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京都市交通局300形無軌条電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
京都市交通局300形無軌条電車
基本情報
運用者 京都市交通局
製造所 車体 ナニワ工機
シャーシ 日野ヂーゼル工業三菱日本重工業
製造年 1958年 - 1965年
製造数 18両(301 - 318)
運用終了 1969年9月30日
投入先 京都市営トロリーバス
主要諸元
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
車両定員 75人(着席37人)
車両重量 8.35 t
全長 10,520 mm
全幅 2,460 mm
主電動機 三菱 MB-1142-N2
主電動機出力 100 kw(1,700 rpm)
歯車比 11.65(日野製)
11.675(三菱製)
制御方式 抵抗制御
制御装置 カム軸制御装置
制動装置 発電ブレーキ
備考 主要数値は[1][2][3][4]を参照。
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京都市交通局300形無軌条電車(きょうとしこうつうきょく300がたむきじょうでんしゃ)は、かつて京都府京都市に存在したトロリーバス(無軌条電車)路線である京都市営トロリーバスで使用されていた車両。最後の増備車として1958年から導入が実施された[1][5]

概要

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1932年に開通した日本初の都市圏トロリーバスであった京都市営トロリーバスは、長らく全長1.6 kmという短距離のみを走行していたが、1958年12月1日京都市電梅津線がトロリーバスに転換された他、1962年にも郊外(松尾橋)への延伸が実施され[6]、総延長は5.2 kmに拡大した。これに合わせた増備車として導入されたのが300形である[4][7][6]

第二次世界大戦後に導入された100形200形から車体構造が変更され、側面窓が1,100 mmと大型化した他、乗降扉も車体左側の前後2箇所に設置された。また車体長も200形(10,020 mm)から延長し、主制御器も床下へ移設された事により定員数が75人に増加した。車体についてはこれらの戦後製車両と同様にナニワ工機が手掛けた一方、シャーシについては従来の日野ヂーゼル工業(301 - 305)に加えて三菱日本重工業(306 - 318)も参入し、両者は歯車比が異なっていた。主電動機三菱電機製のMB-1442-N2形(100 kw、1,700 rpm)が採用され、発電ブレーキ使用時には分巻界磁による分巻発電機としても使用可能な構造を有していた。速度制御にはカム軸制御器が用いられ、力行ノッチ数を14段と多く設定する事でスムーズな加速が図られた[5][1][2][3]。車体は「バスと電車の中間の雰囲気を持つ」と評された広い側面窓を有し[6]、乗降扉には前部が3枚・後部が4枚構成の折り戸が使用されていた[5][注釈 1]。車体の大型化は、企業立地に伴う利用者数増加が続いていた梅津線のトロリーバス転換で懸念された輸送力確保(ラッシュ時)がその背景にあった[7][注釈 2]

1958年から1965年にかけて18両[注釈 3]が製造され、京都市営トロリーバスの主力車両として使用されたが、モータリーゼーションの進展による渋滞の激化に加え、市内中心部へ直通する路線バスへ客が流れた事で利用客は減少の一途を辿り、1969年10月1日(最終運行9月30日)の廃止をもって300形も営業運転を終了した[注釈 4]。ただし、その後ラストナンバーとなった318は公害対策のため導入が検討されていた電気バスの試験車両に改造され、「みどり号」という名称で使用されていた事が確認されている[5][1][2][8]

脚注

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注釈

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  1. ^ 本形式と同じ1958年より製造された京都市交通局700形電車が類似の側面扉を採用している。
  2. ^ 電車時代の梅津線は単車の200形・300形や小型ボギー車の514形といった車両が運用されていた[7]
  3. ^ 計18両のうち17両(301 - 317)は1958年から1962年、318は1965年に製造された。
  4. ^ 廃止直前の1965年 - 1966年に301 - 317のワンマン運転対応工事が実施された他、318は製造当初から対応していたが、廃止までワンマン運転が実施されることはなかった。

出典

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  1. ^ a b c d 吉川文夫 1994, pp. 85–86.
  2. ^ a b c 吉川文夫 1994, p. 87.
  3. ^ a b 吉川文夫 1994, pp. 154–155.
  4. ^ a b 吉川文夫 1994, p. 76.
  5. ^ a b c d 市電保存館 on WWW (無軌条電車-I型~地下鉄東西線50系)”. 京都市交通局. 2021年2月10日閲覧。
  6. ^ a b c 沖中忠順 & 福井静二 2000, p. 172.
  7. ^ a b c 沖中忠順 & 福井静二 2000, p. 152.
  8. ^ 鈴木文彦「第4章 成熟する日本のバス」『日本のバス年代記』グランプリ出版、1999年11月24日、201-203頁。ISBN 4-87687-206-6 

参考資料

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  • 吉川文夫『日本のトロリーバス』電気車研究会、1994年3月1日。ISBN 4-88548-066-3 
  • 沖中忠順、福井静二『京都市電が走った街 今昔 古都の路面電車 定点対比』JTB、2000年3月1日。ISBN 4-533-03421-7