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国際女性デー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国際女性の日から転送)
国際女性デー
正式名称 International Women's Day
挙行者 全世界
種類 国際デー
日付 3月8日
関連祝日
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女性参政権獲得を訴える国際女性デーのポスター(1914年 (ドイツ語)[注 1]
第一次世界大戦直前のドイツでは掲出禁止[2]

国際女性デー(こくさいじょせいデー、: International Women's Day)は、女性の地位向上、女性差別の払拭等を目指す国際的な連帯と統一行動の日。毎年3月8日にあり、国際デーに制定されている。

国際婦人の日(こくさいふじんのひ)[3][4]国際婦人デー(こくさいふじんデー)[5]国際女性の日[6](こくさいじょせいのひ)などとも呼ばれる。

なお、国連が定める国際ガールズ・デーは10月11日である。

概要

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1908年2月28日アメリカ合衆国ニューヨークでのストライキで女性が労働条件の改善を訴えた[7]アメリカ社会党はこれを記念し[7]、1909年2月28日(2月の最終日曜日)、米国で初めて「全米女性の日英語版」の記念行事が開催された[7][8]

1910年デンマークコペンハーゲンで行なわれた国際社会主義女性会議英語版[7]ドイツ社会主義クララ・ツェトキンが「女性の政治的自由と平等のためにたたかう」記念の日として「国際女性デー」を提唱し[9]、多数の賛同を得て採択された[8][注 2]。この時点では、具体的な月日は定められなかった[7]。1911年3月19日、オーストリア、デンマーク、ドイツ、スイスで初の「国際女性デー」記念行事が行われた[7]。1913年、ロシアの女性は2月の最終日曜日に「国際女性デー」の記念行事を開催した[7]

国際女性デーにちなむ最大の事件は、第一次世界大戦中の1917年ロシア帝国で起こった二月革命であろう。国際女性デー(当時ロシアで使われていたユリウス暦では2月23日、グレゴリオ暦で3月8日にあたる)に首都ペトログラードで行われた女性労働者を中心としたデモは、男性労働者、更には兵士を巻き込んだ大規模な蜂起となり、最終的には帝政を崩壊に追い込んだ。その後、1960年代に国際的な女性運動で取り上げられるようになるまでは、主に社会主義運動内や共産主義国家で祝われていた。

国連1975年国際婦人年に3月8日を「国際女性デー」と定め[7]、1977年には国連総会で「国際女性デー」が決議された[8]。現在は国際連合事務総長が女性の十全かつ平等な社会参加の環境を整備するよう、加盟国に対し呼びかける日となっている。2000年には、国連人権高等弁務官メアリー・ロビンソン(Mary Robinson、アイルランド初の女性大統領)が21世紀に向けて「女性が権利の獲得に向けたこれまでの歩みを祝うと同時に、女性被害者は、いまだに跡を絶たないことを想起する日」であると言明する文書を発表した。イタリアでは女性が互いにミモザ(ギンヨウアカシア - Acacia baileyana の花を贈り合い(もともと男性が女性に贈る習慣がある)、この季節を迎えると街中にミモザの花がみられる。

フランスでは、1981年ミッテラン政権下で女性権利大臣に任命されたイヴェット・ルーディが、大統領にフランスで正式に「国際女性デー」を定めるよう提案し、ミッテランはこれを受けて、1982年3月8日、国際女性デーを祝う大規模な式典を開催し、女性の「主体性、平等、尊厳」の尊重を求める演説をした[11]

アメリカ合衆国などは、国際女性デーを含む3月を女性史月間としている[12]

国連は2010年7月2日の国連総会で「女性に関わる国連の活動と組織改訂」について決議、4機関を統合し「男女平等と女性のエンパワーメントのための国連機関」(UNウィメン)を設立している[注 3]。この機関はそれまで独自の活動をしてきた4機関、すなわち、国連婦人開発基金(UNIFEM[注 4])、国連ジェンダー問題特別顧問事務所(OSAGI[注 5])、国連経済社会局女性の地位向上部(DAW[注 6])、国際婦人調査訓練研修所英語版(INSTRAW[注 7])が一組織にまとまって、2011年1月1日より活動を開始した。さらに各国の状況に合わせてUNウィメンの活動を進めるため、1ヶ国につき国内委員会 (National Committee) を一団体に認めた。

