マルセイバターサンド
種類 | 菓子 |
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販売開始年 | 1977年 |
日本での製造 | 六花亭 |
完成国 | 日本 |
関係する人物 | 小田豊四郎(六花亭創業者) |
外部リンク | https://www.rokkatei.co.jp/ |
マルセイバターサンドは、北海道帯広市の六花亭が販売している菓子。同社の販売額のおよそ4割を占める代表的な菓子であり、北海道土産としての知名度が高い[1]。パッケージに記載されている「バ成タ」という文字から「バナリタ」の愛称で親しまれている[2]。
概要
[編集]六花亭専用の北米産小麦粉でつくったビスケットで、ホワイトチョコレートと北海道産生乳100パーセントのバターおよびカリフォルニア州産のレーズンをあわせたクリームをサンドしている[3]。バターはこの菓子専用のものであり、ビスケットにもクリームにも豊富に用いられている[4]。長らく道内のみのローカルな人気に留まっていたが、1990年代終盤頃より2000年代初頭にかけ全国的にその名が知られるようになった。単品の土産商品としては赤福や白い恋人と並ぶ大型商品である[1]。
マルセイとは◯の中に成の字を入れたもので、依田勉三の興した晩成社(依田牧場)が1905年(明治38年)に北海道で初めて商品化したバターのことである(当時の表記はマルセイバタ)[5][6]。マルセイバターサンドの包装は発売当時のマルセイバターのラベルを復刻・再デザインしているため、レトロな外観を持つ[7]。晩成社がバターを開発した当時は、バターは「バタ」と呼ばれていたため[8]、包装にも「バタ」のロゴがデザインされている[9]。
クリームに用いられているホワイトチョコレートが、六花亭が日本で初めて商品化したものであることや[8][9]、十勝ワインと同じ原料を用いた十勝ブランデーによる隠し味[9]、レーズンの芯を残さないために加えられたラム酒も特色である[10]。
開発の経緯
[編集]1977年に六花亭製菓の社名変更を記念して発売された[1]。1968年発売の六花亭のホワイトチョコレートが好評を得ていたことから、ホワイトチョコレートを材料とした新たな菓子を模索したことも、開発の理由の一つとなった[11]。当時、代官山の小川軒のレーズンウィッチが高い評価を得ていたことから、これを参考に開発された[1][12]。
レーズンウィッチはショートニングをクリームに用いていたのに対し、マルセイバターサンドは六花亭の主力製品だったホワイトチョコレートとフレッシュバターで作ったレーズンバターをビスケットで挟んでおり、時間が経ってもサクサクした食感が保たれる[1]。この食感を実現するため、開発に当たっては材料の選定に時間が費やされ[1]、六花亭によれば「納得がいくまで5年かかった」という[11][13]。
反響
[編集]六花亭によれば「一度も爆発的に売れたことはないが、減ったこともない」といい、2003年には生産体制がそれまでの年間7400万個から、1億個へと強化された[14]。六花亭の売上の約4割を占める人気商品であり[14]、2012年時点では、最も多い売上の日は約60万個、年間販売額が約75億円に達したロングセラー商品である[15]。
北海道旅行経験者からの評価も高い[16]。北海道新聞情報研究所による2002年のインターネットモニター調査では、「道外土産に購入したいお菓子」として、石屋製菓の白い恋人が30パーセント、マルセイバターサンドが27パーセントを占めた[17]。また味や地域性、原材料を総合的に評価した「北海道を代表する銘菓」としては、白い恋人が37パーセント、マルセイバターサンドが26パーセントであった[17]。朝日新聞社の会員サービス「アスパラクラブ」のウェブサイトで2009年に実施されたアンケート「食べたい手みやげ」では、回答総数8834人の内、マルセイバターサンドが2244人で1位を記録した[18]。財界さっぽろ編集部による2020年の「新千歳空港お土産ランキング」では、白い恋人とカルビーのじゃがポックルに次いで3位[19]、gooランキングで2020年に実施された「最強だと思う北海道のお土産ランキング」では、白い恋人に次いで2位を記録した[20]。
著名人では、作家の泉麻人が、知人からこの菓子を教わって以来、仕事で札幌へ行くたびに、必ず買って帰ると語っている[16]。お笑いタレントの片桐仁も、仕事で北海道へ行き、空港の土産店でパッケージに馴染みがあったことで購入して以来、北海道へ行くたびに購入しており、冷凍保存して食事の代用にしたこともあったという[21]。文筆家の甲斐みのりは、個別包装されているために職場や友人に配りやすいことや、北海道内では多数存在する六花亭の直営店や新千歳空港の土産売場で容易に購入可能なために、「土産菓子の鑑のよう」と評している[12]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f 佐藤 2006, p. 125
