奈良騒音傷害事件のソースを表示

{{実名|可否=否|説明=元被告人の主婦}}
{{pp-vd|small=yes}}
<!--{{最高裁判例
|事件名=傷害被告事件
|事件番号=平成16年（あ）第2145号
|裁判年月日=2005年（平成17年）3月29日
|判例集=刑集59巻2号54頁
|裁判要旨=
被告人は、自宅の中で隣家に最も近い位置にある台所の隣家に面した窓の一部を開け、窓際及びその付近にラジオ及び複数の目覚まし時計を置き、約1年半の間にわたり、隣家の被害者らに向けて、精神的ストレスによる障害を生じさせるかもしれないことを認識しながら、連日朝から深夜ないし翌未明まで、ラジオ音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で鳴らし続けるなどして、被害者に精神的ストレスを与え、よって、被害者に全治不詳の慢性頭痛症、睡眠障害、耳鳴り症の障害を負わせた。以上のような事実関係の下において、被告人の行為が傷害罪の実行行為に当たるとして、同罪の成立を認めた原判決は正当である。
|法廷名=第二小法廷
|裁判長=[[福田博]]
|陪席裁判官=[[滝井繁男]]、[[津野修]]、[[今井功 (裁判官)|今井功]]、[[中川了滋]]
|多数意見=全員一致
|意見=なし
|反対意見=なし
|参照法条=刑法204条
}}-->
{{Infobox 事件・事故
| 名称       = 奈良騒音傷害事件
| 正式名称   = 
| 画像       = 
| 脚注       = 
| 場所       = [[奈良県]][[生駒郡]][[平群町]]
| 緯度度 = |緯度分 = |緯度秒 = 
| 経度度 = |経度分 = |経度秒 = 
| 日付       = [[2002年]]11月 - [[2005年]]4月<ref name=shuukan_asahi/>
| 時間       = 終日
| 開始時刻   =　
| 終了時刻   = 
| 時間帯     = 終日
| 概要       = 
| 懸賞金     = 
| 原因       =
| 手段       = [[騒音]]
| 武器       = [[CDラジカセ]]、[[布団叩き]]、[[三菱・アスパイア|自動車]]の[[クラクション]]
| 兵器       = 
| 攻撃側人数   = 1人
| 標的       = 近隣住民
| 死亡       = 
| 負傷       = 2名
| 行方不明   = 
| 被害者     =
| 損害       = 
| 犯人       = 主婦（逮捕当時58歳）
| 容疑       = 
| 動機       = 近隣トラブル
| 関与       =
| 防御       =
| 対処       = [[懲役]]1年8ヶ月、慰謝料の支払い
| 謝罪       = なし
| 賠償       = 200万円
| 遺族会     = 
| 被害者の会 = 
| 管轄　　　 =
}}

'''奈良騒音傷害事件'''（ならそうおんしょうがいじけん）は、[[奈良県]][[生駒郡]][[平群町]]の主婦が約2年半にわたり大音量の音楽を流すなどの方法で[[騒音]]を出し続け、それにより近所に住む夫婦を不眠・目眩などで通院させた事件。2005年4月、[[傷害罪]]の容疑で[[奈良県警察|奈良県警]]に逮捕され、2007年4月に[[最高裁判所 (日本)|最高裁]]で実刑判決が確定した。騒音を出す現場が被害者夫婦により録画、マスコミ各社に提供され、テレビの[[ワイドショー]]で主婦が「引っ越し、引っ越し」などと大声で叫ぶ様子が何度も流れ、'''騒音おばさん'''の名前で有名になった<ref name=asahi>{{cite news|title=「騒音おばさん」排除条例、奈良・平群町が制定へ　汚名返上かけ民家も対象|newspaper=[[朝日新聞]]|date=2006-03-07}}</ref>。