UNウィメンの国内委員会は民間団体。以下、設置している14ヶ国一覧(2016年現在)。

新型コロナ・ウィルスが猛威を振るうことになった2020年、感染拡大を危惧して中止されたイベントもあったが、世界各地で国際女性デーを祝うイベントが多数開催されたのも、また事実である。スペインのDiario 16スペイン語版紙は、「男性優位主義はコロナウイルスより多くの人間を殺す」[14]の見出しで、女性のエンパワーメントの必要性を強調している。

各国の状況

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公式な祝日として制定する国

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祝日ではないが幅広く認知されている国

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  公式の祝日
  女性限定の祝日
  非公式の祝日

近年では、男性が生活の中で関わる女性(友人、母親、妻、恋人、娘、同僚など)に花や小さな贈り物を贈るのが通例となっている。また、ブルガリアやルーマニアなどの国では、子どもたちが母親や祖母に小さなプレゼントを贈る、母の日と同等の記念日と認識されている[36]。ロシアでは、記念日に対する政治的な意味合いはほとんどなくなり、単に女性や女性の美を尊重する日になっている[40]

日本

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日本では1923年3月8日、社会主義フェミニスト団体赤瀾会が初の集会を開催。総理府中川善之助議長のもと1972年6月22日、女性の地位向上の施策を政府に提言する目的で婦人に関する諸問題調査会議を設置し2年間にわたり調査を行うと、1974年3月29日に『現代日本の女性の意識と行動』[41]を発表する[42][43]

1975年(国際婦人年)の3月8日以来、国連がこの日を「国際婦人デー」と定めるとこれにちなみ同年6月13日、女性問題の集中審議が衆議院社会労働委員会で初めて行われ、6月17日に衆議院で、翌18日には参議院で「国際婦人年にあたり婦人の社会的地位向上をはかる決議」を採択。11月には「国際婦人年記念日本婦人問題会議」(労働省、総理府、日本国際連合共催)を開き、会議後、解散した実行委員会に代わって市川房枝大羽綾子、中村紀伊らが決議の実現を目指す国際婦人年連絡会を結成する[42]

1992年11月に「ユニフェム国内委員会」が設立(世界で13番目)[44]。大きな活動のひとつが会員、個人、企業、団体等の賛同により、ユニフェムを支える民間の寄付金の窓口として募金を預かりユニフェム本部に送ることであった。その募金は主にユニフェムがアジアで進めるプロジェクトに提供されたのである[45]

なお「ユニフェム国内委員会」の設立10周年を迎えた2003年6月には、来賓に緒方貞子元国連難民高等弁務官と当時のユニフェム事務局長ノエリーン・ヘイザー英語版[46]を迎えてシンポジウムを開いた[注 8]。UN Women 設立に伴ってNGO 国際婦人年連絡会 (International Women's Year Liaison Group)[48]、公益財団法人アジア女性交流・研究フォーラム[49]、財団法人横浜市女性協会(現・公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会)[50]の国内の3団体を中心に日本国内委員会を設けると、 2011年3月に UN Women 承認の民間団体「UN Women 日本国内委員会」と名称を定め中村道子が会長に就任する。

2013年11月に団体名を「国連ウィメン日本協会」と改称し国連に関わる団体だとわかりやすくすると、前身より継承した趣旨にそって「ジェンダーと女性のエンパワーメントのための国連機関」の理念を日本の社会に広めること、さらに関係機関や民間企業に活動の支援を働きかけ、社会に募金活動を担ってきた。また、ユニフェム日本国内委員会(1992年 - 2010年)から募った「支援プロジェクト」活動資金は、後継の UN Women 日本国内委員会(2011年 - 2012年)ならびに国連ウィメン日本協会(2013年 - )を受け皿とし、日本政府からプロジェクト単位で拠出金を得ている。

