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ポルックス石

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ポルサイトから転送)
ポルックス石
アフガニスタン産のポルックス石。すりガラス状になっている無色半透明で板状の自形結晶。
(サイズ: 2.7 x 2.4 x 1.2 cm)
分類 ゼオライト鉱石
シュツルンツ分類 9.GB.05
Dana Classification 77.1.1.2
化学式 Cs(Si2Al)O6.nH2O
結晶系 等軸晶
対称 Ia3d
単位格子 a = 13.67 Å; Z = 16
晶癖 通常は塊状、まれにトラペゾヘドロンもしくは立方体結晶
へき開 なし
断口 不均一な貝殻状
粘靱性 脆性
モース硬度 6.5から7
光沢 脂肪光沢、ガラス光沢
通常は無色、白色、灰色、まれに桃色、青色、紫色。
条痕
透明度 透明から半透明
比重 2.7から3.0
光学性 等方性もしくは非常に弱い異方性
屈折率 1.508-1.528
溶解度 フッ酸に易溶、熱塩酸に難溶。
その他の特性 時折、短波長紫外および長波長紫外光照射下で蛍光を示す
文献 [1][2][3][4][5]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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ポルックス石もしくはポルサイト (Pollucite)は、ゼオライト鉱物であり、 一般的にカルシウムカリウムルビジウムが置換元素として含まれる。 構造式は、(Cs,Na)2Al2Si4O12·2H2O。

セシウム資源、ルビジウム資源として重宝される鉱石でもある。

方沸石との間に、一連の固溶体系列を形成する。等軸六八面体の結晶系として分類され、白色、灰色、 まれに桃色や青色の塊として結晶化するが、結晶性のよいものが形成されることはまれである。 モース硬度6.5、比重2.9。脆性破壊を起こし、へき開はない。

発見と存在

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1846年イタリアエルバ島におけるポルックス石の存在について、ドイツの鉱物学者であるアウグスト・ブライトハウプト英語版が言及したのが、ポルックス石に関する初めての記述であった。 ポルックス石は、ブライトハウプトが同時に発見・命名したカストライト(=ペタライト)に関連して発見されることが多かったため、ギリシャ神話の双子の神である「カストル」と、 「ポルックス」にちなんで、ポルックス石と名付けられた[6]。ただし、カストライトは1800年ジョゼ・ボニファチオ・デ・アンドラダにより発見されたペタライトと同一であったことが判明したため鉱物名としては消滅した。

1848年カール・フリードリヒ・プラットナー英語版による初めての分析では高濃度に含まれるセシウムの存在が見落とされていたが[7]1860年に行われた2度目の分析で、ポルックス石にセシウムが含まれることが分かり、1864年にはそれが高濃度であることが示された[8]

ポルックス石は花崗岩質岩石の中でも、リチウムを豊富に含むペグマタイト中に典型的に存在しており、 石英ペタライトアンブリゴナイトリシア輝石リシア雲母リシア電気石錫石コルンブ石燐灰石ユークリプタイト英語版白雲母曹長石および微斜長石のような鉱物と関連して産出される。

全世界におけるポルックス石の既知埋蔵量については、およそ82%がカナダマニトバ州バーニック湖周辺に存在しており、 石油生産の補助に用いられる蟻酸セシウムの原料として、ポルックス石が採掘されている[9]。 鉱石中にはおよそ20 wt%のセシウムが含まれている。

出典

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  1. ^ Mineralienatlas
  2. ^ Gaines, et al. (1997) Dana's New Mineralogy, Wiley ISBN 978-0471193104
  3. ^ Pollucite on Mindat.org
  4. ^ Pollucite data on Webmineral
  5. ^ Handbook of Mineralogy
  6. ^ Breithaupt, August (1846). “Neue Mineralien”. Annalen der Physik und Chemie 69 (11): 439–442. Bibcode1846AnP...145..429B. doi:10.1002/andp.18461451111. http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k15154k.image.f443.langFR. 
  7. ^ Plattner, C. F. (1846). “Chemische Untersuchung zweier neuen, vom Herrn Prof. Breithaupt mineralogisch bestimmten Mineralien von der Insel Elba”. Annalen der Physik und Chemie 145 (11): 443–447. Bibcode1846AnP...145..443P. doi:10.1002/andp.18461451112. 
  8. ^ Pisani, F. (1864). “Étude chimique et analyse du pollux de l'ile d'Elbe”. Comptes rendus 58: 714–716. http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k3015d.image.f716.langFR. 
  9. ^ http://www.encyclopedia.com/doc/1G1-75752682.html Original reference to Mining Journal, March 2, 2001, p 160. Accessed March 28, 2009