== 経緯 ==
主婦は、1988年に大阪から奈良県平群町に転入した。翌年、主婦は被害者夫婦の隣の住民とけんかになり、両者の争いは裁判にまで発展したが、このときは被害の大きかった主婦側が勝訴し、敗訴した隣の住民は引っ越していった<ref name=shuukan_asahi2>{{cite journal|和書|title=奈良発　逮捕された「騒音女」の報道されない悲しい「過去」|journal=[[週刊朝日]]|date=2005-04-29|author=四本倫子}}</ref>。その後は、被害者夫婦がターゲットとなり、1991年に最初のトラブルが発生する。被害女性によると、1996年のある日を境に、24時間365日、音楽が鳴り続くようになった<ref name=shuukan_asahi2/>。同年、被害住民は最初の[[民事訴訟]]を起こし、1999年に最高裁で60万円の慰謝料を認める被告側敗訴の判決が確定した<ref name=sankei>{{cite news|title=騒音おばさん　実刑　「再犯可能性高い」　奈良地裁懲役1年　大音量、傷害と認定|newspaper=[[産経新聞]]|date=2006-04-21}}</ref><ref name=shuukan_asahi2/>。しかし、嫌がらせは止まず、翌年、防犯カメラに被害者宅の玄関を蹴っている映像が記録されると、主婦は器物損壊の容疑で逮捕された<ref name=shuukan_asahi2/>。音楽が止んだのはこの逮捕勾留中だけであった<ref name=shuukan_asahi2/>。被害女性によると、主婦の夫と子供は病気で入院しており、娘2人も逮捕の5年ほど前に相次いで亡くなっている<ref name=shuukan_asahi2/>。

主婦が騒音を出し始めたのは、朝6時に布団をたたいていることなどを隣家の人に注意されたのがきっかけ。逮捕容疑では2002年11月から2005年4月に逮捕されるまで、[[CDラジカセ]]から[[ユーロビート]]や[[ヒップホップ]]、[[R&B]]などの音楽を大音量で24時間流し続けた<ref name=shuukan_asahi/><ref>{{Cite news|和書|title=大音量で音楽　無職女性を傷害容疑で逮捕　奈良・平群|newspaper=[[朝日新聞]]|date=2005-04-11|url= http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200504110033.html |archiveurl= https://web.archive.org/web/20050412142218/http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200504110033.html |archivedate=2005-04-12}}</ref><ref>{{Cite news|和書|title=大音量ラジカセ、向かいの女性被害…５８歳の女逮捕|newspaper=[[読売新聞]]|date=2005-04-11|url= http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050411i309.htm |archiveurl= https://web.archive.org/web/20050413011025/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050411i309.htm |archivedate=2005-04-13}}</ref>。それ以外にも、車のクラクションをむやみに鳴らしたり、取材に訪れた記者に凄まじい形相でまくし立てるなど奇行を展開し、隣家の主婦は不眠や頭痛で約1か月の治療が必要と診断された<ref>{{cite news|title=こちら特報部　騒音　隣人トラブル考　小さくても大きな苦痛に　角立てないための即効薬…　『おすそ分け』作戦も|newspaper=[[東京新聞]]|date=2005-06-28}}</ref>。 主婦の行為を写したビデオはテレビの[[ワイドショー]]などでも盛んに流されたが、警察官が訪れた時だけ騒音行為をやめるなど証拠が不十分であったため、奈良県警は音の大きさの測定や被害者の診断書提出を受けて、ようやく逮捕に踏み切った<ref>{{cite news|title=「騒音おばさんの町」もうまっぴら　奈良・平群町　条例制定へ|newspaper=[[産経新聞]]|date=2005-11-16}}</ref>。

== 裁判 == 
=== 刑事裁判 ===
[[2005年]][[6月27日]]、[[奈良地方裁判所|奈良地裁]]（[[奥田哲也 (裁判官)|奥田哲也]]裁判長）で初公判が開かれ「音は出したが、大きな音とは思わない」と述べて起訴事実を否認した<ref name ="yomiuri20050627">{{Cite news|和書|title=大音量で近隣迷惑の被告、初公判で無罪主張|newspaper=読売新聞|date=2005-06-27|url= http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050627i305.htm |archiveurl= https://web.archive.org/web/20050629002140/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050627i305.htm |archivedate=2005-06-29}}</ref><ref name ="asahi20050627">{{Cite news|和書|title=弁護側は無罪を主張　奈良・騒音傷害事件の被告初公判|newspaper=朝日新聞|date=2005-06-27|url= http://www.asahi.com/national/update/0627/OSK200506270046.html |archiveurl= https://web.archive.org/web/20050629014235/http://www.asahi.com/national/update/0627/OSK200506270046.html |archivedate=2005-06-29}}</ref>。冒頭陳述で検察側は被告が近隣住民から布団を叩く音がうるさいと苦情を言われたことなどに腹を立て「いやがらせのつもりで音楽を流すようになった」と指摘した<ref name ="asahi20050627"/>。一方、弁護側は[[傷害罪]]と[[暴行罪]]の両罪とも無罪を主張した<ref name ="yomiuri20050627"/><ref name ="asahi20050627"/>。