支援プロジェクトに当てる活動支援の拠出金は、2015年度を例にとると総額486万2399円(時価4万1478.22ドル相当)である[注 9]。歴代の「支援プロジェクト」は主にアジア各地域を対象に時事によって対象が選ばれており、1990年代はカンボジアインドシナ難民)と、インドフィリピンモンゴルの女性の社会進出に当てられた。2000年代はラオス・カンボジア・アフガニスタンパキスタンの女性の社会進出と東ティモールをふくむ全域の女性差別・暴力撤廃に、スマトラ島沖地震津波について災害復興に、またアジア地域外のボスニア・ヘルツェゴビナでは暴力抑制と対話における女性の役割を支えている[注 9]。2010年代に入ると HIV 関連プロジェクト(2000年代から継続)、難民の定住に合わせた持続的に収入を得る工芸品の製作・販路開拓、全域の女子差別と暴力撤廃(継続)、ネパール大地震では女性・少女への緊急支援などの活動に用いられたのである[注 9]

寄付者は2008年6月「特定非営利活動法人」化(認定 NPO 法人)により一定の税金の控除が受けられる[注 10]

2017年朝日新聞が協賛特集記事「Dear Girls」の展開を始めた。

毎日新聞では2020年から国際女性デー企画として「声をつないで」の連載を続けている[52]。2022年3月にはオンラインイベント「国際女性デーだよ!全員集合」を開催した[53]

2022年から日本放送協会(NHK)と在京民放キー5局日本テレビテレビ朝日TBSテレビテレビ東京フジテレビ)、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)が共同で啓発キャンペーン「国際女性デーだから」[注 11]を実施している[54][55][56]

旧ソ連諸国

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初期のソビエト連邦においては、国際女性デーは前述のように二月革命記念日でもあり、政治的・革命的な日であった。この頃の国際女性デーのポスターには、女性の(主に家事労働からの)解放を訴えるスローガンが書かれていた。

1966年、国際女性デーはソ連で祝日(休暇日)となった。しかし、国際女性デーに本来そなわっていた政治性は失われ、単に女性の美しさや母性を讃えるだけの日になっていった。国際女性デーのポスターからもスローガンは消え、女性の美しさを抽象的に表すものになった。

現在の多くの旧ソ連諸国(CIS諸国、バルト三国など)においても、国際女性デーは政治的な行事のない、女性の祭日となっている(ジョージアの祝日も参照)。この日、男性は女性に春の花束やプレゼントをあげるという習慣があるが、女性がお互いにプレゼントをあげることも多い。前の日、普通女性、時々男性も、会社や大学で国際女性デーを祝う。この日、ロシアやウクライナベラルーシ等の市場では「花束」が大量に売られる。まだ寒いこの時期に仕入れられる花卉は高価であるが、男性たちはこのときばかりは財布をはたいて花を買い求める日になっている。

ギンヨウアカシア

ロシア各地でソ連時代から登用されてきた女性軍人が道ゆく女性たちに花を配る日にもなっている。

国際連合の公式テーマ

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UNテーマ[57]
1996 Celebrating the Past, Planning for the Future
1997 Women and the Peace Table
1998 Women and Human Rights
1999 World Free of Violence Against Women
2000 Women Uniting for Peace
2001 Women and Peace: Women Managing Conflicts
2002 Afghan Women Today: Realities and Opportunities
2003 Gender Equality and the Millennium Development Goals
2004 Women and HIV/AIDS
2005 Gender Equality Beyond 2005; Building a More Secure Future
2006 Women in Decision-making
2007 Ending Impunity for Violence Against Women and Girls
2008 Investing in Women and Girls
2009 Women and Men United to End Violence Against Women and Girls
2010 Equal Rights, Equal Opportunities: Progress for All
2011 Equal Access to Education, Training, and Science and Technology: Pathway to Decent Work for Women
2012 Empower Rural Women, End Poverty and Hunger
2013 A Promise is a Promise: Time for Action to End Violence Against Women
2014 Equality for Women is Progress for All
2015 Empowering Women, Empowering Humanity: Picture it!
2016 Planet 50-50 by 2030: Step It Up for Gender Equality
2017 Women in the Changing World of Work: Planet 50-50 by 2030
2018 Time is Now: Rural and urban activists transforming women's lives
2019 Think Equal, Build Smart, Innovate for Change
2020 "I am Generation Equality: Realizing Women’s Rights ”
2021 "Women in leadership: Achieving an equal future in a COVID-19 world"
2022 "Gender equality today for a sustainable tomorrow"[58]
2023 DigitALL: Innovation and technology for gender equality[59]ジェンダー平等のためのイノベーションとテクノロジー[60]
2024 "Invest in women: Accelerate progress"

