コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ラザロ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラザリから転送)
聖ラザロ(聖ラザリ)
ラザロの復活(画:フアン・デ・フランデス
崇敬する教派 正教会
非カルケドン派
カトリック教会
聖公会
記念日 6月21日
テンプレートを表示
ラザリ(ラザロ)の復活のイコン15世紀ロシア

ラザロ古代ギリシア語: Λάζαροςラテン語: Lazarus)は、ユダヤ人の男性で、イエス・キリストの友人。『ヨハネによる福音書』に語られる、イエスによって死から甦る『ラザロの復活』の逸話によって著名な人物である。日本ハリストス正教会ではラザリと転写される。ラザロという名はユダヤ名・エルアザルギリシア語化した名と推測される。

なお、「金持ちとラザロ」で知られるラザロが『ルカによる福音書』16章に登場するが、これは同名の別人とされていることに留意が必要である。

人物

[編集]

キリスト教正教会非カルケドン派カトリック教会聖公会聖人。記念日は6月21日。エルサレム郊外のベタニアに暮らし、マリアマルタで、共にイエス・キリストと親しかった。イエスはマリアとマルタの家を訪れている(『ルカによる福音書』10:38-42)。

ヨハネによる福音書11章によれば、ラザロが病気と聞いてベタニアにやってきたイエスと一行は、ラザロが葬られて既に4日経っていることを知る。イエスは、ラザロの死を悲しんで涙を流す。イエスが墓の前に立ち、「ラザロ、出てきなさい」というと、死んだはずのラザロが布にまかれて出てきた。このラザロの蘇生を見た人々はイエスを信じ、ユダヤ人の指導者たちはいかにしてイエスを殺すか計画し始めた。カイアファと他の大祭司はラザロも殺そうと相談した。(ヨハネ12:10

伝承によれば、後にラザロはキプロスの初代主教となった。キプロス南東の都市ラルナカにある、聖ラザロ教会の地下クリプトにはラザロの墓所がある。正教会では、伝統的に聖枝祭(主のエルサレム入城)前日の土曜日(スボタ)をラザリのスボタと呼び、キリストによるラザロの蘇生を記憶する。

また、南フランスの伝承では、姉妹マルタマリアらと共にサント=マリー=ド=ラ=メールに辿り着き、その後マルセイユの地で布教に励んだという。

2021年、カトリック教会はラザロをマリアと共にマルタの記念日である7月29日に加え一般典礼で祝うことを発表、施行した[1]

解釈

[編集]

ラザロ蘇生の奇跡は、人類全体の罪をキリストが贖罪し、生に立ち返らせること(復活)の予兆として解釈されてきた。文学においても、時にその様なイメージの引用が見られる。例えば、ドストエフスキーの『罪と罰』において、主人公である殺人犯のラスコールニコフが自白を決意する契機として、ラザロの死と甦りの下りを娼婦のソーニャに請うて朗読させる場面が登場する[2]

比喩表現

[編集]

ラザロの伝承から、キリスト教圏の欧米を中心に、蘇生・復活に関連する学術用語にしばしば「ラザロ」の名が冠される。医学の「ラザロ徴候」や「ラザロ症候群英語版」、分類学絶滅したとみなされた後に再発見された生物を指す「ラザロ生物群英語版」などである。

フィクションでも、ホラー映画ラザロ・エフェクト』や小説『ラザロ・ラザロ』(図子慧)、『幸福なラザロ』のように、ラザロを題名に取り入れた作品がある。

脚注

[編集]

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]