[[2006年]][[2月24日]]、[[論告]]求刑公判で[[検察]]側は「隣人に苦しみを与えた陰湿な犯行で、嫌がらせは約2年6か月にわたった。“騒音おばさんの町”として平群町の悪評を広めた」とし、[[懲役]]3年を[[求刑]]したのに対し、被告の主婦は「（被害者の）女性が何でもわたしのせいにした」などとという便箋70枚にもわたる意見陳述書を読み上げようとしたところ、裁判長に途中で止められた。弁護側は音を流したことは傷害の実行行為とはいえないとして[[無罪]]を主張した<ref>{{cite news|title=「陰湿な犯行」　騒音おばさんに懲役3年求刑|newspaper=[[産経新聞]]|date=2006-02-25}}</ref>。また、第2回公判では、被告の主婦は「謝ってしもうたら、[[冤罪]]を認めることになる。自分に罪はない。認めるつもりはない！」などと罪状を否認し、証拠として採用された「引っ越し、引っ越し」と叫びながら布団をたたく映像が法廷で流されると、その映像の音楽に合わせてリズムをとる場面もあった<ref name=shuukan_asahi>{{cite journal|和書|title=騒音おばさん、いまだ健在　法廷でもハイテンション　2005年総力特集|journal=[[週刊朝日]]|date=2005-12-30}}</ref>。

[[2006年]][[4月21日]]、奈良地裁（奥田哲也裁判長）で判決公判が開かれ「被害者に困惑を与えることに徹した執拗、陰湿な犯行で、再犯の可能性も高い」として懲役1年の[[実刑]]判決を言い渡した<ref name ="asahi20060421">{{Cite news|和書|title=「騒音おばさん」に実刑判決　傷害罪で奈良地裁|newspaper=朝日新聞|date=2006-04-21|url= http://www.asahi.com/national/update/0421/TKY200604210094.html |archiveurl= https://web.archive.org/web/20060422180441/http://www.asahi.com/national/update/0421/TKY200604210094.html |archivedate=2006-04-21}}</ref>。

判決では、2年5ヶ月の長期にわたり騒音を発生させた行為は夫婦に精神的ストレスを与え、身体の生理的機能を害する危険性があるとして傷害罪にあたると認定した<ref name ="asahi20060421"/>。また、犯行態様については「身体に何らかの傷害を負う可能性があることを知りつつ騒音を出し続けた」として、傷害の未必的故意があったと結論付けた<ref name ="asahi20060421"/>。

主婦は判決を不服として即日[[控訴]]した<ref name ="asahi20060421"/><ref>{{cite news|title=「騒音おばさん、判決にも黙らず　懲役1年　即日控訴|newspaper=[[産経新聞]]|date=2006-04-22}}</ref>。[[奈良地方検察庁|奈良地検]]も「2年以上にわたり積極的に危害を加えたのに、量刑が軽すぎる」などとして控訴した<ref>{{cite news|title=「騒音おばさん」地検側も控訴|newspaper=[[中日新聞]]|date=2006-05-02}}</ref>。

[[2006年]][[9月12日]]、[[大阪高等裁判所|大阪高裁]]（白井万久裁判長）で控訴審初公判が開かれ、弁護側が「音楽を鳴らす行為は傷害罪には当たらない」などと改めて無罪を主張したのに対して、検察側は「長期にわたって警察などの警告を無視し、被害者に苦痛を与え続けており、1審判決は軽すぎる」と指摘した<ref>{{cite news|title=「騒音おばさん」弁護側無罪主張　控訴審初公判／大阪高裁|newspaper=[[読売新聞]]|date=2006-09-13}}</ref>。

[[2006年]][[12月26日]]、大阪高裁（古川博裁判長）で控訴審判決公判が開かれ「隣人女性への敵対的態度を今も崩しておらず、再犯の可能性も高い」として、一審・奈良地裁の判決を破棄し懲役1年8ヶ月の判決を言い渡した<ref name ="asahi20061226">{{Cite news|和書|title=「騒音おばさん」に懲役１年８カ月の判決　大阪高裁|newspaper=朝日新聞|date=2006-12-26|url= http://www.asahi.com/national/update/1226/OSK200612260013.html |archiveurl= https://web.archive.org/web/20070107135348/http://www.asahi.com/national/update/1226/OSK200612260013.html |archivedate=2007-01-07}}</ref><ref>{{cite news|title=“騒音おばさん”懲役1年8月判決　傷害の確定的故意認定|newspaper=[[産経新聞]]|date=2006-12-27}}</ref>。判決では「被告は大音量の音楽を流すことにより、隣人女性の体に不調をもたらすことを明らかに認識していた」と述べ、一審と異なり傷害の確定的故意を認定<ref name ="asahi20060421"/>。その上で「反省しておらず、一審判決は軽すぎる」と結論付けた<ref name ="asahi20060421"/>。判決言い渡し後、裁判長は「（判決が確定すれば）あと3ヶ月ほど刑務所で過ごすことになります。あなたの行為は誰からも支持されないということを考えてほしい」と説諭した<ref name ="asahi20060421"/>。被告の主婦は判決を不服として[[上告]]した。

