェルナンド | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ガンディア公家 | カルロス・デ・アラゴン・デ・グレア・イ・デ・ボルハ 9代ビジャエルモサ公 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ボルジア=ランソル家
[編集]フアナ・ボルジア | ペドロ・グイレン・ランソル・デ・ロマーニ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジョヴァンニ (1447-1503) モンレアーレ大司教 1483 フェラーラ司教 1494 枢機卿 1492 | ピエール・ルイージ (-1511) 枢機卿 1500 | ホフレ (c.1450-) | フアナ・デ・モンカダ | カルチェラーノ サン・ジャン・ド・ジェルサレムの騎士 | イサベル =フアン・デ・ミラ | フアン | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ジョヴァンニ (1470-1500) 枢機卿 1496 | ピエール・ルイージ (ロドヴィーコ) (1472-1511) | アンジェラ =サッスオロ領主アレッサンドロ・ピオ | ロドリーゴ (グリエルモ) バチカン守備隊司令官 | マリア・デ・ルナ (-1503) | ジェロニーマ 1=ファビオ・オルシーニ 2=ティベリオ・カラファ | ルイス・デ・ミラ・デ・マサラヴェス | フランシスコ・ロリス (-1517) エルネ司教 枢機卿 1503 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
脚注
[編集]- ^ "ボルジア家". 世界大百科事典 (第二版 ed.). 平凡社. 2006.
- ^ ティム・フィリップス 著、佐藤桂 訳『『君主論』の教え: マキャベリの名著』PHP研究所、2010年1月22日。ISBN 9784569775739。
- ^ 星功『過去の中の真実』文芸社、1999年8月15日。ISBN 9784887376182。
参考文献
[編集]- マリオン・ジョンソン、海保真夫 訳 『ボルジア家 悪徳と策謀の一族』 中央公論新社、1987年
- イヴァン クルーラス、大久保昭男 訳 『ボルジア家』 河出書房新社、1989年