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選考採用

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
口利き採用から転送)

選考採用(せんこうさいよう)とは、同和「選考採用」の略。部落解放同盟全国部落解放運動連合会などの「部落解放運動団体」、同和団体が「推薦」した人物を無条件通過で公務員として採用する同和利権の1つ。本項は京都市など清掃事業を行う環境局交通局など主に現業職員採用における不正な採用方式が主であり、2006年京都市の「同和枠」が大きく報じられたことで世間に広く知られた。2001年度まで、京都市は上記の2団体を通じてしか採用していなかった。平成10年(1998年)時点で京都市では環境局1,500名や交通局1,795名が選考採用”で選ばれた職員で多数派を占めており、幽霊バスを使った隠れヤミ専従や局内に犯罪者が多数発生していた。このように部落関係者に支配されている地域地方公共団体や関係団体には必ず部落枠(同和枠)が存在し、上司どころか知事市長の指示を聞かないほどの影響力を持つために、高い犯罪率・他の職員や住民への脅迫・利権確保による税金搾取、同和団体の公機関支配が問題になってきた[1][2][3][4][5][6][7]

京都市においては、1960年代から違法に部落枠がつくられていたが、1973年に法制度化された[8]

部落枠同和枠とも言われ、市営住宅などの「選考」にもある[9]

概要

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京都市では2001年度まで清掃事業や交通局など主に現業の職員の採用にあたって、一般市民を除いた部落解放同盟や全解連といった同和運動団体の推薦する人物しか採用しないようにしていた[2][信頼性要検証]。更には、「部落解放運動」に熱心なものがこの枠で推薦される傾向があり[10]、この方式が1973年から1995年度以降縮小されたものの2001年度まで約30年間も続いた。そのため、京都市ではこのような部落枠で、約6000人もの職員が採用されたと見られる[8]。市当局によると1995年以降から2002年までの7年間で同和枠で256人を優先雇用したという[11]

平成以降に京都市職員による不祥事(覚醒剤使用(1996年から2006年までに覚醒剤や麻薬使用で逮捕された職員は20人[12])、収賄傷害私文書偽造暴行)などが相次いで報道された[13]。しかも不祥事を起こした職員が同和枠が設けられた京都市環境局といった特定の部門に集中していることから選考採用によって長年不適格な者を採用し続けていた弊害が厳しく批判されている[6][5][8]

1994年9月の京都市会では山本正志日本共産党議員の質問に対し、京都市清掃局長(当時)は「清掃事務所など現場での実態にたいして市民からもきびしい批判があり、職員にはせめて午後3時までは職場で勤務するようにと指導をしていきたい」と答弁した[2][信頼性要検証]。また同年3月までは市職員である部落解放同盟幹部が、市から給料を受け取りながらも、勤務時間に部落解放同盟本部で仕事をするというヤミ専従の実態があったことが指摘された[2][信頼性要検証]

1995年には自民党の二之湯智市議(当時)、共産党の藤原冬樹市議(当時)によって、京都市議会本会議で京都市職員の不祥事が取り上げられた[13]

1996年9月に二之湯智市議は、同和地区住民がフリーパスで市職員に採用されることについて、職員採用は全ての市民に開かれたものであるべき、同和地区の若者が安易に職員になれることは地区住民の自立心を養うためにも不適切であることを指摘した[13]

京都市での同和行政問題・枠告発

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2006年4月には同年4月1日施行された公益通報者保護法に基づき[14]市役所や民間の不祥事を内部告発する公益通報窓口が設置された[15]

以上の事実は、同法施行以前から『同和利権の真相』シリーズなどで批判されてきた。しかし、2006年になり、関西系の放送局を中心にテレビ番組でも取り上げられるようになり、いっそうの注目を浴びることになった。そして、同年に京都市の桝本頼兼市長もついに同和「選考採用」の弊害を認めた[16][17][5]

枠の設けられた部署の職員レベル・高い犯罪率

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京都市では1998 年時点で環境局に1,500名や交通局に1,795名選考採用で選ばれており、局内で多数派を占めていた。更には京都市において、2001年度以降にその他からの採用枠を一応は作ったものの、それまで清掃事業を行う環境局やバス運営を行う交通局などの現業職員は部落解放同盟または全解連の推薦を受けた人物のみを採用していた。しかし、2006年7月31日の市議会厚生委員会では過去10年間に懲戒処分を受けた職員のうち、6割以上が環境局(旧清掃局を含む)職員であることが判明した。その多くが無断欠勤であった[18][6]。 2006年(平成18年)、京都市環境局の職員が児童買春1名、女性脅迫目的でナイフを所持していた銃刀法違反で1名、ATMをゴルフクラブで壊す窃盗未遂1名、覚せい剤取締法違反2名などの罪で相次いで逮捕された。2006年度だけで京都市職員が8人逮捕されたがその所属部局は、環境局6人・保健福祉局2人で、環境局6人中5人が同和「選考採用」で採用された職員であった。山中渡市議が団長を務める日本共産党市議団(20人)は、市職員による犯罪行為や不祥事の背景に同和「選考採用」があると指摘してきたが、上記の逮捕者続出のために桝本頼兼市長も環境局について「局の構造的な問題である」「同和行政の柱として行った優先雇用での甘い採用が要因の1つ」と「同和行政による甘い採用が大きな要因」と認めた[5]。日本共産党の妹尾直樹、井上健二、加藤あいの3議員は、「相次ぐ不祥事の背景に同和『選考採用』があることを認識し、そこから対策を打たないと不祥事を根絶できない」と指摘した。[5]

