内閣総理大臣官邸のソースを表示

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{{転送|首相官邸|その他の首相官邸、その他の[[政府首脳]]の官邸|官邸}}
{{建築物
|名称=内閣総理大臣官邸<br / >Prime Minister's office／<br>Prime Minister's Official Residence
|旧名称=
|画像=[[File:Prime Minister's Office of Japan logo.svg|260px]]
[[File:Kantei PM Japan Residence.jpg|320px]]
|画像説明= 正面玄関口（東）側から撮影した官邸
|用途=[[内閣総理大臣]]の執務、内外要人の迎賓・会見、[[閣議 (日本)|閣議]]の開催 等
|旧用途=
|設計者=[[国土交通省大臣官房|建設大臣官房]]官庁営繕部<!--中央省庁再編後の各省の大臣官房は統一して「○○省大臣官房」となったが、再編前の旧各省の大臣官房は一部の省を除いて「省」の字が入らない「○○大臣官房」であった。建設省はその多数派のほうだったので「建設大臣官房」とするのが正しく「建設省大臣官房」とするのは正しくない。なお、地方自治体はそのことをわかっていないことが多く、国と地方の人事交流の発令では勝手に「建設省大臣官房」と表記していたが、建設省側の自称表記は一貫して「建設大臣官房」であった。官報有料検索で確認可能。無言雀師2012-06-24記入-->
|施工=
|建築主=
|事業主体=
|管理運営=[[内閣官房]][[内閣総務官室]]総理大臣官邸事務所
|構造形式=[[鉄骨鉄筋コンクリート]]構造
|敷地面積=46000
|建築面積=
|延床面積=25000
|階数=地上5階、地下1階
|高さ=35メートル
|着工=[[1999年]][[5月22日]]
|竣工=[[2002年]][[4月22日]]
|開館開所=2002年4月22日
|改築=
|所在地=[[東京都]][[千代田区]][[永田町]]2丁目3番1号
|所在地郵便番号=100-8968
|緯度度 =  35|緯度分 = 40|緯度秒 = 23
|経度度 = 139|経度分 = 44|経度秒 = 35
|位置=
|位置図種類 = Tokyo city#Japan Tokyo#Japan
}}
{{内閣総理大臣項目}}

'''内閣総理大臣官邸'''（ないかくそうりだいじんかんてい、{{lang-en|Prime Minister's office／Prime Minister's Official Residence}}）<!--「[https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/19020160318009.htm 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律]」に「内閣総理大臣官邸」と明記され、その後、法律名が短く改正されて「[[重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律]]」第1条・第2条に「[https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=428AC1000000009 この法律は、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等]」と明記されている等、法律上の規定に基づく官邸の正式名称は「'''内閣総理大臣官邸'''」となっている。 -->は、[[日本]]の[[内閣総理大臣]]の[[官邸]]。

'''総理大臣官邸'''（そうりだいじんかんてい）ともいい、[[略称]]は'''総理官邸'''（そうりかんてい）、[[通称]]は'''首相官邸'''（しゅしょうかんてい）。所在地は[[東京都]][[千代田区]][[永田町]]二丁目3番1号。

== 名称 ==
=== 正式名称 ===
官邸の名称については複数あるため、公文書にも表記ゆれがみられる。

; 内閣総理大臣官邸
: [[重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律]]2条1項ロの規定<ref group="注釈">'''内閣総理大臣官邸'''並びに内閣総理大臣及び内閣官房長官の公邸</ref>および[[内閣官房]]の告示<ref>小型無人機等飛行禁止法に基づく首相官邸及び首相・官房長官の公邸の敷地及びその周辺地域の指定</ref>のほか、[[日本の国会議員|国会議員]]の[[質問主意書]]に対する政府答弁書<ref>「衆議院議員鈴木宗男君提出内閣総理大臣の出処進退に関する質問に対する答弁書」<sup>[http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b168019-.htm]</sup></ref><ref>「衆議院議員鈴木宗男君提出在上海総領事館員自殺事件に関する質問に対する政府答弁書」<sup>[http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b164003.htm]</sup></ref>、[[外務省]]告示<!--（外国要人来日時の静穏保持法に基づく外国公館等周辺地域の指定）--><ref group="注釈">1979年以前の用例はなく1990年以降2007年9月まで26件あり。なお1978年から1995年にかけて「総理官邸」とした例が9件、「内閣総理官邸」とした例が1件ある。</ref>、他省の主催行事の場所表示<ref>総務省「内閣総理大臣と市町村長との頑張る地方応援懇談会」<sup>[https://web.archive.org/web/20070213195835/http://www.soumu.go.jp/menu_03/shingi_kenkyu/kenkyu/ganbaru_chihou/070116_01.html]</sup><br/>農林水産省「平成18年緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰について」<sup>[https://web.archive.org/web/20070209075818/http://www.rinya.maff.go.jp/puresu/h18-7gatu/0726ryokakourou.html]</sup></ref><ref group="注釈">他省の主催によるものを含め内閣総理大臣による各種の表彰に関する文書で「内閣総理大臣官邸」17件、「総理大臣官邸」2件、「首相官邸」2件、「総理官邸」1件の使用例が日本国憲法下の2007年9月までの官報で確認される。また、自治省時代の地方自治関係文書で「内閣総理大臣官邸」20件、「総理大臣官邸」7件、「総理官邸」3件の使用例が官報で確認される。日本国憲法下の法令（府省令以上）中での登場例はなかったが、一般に公的組織では正式な呼称を用いるのが原則であり、官職の正称に官邸を加えたこの表記がもっとも公的な性格を有したものと言える。したがって、官邸の正式名称は「'''内閣総理大臣官邸'''」である。</ref>などに用例がある。
; 総理大臣官邸
: [[1952年]]以降、[[内閣官房]][[政令|組織令]]第2条第1項第8号および第5条第2項<ref>「内閣官房組織令第2条第1項第8号及び第5条第2項」<sup>[https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=332CO0000000219]</sup><!--（再編前は総理府本府組織令などで規定）--></ref>で一貫してこの表記が用いられているほか、国会議員の質問主意書に対する政府答弁書<ref>「参議院議員秦豊君提出大韓航空機撃墜事件と政府の危機管理・情報管理体制に関する質問に対する答弁書」<sup>[http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/100/touh/t100005.htm]</sup></ref>、[[2002年]]竣工の新官邸の整備計画に関する閣議了解<ref>1977年5月15日付け閣議了解「総理大臣官邸の整備について」<!--（総理府本府案件）--></ref>、他省の主催行事の場所表示などに用例がある。[[日本国憲法]]下の[[政令]]・[[内閣府令|府]][[省令]]における表記は全てこの「総理大臣官邸」となっている。