[[2007年]][[4月10日]]、[[最高裁判所 (日本)|最高裁]]第三小法廷（[[那須弘平]]裁判長）は被告側の上告を棄却する決定をしたため、懲役1年8ヶ月の判決が確定した<ref name ="nikkan20070412">{{Cite news|和書|title=「騒音おばさん」実刑確定へ|newspaper=[[日刊スポーツ]]|date=2007-04-12|url= http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070412-183688.html |archiveurl= https://web.archive.org/web/20070415055738/http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070412-183688.html |archivedate=2007-04-15}}</ref>。2005年の逮捕以降拘置が続いており、この未決拘置日数のうち約500日が刑に算入されるため、実際に服役するのは約3か月となった<ref name ="nikkan20070412"/><ref>{{cite news|title=「騒音おばさん」実刑確定へ|newspaper=[[産経新聞]]|date=2007-04-13}}</ref>。主婦は2007年7月に刑の満期を迎え出所した<ref name ="nikkan20070412"/>。

=== 民事裁判 ===
2004年には被害住民から300万円の[[損害賠償]]を求めた2度目の民事訴訟を提訴された。

[[2005年]][[10月6日]]、奈良地裁（大沢晃裁判官）は「迷惑行為を禁止した裁判所の仮処分決定を無視し、女性らに向け音楽を大音量で鳴らしたり、『引っ越し』『引っ越し』と怒号を上げたりするなど悪質な行為を続けた」として被告の主婦に200万円の支払いを命じる判決を言い渡した<ref>{{Cite web|和書|title=「悪質な行為」“騒音おばさん”２００万円賠償命令|url= http://www.zakzak.co.jp/top/2005_10/t2005100709.html |website=zakzak|date=2005-12-10|accessdate=2024-12-20|publisher= [[夕刊フジ]]|archiveurl= https://web.archive.org/web/20051210203053/http://www.zakzak.co.jp/top/2005_10/t2005100709.html |archivedate=2005-10-07}}</ref>。

[[2006年]][[7月20日]]、[[最高裁判所 (日本)|最高裁]]第一小法廷（[[才口千晴]]裁判長）は被告側の上告を棄却し、200万円の賠償を命じた判決が確定した<ref>{{cite news|title=「騒音おばさん」　200万円賠償確定|newspaper=[[産経新聞]]|date=2006-07-21}}</ref>。

== 事件の影響 ==
一審の実刑判決のニュースは[[朝日新聞デジタル|asahi.com]]で週間1位のアクセスを得た<ref>{{cite news|title=週間asahi.com　アクセスランキング　4月17日〜23日|newspaper=[[朝日新聞]]|date=2006-04-30}}</ref>。英字新聞でも報道され、見出しには「Mrs. Noisy」という呼び名が使われた<ref name=sankei2>{{cite news|title=ブログ「注目のことば」|newspaper=[[産経新聞]]|date=2006-04-29}}</ref><ref>{{cite news|title=World News IN BRIEF: 'Mrs Noisy' is finally silenced|newspaper=[[The Independent]]|date=2006-04-22}}</ref>。また、「騒音おばさん」は[[日本放送協会|NHK]]の「[[未来観測 つながるテレビ@ヒューマン]]」の[[ブログ]]・キーワードの週間ランキングにもランクインした<ref name=sankei2/>。

[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]の報道番組『[[真相報道 バンキシャ!]]』では、出演していた元衆議院議員の[[塩川正十郎]]が加害者の映像を見て「これ[[きちがい|気違い]]の顔ですわ」などと発言したため、司会の[[福澤朗]]が不適切な発言であるとすぐに謝罪した<ref>{{Cite web|和書|title=『真相報道 バンキシャ!』ウェブサイト内コーナー「ボンキシャ!?」|url=http://www.ntv.co.jp/bankisha/bonkisha/20050417.html|date=2005-04-17|accessdate=2010-01-08|publisher=[[日本テレビ]]|url-status=dead|url-status-date=2022-07-25|archiveurl=https://web.archive.org/web/20170906141007/http://www.ntv.co.jp/bankisha/bonkisha/20050417.html|archivedate=2017-09-06}}</ref>。