ギャラリー

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女性を祝うその他の祝日

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国別

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世界

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脚注

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注釈

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  1. ^ English : "Give Us Women's Suffrage. Women's Day, March 8, 1914. Until now, prejudice and reactionary attitudes have denied full civic rights to women, who as, mothers, and citizens wholly fulfill their duty, who must pay their taxes to the state as well as the municipality. Fighting for this natural human right must be the firm, unwavering intention of every woman, every female worker. In this, no pause for rest, no respite is allowed. Come all, you women and girls, to the 9th public women's assembly on Sunday, March 8, 1914, at 3 pm."[1]
  2. ^ 周辺情報として、1960年の国際婦人会議(於:コペンハーゲン)は国際婦人デー50周年を期して開かれた[10][5]
  3. ^ 正式名称 United Nations Entity for Gender Equality and the Empowerment of Women 。UNウィメン設立の国連決議を受け、その運営と統治は国連総会、経済社会理事会およびUNウィメン執行理事会により、政策規範の決定の支援と助言、事業活動の制定ならびに助言を受けて進めている[13]
  4. ^ Fonds de développement des Nations unies pour la femme
  5. ^ Office of the Special Adviser on Gender Issues
  6. ^ Division for the Advancement of Women
  7. ^ United Nations International Research and Training Institute for the Advancement of Women
  8. ^ シンポジウムの講演・発表をまとめた内容。「私の仕事—難民と歩んだ一〇年」(緒方貞子)および「開発と女性 : ジェンダー平等、開発、平和のために」(ノエリーン・ヘイザー、ラヘラ・ハシム・シディキ、木山啓子、横田洋三、田中由美子、有馬真喜子〔述〕)[47][要ページ番号]
  9. ^ a b c 主にアジア各地域で行われた歴代の「支援プロジェクト」は国連ウィメン日本協会のページ[51]から「歴代支援先一覧.pdf」をダウンロードして参照。
  10. ^ 「認定 NPO 法人」は2015年1月29日に更新。これは初回より3回目の更新であり、次回更新は2020年1月28日[44]
  11. ^ 2023年までは「#自分のカラダだから」との名称で実施。

出典

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  1. ^ Give Us Women's Suffrage (March 1914)”. German History in Documents and Images. January 26, 2014閲覧。
  2. ^ The Socialist Origins of International Women's Day”. Jacobin (March 8, 2017). 2017年3月8日閲覧。
  3. ^ 武田美智代「【主要記事の要旨】議会は女性に開かれているか : 女性の政治参加と議会内部の課題」(pdf)『レファレンス』、国立国会図書館、2010年11月、164頁 (脚注)。 
  4. ^ 坂本豊「天津市薬品検験所での2ヵ月」(pdf)『環境変異原研究』第20巻第3号、1998年10月31日、242頁 (右段)。 
  5. ^ a b 国立国会図書館デジタルコレクションより - 大阪社会運動協会のオーラルヒストリーについて」、2019年12月17日閲覧。「飯田好子は阪急労組出身で私鉄総連婦人部長を務めた。1953年には大阪婦人懇談会の結成に参加した。1960年の国際婦人デー50周年国際婦人会議(於:コペンハーゲン)の際には,日本代表の一員として参加した経歴も持つ。」 
  6. ^ 国際女性の日 | 内閣府男女共同参画局”. www.gender.go.jp. 2022年12月17日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h 国際女性の日(3月8日)制定に至る歴史とは”. 国際連合広報センター (2017年2月20日). 2023年3月8日閲覧。
  8. ^ a b c 国際女性デー(国際女性の日)”. 日本女性学習財団. 2023年3月8日閲覧。
  9. ^ 伊藤 1984, p. [要ページ番号].
  10. ^ 記事の電子版。島西智輝、梅崎修、南雲智映「オーラルヒストリーについて (1)」(pdf)『大原社会問題研究所雑誌』10 (通号621)、2010年7月、61頁。 
  11. ^ ROUDY Yvette [née Yvette SALDOU - Maitron]” (フランス語). maitron-en-ligne.univ-paris1.fr. 2018年12月31日閲覧。
  12. ^ Our History”. National Women's History Project. 2018年3月4日閲覧。
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参考文献

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関連項目

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外部リンク

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