=== 通称 ===
[[官邸|外国の首脳官邸]]には、[[アメリカ合衆国]]の「[[ホワイトハウス]]」、[[フランス]]の「[[エリゼ宮殿|エリゼ宮]]」、[[ロシア]]の「[[クレムリン]]」、[[イギリス]]の「[[ダウニング街10番地|ナンバー10]]」、[[フィリピン]]の「[[マラカニアン宮殿]]」など独特の愛称を持つものが多い中、日本の総理大臣官邸にはそれがない。各国の官邸では法令で定められた正式名称とは別に、愛称の方が一般に使用されている場合がほとんどである。中には正式名称が明文化されていない国や、そもそも不明という国もある。また、愛称が公式名に昇格した例も少なくない<ref group="注釈">[[アメリカ合衆国大統領]]府の正式名称は当初「行政府官邸」{{en|(Executive Mansion)}}というものだったが、その塗装の色調から「ホワイトハウス」という愛称が早くからあった。そこで1906年の増築を機会にこの愛称を公式名にして「ワシントン・ホワイトハウス」{{en|(White House – Washington) }}と改称している。</ref>。1階に[[内閣総理大臣|首相]]や[[内閣官房長官]]が[[記者会見]]が行う記者会見室、4階に[[国務大臣|閣僚]]の集合場所として使用される閣僚応接室、[[閣議 (日本)|閣議]]が行われる閣議室、[[首脳会談]]などに使用される特別応接室、5階に首相執務室、首相応接室、官房長官室、官房副長官室<!-- https://www.kantei.go.jp/jp/guide/guide03.html --><!-- 官房副長官室の記述 -->などが置かれていることから、「首相官邸」は[[内閣官房]]の通称としても使用されている<ref>[https://kotobank.jp/word/%e9%a6%96%e7%9b%b8%e5%ae%98%e9%82%b8-671711 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「首相官邸」]、[http://say-g.com/prime-ministers-residence-2325#i-9 ３、内閣官房と内閣府｜首相の仕事]</ref><ref> 「首相官邸」は官邸ホームページのように、[[内閣総理大臣]]と[[内閣官房]]職員の総称としても用いられている。そのことを裏付けるものとして、[https://japan.kantei.go.jp/ 英語版]ならびに[http://www.kantei.go.jp/cn/index.html 中国語版の官邸ホームページ]では、総理が執務する建物としての官邸を意味する '''Prime Minister's Office''' ではなく、総理と官房スタッフからなる[[日本の内閣]]を意味する '''Prime Minister of Japan and His Cabinet''' というロゴが用いられていることからも、単に総理が執務する庁舎としての機能だけでなく、総理と官房スタッフからなる組織のことも「首相官邸」と通称されていることがわかる。</ref>。なお、「首相官邸」の呼称は公文書での用例はほとんどないものの、[[報道機関]]などではよく使用される表現である。また、官邸の公式[[ウェブサイト|サイト]]も開設当時から「[https://www.kantei.go.jp/ 首相官邸ホームページ]」という表記になっている<ref>[https://web.archive.org/web/19961108090923/https://www.kantei.go.jp/ 開設当時の首相官邸ホームページ]</ref>。日本のように「総理大臣官邸」といったような硬い公式名が使用されているのはむしろ少数派となっている<ref>[[ドイツ]]の「[[連邦首相府 (ドイツ)|連邦首相府]]」、[[中華民国]]の「[[中華民国総統府|総統府]]」など。<!-- もっともこれは日本の「[[内閣府]]」相当で機関名でもある。--><!-- 混乱回避／脱線トリビア --></ref>。

しかし、[[第1次小泉内閣|小泉政権]]の頃から従来の {{en|'''Prime Minister’s Office of Japan'''}} という直訳<ref>[https://www.kantei.go.jp/ 首相官邸ホームページ]</ref>や {{en|'''Official Residence of the Prime Minister'''}} といった意訳<ref>[https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hourei/name.pdf 部局課名・官職名英訳名称一覧 Names of Government Organizations and Positions]、2008年6月、[https://www.cas.go.jp/ 内閣官房ウェブサイト]（2017年3月12日閲覧）</ref>に替えて、一般名詞が固有名詞化した「官邸」の語をそのまま[[ローマ字]]表記にした {{en|'''Kantei'''}} を積極的に日本国外に向けて発信し始めるようになった。今日この Kantei は、[[アメリカ合衆国]]では[[ホワイトハウス]]の公式サイトにも頻繁に登場するほどの汎用語となっている。なお、官邸の公式サイトでの英語表記は {{en|'''Prime Minister of Japan and His Cabinet'''}} となっている<ref>[https://japan.kantei.go.jp/ 首相官邸ホームページ英語版]</ref><ref>[https://www.kantei.go.jp/cn/index.html　首相官邸ホームページ中国語版]</ref>。

