モカ (経営者)
かめい ゆき[1] 亀井 有希 | |
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生誕 |
1986年3月10日(38歳)[2][3] 日本・東京都[4][3] |
別名 | モカ、迷いうさこ[2][5]、もかもか、喪嘉[6] |
職業 | 経営者、アーティスト[7] |
著名な実績 | 株式会社UNIの創業[2][8]、「女装ニューハーフ プロパガンダ」・「女の子クラブ」などの設立、「ガールズクローゼット」の創設[9]、「みんなと会う会」・「モカのお悩み相談」[10] |
影響を与えたもの | トミムラコタ[11]、西原さつき[12][13]、高野真吾[14] |
活動拠点 | 株式会社UNI |
公式サイト | 株式会社UNI |
YouTube | |
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チャンネル | |
活動期間 | 2013年8月10日[15] - |
登録者数 | 1,330人[15] |
総再生回数 | 355,956回[15] |
チャンネル登録者数・総再生回数は 2023年11月1日(UTC)[15]時点。 |
モカ(もか、MOCA[16][3]、1986年〈昭和61年〉 3月10日[2][3] - )は、日本の経営者、クリエイター[17]、トランスジェンダー。株式会社UNIの創業者・代表取締役で[2][8]、女装サロンバー「女の子クラブ」[注 1]やジェンダーフリーバー「フリーメゾン」も経営。2015年の自殺未遂後は「モカのお悩み相談」や「みんなと会う会」で悩み相談を展開した[10]。また、「迷いうさこ」名義で『迷いうさこの感じる哲学漫画』も出版[2][18]。女装・ニューハーフイベント「プロパガンダ」[19][20][注 2]の創設者[22][23][24][19]で、DJ[22][23]やリポーター[16]のほか、Web制作[17]を中心に、デザイン、プログラミングなどもこなす[17][24]。本名は亀井有希[25][26][7][注 3](かめいゆき[1])。モカ(MOCA[24])の他に、「もかもか[6][17]」、「喪嘉[6]」や「うさこ」、「迷いうさこ」などのハンドルネームがある[5]。
来歴・人物
[編集]生い立ち
[編集]1986年東京都生まれ[4]。絵を描くことが好きで、小学校高学年から男性としての第二次性徴へ嫌悪感を持つ[29]。中学校卒業後は通信制高等学校に進学し[6][注 4]、新宿を遊び歩いたりホームページ「Minky house*」を立ち上げる[29][30]。とはいえ不良というわけでもなく、周囲の目ばかり気にして自分を出せない生徒であったという[6]。同ホームページにはチャットもあり、漫画家のトミムラコタとも交流があった[11]。個人輸入で女性ホルモンの服用を始め[29][31]、女装をするようになる[29]。ネットアイドルとしてある程度の知名度があり、2003年には進研ゼミの付録でも特集されている[32]。
女性として
[編集]18歳からは、新宿や銀座で水商売に従事[33][24]。20歳でWebデザインの仕事に就くが[6][34]、一般社会に馴染めず半年程でやめる[6][注 5]。2007年頃、オフ会として女装ニューハーフのイベント「プロパガンダ」[19][20][注 2]を創設し、主宰を務める[23][35](2014年4月に西原さつきへ主宰を引き継ぎ[13]、2016年3月終了[36][21])。これに合わせて株式会社UNIを立ち上げる[37]。通常より長い入院になりながらも2010年10月に性別適合手術を受け、その後戸籍を女性に変更する[16][注 6]。
エンタメ~テレHDの『二丁目なう』でリポーターも務めている[38]。LGBTを扱った小説の表紙モデルにもなる[16][注 7]。また、2012年に新宿ゴールデン街のポータルサイトを制作・運営[17]。2012年12月[41][42]には「女の子クラブ」[注 1]をプロデュースし、その経営者となる[43]。2015年2月には、女装専用ロッカールーム「じょそっこ更衣室」をオープンした[44]。
自殺未遂を経て
[編集]躁鬱病を患い自殺未遂を繰り返すようになり、2015年11月23日に投身自殺を図るが生存[45][7]。以降お店やウェブサイトで、性的少数者を中心に人生相談を行うようになる[25][26][45]。自殺をする程世界に絶望していたが、インタビューでは「人を幸せにしてこそ自分も幸せになれ、楽しくなれるのではと思い至りました。人の役に立つ『貢献』という生き方のキーワードに出会ったのです」と語っている[26]。
