信楽高原鐵道
本社が隣接する信楽駅 | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
略称 | SKR |
本社所在地 |
日本 〒529-1851 滋賀県甲賀市信楽町長野192番地 |
設立 | 1987年2月10日 |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 3160001005541 |
事業内容 |
旅客鉄道事業 売店業、貸自転車業 |
代表者 | 代表取締役社長 正木 仙治郎 |
資本金 |
4億3200万円 (2020年3月31日現在[1]) |
発行済株式総数 |
8,640株 (2020年3月31日現在)[1] |
売上高 |
1億6924万5248円 (2020年3月期[1]) |
営業利益 |
975万9809円 (2020年3月期[1]) |
純利益 |
35万5893円 (2020年3月期[1]) |
純資産 |
1億4030万5116円 (2020年3月31日現在[1]) |
総資産 |
1億8010万7662円 (2020年3月31日現在[1]) |
従業員数 |
20人 (2018年3月31日現在[2]) |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 |
甲賀市 55.1% 滋賀県 34.5% 近江鉄道 5.3% 甲賀市区長連絡協議会信楽地域区長会 2.9% 滋賀銀行 1.0% (2019年3月31日現在[3]) |
外部リンク | https://koka-skr.co.jp/ |
信楽高原鐵道株式会社(しがらきこうげんてつどう)は、滋賀県で旧国鉄特定地方交通線の鉄道路線である信楽線を運営している鉄道事業者である。信楽町・水口町(いずれも現在の甲賀市)や滋賀県などの出資[4]による第三セクター方式で設立された、第三セクター鉄道事業者の一つである。本社は滋賀県甲賀市信楽町長野192番地。
歴史
[編集]- 1987年(昭和62年)
- 1989年(平成元年)12月1日 信楽焼製の干支切符・記念切符を発売開始。以後毎年発売。ただし記念切符は以後不定期。
- 1991年(平成3年)
- 5月14日 信楽線において、JR西日本から乗り入れの臨時快速列車と信楽高原鐵道の普通列車が正面衝突事故(信楽高原鐵道列車衝突事故)を起こす。
- 12月8日 列車運行再開。
- 1995年(平成7年)12月18日 SKR300形投入。
- 2001年(平成13年)11月6日 SKR310形投入。
- 2013年(平成25年)
- 2014年(平成26年)11月29日 列車運行再開[9]。
- 2015年(平成27年)
- 2017年(平成29年)2月5日 SKR500形投入[12]。
- 2019年(令和元年)9月29日 信楽を舞台とするNHK連続テレビ小説『スカーレット』のラッピング列車を2020年3月28日まで運行[13]。
路線
[編集]- 信楽線 貴生川 - 信楽 14.7km(信楽高原鐵道が第二種鉄道事業者、甲賀市が第三種鉄道事業者)
車両
[編集]詳しくは、各車両記事を参照のこと。
現有車両
[編集]- SKR310形
- SKR200形の置き換え用に2001年、2002年に1両ずつ計2両(311, 312)が製造された。後述のSKR300形と同外観だが、エンジンの強化及びブレーキ系統の二重化がされている。
- SKR400形
- SKR500形
- SKR200形の置き換え用に1両(501)が製造された。2017年2月5日に営業運転を開始した[12]。
過去の車両
[編集]塗装
[編集]開業時は、白地に陶磁器を焼く炎をイメージした赤と「紫香楽」の紫で、山つつじ(信楽町花)の花びらをデザインした塗装だったが、事故後緑帯に変更された。今はその上に狸のキャラクターと会社のロゴが描かれている。
駅名標も、古いものが撤去され、下に緑のラインカラーが入った新しいものに全駅変えられている。ただし、勅旨駅には旧来の青地白抜きの駅名板が現存している。緑は信楽線のラインカラーであり、「安全」のシンボルカラーでもある。
事件・事故・災害など
[編集]1991年5月14日の列車正面衝突事故
[編集]1991年5月14日に、小野谷信号所付近で発生した、信楽発貴生川行上り普通列車(SKR202号)と、京都発信楽行臨時快速列車「世界陶芸祭しがらき号」(キハ58系)が、10時35分ごろに正面衝突した事故である。衝突した時、乗客は定員の2.8倍となっており、死亡者数42名(うち運転士と同乗していた社員4名含む)という悲惨な事故となった。
