主よ、人の望みの喜びよ
『主よ、人の望みの喜びよ』(しゅよ、ひとののぞみのよろこびよ)は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが1723年に作曲した教会カンタータ『心と口と行いと生活で』(BWV147)の終曲のコラール「イエスは変わらざるわが喜び」(Jesus bleibet meine Freude)の、英語によるタイトル"Jesu, Joy of Man's Desiring"に基づくタイトルである。第1部の締めくくりとなる第6曲と同じ旋律に、別の詞が乗せられる。
結婚式やクリスマス、イースターなどのキリスト教の祝祭の季節に演奏されることが多い[1]。ピアノや吹奏楽などにも編曲されている。
背景
[編集]バッハは、1661年にマルティン・ヤヌスが書いた讃美歌"Jesu, meiner Seelen Wonne"(イエス、わが魂の喜び)の2つのスタンザを、ヴァイオリニスト・作曲家のヨハン・ショップが作曲した"Werde munter, mein Gemüthe"(心をはずませ)の旋律を引用し、オーケストラ伴奏で4部構成で作曲した[2]。この楽章はカンタータの2つの部分の締めくくりである[3]。
バッハは、合唱、トランペット、ヴァイオリン、オーボエ、ヴィオラ、ファゴットによるカンタータ『心と口と行いと生活で』の第6曲と第10曲を作曲した。
編曲
[編集]この楽曲の幅広い人気により、クラシックギターやウェンディ・カルロスのアルバム『スウィッチト・オン・バッハ』におけるモーグ・シンセサイザーなど、様々な楽器へのアレンジがなされている。それらの中で最も有名なのは、イギリスのピアニストマイラ・ヘス(1890-1965)によるピアノアレンジであり[2]、ピアノ独奏版が1926年に、ピアノ二重奏版が1934年に出版されている[4]。
1971年にイギリスのバンド アポロ 100 によってカバーされ、ビルボード・ホット100の2位にランキングした。
アメリカの作曲家アルフレッド・リードにより、吹奏楽にも編曲されている。
英語版
[編集]この曲の最も耳にされる英語版は、イギリスの詩人ロバート・ブリッジスによるものである[5]。これはバッハのオリジナル版で使われている。
脚注
[編集]- ^ Kennedy, M., ed. "Jesu, Joy of Man's Desiring", Oxford Dictionary of Music, Oxford University Press
- ^ a b Arnold, Denis (1983). The New Oxford Companion to Music. Oxford University Press. ISBN 0-19-311316-3
- ^ "Herz und Mund und Tat und Leben", The Oxford Composer Companions: J. S. Bach, Oxford University Press
- ^ Boyd, M., ed. "Jesu, Joy of Man's Desiring", The Oxford Composer Companions: J. S. Bach, Oxford University Press
- ^ hymnary.org
外部リンク
[編集]- Cantata, BWV 147の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- German original version and English translation, Choir of Somerville College, Oxford, YouTube