2016年には自著『迷いうさこの感じる哲学漫画』を出版[2][18]。2017年からは、発達障害者の就労移行支援施設でプログラミングの講師や経営相談も引き受けた[46]。2018年には自殺未遂経験者としてTBSのNEWSな2人に出演する[47]。その後、ジェンダーフリーバー「フリーメゾン」を新宿二丁目に開店[3]。2019年には『朝日新聞』記者の高野真吾[11]と共著で、『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』を出版した[48]。
2020年春はCOVID-19の影響で外出自粛が強まっており、3月31日からZoomを用いたオンラインバー「女の子クラブ オンライン」というサービスを開始[41][注 8]。翌月の4月7日からは「女の子クラブ」や「フリーメゾン」も臨時休業となり[41][42]、休業期間中のスタッフの給与や開店後の感染対策に備える資金をクラウドファンディングで募集。応募期間中に設定金額の100万円を超え、最終的に約244万円を集めた[42][注 9]。
6月9日に株式会社UNIは「女装サブスク」と銘打った「ガールズクローゼット」というサービスを発表[49][50]。女装用の服をレンタルで利用でき、90日以上借り続けた服をもらえることができる。また、化粧のためのメイクセットはプレゼントされ、動画で指導を受ける。月払いのサブスクリプション方式で、サービス開始は7月1日からだが、6月から予約を開始した[51][50][9]。
著書
[編集]- 『迷いうさこの感じる哲学漫画』 ピナケス出版、2016年6月、ISBN 978-4-903505-15-2。
- 『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』 光文社〈光文社新書〉、2019年4月、ISBN 978-4334044060、高野真吾との共著[52]。
出演
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ a b 2012年12月1日に開店[27]。誰でも女装ができるお店として、多くのメディアで取り上げられた[43][54][55]。新宿に加え、御徒町や大阪にも店舗を構えていた[2]。20代から60代の幅広い年齢層が来てくれるという[56]。
- ^ a b 毎月最終土曜日に実施していた[19]。2007年から2016年まで開催[21]。
- ^ 2012年や2016年の情報では、「亀井柚希」となっている[27][17][2]。2019年の共著『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』には、「有希」は「女性の名前として使っている」と記されている[28]。
- ^ 川本 2014, pp. 18–19には「高校には進学せず」とあるが、2019年の共著には「16~17歳 高校にはほとんど行かず」とあり[3]、モカ 2009, p. 155には「高校は通信学校に行ったから基本的な知識は中学生のまま」とある。ここではモカ 2009に従った。
- ^ 川本 2014, p. 22では1年程でやめたとある。
- ^ 2011年1月の記事に「生物学的にれっきとした男性」[22]とあるが、間違いと考えられる。2014年のインタビューでも「モカは性別について考えていない[31]」と評されるなど、この頃は戸籍変更を明言していない。@Press 2016では性別適合手術や戸籍変更について触れられているが、具体的な時期を記しているのは川本 2014のみ。
- ^ 辻仁成『ぼくから遠く離れて』、幻冬舎、2011年、ISBN 9784344019508、NCID BB05214534。[39][40]
- ^ 株式会社UNIによるクラウドファンディングのサイトでは、4月1日開始と書かれている[42]。
- ^ クラウドファンディングによる調達総額は 2,443,500円で、支援した人数は243人。CAMPFIREで2020年5月22日に開始し、6月21日に終了した[42]。
- ^ ハフポスト日本版のネット番組[53]。
出典
[編集]- ^ a b もかもか 🐇 [@____usaco] (2023年10月30日). "気付いてしまった‥!". X(旧Twitter)より2023年10月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 株式会社UNI (2016年6月7日).“飛び降り自殺未遂・性転換・経営者・漫画家、 壮絶な人生を歩む作家「迷いうさこ」(モカ)の 短編漫画集が6月29日に発売” (プレスリリース). @Press. 2019年4月30日閲覧。
- ^ a b c d e f モカ・高野 2019, モカ(亀井 有希)プロフィール.