2013年9月16日の台風18号による被害
[編集]2013年9月16日、台風18号によって甲賀市水口町の杣川に架かる杣川橋梁(延長95.69m)が増水した濁流に飲み込まれ橋脚1基が流失した[8][18]。杣川橋梁以外にも線路盤の陥没や土砂崩れ等で24か所において被害が出ており、台風とこの影響により信楽線は直後から全線で運休し、17日からは代行バスによる輸送となった[19][20]。鉄道施設を維持管理する甲賀市によると被害額は約3億5千万円という[18]。甲賀市は、復旧には多大の費用がかかり、年内の運転再開も困難であるとコメントしており、このため廃線の可能性も視野に入れて検討するとした[20][21]。
その後11月1日、国土交通省は鉄道軌道整備法による支援を表明したが、同法適用によっても復旧費の最大75%を占めることになる市の負担については国からの補助率の引き上げは困難との考えが示された[22]。12月3日、同法適用に基づく災害復旧事業費補助金制度の適用対象となり[23]、同月25日には中嶋武嗣・甲賀市長が遅くとも2014年12月までに運行を再開すると表明した。復旧総事業費は約7億円で、このうち市の負担額は2000万円〜1億円の見込み[24]。2014年8月20日には甲賀市長が同年11月29日に運行を再開すると発表した[25]。2014年10月16日、線路の敷設が予定より約1週間早く終わり、約1年1か月ぶりに全線が繋がった[26]。そして同年11月29日に運行を再開した[9]。
なお現行法令では「特定大規模災害等鉄道施設災害復旧事業費補助金」制度に基づき、「地方公共団体等が鉄道施設を公有化」し「長期的な運行の確保に関する計画を策定」した場合、補助率が国1/2、地方1/2(地方負担分に普通交付税措置95%)に引き上げられている[27]。
近年の動向
[編集]JR片町線と信楽駅を結ぶ新線を建設し、信楽高原鐵道信楽線と近江鉄道本線を改良した上で、大阪と滋賀県南部を直結する「びわこ京阪奈線」(仮称)構想があり、関係自治体により、建設期成同盟会が結成されている。
しかし、2005年度の同鉄道の経常損益は4028万5000円の損失[28]、2006年度末の債務超過額は13億4552万円[29]となっているほか、2003年度における営業係数は約150%[30]、2011年度で単年度赤字額は約9,000万円[31]となっており、経営的にはきわめて厳しい。
また、同鉄道の一部に並行する形で、新名神高速道路の信楽ICへのアクセス道路となる「信楽道路」の建設も進められており、道路事情の改善が進展している。
2012年2月6日には、1991年の事故の被害補償に充てるために、滋賀県や甲賀市から借り入れた計約21億円の全額放棄を求める特定調停を大津地方裁判所に申し立て、事実上の税金投入要請を行うことになった[32]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g 第34期決算公告
- ^ 鉄道統計年報平成29年度版 - 国土交通省
- ^ 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』令和元年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会
- ^ 竹島紀元 編『第三セクター鉄道』鉄道ジャーナル社〈鉄道ジャーナル年鑑「日本の鉄道」別冊〉、1990年、92頁。
- ^ 『鉄道ジャーナル』第21巻第10号、鉄道ジャーナル社、1987年8月、122頁。
- ^ “信楽高原鉄道開業:写真で見る滋賀の20世紀”. 滋賀県. 2019年7月16日閲覧。
- ^ 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく鉄道事業再構築実施計画の認定について〔信楽高原鐵道信楽線〕 (PDF) - 国土交通省、2013年3月1日。
- ^ a b 中日新聞 (2013年9月17日). “交通網やインフラ直撃 信楽高原鉄道、橋げた崩落し運休”. 2013年9月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月6日閲覧。
- ^ a b “台風被害から1年2カ月ぶり、信楽高原鉄道が運行再開”. 産経WEST. (2014年1月29日). オリジナルの2014年11月30日時点におけるアーカイブ。 2014年11月30日閲覧。
- ^ “信楽高原鐵道に北欧の人気陶芸家の作品描いたラッピング列車、1/15運転開始”. マイナビニュース (2015年1月13日). 2015年1月23日閲覧。
