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多度祭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
多度祭りから転送)
上げ馬神事
上げ馬神事が行われる坂

多度祭(たどまつり)は、三重県桑名市多度町で毎年5月4日、5日に行われる祭りである。

概要

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坂上げを行う地区は6地区であり、各地区3頭ずつの計18頭の祭馬が挑む。

祭りで行われる上げ馬神事は、暦応年間(1338年 - 1342年)、近隣を領地とする武家によって始められたという[1]

上げ馬神事は、青年の騎手が4日は陣笠姿、5日は花笠武者姿で馬に乗って、石段横2メートル余の絶壁を駆け上がる。馬の上がり具合でその年の豊凶を占う。上げ馬の回数は、4日は各地区2回ずつの12回で、5日は各地区1回ずつの6回である。

なお、5日は上げ馬のあとで、神輿3基を肱江の御旅所船着社に渡御して、須賀の馬場にて流鏑馬神事が行われる。

上げ馬神事は1978年昭和53年)に三重県の無形民俗文化財の指定を受けた。

2020年(令和2年)3月26日、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、氏子組織の代表者らと神社側は協議し、関係諸団体は上げ馬神事の中止を決定した。一部の祭事を限られた参列者で行う[2]。上げ馬神事の中止は、元亀2年(1571年)、織田信長長島一向一揆攻撃の一環で、多度大社・神宮寺が焼き払われて以来だという[3][4]

上げ馬神事にまつわる問題と対策

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2009年(平成21年)に行われた上げ馬神事において、神事を運営する地元の団体が、本番前に馬を興奮させる目的で、馬の腹部などを蹴ったり殴打していた旨を、津市内の動物愛護団体告発し、三重県警動物愛護法違反の容疑で、団体に所属する桑名市内の住民らを書類送検した。上げ馬神事は、動物虐待に当たるとの指摘が以前から多数出ており、多度大社も、三重県教育委員会から勧告を受けている[5][6]2011年、書類送検された参加者は、嫌疑不十分で不起訴処分となった[7]

2023年(令和5年)6月19日、多度大社で「事故防止対策協議会」が開かれ、三重県や桑名市、警察の担当者、地元代表などが出席した[8]。同年5月の神事では馬1頭が転倒骨折して殺処分となっている。この他にも過去15年間に合わせて3頭が神事の際に骨折して殺処分となっていたことを三重県が確認しており、三重県知事一見勝之も「事故の頻度が多い。対策を講じるべきだ」と述べている[8][9]

神事の際の事故で馬の殺処分が増加している一因として、絶壁の高さが約1.7mと高いこと[10]や農耕などで古くから使用されてきた日本在来馬が減少し、その代替として、上げ馬神事には適していないサラブレッドを使用するようになったことが指摘されている[11]

三重県は2023年6月に開催された「事故防止対策協議会」で壁を含む坂全体の構造を見直すことを提案し、多度大社や地元の代表はこの提案を受け入れる方針を決めた[8]

2024年(令和6年)4月20日、本番に先立ち、馬を坂にならすための試走が行われた。専門家などからの助言を受けて、土壁を撤去したほか、坂を緩斜面にするなどの改善策が施されている[12]

脚注

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  1. ^ 多度祭 - 多度大社
  2. ^ “桑名・多度大社の上げ馬神事も中止に”. 中日新聞. (2020年3月28日). https://web.archive.org/web/20200328053924/https://www.chunichi.co.jp/s/article/2020032890003731.html 2020年3月28日閲覧。 
  3. ^ 中止は“織田信長の焼き討ち以来”400年ぶり…三重・多度大社『上げ馬神事』 新型コロナの影響で中止 04月01日 14:59 - 東海テレビ
  4. ^ 多度大社について - 多度大社
  5. ^ 「上げ馬神事」で馬の腹殴った疑い 住民ら5人書類送検 朝日新聞 2011年7月3日
  6. ^ “馬虐待容疑で住民書類送検、「神事で興奮させるため」”. 日本経済新聞. (2011年7月4日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG03025_T00C11A7CC1000/ 2016年7月9日閲覧。 
  7. ^ “桑名・多度大社の上げ馬神事、勇壮に”. 日本経済新聞. (2013年5月5日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASFD04006_U3A500C1CN8000/ 2016年7月9日閲覧。 
  8. ^ a b c 上げ馬神事 事故受け坂の構造見直しへ 三重桑名・多度大社”. NHK. 2023年6月19日閲覧。
  9. ^ 上げ馬神事の安楽死4頭 三重県知事「対策必要」”. 共同通信 (2023年6月13日). 2023年7月2日閲覧。
  10. ^ これは馬の死亡が相次ぎ、同じく動物愛護団体からの非難が多いとされているイギリス障害競走グランドナショナル」で使用されている障害物よりも13cm高い。
  11. ^ ヴィバカ・ヴェニマ、白石早樹子、田村栄治 (2023年6月30日). “伝統と動物愛護のはざまで……「上げ馬神事」が坂の構造など見直しへ”. BBCNEWS JAPAN. 2023年7月2日閲覧。
  12. ^ 松本宣良 (2024年4月21日). “「上げ馬神事」どう変わる? 動物虐待で批判集まり、土壁なくす”. 毎日新聞. 2024年4月21日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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