オオカメノキ
オオカメノキ(ムシカリ) | |||||||||||||||||||||||||||
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福島県会津地方 2008年5月
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Viburnum furcatum Blume ex Maxim. (1858)[1] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
オオカメノキ(大亀の木)、ムシカリ[1] |
オオカメノキ(大亀の木[2]、学名: Viburnum furcatum )は、ガマズミ科[注 1]ガマズミ属の落葉低木もしくは落葉小高木。別名で、ムシカリもよく知られる[1][3][2]。
名称
[編集]和名「オオカメノキ」は、葉の形をカメの甲羅に見立てたことからきている[4]。別名でムシカリ(虫刈)ともよばれ、葉が虫に喰われやすいことからといわれる[4]。
分布と生育環境
[編集]日本の北海道、本州、四国、九州に分布し[2]、寒冷な山地のブナ林内や針葉樹林内に自生する[3][4]。
特徴
[編集]落葉広葉樹の低木から小高木で[3]、樹高は2 - 4メートル (m) くらいになる。枝はしなやかで、水平に出てやや斜上し、シカの角状に伸びて横に広がる[4][2]。樹皮は灰褐色で皮目が目立つ[2]。一年枝は紫褐色を帯び、ほぼ無毛で、短枝もよくできる[2]。若い樹皮は皮目が縦に連なり、次第に筋になってくる[2]。
葉は枝に対生し、形は長さ7 - 20センチメートル (cm) の卵円形で葉の先端は尖り[4]、葉の付け根はハート形にくぼむ[3]。葉縁は細かい鋸歯がある[3]。他の似た種と比べると葉脈がシワ状に目立つ[4]。芽吹いたばかりの葉は独特のベージュ色で、きれいに対生した姿は春先によく目立つ[2]。秋には紅葉し、ややくすんだ赤色から橙色に色づくことが多く、葉が丸くて大きい上、色づき方が比較的早いのでよく目立つ[3]。
花期は4 - 6月で[2]、枝の先から散房花序を出して、白色の小さな両性花のまわりに大きな5枚の花弁を持つ装飾花が縁どる[4]。装飾花は美しく、5深裂して直径は25 - 35ミリメートル (mm) ほどある[4]。また花序の基部に柄が発達せず、葉腋から直接でるのも特徴である。
果期は9 - 10月[4]。夏に果実をつけ、直径約8 mmの楕円状球形で、秋には赤色や黒色に熟して目につく[3][4]。野鳥が熟した果実を食べるため、冬には残らない[2]。
冬芽は裸芽で柄があり、星状毛が密生する[2]。花芽はほぼ球形で、頂生側芽を伴って冬芽の頂きに生え、かわいらしい形で目を引く[2]。枝の側芽はあまり発達しない[2]。葉芽は長楕円形で柄があり、幼い葉が向き合ってくっついている[2]。冬芽のわきにある葉痕は、倒松形や三角形で、維管束痕が3個つく[2]。
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葉と若芽
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花序
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紅葉
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果実
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冬芽(花芽)
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冬芽(葉芽)
近縁種
[編集]- ガマズミ属の一覧
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 最新のAPG体系ではガマズミ科 (Viburnaceae) に分類される。ガマズミ科が2017年に採択される以前の古いAPG体系ではレンプクソウ科 (Adoxaceae) 、クロンキスト体系や新エングラー体系ではスイカズラ科 (Caprifoliaceae) に分類されることもある[1]。
出典
[編集]参考文献
[編集]- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、30頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 ベストフィールド図鑑〉、2009年8月4日、69頁。ISBN 978-4-05-403844-8。
- 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月2日。ISBN 978-4-8299-0187-8。