ゾルの外の碑
表示
(恩蘭・達札路恭紀功碑から転送)
ゾルの外の碑(チベット語:ཞོལ་རྡོ་རིངས་ཕྱི་མ་、ワイリー方式:zhol-rdo-rings phyi-ma)は、チベット・ラサのポタラ宮にある記念碑(石柱)である。
概要
[編集]763年(唐・広徳元年)、吐蕃のチム・シャン・ゲルシク・シュテン(チベット語:མཆིམས་ཞང་རྒྱལ་ཟིགས་ཤུ་ཏེང 英語: mchims zhang rgyal zigs shu teng、中: 尚野息)とゲンラム・タクラ・ルコン(チベット語:ངན་ལམ་སྟག་སྒྲ་ཀླུ་ཁོང 英語: ngan lam stag sgra klu kong、中: 恩兰·达札路恭)が20万の大軍を率いて長安(陝西省西安市)を攻め、唐の代宗を追い出し、広武王李承宏を皇帝とし15日後に撤兵した。同碑はこの戦役を記念して建立されたものである。
碑文
[編集]碑の北面、南面、東面にチベット文字で刻まれており、北面は68列、東面が16列、南面が74列となっている。
ウィキソースにチベット語の碑文があります。
碑文内の「ゲンラム・タクラ・ルコン」について
[編集]漢文資料[1]では、長安を陥落させた吐蕃の将に「馬重英」の名があるが、吐蕃のティソン・デツェンの時期の名臣である「ゲンラム・タクラ・ルコン」と「馬重英」の事績が一致することから、この二者が同一人物であることが指摘されている[2][3][4]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 王堯「恩蘭·達札路恭紀功碑」(『社会科学戦線』1981年4期)。
- 佐藤長『古代チベット史研究』 下、同朋舎、1977年、523-525頁。
- 任小波 著「763年の吐蕃による長安陥落の再検討」、学習院大学国際研究教育機構 編『学習院大学国際研究教育機構研究年報』 2巻、2016年。
- 『旧唐書』巻196 吐蕃伝上。
- 李方桂「馬重英考」(丁邦新主編『李方桂全集』1漢藏語論文集、精華大学出版社、2012年所収、1956年初出)。
- 李方桂「藏文 sTag sgra klu khong考」(丁邦新主編『李方桂全集』1漢藏語論文集、精華大学出版社、2012年所収、1983年初出)。