市議会における部落枠の存在公表以後

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2006年8月28日の市議会審査会で桝本市長は適格性が不十分な甘い採用があったことを認めた[11]

また8月31日には「信頼回復と再生のための改革大綱」や市長給与50%カット、6ヶ月など77人の処分が発表された[19]

同年10月2日に行われた不祥事調査特別委員会では2001年12月に市の幹部職員と部落解放同盟幹部との間で同年11月に市議会で採択された「同和問題に関する決議」や市が定めた同和選考採用枠計画さえ圧力によって覆されたことが明らかになった[19]

2006年10月に職員の分限免職基準を見直し「病気休職と復職を繰り返す職員」[20]や「過去十年以内に懲戒処分を受けた職員が再び非行を繰り返した場合」などといった基準を明確にした[21]

市営住宅や保育料での優遇措置廃止以後

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同年12月には 市営住宅家賃や保育園の保育料の滞納を続ける職員に対して懲戒処分、分限免職処分を適用することを決定した[22]

2006年度中に京都市では、新たな分限免職基準を設定したことで、覚醒剤取締法違反者などで20人を懲戒免職とした[21]

その後2007年10月から、まち美化事務所、土木事務所、農業指導所、公園管理事務所などにおける現業職員らの仕事ぶりを市民がチェックするオフィスモニター制度が導入されることとなった[23]

京都市交通局の不祥事報道

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京都市交通局も上記のように2001年度まで同和枠採用のみが設けられていた部署であり、1998年時点で1,795名が選考採用採用者で多数を占めていた。2007年には、京都市交通局の市営バスにおける幽霊バスについても、運行路線は乗客が少ないうえに担当運転手は勤務時間も短いため、労働組合の幹部が組合運動をするために運行されている“ヤミ専従”ではないかと指摘報道がされた。その後に当時の桝本頼兼京都市市長も「幽霊バス」は労働組合幹部がヤミ専従を合法的に行わうためだったものとし、市職員労働組合と交通局の不適切な関係問題も認めた。

脚注

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  1. ^ 「不祥事は雇用に問題」発言に「納得できない」”. 京都新聞 (2006年8月2日). 2010年10月16日閲覧。
  2. ^ a b c d 山本正志(京都市議会議員) (2005年4月29日). “1994年9月市会質問”. 2010年10月16日閲覧。
  3. ^ 元部下待ち伏せ「着信拒否しとったろうもん。正直いわんぎ殺すぞ」…市任用職員を逮捕(読売新聞オンライン)”. Yahoo!ニュース. 2020年12月22日閲覧。
  4. ^ “無法地帯”奈良市ごみ処理場 職員たちのあきれた実態”. ITmedia ビジネスオンライン. 2020年12月22日閲覧。
  5. ^ a b c d e kyomin (2006年8月2日). “京都市職員不祥事続発、同和「選考採用」が背景 | 京都民報Web”. 2022年12月30日閲覧。
  6. ^ a b c 京都市職員の犯罪・不祥事根絶のための提言
  7. ^ 京都市交通局「年収1,000万円のバス運転士は存在しません」に批判殺到。それでも宣伝した理由とは?(篠原修司) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2022年12月31日閲覧。
  8. ^ a b c 奪われた人事権と売買された採用枠(下)”. マリード[同和行政オブザーバー] (2008年7月18日). 2010年10月16日閲覧。
  9. ^ 34年間に7億円 市営住宅の同和枠なくせ!日本共産党 奈良市会議員団”. www.jcp-naracity.com. 2022年12月30日閲覧。
  10. ^ 『だれも書かなかった部落』かもがわ出版
  11. ^ a b 「甘い採用あった」”. 京都新聞 (2006年8月29日). 2010年10月16日閲覧。
  12. ^ 薬物対策8年 効果なし”. 京都新聞 (2006年8月11日). 2010年10月16日閲覧。
  13. ^ a b c 「同和採用」と市政を覆う退廃”. マリード[同和行政オブザーバー] (2002年10月13日). 2010年10月16日閲覧。
  14. ^ 同僚応対、通報しにくい”. 京都新聞 (2007年5月29日). 2010年10月16日閲覧。
  15. ^ 内部告発急増”. 京都新聞 (2007年8月20日). 2010年10月16日閲覧。
  16. ^ 京都市職員不祥事”. 京都新聞 (2006年7月27日). 2010年10月16日閲覧。
  17. ^ どうする 同和行政”. 朝日新聞 (2008年1月31日). 2010年10月16日閲覧。
  18. ^ 10年間で懲戒6割超が環境局”. 京都新聞 (2006年8月1日). 2010年10月16日閲覧。
  19. ^ a b 井坂博文. “二〇〇六年の活動日誌”. 2010年10月16日閲覧。
  20. ^ 病気休職に分限免職”. 京都新聞 (2006年10月17日). 2010年10月16日閲覧。
  21. ^ a b 分限免職新基準 初適用”. 京都新聞 (2007年4月26日). 2010年10月16日閲覧。
  22. ^ 分限免職か懲戒処分へ”. 京都新聞 (2006年12月23日). 2010年10月16日閲覧。
  23. ^ 10月からモニター制 態度など評価”. 京都新聞. 2010年10月16日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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