== 建屋と機能 ==
[[ファイル:Prime Minister's Office of Japan.jpg|thumb|官邸各フロア]]
[[ファイル:Prime Ministers Official Residence cropped GSI CKT20092-C58-19 20090427.jpg|thumb|総理大臣官邸（中央左上）の航空写真。同じ敷地内の[[内閣総理大臣公邸|総理大臣公邸]]（中央右下）に隣接し、庇で繋がっている（2009年4月27日撮影）]]
初期の総理大臣官邸としてどの建物が使用されていたのか定かではないが、1929年に旧総理大臣官邸が完成してからはそこに内閣総理大臣の執務の拠点が置かれた。老朽化に伴い新たな官邸の建設を決定し、1999年から2002年にかけて建設され、現在の官邸が2002年に完成し、2002年4月22日から使用されている。

地上5階、地下1階建ての[[鉄骨鉄筋コンクリート]]構造で、[[震度7]]にも耐えられる設計となっている。最上階となる5階には内閣総理大臣、[[副総理]]、[[内閣官房長官]]、[[内閣官房副長官]]の執務室、4階には[[閣議 (日本)|閣議]]室、[[内閣 (日本)|内閣]]執務室、[[首脳会議]]室、特別応接室が置かれ、この2層に執務機能が集中している。3階は[[事務室]]と[[玄関]][[ホール]]、2階には[[多目的ホール|レセプションホール]]と[[要人#国賓|貴賓]]室が設けられている。1階は[[記者会見]]室や[[記者クラブ]]など広報関係の施設がある。地階は[[#危機管理センター|危機管理センター]]となっている<ref name="内閣執務室" />。また、[[内閣府]]庁舎へとつながる地下[[トンネル]]があり、屋上には[[ヘリポート]]が設置されている<ref group="注釈">時折陸海空自衛隊ヘリコプターの離着陸訓練が行われている。</ref>。2014年8月には、官邸前庭にあった循環式の人工池が、設備老朽化のため埋め立てられ、ヘリポートとしても使用できる緑地となった<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=wXszzLx8_J0 緊急時はヘリポートに使用 総理官邸前庭が緑地に(14/08/23)]</ref>。

官邸では[[閣議 (日本)|閣議]]や[[国家安全保障会議 (日本)|国家安全保障会議]]など、国政上重要な会議が開催される<ref name="ウェブ">[https://www-weblio-jp.cdn.ampproject.org/v/s/www.weblio.jp/content/amp/%E9%A6%96%E7%9B%B8%E5%AE%98%E9%82%B8?amp_js_v=a6&amp_gsa=1&usqp=mq331AQHKAFQArABIA%3D%3D#aoh=16202879668504&csi=1&referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.com&amp_tf=%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%3A%20%251%24s&ampshare=https%3A%2F%2Fwww.weblio.jp%2Fcontent%2F%25E9%25A6%2596%25E7%259B%25B8%25E5%25AE%2598%25E9%2582%25B8 weblio辞書]</ref>。この他にも[[外国]][[元首]]など[[首脳]]との会談や功労者に対する表彰の場として使用される<ref name="官邸" >[https://www.kantei.go.jp/jp/q&a/archive/20090730a.html 首相官邸]</ref>。

傾斜地に作られているため、西側の入口は1階だが、東側にある正面の出入り口は3階となっている。組閣後の閣僚記念撮影が行われる「大階段」は3階から2階に降りる階段である<ref name="nk220810">{{Cite news|title=内閣改造時の写真撮影　21年ぶり旧官邸で|newspaper=日本経済新聞|date=2022年8月10日|url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA109E60Q2A810C2000000/|access-date=2022-09-05}}</ref>。同敷地内には、[[内閣総理大臣公邸|総理大臣公邸]]、[[内閣官房長官公邸|官房長官公邸]]、内閣宿舎、危機管理用臨時宿泊施設などもある<ref name="内閣執務室">[https://www.kantei.go.jp/jp/seibi/r1.html 総理大臣官邸整備検討委員会 『新しい総理大臣官邸の建設に向けて 新官邸の整備方針』（1998年8月24日）]</ref>。官邸と公邸は庇でつながっている。

[[テロ対策]]として、建設工事の際に[[山王パークタワー]]や[[東急ホテルズ|キャピトル東急ホテル]]といった[[高層建築物]]が新官邸に隣接していることが問題となり、官邸からは、高層ビルに面した側から窓を取り除く設計変更の上、高層ビルに対しては官邸に面した窓が開かないよう改修を要請した。さらに、敷地は高さ5メートル以上の[[コンクリート]]製[[バリア|防護壁]]で囲まれている。官邸内の警備は通常、官邸警務官が行っているが、官邸警務官はあくまでも官邸職員なので、[[拳銃]]などの[[武器]]の携帯は認められていない。その他にも官邸の警備は総勢100人ほどの「警視庁警備部警護課[[総理大臣官邸警備隊]]」が行っている。官邸の周辺警備は、[[警視庁]][[警備部]][[機動隊]]の9つの大隊が持ち回りで担当し、[[銃]]と[[警杖]]を装備し、官邸前の道路に移動式の[[金属]]製[[バリケード]]を設置するなどしている。拳銃以外の銃器は付近の特殊車両に装備してあるが、その種別については極秘事項となっている<ref name="首相官邸" >[[高嶋哲夫]]『官邸襲撃』（2018年6月 PHP研究所）</ref>。

官邸内に飾られる[[絵画]]や[[彫刻]]は、官邸事務所の所蔵品だけでなく、[[文化庁]]経由で無償で借り受けた[[日展]]入選作などが含まれている。

官邸内には[[食堂]]があり、職員は外出せずに食事が可能である。このほか、官邸内には医務室があり、総理の健康管理のために[[医師|医務官]]や[[看護師|看護官]]も常駐している

