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利用者:Kakuta yousuke

超臨界プロポリス

超臨界プロポリス

超臨界プロポリスは、プロポリスの原塊を超臨界で抽出したプロポリスエキスである。プロポリスの抽出には、一般的には、アルコールが用いられているが、脂溶性成分の抽出には、あまり適しているとは言えない。超臨界抽出法は、これらの脂溶性成分も抽出することができ、しかも酸素のない状態で抽出できるので、原料成分の酸化を抑えた製品を得ることができる。その上、二酸化炭素という不活性溶媒を用いるので、有効成分との化学反応を起こすこともない。得られるエキスは、他の抽出法では見られない鮮やかな黄色を呈している。


栄養成分

プロポリスには、300種類を超える有用な天然成分が含まれていることがこれまでの研究で示されていて、p-クマル酸、アルテピリンC,カフェイン酸、ケンペロール、ケンペリド、ケルセチン、カフェオイルキナ酸等がある。その中で、

超臨界抽出プロポリス中には、他の抽出法に比べ、フラボノイドも同様に含まれているが、テルペノイドが多く含まれているのが特長であり、β-アミリン、 ルペオール、オレアン-12-en-3-one等が同定されている。
また、ブラジル産プロポリスに特長的に含まれる、アルテピリンCも超臨界抽出プロポリスには、高含有という報告がある。


超臨界抽出法

超臨界抽出法は、超臨界流体という液体的な性質と気体的な性質も合わせ持った非常に濃い蒸気と言えるものを溶媒として利用する
超臨界流体の密度は、液体の1/5~液体並みで、気体に比べ数百倍の大きさを持つ。溶媒の密度が大きい程物質を溶解する力が大きくなる。粘度は、気体並みに低く、拡散係数は気体と液体の中間なので、超臨界流体は気体並みの大きな流動性を持つ。粘度が低い事は抽出時間の短縮に有効である。超臨界流体は気体分子と同程度の大きな運動エネルギーを持ち、液体に匹敵する高い密度と溶解力を持った非常にアクテイブな流体である。
溶媒として二酸化炭素を用いる超臨界二酸化炭素抽出法の利点は、
①抽出溶媒が安全で、さらに抽出物中に残留する恐れがない
②抽出速度が早い
③超臨界二酸化炭素を減圧するだけで抽出物を析出し回収できる
④目的物質を高温に加熱する必要がないので、熱に弱い物質の分離に用いることができる。
一方、高圧操作である、液体溶媒に比べ抽出量が少ないという欠点がある。

特許

超臨界抽出プロポリスの特許として、特公平8-16233がある。発明の名称は「精製プロポリスおよび精製プロポリス成分含有O/W型乳化物の製造法」である。特許請求の範囲、
請求項1.粉砕された粗製プロポリスに超臨界状態の二酸化炭素を接触させ、プロポリスを抽出、分離することを特徴とする。
請求項2.抽出圧力が80~500kg/cm2,抽出温度35~70℃、分離圧力が50~100kg/cm2,分離温度35~90℃である。
請求項3.抽出圧力が80~200kg/cm2抽出温度35~70℃、分離圧力が、50~80kg/cm2、分離温度35~70℃の圧力で抽出してプロポリスの低圧有効成分を得、さらに抽出圧力を150kg/cm2~350kg/cm2,分離圧力50~80kg/cm2まで昇圧してプロポリスの高圧有効成分を抽出することを特徴とする。(一部の抜粋)

超臨界プロポリスの生理作用

1. ラット水浸拘束ストレス潰瘍に対する影響を見たところ、超臨界プロポリスは、54.5%の高い阻害率を示し、ラット塩酸-エタノール潰瘍に対する影響では、79.6%の高い阻害率を示した。

2. ラット腹腔肥満細胞からのヒスタミン遊離に対する抑制作用をみたところ、Concanavalin Aの場合、95%の阻害率を、Compound 48/80の場合、80%の高い阻害率を示した。

3. Porphyromonas gingivalisという歯周病菌の実験では、1%の超臨界プロポリスが90%以上の抑制効果を示した。

参考文献

・日本超臨界食品協会「超臨界プロポリス」2003年

・ニュー・フード・インダストリー「ブラジル産イエロー、グリーン、ブラウン、レッドプロポリスの化学組成と生物学的活性の比較研究」2023年.Vol.6

・日刊工業新聞社「超臨界流体のはなし」2006年