- ^ 秋月涼佑 (2020年6月2日). “【ブランドウォッチング】再会したいお土産の「北の横綱」六花亭にみるブランディングの必要条件”. SankeiBiz. 産業経済新聞社. p. 2. 2022年12月15日閲覧。
- ^ “マルセイバターサンド4個入”. 六花亭. 2022年12月18日閲覧。
- ^ 平松 2012, p. 196
- ^ 大和田努 (2013年). “「マルセイバタ」を売り込め! - 十勝から東京へ -【コラムリレー第24回】”. 集まれ! 北海道の学芸員. 北海道博物館協会 学芸職員部会. 2016年5月23日閲覧。
- ^ 「森鴎外、漱石も味わった? 晩成社の「マルセイバタ」」『十勝毎日新聞』十勝毎日新聞社、2014年2月27日、WEB TOKACHI。オリジナルの2016年5月23日時点におけるアーカイブ。2016年5月23日閲覧。
- ^ 観月陸「北海道土産の超定番、六花亭「マルセイバターサンド」の秘密」『マイナビニュース』マイナビ、2014年12月10日。2016年5月23日閲覧。
- ^ a b 製菓製パン 1979, pp. 186–187
- ^ a b c 内田 2002, p. 57
- ^ 升田一憲「わざフロンティア マルセイバターサンド 六花亭製菓(帯広)全国有数の売り上げ誇る“定番” 磨き重ねたサクサク感」『北海道新聞』北海道新聞社、2005年4月8日、全道朝刊、15面。
- ^ a b 「お菓子のくに 第3部 六花亭・柳月物語 3 発展の軌跡 主力商品誕生に5年」『北海道新聞』2000年2月10日、帯A朝刊、22面。
- ^ a b 甲斐 2015, pp. 126–127
- ^ 升田一憲「「お菓子のくに」十勝から(下)最高の原料厳選 常に新商品探求」『北海道新聞』2000年9月28日、央B朝刊、27面。
- ^ a b 週刊東洋経済 2002, pp. 124–125
- ^ 平松 2012, p. 194
- ^ a b 泉 1995, p. 96
- ^ a b 「もっと北海道 お菓子の力 生かそう(2の2)」『北海道新聞』2002年3月11日、全道朝刊、14面。
- ^ 山田邦博「日本一の手みやげでおもてなし 六花亭・マルセイバターサンド 北海道」『朝日新聞』朝日新聞社、2009年8月11日、東京夕刊、2面。
- ^ 財界さっぽろ編集部 (2020年1月18日). “新千歳空港お土産ランキング 3位は「バターサンド」、2位は「じゃがポックル」、1位は……?”. 文春オンライン. 文藝春秋. p. 1. 2022年12月15日閲覧。
- ^ “最強だと思う北海道のお土産ランキング”. gooランキング. NTTレゾナント (2020年12月18日). 2022年12月18日閲覧。
- ^ 片桐仁「オトコの別腹 片桐仁さん「六花亭」のマルセイバターサンド」『朝日新聞』2013年9月10日、東京夕刊、7面。
参考文献
[編集]- 泉麻人「おやつ自慢 六花亭製菓・マルセイバターサンド レーズンウィッチの原点」『週刊朝日』第100巻第50号、朝日新聞出版、1995年10月20日、大宅壮一文庫所蔵:000005750。
- 内田由紀「お土産ものがたり 北海道開拓の歴史を秘めた人気菓子 帯広のマルセイバターサンド」『ナトラ』第7巻第8号、ニューズ出版、2002年5月1日、大宅壮一文庫所蔵:200197734。
- 甲斐みのり「日本全国おとなのみやげ旅 北海道 六花亭のマルセイバターサンド」『一個人』第16巻第8号、KKベストセラーズ、2015年6月25日、大宅壮一文庫所蔵:000017961。
- 佐藤はるみ「六花亭ブランドの形成 : 幸運とマーケティング戦略のマッチングが育てた北海道ブランド」『産研論集』第31-32巻、札幌大学経営学部附属産業経営研究所、2006年3月、NAID 110005050342、2023年1月11日閲覧。
- 平松洋子「日本のすごい味 欲華道・帯広市「六花亭」」『考える人』第42号、新潮社、2012年11月4日、大宅壮一文庫所蔵:200180447。
- 「札幌が変わる 北の都に新たな胎動 元気です、北海道のお菓子屋さん」『週刊東洋経済』第5809号、東洋経済新報社、2003年3月1日、大宅壮一文庫所蔵:200047658。
- 「新商品発売情報 梅まろ・宇治ひめ(京都市・鶴屋吉信)、マルセイバターサンド(帯広市・六花亭)」『製菓製パン』第45巻第8号、製菓実験社、1979年8月5日、NCID AN10119991。
関連項目
[編集]- レーズンバター
- マルセイズFC - 北海道サッカーリーグに所属する帯広市のサッカークラブ。チーム名はマルセイバターサンドに因んでおり、ユニホームにマルセイバターサンドがプリントしてある。