総理大臣公邸とはインターネットを経由しない[[専用線|専用回線]]で結ばれている<ref>{{Cite web|和書|title=「オンラインなのに密、奇妙だ」「昭和か」岸田首相取材の不自然さにネット上で揶揄：東京新聞 TOKYO Web |url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/198062 |website=東京新聞 TOKYO Web |access-date=2022-08-29 |language=ja}}</ref>。

=== 危機管理センター ===
現在の官邸の地下には、危機管理センターが設けられており、2002年4月16日から運用されている<ref name="CDMC020510">「[https://www.bousai.go.jp/kaigirep/chousakai/kihonkeikaku/c06_index.html 第6回防災基本計画専門調査会 配布資料 最近の動きに関する報告]」、[[中央防災会議]]、2002年5月10日。2018年9月17日閲覧。</ref>。'''官邸危機管理センター'''、'''内閣危機管理センター'''などと称される<ref>「[https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=118005261X02420120418 第180回国会 衆議院予算委員会議事録 第24号]」 2012年4月18日。2018年9月17日閲覧。</ref>。

1995年1月の[[阪神・淡路大震災]]発生時に当時の[[村山内閣]]は、情報の集約と迅速な震災対応を欠いた。また、同年3月の[[オウム真理教]]による[[地下鉄サリン事件]]では、改めて危機管理体制の未整備が露呈した。96年2月、[[第1次橋本内閣]]は、内閣官房に危機管理チームを設け、[[内閣官房]]6室の[[官僚]]が、[[内閣官房長官|正]][[内閣官房副長官|副官房長官]]とともに、緊急事態発生時の対応に当たることとした。そして同年5月には危機管理センターを首相官邸内に設け、24時間態勢で情報集約に当たることとした<ref name="知恵蔵">[[知恵蔵]]『[https://kotobank.jp/word/%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC-181909 危機管理センター]』、執筆：千葉大学法経学部教授新藤宗幸、2007年。 </ref>。正式名称は[[内閣情報調査室#内閣情報集約センター|内閣情報集約センター]]で、緊急事態発生時には、首相や閣僚が同センターに参集することになる<ref name="イミダス">[https://imidas.jp/genre/detail/C-109-0036.html 危機管理センター | 時事用語事典 | 情報・知識＆オピニオン imidas - イミダス]</ref>。同センターは[[内閣情報調査室]]のメンバー5個班20人が、24時間体制で運用を行っている。[[大規模災害]]や[[テロ]]などの緊急事態に備えて[[警察庁]]、[[消防庁]]、[[海上保安庁]]、[[気象庁]]、[[自衛隊]]との[[ホットライン]]も設置されている。通常、大規模災害や近隣諸国の軍事的な動きで招集され、「対策本部」が設置される。本部長は[[内閣総理大臣]]で、「[[内閣危機管理監]]」も置かれている。[[内閣総理大臣|総理大臣]]以下、[[内閣官房長官|官房長官]]や[[担当大臣]]、有事であれば[[統合幕僚長]]らとともに、関係省庁スタッフを仕切るのが内閣危機管理監である。内閣危機管理監は代々、[[警察官僚]]が起用されることが慣例となっている<ref name="首相官邸" />。

同センターは、各[[日本の行政機関|省庁]]・[[通信社]]・[[公共機関|民間公共機関]]から収集した情報を一元的に集約し、内閣総理大臣・[[内閣官房長官]]・[[内閣官房副長官]]・[[内閣危機管理監]]などに即時連絡することにより<!-- [https://www.mhlw.go.jp/houdou/0110/dl/h1005-1a.pdf NBCテロその他大量殺傷型テロへの対処について]の文中に「内閣官房副長官」と記載されている。 -->、[[大規模災害]]や[[テロ]]などの緊急事態に対し、内閣の初動体制を確立している<ref name="内閣" >{{Kotobank|内閣情報集約センター}}</ref>。内閣情報集約センターは、95年1月の阪神・淡路大震災に際して政府の対応がひどく立ち後れた反省から、首相官邸内に設けられた<ref>{{Kotobank|連邦危機管理庁}}</ref>。98年4月には、[[内閣危機管理監]]たる[[内閣官房副長官]]相当職を設けた。2001年4月以降、同センターは内閣危機管理監、内閣官房副長官補の指揮下にある<ref name="知恵蔵" />。

緊急事態発生時には、内閣危機管理監が状況に応じて、同センターに'''情報連絡室'''、'''官邸連絡室'''、'''官邸対策室'''を設置する<ref>「[https://www.jma.go.jp/jma/kishou/minkan/wxad/pdf/5-1.pdf 国の危機管理と気象庁の役割]」 気象防災アドバイザー研修防災気象情報コース資料、2018年3月3日。2018年9月17日閲覧。</ref>。設置後、状況に応じて情報連絡室から官邸対策室に改組されることもある。対策室等の設置後、状況によっては、[[内閣 (日本)|内閣]]に[[日本国政府|政府]]の[[災害対策本部|対策本部]]が設置される<ref name="ACCS">「[https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/fukutyoukanho.html 内閣官房副長官補]」 内閣官房ホームページ。2018年9月17日閲覧。</ref>。同センターの幹部部屋は、政府として実質的に災害対応の指揮を取る場所であり、中央に[[内閣危機管理監]]、[[内閣官房副長官補#内閣官房副長官補（事態対処・危機管理担当）|事態対処・危機管理担当官房副長官補]]、[[防災担当大臣]]、[[原子力規制庁]]、[[自衛隊]]、[[消防庁]]、[[警察庁]]などの各府省庁幹部などが並ぶ円卓があり、フロントには各種情報が流れる巨大[[スクリーン]]があり、幹部席の後ろに[[内閣参事官]]の席が並び、[[ヘッドセット (音響機器)|ヘッドセット]]を装着した[[内閣官房|内閣官房職員]]が常駐している<ref name="tokugikon">[http://www.tokugikon.jp/gikonshi/264/264tokusyu2-8.pdf 『特技懇』 264号 特許庁技術懇話会 p.72]</ref>。大規模災害時にも、これら機能が喪失されないように[[耐震|耐震安全性]]が確保され、電気・ガス・水道などの断絶にも対策が講じられている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.bousai.go.jp/kaigirep/chousakai/kihonkeikaku/pdf/c06_shiryo_01.pdf|title=新官邸危機管理センターの運用開始について|accessdate=2021-11-13|publisher=内閣府}}</ref>。