2006年3月、事件のあった[[平群町]]では「騒音おばさんの町」の汚名返上を目指すべく、音や[[不法投棄]]などの近所迷惑行為を禁止する「平群町安全で安心な町づくりに関する[[条例]]」が同月24日に[[全会一致]]で可決され、同年6月1日から施行された<ref name=hegurireiki>{{Cite web|和書|title= 平群町安全で安心な町づくりに関する条例|url=https://www1.g-reiki.net/town.heguri.nara/reiki_honbun/k415RG00000131.html |website=|date=2006-03-24|accessdate=2024-12-20|publisher=|archiveurl= https://web.archive.org/web/20241220133955/https://www1.g-reiki.net/town.heguri.nara/reiki_honbun/k415RG00000131.html |archivedate=2024-12-20}}</ref><ref>{{cite news|title=「近所迷惑」許さぬ　平群町、条例を可決|newspaper=[[産経新聞]]|date=2006-03-18}}</ref>。町は近隣住民から100回以上の苦情を受けていたが、これまで取り締まる根拠がないため、口頭で注意を促すことしかできなかったという<ref>{{Cite news|和書|title=“騒音おばさん”新法制定へ|newspaper=日刊スポーツ|date=2006-02-03|url= http://www.nikkansports.com/ns/general/p-so-tp0-060203-0001.html |archiveurl= https://web.archive.org/web/20060205035754/http://www.nikkansports.com/ns/general/p-so-tp0-060203-0001.html |archivedate=2006-02-05}}</ref><ref>{{cite news|title=「騒音おばさん」封じ条例案　迷惑行為規制「ごみ屋敷」も　奈良・平群　【大阪】|newspaper=[[朝日新聞]]|date=2006-03-07}}</ref>。同条例では、公共、私有地の区別なく昼間（8時 - 20時）は65[[デシベル]]以上、夜間（20時 - 翌8時）は60デシベル以上を騒音と規定し、罰則はないが違反者には制止命令や文書での警告を行うとされている<ref name=hegurireiki/><ref name=mainichi/>。身近な例では、[[掃除機]]の音が60デシベル以上とされる<ref name=mainichi>{{cite news|title=騒音防止条例：奈良・平群町、6月に施行へ|newspaper=[[毎日新聞]]|date=2006-03-18}}</ref>。

[[八戸工業大学]][[大学院]]教授で音[[環境工学]]が専門の[[橋本典久]]によると、[[アメリカ合衆国|米国]]には訴訟に至る前に近隣トラブルを解決する公的な専門機関が約30年前から設置されており、訓練を受けた民間ボランティアが[[調停]]を行うという。調停機関を視察した際に担当者に「騒音おばさん」のテレビ映像を見せたところ、「なぜこれほど深刻化するまで社会が放置したのか」と絶句されたといい、日本でも米国型の調停機関を設置すべきではないかと提案した<ref>{{cite news|title=［環境ルネサンス］音は語る（5）騒音トラブル、地域の悲鳴（連載）|newspaper=[[読売新聞]]|date=2008-03-29|author=片山圭子}}</ref>。

事件後、千葉<ref>{{cite news|title=千葉の“騒音おばさん”起訴、隣家前での「しっしっしー」否認|newspaper=[[サンケイスポーツ]]|date=2007-07-14}}</ref>、大阪<ref>{{cite news|title=大阪にも騒音おばさん　隣家に「殺すぞ。出てけ」|newspaper=[[産経新聞]]|date=2007-09-22}}</ref>、茨城<ref>{{cite news|title=茨城の“騒音おばさん”逮捕|newspaper=[[産経新聞]]|date=2009-02-27}}</ref>などでも騒音を巡って逮捕された女性が「騒音おばさん」として報道された。

=== ポップカルチャー ===
一部のインターネットユーザーによって、「騒音おばさん」を題材とした音楽や[[Adobe Flash|Flash]]などが作られた<ref>{{Cite news|和書|title=奈良の「大音響女」ネット上で大反響|newspaper=日刊スポーツ|date=2005-04-18|url= http://osaka.nikkansports.com/otn/p-ot-tp6-050418-0026.html |archiveurl= https://web.archive.org/web/20050418204936/http://osaka.nikkansports.com/otn/p-ot-tp6-050418-0026.html |archivedate=2005-04-18}}</ref>。

