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リン酸二アンモニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
リン酸二アンモニウム[1]
識別情報
CAS登録番号 7783-28-0 チェック
PubChem 24540
ChemSpider 22946 チェック
UNII 10LGE70FSU チェック
E番号 E342(ii) (酸化防止剤およびpH調整剤)
特性
化学式 (NH4)2HPO4
モル質量 132.07 g/mol
外観 white powder
密度 1.619 g/cm3
融点

155 °C decomp.

への溶解度 57.5 g/100 mL (10 °C)
106.7 g/100 mL (100 °C)
溶解度 アルコールアセトン、液体アンモニアに不溶
屈折率 (nD) 1.52
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −1566.91 kJ/mol
危険性
安全データシート(外部リンク) ICSC 0217
EU Index Not listed
NFPA 704
0
2
1
引火点 Non-flammable
関連する物質
その他の陰イオン リン酸一アンモニウム
リン酸アンモニウム
その他の陽イオン リン酸水素二ナトリウム
リン酸水素二カリウム
関連物質 硝酸アンモニウム
硫酸アンモニウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

リン酸二アンモニウム(Diammonium phosphate)は、アンモニアリン酸と反応する際に生じうる一連の可溶性リン酸アンモニウム塩の1つである。

リン酸二アンモニウムの固体は自発的にアンモニアを解離する。Pをアンモニア解離圧、Tを絶対温度 (K) とすると、353Kから385Kの範囲において解離圧は以下の式で表される[2]

100℃におけるリン酸二アンモニウムの解離圧は、約5mmHgである[3]

利用

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リン酸二アンモニウムは肥料として用いられる。肥料として用いると一時的に土壌のpHを上昇させるが、アンモニウムが硝化されるに従って結果的には酸性になる。高pH環境ではアンモニウムイオンがアンモニアに変化しやすくなるため、塩基性土壌には向かない。溶液の平均pHは7.5から8である[4]。典型的な組成は、18-46-0(18% N, 46% P2O5, 0% K2O)である[4]

難燃剤としても用いられる。素材の燃焼温度を下げて重量喪失速度の最大値を低下させ、燃焼残渣、チャーの生産を増加させる[5]。このように、熱分解の温度を下げ、チャーの生産を増やして利用可能な燃料の量を減らし、防火帯を形成することは、森林火災の対策として重要な効果である。いくつかの市販消防製品には最大の成分として含まれる[6]

ワイン製造蜂蜜酒の醸造における酵母の栄養源としても用いられる。またニコチンの強化剤としていくつかのブランドのタバコにも添加剤として含まれると言われている。その他、砂糖の精製、スズ亜鉛真鍮等の融剤、羊毛へのアルカリ溶解コロイド色素の沈殿の制御のため等にも用いられている[1]

外部リンク

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出典

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  1. ^ a b Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill, 2002, ISBN 0-07-049439-8
  2. ^ Arthur D. F. Toy "The Chemistry of Phosphorus: Pergamon Texts in Inorganic Chemistry" Vol. 3, p. 497, - Google ブックス
  3. ^ McKetta Jr, John J., ed (1990). Encyclopedia of Chemical Processing and Design (Chemical Processing and Design Encyclopedia). New York: Marcel Dekker, Inc. p. 478. ISBN 0-8247-2485-2. https://books.google.co.jp/books?id=z2NLRf0ROx0C&lpg=PA478&dq=%22dissociation+pressure%22+ammonium+phosphate&pg=PA478&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q=%22dissociation%20pressure%22%20ammonium%20phosphate 
  4. ^ a b International Plant Nutrition Institute. “Nutrient Source Specifics: Diammonium Phosphate” (PDF). 2012年12月10日閲覧。
  5. ^ George, C.W.; Susott, R.A. (April 1971). “Effects of Ammonium Phosphate and Sulfate on the Pyrolysis and Combustion of Cellulose”. Research Paper INT-90 (Intermountain Forest and Range Experiment Station: USDA Forest Service). http://openlibrary.org/b/OL16022833M/Effects_of_ammonium_phosphate_and_sulfate_on_the_pyrolysis_and_combustion_of_cellulose 
  6. ^ Phos-Chek MSDS[リンク切れ], Phos-Chek website