=== 概略 ===
[[ファイル:DickCheney visits ShinzoAbe in Tokyo, 2007Feb21 cropped.jpg|thumb|四階の特別応接室（背後の壁は可動式のパーティション。奥は首脳会議室になっている。よく見ると、中央から二つに割れており敷居に乗っているのが分かる） [[安倍晋三]]と[[ディック・チェイニー]]、2007年2月21日]]
* 敷地の広さ：4万6000平方メートル
* 建物大きさ：敷地 90メートル × 50メートル、高さ35メートル
* 延床面積：2万5000平方メートル
* 構造：地上5階、地下1階
* 建替え閣議決定：1987年（昭和62年）、[[第3次中曽根内閣]]当時
* 建設起工式：1999年（平成11年）5月22日、[[小渕内閣 (第1次改造)|小渕第1次改造内閣]]当時
* 新官邸開館（テープカット）：2002年（平成14年）4月22日、[[第1次小泉内閣]]当時
* 建設費：435億円（総工費：約700億円）
* 設計：[[国土交通省大臣官房|建設<!--中央省庁再編後の各省の大臣官房は統一して「○○省大臣官房」となったが、再編前の旧各省の大臣官房は一部の省を除いて「省」の字が入らない「○○大臣官房」であった。建設省はその多数派のほうだったので「建設大臣官房」とするのが正しく「建設省大臣官房」とするのは正しくない。なお、地方自治体はそのことをわかっていないことが多く、国と地方の人事交流の発令では勝手に「建設省大臣官房」と表記していたが、建設省側の自称表記は一貫して「建設大臣官房」であった。官報有料検索で確認可能。無言雀師2012-06-24記入-->大臣官房]] 官庁営繕部
{{clear}}

=== ギャラリー ===
{{Gallery
|align=center
|width=160
|height=120
|File:Prime Ministers Official Residence 20080723.jpg|総理官邸前（2008年7月23日撮影）
|File:官邸警備2.jpg|総理官邸前2（2008年11月23日撮影）
|File:Soridaijinkantei2.jpg|谷側から見た官邸
|File:首相官邸 - panoramio (1).jpg|官邸敷地内に至るゲート
|File:Souridaijinkatei.jpg|正面玄関
|File:Deputy Secretary Burns and Ambassador Kennedy Visit the Japanese Prime Minister’s Residence (12119576176).jpg|玄関ホール
|File:Souridaijikantei1.jpg|中庭
|File:Guide03 01.jpg|閣僚応接室
|File:Guide03 03.jpg|閣議室
|File:Fumio Kishida Cabinet 20211110.jpg|2階から3階へ向かう大階段。レッドカーペットを敷き、組閣後の記念撮影も行う
|File:Joe Biden and Naoto Kan at the Kantei in Tokyo August 2011.jpg|大階段の横に設置されたエスカレーター
|File:Shigeru Omi and Shinzo Abe 20200407 10.jpg|大ホール
|File:Shinzo Abe and Robert Mugabe 20160328.jpg|大ホール。儀杖も行われる
|File:Shinzo Abe and Ministers 20200326 1.jpg|小ホール。各種会議も行われる
|File:Shinzo Abe and Ministers 20200216.jpg|大会議室
|File:Meeting with Shinzo Abe (01814381) (49582194333).jpg|特別応接室
|File:Yoshihide Suga September 2020 (2).jpg|記者会見室での内閣総理大臣の会見。背後は総理大臣の会見用のブルーカーテン
|File:Shinzo Abe answering questions on new imperial era name 3.jpg|総理大臣の会見用のワインレッドカーテン
|File:Guide02 11.jpg|内閣官房長官・副長官<ref group="注釈">かつて行われていた内閣発足後の[[国務大臣]]の就任会見でも使用された。また、[[菅直人]]総理大臣は度々この色のカーテンも使用した（例：[https://www.kantei.go.jp/jp/kan/actions/201105/10KAIKEN.html]、[https://www.kantei.go.jp/jp/kan/actions/201103/25message.html]、[https://www.kantei.go.jp/jp/kan/actions/201104/12kaiken.html]）</ref>の会見用の薄い青色のカーテン
|File:Shinzo Abe 20200407 4.jpg|大ホールでの総理大臣記者会見
|File:官邸警備1.jpg|官邸周辺の警戒を行う警視庁機動隊員
|File:官邸警備3.jpg|警視庁総理大臣官邸警備隊
|ファイル:官邸警務官.jpg|正面玄関で来訪者の警戒を行う官邸警務官
}}

