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コンテンツ権利保護専用方式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
地上RMP方式から転送)

コンテンツ権利保護専用方式[1](コンテンツけんりほごせんようほうしき)または地上RMP方式 (RMP : Rights Management and Protection) とは、DRMの一種で、地上放送RMP管理センターが運用・管理するコンテンツ保護の方式。日本の地上デジタルテレビ放送において、2012年8月より順次運用が開始された[2]

電波産業会の標準規格・技術資料において「コンテンツ保護方式」と定義されており[3][4]B-CASのARIB限定受信方式に対して、ARIBコンテンツ保護方式[5]とも呼ばれる。

導入背景

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B-CASは、日本におけるBSデジタル放送開始に併せて、BS等を通して放送される各種有料放送の限定受信を目的として導入されたが[6]、後にコンテンツの保護を目的として、地上デジタル放送を含む無料民放等にも転用された[7]。公正取引委員会は、これらのカード発行を私企業であるB-CAS社が独占しており[8]、特に新規参入を阻んでいる点が独禁法違反に当たる疑いがあると指摘していた[9][10]

上述の問題に加えて、ARIBに準拠しない、いわゆる無反応チューナー[注釈 1]が登場した事から、既存のデジタル放送の暗号化に対する疑問が寄せられ[11]、地上デジタル放送のコンテンツ権利保護に係る社会的コスト等の観点も絡めて[12]、B-CASの運用の見直しが検討された[10][13]

これらの検討を踏まえて、地上デジタル放送のコンテンツ保護を担う新しい仕組みとして、地上RMP方式が導入された。但し、BSデジタル放送等の無料放送には利用されない。

B-CAS方式との比較

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いずれも日本のデジタルテレビ放送で利用されるスクランブル方式である。当初のB-CAS方式は、有料放送を対象とした限定受信を目的としており、後に無料放送等のコンテンツの権利保護等に転用された。これに対し、地上RMP方式は、当初より無料放送を主とした地上テレビ放送を対象としており、コンテンツの権利保護を主目的としている。

対象の放送

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標準規格と技術資料

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いずれも ARIB STD-B25[4]、ARIB TB-14[3]等で標準化・規定される。

実装

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B-CASがICカードを採用しているのに対して[14]、地上RMP方式はソフトウェアにより実装される[1]

処理能力

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B-CASカードは同時に2サービスを処理可能である(後発品は無料放送のみ4サービス同時処理が可能だが、規格化されていない)。地上RMP方式はソフトウエアで処理するので、プロセッサの処理能力に応じて幾つでもサービスを同時処理できる。これは、搭載可能なチューナーユニット数の制限緩和を意味する。

法的な位置付け

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一般的に、B-CASがアクセス制御に分類されるのに対して[15][16]、地上RMP方式はコピー制御を目的とした技術である[12]。但し、日本放送協会日本民間放送連盟等の放送事業者を中心に、B-CASはアクセス制御とコピー制御を併せもつものと位置付けるべきとする主張がある[17]

脚注

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注釈

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  1. ^ 放送波上のコピー制御信号に反応しないチューナーのこと。
    情報通信審議会. “受信機におけるコピー制御のエンフォースメント”. 総務省. 2013年10月2日閲覧。

出典

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  1. ^ a b コンテンツ権利保護専用方式とは”. 一般社団法人地上放送RMP管理センター. 2013年10月2日閲覧。
  2. ^ 設立経緯”. 一般社団法人地上放送RMP管理センター. 2013年10月2日閲覧。
  3. ^ a b 一般社団法人 電波産業会 (2013年3月19日). “ARIB TR-B14 地上デジタルテレビジョン放送運用規定 ARIB TR-B14 5.1版 (第三分冊)”. www.arib.or.jp. 2013年10月1日閲覧。
  4. ^ a b 一般社団法人 電波産業会 (2012年9月25日). “デジタル放送におけるアクセス制御方式 ARIB STD-B25 6.2版”. www.arib.or.jp. 2013年10月1日閲覧。
  5. ^ 一般社団法人 電波産業会 (2012年9月25日). “ARIB STD-B10 デジタル放送に使用する番組配列情報 ARIB STD-B10 5.1版”. www.arib.or.jp. 2013年10月1日閲覧。
  6. ^ 名前の由来”. 株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ. 2013年10月2日閲覧。
  7. ^ 池田信夫 (2008年12月24日). “消費者を無視して暴走する「B-CAS」 - 地デジ移行に向けた問題点”. マイナビニュース. 2013年10月2日閲覧。
  8. ^ 海上忍 (2008年6月5日). “「B-CASカード」――その存在理由と問題点”. ITmedia LifeStyle / ITmedia Inc.. 2013年10月2日閲覧。
  9. ^ 池田信夫 (2009年6月6日). “地デジ「利権」の隠し球? B-CASカードの怪”. 池田信夫 blog. 2013年10月2日閲覧。
  10. ^ a b 池田信夫 (2009年7月1日12:00). “崩壊するB-CAS 今地デジ対応テレビを買うのは損!”. 池田信夫の「サイバーリバタリアン」 - ASCII.jp×デジタル/KADOKAWA CORPORATION. 2013年10月2日閲覧。
  11. ^ 三柳英樹 (2007年12月27日). “デジタル放送の暗号化に疑問の声が相次ぐ、総務省の検討委員会”. INTERNET Watch - Impress Watch Corporation. 2013年10月2日閲覧。
  12. ^ a b 新コンテンツ権利保護方式推進委員会 (2010年12月14日). “新コンテンツ権利保護方式の進捗状況について”. 総務省. 2013年10月2日閲覧。
  13. ^ 山田 剛良 / 日経エレクトロニクス (2008年9月3日). “「B-CAS」がなくなると本当にうれしいか?”. Tech-On! 日経BP社. 2013年10月2日閲覧。
  14. ^ B-CASカードよくある質問 全般”. 株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ. 2013年10月2日閲覧。
  15. ^ 平成23年4月著作権研究会 (2011年4月19日). “著作権法によるアクセス・コントロールの保護”. インフォテック法律事務所 弁護士 山本隆司. 2013年10月2日閲覧。
  16. ^ 本宮学,ITmedia (2012年6月20日). “違法ダウンロードに刑事罰・著作権法改正で何が変わるか 壇弁護士に聞く”. ITmedia ニュース/ITmedia Inc.. 2013年10月2日閲覧。
  17. ^ 著作権分科会 法制問題小委員会. “「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 技術的保護手段に関する中間まとめ(平成22年12月)」 に対する意見募集の結果概要”. 文化庁. 2013年10月2日閲覧。

関連項目

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