テレビ番組『[[めちゃ×2イケてるッ!]]』の2005年5月14日放送では、番組企画内で「[[めちゃ×2イケてるッ!のコーナー|騒音おばさんに扮した極楽とんぼの山本圭壱がロケを妨害する]]」という演出が放送された（めちゃ×2ツアーズ）<ref>{{Cite journal ja-jp|title=お笑い芸人TVジャック 下劣なバラエティ番組がテレビを席捲するワケ（やっぱりテレビなんかいらない！）|journal=[[週刊文春]]|url=https://web.archive.org/web/20051004015208/http://www.bunshun.co.jp/mag/shukanbunshun/shukanbunshun050526.htm|volume=47|issue=20|serial=2005年5月26日号|publisher=[[文藝春秋]]|naid=40006704902|pages=41-43}}</ref>。

[[嘉門タツオ|嘉門達夫]]のシングルCD「[[替え唄メドレー|替え唄メドレー2005]]」では、楽曲の冒頭で、童謡「村祭」のメロディーにのせて当事件を題材にした替え唄が歌われている<ref>[https://www.hmv.co.jp/news/article/511010028/ オモロソングの調べ。] HMV&BOOKS online（2005年11月1日）</ref>。

2007年、[[THE ALFEE]]の[[高見沢俊彦]]のソロアルバム『[[Kaleidoscope (高見沢俊彦のアルバム)|Kaleidoscope]]』には、[[宮藤官九郎]]が作詞した「騒音おばさんVS高音おじさん」が収録されており、干渉するのが大好きな近所のおばさんに、甲高い声の高見沢が翻弄されるさまが描かれている<ref>{{cite news|title=THE ALFEE　高見沢　16年ぶりソロアルバム＊笑い、哀愁　王子様キャラ＊作詞を委ねてパロディーに＊つんく、みうらじゅん…＊過激にイメージ破る|newspaper=[[北海道新聞]]|date=2007-08-09}}</ref>。 

2008年にはこの事件をモデルにしたテレビドラマ「[[水曜ミステリー9]] [[神楽坂署生活安全課]]4 ご近所トラブル殺人事件」が[[テレビ東京]]で放映され、女優の[[藤田弓子]]が太鼓やフライパンを叩きながら大声で歌い、近隣住民を悩ます「迷惑おばさん」を演じた<ref>{{cite news|title=藤田弓子「迷惑おばさん」－－テレ東ドラマ|newspaper=[[スポーツニッポン新聞]]|date=2008-04-17}}</ref>。

2020年12月4日には、[[天野千尋]]の監督・脚本による当事件をモデルとした映画『[[ミセス・ノイズィ]]』が制作・公開されている<ref>[https://web.archive.org/web/20210414222604/https://mrsnoisy-movie.com/ ミセス・ノイズィ Mrs.Noisy 公式サイト]</ref><ref>{{Cite web2 |author=上野裕子 |url=https://dot.asahi.com/articles/-/80854 |title=「騒音おばさん」モチーフの映画　「視点次第で人は悪人にも善人もなる」 |work=[[AERA dot.]] |df=ja |date=2020-12-04 |access-date=2024-01-26}}</ref>。

=== 批判 ===
2009年3月21日に放送された[[日本放送協会|NHK]]の番組「[[日本の、これから]]」の“テレビの存在意義とネットとの関係性について”という議題において、出演者の一名によりこの事件を例に挙げられ、被害者側が被告人を撮影していた事実、被告側の立場、上節に含まれるバラエティ番組やお笑い番組に至るまで流れていた背景を挙げて『[[ネット]]上に流れている情報を総合すると、テレビはあのおばさん（被告人）をおもちゃにしたのではないか』という、被告人に対しメディアを利用して被害を与えた点もあるという批判がもたらされた<ref>{{cite journal|和書|title=テレビ「報道番組」は絶滅寸前|journal=[[SAPIO]]|volume=2009年5月13日号}}</ref>。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|2}}

{{DEFAULTSORT:ならそうおんしようかいしけん}}
[[Category:平成時代の事件]]
[[Category:2005年の日本の事件]]
[[Category:平群町の歴史]]
[[Category:日本の暴力]]
[[Category:ハラスメント]]
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