== 歴史 ==
=== 初期の官邸 ===
首相官邸ホームページによると、「元は[[太政大臣]]官舎。[[内閣 (日本)|内閣]]制度創設期から旧官邸が完成した1929年まで使用された。西洋風の木造2階建て」とされている<ref>[https://www.kantei.go.jp/jp/vt2/main/00/photo-zentai01.html 官邸全体] - 旧首相官邸バーチャルツアー</ref>。建坪は723.229坪（約2,390㎡）と、1890年頃の大臣官舎の中でも最大級を誇った<ref>藤木竜也, 河東義之、「[https://doi.org/10.3130/aija.74.1173 『各省所管官有財産目録』に見る明治時代中期の各省所管官舎について]」 『日本建築学会計画系論文集』 2009年 74巻 639号 p.1173-1182, {{doi|10.3130/aija.74.1173}}</ref>。1923年（大正12年）の[[関東大震災]]では、隣接する[[中華民国]]公使館が火災に見舞われるものの、官舎は危うく難を逃れた<ref>[https://www.ndl.go.jp/modern/img_t/S023/S023-001tx.html 大正十二年日記] - 倉富勇三郎関係文書</ref>。ただ太政大臣官舎の詳細について調査した論文（藤木、2007年）<ref name=fujiki>藤木竜也, 河東義之, 斉藤健二、「[https://doi.org/10.3130/aija.72.187_4 明治前期の外務卿官舎と太政大臣官舎について]」 『日本建築学会計画系論文集』 2007年 72巻 621号 p.187-194, {{doi|10.3130/aija.72.187_4}}</ref>では、太政大臣官舎は1878年（明治11年）より当時太政大臣だった[[三条実美]]が居住し、1885年（明治18年）の内閣制度発足に伴い[[内大臣]]となった三条の公邸に転用、さらに1888年（明治21年）より[[枢密院 (日本)|枢密院]]の事務所として使われていたとされている。またそもそも太政大臣官舎は「煉瓦造2階建ての洋館と後に増築された和館から成る、和洋館並列型様式」であることが判明しており、建築様式が異なっているほか<ref name=fujiki />、場所も現在の[[国会議事堂]]の前庭付近に所在していた<ref name=fujiki />。

このため旧官邸の建設以前に使われていた建物については不明確な部分が多い。

=== 旧官邸 ===
[[ファイル:Kantei 1929.jpg|thumb|竣工当時の旧官邸（1929年3月）]]

[[大正]]末期から[[昭和]]初期にかけて流行した[[アール・デコ|アールデコ]]、[[表現主義]]などの建築様式を取り入れた文化的にも価値があるといわれる建築。旧[[帝国ホテル]]本館などの設計で知られる[[フランク・ロイド・ライト]]のデザインに似ていたため、ライト風とも呼ばれたが、実際に設計したのは、当時[[大蔵省]]営繕管財局工務部工務課第二製図係長だった[[下元連]]である。

旧官邸の建物は敷地内を[[曳家]]工事により移動し改修を施された上で2005年（平成17年）から[[内閣総理大臣公邸|総理大臣公邸]]として利用されている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kantei.go.jp/jp/guide/guide04.html|title=首相公邸（旧官邸）|publisher=首相官邸ホームページ|access-date=2020-10-27}}</ref>。

==== 敷地の沿革 ====
官邸の敷地は、[[17世紀]]後半、敷地内南側が[[村上藩|越後村上藩]][[内藤家 (信成系)|内藤家]][[中屋敷]]であり、敷地内北側は[[旗本]]屋敷から[[飯山藩#本多家|信濃飯山藩本多家]][[上屋敷]]、[[峰山藩|丹後峰山藩]][[京極氏|京極家]]上屋敷へと移り変わった。[[明治維新]]後、一時、[[一橋徳川家]]が使用し、[[明治3年]]に[[鍋島家]]の所有となった。鍋島邸は[[関東大震災]]により大きな被害を受け、[[復興局 (内務省)|復興局]]へ売却された。[[1926年]]（大正15年）、震災復興に伴う中央諸官衙計画の一環として、旧鍋島邸跡地（旧[[麹町区]]永田町二丁目一番地）に総理大臣官邸を新設することとなった。旧官邸は1929年（昭和4年）に完成。当時は「内閣総理大臣官舎」と呼ばれており、門には[[表札]]がかかっていた。

==== 概略 ====
* 1929年（昭和4年）3月18日竣工
* 鉄筋コンクリート4階建（地上3階・地下1階）
* 延床面積：7000平方メートル
* 設計：大蔵省営繕管財局（担当：下元連）

==== 逸話 ====
[[ファイル:Japanese commemorative coin02.jpg|thumb|表に旧官邸をあしらった[[記念貨幣|内閣制度創始100周年記念500円白銅貨幣]]]]
総理執務室前では[[記者]]の[[ぶら下がり#首相官邸における“ぶら下がり” |張り番取材]]が行われていた。現在の官邸では[[警備]]の関係上、取材スペースと執務エリアは分離されている。また、[[副総理]]執務室も存在したが、「天井が低く、圧迫感がある」ということで余り使われることはなく、歴代の副総理のほとんどは[[総理府]]に執務室を置いていた。

重大事件が起きると官邸内にある[[食堂|小食堂]]が“[[#危機管理センター|危機管理センター]]”に使われた。現在の官邸には専用の「危機管理センター」が設置されている。

1階の西階段は、[[組閣]]時に閣僚が記念撮影をする場所として広く知られた<ref name="nk220810" />。1993年、約40年ぶりの[[政権交代]]で官邸の主となった[[細川護熙]]は、[[自由民主党 (日本)|自民党政権]]の牙城だった総理官邸に、さまざまな新風を持ち込んだ。組閣後の閣僚記念撮影では、恒例の1階西階段の赤絨毯には見向きもせず、中庭の芝生の上で新閣僚が[[ワイングラス]]を片手に懇談後、閣僚を生け垣の前に並ばせて記念撮影を行った<ref>[https://www.kantei.go.jp/jp/rekidai/kakuryo/79.html 第79代内閣こと「細川内閣」] 首相官邸公式サイト</ref>。総理執務室では壁が殺風景だとして、壁紙を隅から隅まで貼りかえさせてもいる。内閣総理大臣や[[内閣官房長官]]の[[記者会見]]を、演台の後方に立ったまま[[プロンプター (電気機器)|プロンプター]]を使って行う欧米式に切り替えたのも細川だった。

