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大項目主義と小項目主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中項目主義から転送)

大項目主義(だいこうもくしゅぎ)と小項目主義(しょうこうもくしゅぎ)とは、百科事典における、項目の排列とその構成の形式である。それぞれ大項目式小項目式とも呼ばれる[1]

概要

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大項目主義は大きな(上位の)主題を見出し語として[2][3]、関連する事柄もその見出し語の下に包括的・系統的に解説した[1][2][3]、論文形式[1][2][4][5]のもので、それに対して、小さな主題の一つ一つを見出し語としたものが小項目主義である[6]。全ての事典が厳密にこの2種に分類されるわけではなく、実際には両者の中間的なものや折衷的なもの[7]中項目主義、折衷主義、折衷式、併用式)もある。大項目主義による百科事典の例として初期の『ブリタニカ百科事典』が挙げられる[2]が、そのような本格的な大項目主義のものは日本にはなく[1]、大中小折衷のものが多い[1][8][5]。また、百科事典の歴史をみると、大項目主義から次第に小項目主義へと移っていく傾向がみられる[9]

両者の特徴

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大項目主義による事典は、ある分野の知識を体系的に調べるのに便利な『読む事典[1][2]であり、それゆえ児童用の百科事典、学習百科事典などに採用される[2]。論文形式であるため執筆者にとっては書きやすく[5]、編集者の主義主張が強く映し出される形式でもある[10]。しかし、読むのに時間がかかる[2]こと、充実した索引が必要となる[2][3][4][5]、などの欠点もある。

一方、小項目主義の事典は、索引に頼らずとも見出し語から調べることが容易[3]であり、素早く簡潔な事実を知ることができる[1]引く事典[1]である。小項目主義の短所としては、読者が体系的に把握しづらいため、関連項目との相互参照が必要となること[6][9]、項目間での記述の重複が多くなること[9]などがある。

両者の境界

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単純に項目数だけで大項目主義・小項目主義を定義することは難しい[1]が、佃実夫・稲村徹元編『辞典の辞典』では、大まかな目安として「5万項目」を両者の境界として挙げており[1]、彌吉光長『百科事典の整理学』も同じく「5万項目」としている[11]。『日本大百科全書』では、大項目主義を「数千から数万項目」、小項目主義を「十数万項目」としている[8]。一項目あたりの長さでは、大項目主義が短いものでも1ページ[1][5]から長いものでは40ページにも及ぶ[1]のに対し、小項目主義では30行前後ないし[1]それ以下である[5]

ブリタニカ百科事典

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初期の『ブリタニカ百科事典』は大項目主義をとっていた[2]が、その第15版は「マクロペディア」(大項目事典)19巻と「マイクロペディア」(小項目事典)10巻、そして総論・手引きである「プロペディア」1巻からなる[12]。『ブリタニカ百科事典』の日本版である『ブリタニカ国際大百科事典』の第2版改訂(1991年)も、大項目事典20巻(本文は縦2段組)と小項目事典6巻(横3段組)から構成されている[13]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 『辞典の辞典』、34頁。
  2. ^ a b c d e f g h i 『最新図書館用語大辞典』、303頁。
  3. ^ a b c d 『情報サービス概説』、183頁。
  4. ^ a b 『図書館情報学用語辞典』、143頁。
  5. ^ a b c d e f 『百科事典の整理学』、12頁。
  6. ^ a b 『最新図書館用語大辞典』、226頁。
  7. ^ 『最新図書館用語大辞典』、328頁。
  8. ^ a b 日本大百科全書』、19巻715頁。
  9. ^ a b c 『図書館情報学用語辞典』、106頁。
  10. ^ 『百科事典の整理学』、221頁。
  11. ^ 『百科事典の整理学』、8頁。
  12. ^ ブリタニカ・ジャパン - 1768 Encyclopedia Britannica Replica Set
  13. ^ 『情報サービス概説』、185頁。

参考文献

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  • 佃実夫・稲村徹元編 『辞典の辞典』 文和書房、1975年。
  • 図書館用語大辞典編集委員会 『最新図書館用語大辞典』 柏書房、2004年。ISBN 9784760124893
  • 小田光宏編 『情報サービス概説』 日本図書館協会、1997年。ISBN 9784820497165
  • 相賀徹夫編 『日本大百科全書』(19巻) 小学館、1988年。
  • 日本図書館情報学会用語辞典編集委員会編 『図書館情報学用語辞典』(第3版) 丸善、2007年。ISBN 9784621079287
  • 彌吉光長 『百科事典の整理学』 竹内書店、1972年。