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回転木馬のデッド・ヒート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
回転木馬のデッド・ヒート
著者 村上春樹
イラスト 岡本滋夫
発行日 1985年10月9日
発行元 講談社
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判
ページ数 198
コード ISBN 978-4-06-201839-5
ウィキポータル 文学
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回転木馬のデッド・ヒート』(かいてんもくばのデッド・ヒート)[1][2][3]は、村上春樹短編小説集。

概要

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1985年10月、講談社より刊行された。表紙の絵は岡本滋夫。1988年10月に講談社文庫として文庫化、2004年10月に文庫本の改定版が出された。

講談社の文芸PR誌『IN★POCKET』の1983年10月号(創刊号)から1984年12月号まで隔月で連載されたものが元になっている。ただし、1984年8月号掲載の「BMWの窓ガラスの形をした純粋な意味での消耗についての考察」は本書には収録されなかった。「はじめに・回転木馬のデッド・ヒート」と「レーダーホーゼン」の2編は書き下ろしである。

風の歌を聴け』で群像新人文学賞を取ったときの担当編集者が『群像』から『IN★POCKET』の編集に移った際に執筆の依頼を受け、連載が始まったという[4]

収録された9編の作品のうち、「レーダーホーゼン」、「嘔吐1979」、「ハンティング・ナイフ」の3編は英訳されている。現在それらは『The Elephant Vanishes』(クノップフ社、1993年)と『Blind Willow, Sleeping Woman』(クノップフ社、2006年)の2冊の短編小説集で読むことができる。

収録作品

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タイトル 初出 英訳
1 はじめに・回転木馬のデッド・ヒート 書き下ろし
2 レーダーホーゼン 書き下ろし Lederhosen
(Granta. February, 1992)
3 タクシーに乗った男 IN★POCKET』1984年2月号
4 プールサイド 『IN★POCKET』1983年10月号
5 今は亡き王女のための 『IN★POCKET』1984年4月号
6 嘔吐1979 『IN★POCKET』1984年10月号 Nausea 1979
(『Blind Willow, Sleeping Woman』, 2006)
7 雨やどり 『IN★POCKET』1983年12月号
8 野球場 『IN★POCKET』1984年6月号
9 ハンティング・ナイフ 『IN★POCKET』1984年12月号 Hunting Knife
(The New Yorker. November 17, 2003)
2. 「レーダーホーゼン」は後に、村上自身が訳のためにカットされた英訳文を再び日本語に訳し直すという作業が行われた。重訳バージョンの「レーダーホーゼン」は、『象の消滅 短篇選集 1980-1991』(新潮社、2005年3月)および、CDブック『村上春樹ハイブ・リット』(アルク、2008年11月)に収録された。
8. 「野球場」の登場人物の一人が書いていた小説は、後に「」というタイトルで村上自身が作品化した。「蟹」は翻訳の方が先に世に出た。『Stories Magagine』2003年4月号に掲載された。日本語での初出は短編集『めくらやなぎと眠る女 TWENTY-FOUR STORIES』(新潮社、2009年11月)。
9. 「ハンティング・ナイフ」は、英訳に際して村上は大幅な書き直しをおこなった。よって、『めくらやなぎと眠る女 TWENTY-FOUR STORIES』に収録されたものは本書に収められたものとは大きく異なっている。

脚注

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  1. ^ ジェームズ・コバーン主演のアメリカ映画『現金作戦』(1966年)の原題は「Dead Heat on a Merry-Go-Round」、つまり「回転木馬のデッド・ヒート」であった。
  2. ^ 「はじめに・回転木馬のデッド・ヒート」に以下の記述がある。「我々はそんな回転木馬の上で仮想の敵に向けて熾烈なデッド・ヒートをくりひろげているように見える」(本書、講談社文庫、15頁)
  3. ^ また、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に以下の記述がある。「それはまるでメリー・ゴー・ラウンドの馬に乗ってデッド・ヒートをやっているようなものなのだ。誰も抜かないし、誰にも抜かれないし、同じところにしかたどりつかない」(同書、下巻、新潮文庫、旧版、279頁)
  4. ^ 『村上春樹全作品 1979~1989』第5巻、付録「自作を語る」より。

関連項目

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