[[東條英機]]在任中は、ラジオ演説を行うための部屋があった。[[太平洋戦争]][[大東亜戦争|（大東亜戦争）]]開戦時の演説もここで行われたと言われている。戦争中には総理らが官邸を脱出するための地下トンネルがあった。また、[[安保闘争#60年安保|60年安保]]で官邸が[[デモ活動|デモ隊]]に包囲されたとき、[[岸信介]]はこのトンネルから脱出したと、[[戸川猪佐武]]の『[[小説吉田学校]]』には書かれている。一部には「掘り替えまでして残されていた」という説もあったが、実際には[[高度経済成長|高度成長期]]の[[帝都高速度交通営団|地下鉄]]工事や周辺の[[都市再開発]]で取り壊されていたという。

他の役所と違って室名表示がなかったことや、官邸内が迷路のような構造になっていたため、[[内閣総理大臣の一覧|歴代の内閣総理大臣]]が官邸で迷うことがしばしあった。

==== ギャラリー ====
{{Gallery
|align=center
|width=160
|height=120
|ファイル:Old Kantei Residence Exterior c1929.png|完成時の外観。正門は現在の国会記者会館の方にあった
|ファイル:Prime minister's official residence entrance02.jpg|玄関ホール
|ファイル:Prime_minister's_situmu01.jpg|総理執務室
|ファイル:Prime_minister's_official_residence_hall01.jpg|赤絨毯が引かれた大ホール
|ファイル:Ballroom in the First Residence Prime Minister of Japan 1929.jpg|「舞踏場」としてつくられた大ホール（完成時）
|ファイル:Cabinet meeting room01.jpg|閣議室
|ファイル:Yoshirō Mori Cabinet 20010106.jpg|西階段。組閣後の記念撮影が行われた
|ファイル:Photo-kakugi02.jpg|閣僚応接室
|ファイル:Photo-kisyakai01.jpg|記者会見室のベージュカーテン
|ファイル:Photo-kisyakai03.jpg|記者会見室のブルーカーテン
}}
{{-}}

=== 事件 ===
[[ファイル:Entrance of prime minister's official residence after May 15 incident.jpg|200px|サムネイル|五・一五事件直後の官邸の日本間の玄関]]
; 旧官邸
[[ファイル:Prime minister's official residence kizuato01.jpg|200px|サムネイル|旧官邸の正面玄関の硝子に残る直径1センチ程の弾痕のような穴]]
* [[五・一五事件]]
*: [[1932年]][[5月15日]]、[[大日本帝国海軍|海軍]]や[[大日本帝国陸軍|陸軍]]の[[軍人]]が総理大臣官邸に侵入し、当時の内閣総理大臣[[犬養毅]]を殺害した。
* [[二・二六事件]]
*: [[1936年]][[2月26日]]、陸軍の[[将校]]が率いる1000人超の[[兵士|兵]]による[[クーデター]]が発生し、反乱軍が総理大臣官邸を襲撃した。[[警視庁 (内務省)|警視庁]]警衛課の[[日本の警察官|警察官]]が[[拳銃]]で応戦したものの殺害され、反乱軍は官邸内に侵入した。目的は当時の内閣総理大臣[[岡田啓介]]の殺害だったが、容姿の似ていた[[内閣総理大臣秘書官]][[松尾伝蔵]]を誤認して殺害した。その後、岡田は麹町[[憲兵 (日本軍)|憲兵]]分隊の[[特別高等警察|特高]][[主任]]だった[[小坂慶助]][[曹長]]らによって救出された。
* [[宮城事件]]
*: [[1945年]][[8月15日]]、[[日本の降伏]]に際して発生し未遂に終わった[[宮城事件]]に呼応し、[[佐々木武雄]]陸軍大尉と[[学徒勤労動員|勤労動員]]中の[[横浜高等工業学校]]の生徒達によって編成された「国民神風隊」が総理大臣官邸を襲撃。官邸を焼き討ちしようとするも、撒いた[[燃料]]が[[重油]]であったため、火が付ききらないうちに消し止められた。
* [[首相官邸デモ事件]]
*: [[1946年]][[12月20日]]、「朝鮮人生活権擁護全国大会」に参加した[[在日韓国・朝鮮人|在日朝鮮人]]1万人による[[デモ活動|デモ隊]]が、[[第1次吉田内閣|吉田内閣]]打倒を訴え総理大臣官邸に殺到した。警察官らは門扉を閉鎖しようと試みたが、デモ隊は警察官に重軽傷を負わせ拳銃2丁を奪うなど抵抗し、官邸内に侵入した。警察だけでなく[[アメリカ軍]][[憲兵|憲兵隊]]が出動し、デモ隊全員を解散させた。この事件で[[逮捕]]された[[被疑者]]には有罪判決が下され、[[国外追放]]処分となった。
* [[安保闘争|首相官邸乱入事件]]
*: [[1960年]][[5月20日]]、および、6月3日、[[安保闘争]]に参加するデモ隊が総理大臣官邸に押し寄せ、[[日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約|日米安全保障条約]]の批准反対を主張した。
* [[照明弾|照明弾発射事件]]
*: [[1979年]][[6月8日]]、約400m離れた[[山王ホテル]]から[[照明弾]]が発射され、首相官邸前庭に到達した。[[第5回先進国首脳会議]]（東京サミット）直前であり[[極左暴力集団|過激派]]による犯行と見て捜査が行われたが、照明弾が[[アメリカ軍]]の演習に使われるタイプのものであったことなどから、軍関係者のイタズラとして処理された<ref>都心で米兵いたずら 首相官邸への照明弾『朝日新聞』1979年（昭和54年）6月9日夕刊 3版 9面</ref>。
; 現官邸
* [[家宅捜索]]
*: 2010年10月、38歳の総理大臣官邸職員が、[[デリバリーヘルス]]経営を巡って知人から金銭を恐喝しようとした事件について、[[恐喝未遂罪]]の疑いで[[逮捕]]されたことで、総理大臣官邸が警視庁によって家宅[[捜索]]される異例の事態が発生<ref>{{Cite news |title=内閣事務官が恐喝未遂容疑 警視庁、首相官邸を捜索 |url=https://web.archive.org/web/20101102205651/http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010102901000990.html |date=2010-10-29 |newspaper=47NEWS |agency=共同通信社 |publisher=全国新聞ネット |accessdate=2015-04-24}}</ref>。
* [[首相官邸無人機落下事件]]
*:2015年4月22日午前11時頃、総理大臣官邸の屋上[[ヘリポート]]付近に無人小型飛行機（[[マルチコプター|ドローン]]）が落下しているのが発見され、[[警視庁公安部]]が[[捜査]]、そのドローンから微量の[[放射線]]が検出されるという事件が発生した<ref>{{Cite web|和書|author=正亀賢司 |date=2015-04-23 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2015_0423.html |title=首相官邸にドローン落下の“衝撃” |work=NHK NEWS WEB |publisher=日本放送協会 |accessdate=2015-04-24}}{{リンク切れ|date=2017年10月}}</ref>。
* 官房長官エレベーター閉じ込め事件
*:2024年9月6日（金曜日）午前10時ごろ、建物内の[[エレベーター]]1基が故障し、[[閣議 (日本)|閣議]]に向かっていた[[林芳正]]官房長官及び[[秘書官]]、警護員の3人がエレベーター内に約30分間閉じ込められる事態が起きた。その影響で週に2回、[[火曜日]]と[[金曜日]]に開かれる閣議に林は欠席した。閣議は官房長官が議事進行にあたるが、政府は閣議の開始を約20分間遅らせる対応をしたものの間に合わなかった。[[岸田文雄]]首相が議事進行を代行した<ref>{{cite news|newspaper=[[時事通信]]|title=林官房長官、官邸エレベーターに閉じ込め　故障で30分間、閣議欠席|url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2024090600614&g=pol|date=2024-09-06|accessdate=2024-09-06}}</ref><ref>{{cite news|newspaper=[[朝日新聞]]|title=林官房長官、エレベーターに閉じ込められる 首相官邸、閣議に欠席|url=https://www.asahi.com/articles/ASS960SCMS96UTFK00GM.html|date=2024-09-06|accessdate=2024-09-06}}</ref><ref>{{cite news|newspaper=[[毎日新聞]]|title =官邸エレベーター故障　林官房長官が30分閉じ込められる|url=https://mainichi.jp/articles/20240906/k00/00m/010/142000c|date=2024-09-06|accessdate=2024-09-06}}</ref>。

