古正教沿海派教会
古正教沿海派教会 (-こせいきょうえんかいはきょうかい、ロシア語 Древлеправославная поморская церковь、英語 Pomorian Old-Orthodox Church)は、正教会の伝統を汲むキリスト教の教会である。
歴史
[編集]17世紀のロシア正教会においてニーコンによる改革に反対する古儀式派が形成された。 彼らには神品(聖職者)を按手する権威を持つ者がいなかったため、ニーコンの改革前からの聖職者が死に絶えた際に、新たに聖職者を持つことが困難だった。 古儀式派のうち、ニーコン派の教会(一般に言うロシア正教会)からの逃亡僧の受け入れを拒否し、ソロヴェツキー修道院の修道規則をもとに作ったポモーリエ規則に従って、教養のある俗人に祈祷を取り仕切らせたのがポモーリエ派である。 1694年、彼らはポモーリエ(白海沿岸地方)のヴィグ川付近にヴィグ修道院を建設した。17世紀末から19世紀半ばまでここが彼らの精神的中心となった。ポモーリエ派の名称はここからきている。
現況
[編集]中央調整機関である古正教沿海派教会単一評議会(Единый Совет ДПЦ)はサンクトペテルブルクにおかれている。 ロシア連邦内には10-15人程度から数千人まで人数にばらつきが有るものの200以上の会衆(община)が存在する。多くの会衆は宗教組織(религиозная организация)としての登記を受けていない。ベラルーシには37会衆、ウクライナには47会衆、エストニアには11会衆、ラトビアには67会衆、リトアニアには59会衆、ポーランドには4会衆、カザフスタンには18会衆、アメリカには4会衆、キルギスタンには3会衆、モルドバには1会衆が存在している。信徒のグループがルーマニア、フィンランド、スウェーデン、ドイツ、フランス、ブラジル、アルゼンチンにも居住しているとされる[1]。 古正教沿海派教会 (ロシア語 Древлеправославная поморская церковь)は彼らの教団の現在の正式名称。 ポモーリエ派とポモールはまったく別の概念なので注意が必要である。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- Агеева Е. А. Древлеправославная поморская Церковь // Православная энциклопедия. — М., 2007. — Т. XVI : «Дор — Евангелическая церковь союза». — С. 135—144. — 752 с. — 39,000 экз. — ISBN 978-5-89572-028-8.
- Барановский В. С., Поташенко Г. Староверие Балтии и Польши: краткий исторический и биографический словарь. — Вильнюс: Aidai, 2005. — С. 141—153.
- Миловидов В. Ф. (2002). "Древлеправославная Поморская церковь (ДПЦ)". Религии народов современной России: Словарь (2-е изд., испр. и доп 4000 экз ed.). М.: Республика. Ред-кол.: Мчедлов М. П. (отв. ред.), Аверьянов Ю. И., Басилов В. Н. и др. p. 89. ISBN 5-250-01818-1。
- Юхименко Е. М. Выговское старообрядческое общежительство: комплексный подход к изучению // Древняя Русь. Вопросы медиевистики. — 2002. — № 2 (8). —С. 84—87.