- ^ a b “信楽鉄道の新型車両、出発進行 滋賀・甲賀”. 京都新聞 (京都新聞社). (2015年10月5日). オリジナルの2015年10月8日時点におけるアーカイブ。 2020年4月6日閲覧。
- ^ a b 信楽高原鐵道SKR501が営業運転を開始 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2017年2月6日
- ^ “戸田恵梨香:「スカーレット」ラッピング列車出発式「共に進んでいくんだ…”. マイナビニュース. 株式会社マイナビ (2019年9月29日). 2019年11月25日閲覧。
- ^ 信楽高原鐵道, SKR401を導入 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2015年9月22日
- ^ a b “新型車両は信楽焼・紅葉イメージ 滋賀の鉄道会社発表”. 京都新聞 (京都新聞社). (2015年9月25日). オリジナルの2015年9月26日時点におけるアーカイブ。 2020年4月6日閲覧。
- ^ “紀州鉄道に2台目の気動車到着”. 日高新報 Web Hidaka. 日高新報社 (2020年4月6日). 2017年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月11日閲覧。
- ^ “紀州鉄道に気動車到着”. 日高新報 Web Hidaka. 日高新報社 (2015年10月21日). 2015年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月6日閲覧。
- ^ a b “台風被害の信楽鉄道復旧を 通学の高校生が募金と署名”. 京都新聞. (2013年10月30日). オリジナルの2013年10月30日時点におけるアーカイブ。 2020年4月6日閲覧。
- ^ “SKR線路、崩れ不通 17日、貴生川-信楽駅間で代替バス”. 京都新聞. 2013年9月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年9月17日閲覧。
- ^ a b “あまちゃん「北鉄」ならぬ甲賀の「信楽高原鉄道」、地域の人々に愛されるも遂に廃線危機、台風18号被害で”. 産経新聞 (2013年10月5日). 2013年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月6日閲覧。
- ^ “信楽高原鉄道、廃線も視野 台風18号禍で甲賀市長”. 京都新聞 (2013年10月2日). 2013年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月6日閲覧。
- ^ “信楽鉄道復旧費、国が支援意向 補助率上げは否定”. 京都新聞. (2013年11月6日). オリジナルの2013年11月2日時点におけるアーカイブ。 2020年4月6日閲覧。
- ^ “信楽鉄道の復旧費、国補助対象に 鉄路維持へ「前進」”. 京都新聞. (2013年12月3日). オリジナルの2013年12月3日時点におけるアーカイブ。 2020年4月6日閲覧。
- ^ “信楽高原鉄道:台風18号被害 14年12月に運行再開”. 毎日新聞. (2013年12月25日). オリジナルの2013年12月26日時点におけるアーカイブ。 2020年4月6日閲覧。
- ^ “信楽高原鉄道、11月末に運転再開 新しい橋脚も設置”. 朝日新聞. (2014年8月20日). オリジナルの2014年8月20日時点におけるアーカイブ。 2020年4月6日閲覧。
- ^ “信楽鉄道、全線つながる 台風被害から1年1カ月ぶり復旧 ”. 京都新聞 (2020年4月6日). 2014年10月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月17日閲覧。
- ^ “別所線千曲川橋梁等の災害復旧事業について”. 上田市. (2020年6月19日) 2022年4月20日閲覧。
- ^ [1]同鉄道最大の出資者である甲賀市ウェブサイトより
- ^ 「週刊ダイヤモンド」2007年12月15日号P103
- ^ [2] (PDF) 「財団法人 運輸政策研究機構」の資料より
- ^ 滋賀県の信楽高原鐵道に「上下分離方式」、線路や車両は甲賀市が保有へ - マイナビニュース、2013年3月5日
- ^ “信楽高原鉄道、債権放棄を求め特定調停申し立て”. 産経新聞 (産経新聞社). (2012年2月7日). オリジナルの2012年2月7日時点におけるアーカイブ。 2020年4月6日閲覧。