- ^ a b 川本 2014, p. 17.
- ^ a b 川本 2014, p. 29.
- ^ a b c d e f g モカ 2009, p. 155.
- ^ a b c モカ 2021.
- ^ a b ULM編集部 2020, p. 1.
- ^ a b ULM編集部 2020.
- ^ a b 町田 2019.
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- ^ 川本 2014, p. 30.
- ^ a b プロパガンダ運営部 (2014年4月27日).“記事: さつき新主宰就任式で語ったプロパガンダへの想い”. プロパガンダ. 株式会社UNI. 2014年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月24日(UTC)閲覧。
- ^ モカ・高野 2019, 「第11章 モカとは何者か」、「あとがき」.
- ^ a b c d “モカ 概要”. YouTube. 2023年11月1日(UTC)閲覧。
- ^ a b c d 川本 2014.
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- ^ a b c d “大盛況の女装イベント 参加者の学歴高く、友達増えるらしい”. ニュースポストセブン. (2010年12月12日) 2023年6月24日(UTC)閲覧。(『女性セブン』2010年12月23日号掲載記事)
- ^ a b 神庭亮介 (2014年9月20日). “女装に恋して“男の娘” 集う若者「ストレスから解放」”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. 2014年9月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年9月20日閲覧。(『朝日新聞』夕刊記事)
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- ^ ULM編集部 2020, p. 2.
参考文献
[編集]- 川本直『「男の娘」たち』河出書房新社、2014年、ISBN 978-4-309-24674-1。
- 高野真吾 (2018年2月20日).“女装バー経営者が続ける人生相談 屋上から飛び降りた朝…奇跡の生還”. withnews. 2019年4月30日閲覧。
- 高野真吾 (2019年4月22日).“女性になった兄、今も言えない「お姉ちゃん」受け入れているけど”. withnews. 2019年4月30日閲覧。
- 町田光 (2019年5月8日). “12階から飛び降りても死ねなかった女性(元男性)が、今一番語りたいこととは?“. ダ・ヴィンチニュース. 2020年7月11日閲覧。
- モカ「今思うこと」『オトコノコ倶楽部 VOL.1』三和出版、2009年、155頁、ISBN 978-4776904298。
- モカ (2021年). “モカ・迷いうさこさんのページ|moca blog(モカ・迷いうさこ)”. 2021年11月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月24日(UTC)閲覧。
- ULM編集部 (2020年6月14日). “年齢超えた「女装男子」増加中 彼らはなぜ女装するのか、そしてなぜ増えているのか”. アーバンライフメトロ. pp.1-3. 2020年6月25日閲覧。
- 湯浅裕子(南麻理江 編集、ハフポスト日本版編集部)(2019年5月23日). “あの人のことば マンションの12階から飛び降りても「死ねなかった」。モカさんが悩める人に必ずかける一言とは。”. ハフィントン・ポスト. 2020年7月11日閲覧。
外部リンク
[編集]- 新しい概念をつくる|UNI - 株式会社UNI
- moca blog(モカ・迷いうさこ) - ウェイバックマシン(2021年11月20日アーカイブ分)
- モカ - YouTubeチャンネル
- 迷いうさこ - pixiv
- DJ MOCA - Mixcloud
(SNS)
- もかもか 🐇 (@____usaco) - X(旧Twitter)
- MocaaaaChan (@fruits572yhjfxi) - TikTok
- Moca (@____usaco) - Instagram
- 迷いうさこ - Tumblr
(関連動画)
- UNI Corporation (2016年6月26日). 「迷いうさこの感じる哲学漫画」トークライブ ロフトプラスワン - YouTube
- 【BUG】次の社会を、あなたと創る。 (2018年12月10日). モカ『性転換と自殺を超えて。モカは3度、死ぬ。』 - YouTube
- ハフポスト日本版 (2019年6月5日). 【NewsX】ハフポスト「モカのお悩み相談」 - YouTube
- ラミズムチャンネル (2020年3月30日). 【性転換】中学生から女性化。親に頼らず女性化するには?【MTF】 - YouTube(2020年3月30日ライブ配信)