== 非常時の官邸機能 ==
[[ファイル:Tachikawa Substitute Facility of the Government Headquarters for Disaster Countermeasures.jpg|thumb|200px|災害対策本部予備施設]]
東京都[[立川市]]にある[[立川広域防災基地]]内には、[[内閣府]]の災害対策本部予備施設が設置されている<ref>[https://www.bousai.go.jp/oukyu/kunren/yobishisetu/index.html 内閣府所管防災施設 | 防災情報]</ref>。[[東京湾]]北部を震源とする[[南関東直下地震]]など、大規模災害発生時に内閣総理大臣を本部長とする国の緊急[[災害対策本部]]を設置する際、官邸、[[中央合同庁舎第8号館]]、[[防衛省市ヶ谷地区|防衛省]]（[[中央指揮所]]）のいずれもが被災して緊急災害対策本部として使用不能である場合には、都心から西に約30キロメートル離れた災害対策本部予備施設に緊急災害対策本部が設置され対策の臨時拠点となるため、官邸の機能も一時的に避難する可能性がある<ref>[https://www.bousai.go.jp/taisaku/keikaku/kihon.html 防災基本計画 : 防災情報のページ - 内閣府]</ref>。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
===出典 ===
{{reflist|2}}

== 参考文献 ==
*『首相官邸・今昔物語』（大須賀瑞夫 著、[[朝日ソノラマ]]、1995年、ISBN 4257034092）
*『首相官邸の決断 ― 内閣官房副長官 石原信雄の2600日』（[[石原信雄]] 著、[[中央公論社]]、1997年）
* [https://www.kantei.go.jp/ 首相官邸]： 公式サイト
* [http://www5.hokkaido-np.co.jp/motto/20040110/qa3.html もっと知りたい]： 北海道新聞
* 『総理大臣官邸敷地の沿革』標識（平成17年10月、設置：総理大臣官邸 監修：千代田区教育委員会）
* 『訳あり物件の見抜き方』（[[南野真宏]] 著、[[ポプラ社]]、2015年）

== 関連項目 ==
* [[日本国政府]]
* [[日本国政府専用機]]
* [[内閣総理大臣専用車]]
* [[国会議事堂]]
* [[議員会館]]
* [[官邸]]
* [[内閣総理大臣公邸]]

== 外部リンク ==

{{Commonscat|Prime Minister's Official Residence (Japan)}}

* {{Official website}}
** [https://www.kantei.go.jp/jp/guide/ 首相官邸の紹介]
** {{Wayback|url=https://www.kantei.go.jp/jp/koizumivideo/2005/04/11koutei.html |title=新公邸完成披露 |date=20050416004038}}
** {{Wayback|url=https://www.kantei.go.jp/jp/vt2/ |title=旧官邸バーチャルツアー |date=20020815082940}}
* [https://www.bousai.go.jp/oukyu/kunren/yobishisetu/ 災害対策本部予備施設]： 内閣府サイト

{{日本国歴代内閣総理大臣}}
{{日本の内閣}}

{{デフォルトソート:そうりたいしんかんてい}}
[[Category:首相官邸]]
[[Category:アジアの官邸|ないかくそうりたいしんかんてい]]
[[Category:千代田区の建築物]]
[[Category:永田町]]
[[Category:日本の庁舎]]
[[Category:2002年竣工の日本の建築物]]