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手抜き工事

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

手抜き工事(てぬきこうじ)は、行われる工事の形態を意味する言葉。

概要

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手抜き工事とされるような工事というのは、工事を行っている業者が意図的に手を抜くなどで、必要とされる強度期待される機能が十分に足りていないようになる工事のこと。あるいはこのような工事を行ってできた不十分な建築物のこと[1]。うっかりして間違った工事をしてしまったり、施行するべき個数を間違えるなどで過失によって不十分な建築物が出来上がることも手抜き工事と言うことがある[2]

手抜き工事が行われている場合には、その工事が完成した後では手抜き工事が行われていたということが分からなかった場合がほとんどであるため、手抜き工事が行われているかどうかを確かめるためにも、建築が行われている途中に適宜チェックすることが重要である。手抜き工事とはどのようにして行われるかを知ることで、手抜き工事によるリスクを軽減させることができる。建築物が完成して引渡しを受けた後に手抜き工事が判明した場合には、建築業者は法的責任を負うことになる。手抜き工事を行った業者は、契約不適合責任不法行為での責任を負うことになる[3]

手抜き工事の原因

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手抜き工事が行われる原因には工期が存在する。工期が短ければ短いほど工事を行う業者には余裕が無くなり、このことから手抜き工事が発生しやすくなる。このようになる原因は工事の依頼をする人が早期の竣工を希望したためや、工事業者が利益を上げるために後期を短めに設定したためという場合がある[3]

現代の日本において手抜き工事が行われる原因としては、慢性的な人手不足がある。少子化高齢化によって多くの業界では人手不足となっているが、建築業界では特に人手不足が著しい。加えて新築住宅需要が高まっていることからも人手不足が著しくなっている。このようになれば工期は標準的に設定していても労働力が足りなくなるため、このことから工事業者には余裕が無くなるものの工期に間に合わせようとするならば手抜き工事を行いがちになる[3]

現代の日本では工事に必要な建材設備が入手しにくくなったために手抜き工事が行われるようになる場合がある。新型コロナウィルスの感染拡大が手抜き工事につながったという場合もある。工事に必要な建材や設備が製造物流が停滞したために足りなくなれば、その期間は工事も停滞することとなる。工事業者は建材や設備を遅延して入手すれば、この遅延を解消するために努力をすることになるのだが、時間的な余裕が無いために手抜き工事が行われがちになる[3]

建築業界の特有の問題である下請けに工事を行わせるということも手抜き工事が行われる原因となっている。元請けが下請けに支払う支払う報酬が少なければ、このことから手抜き工事が発生しやすくなる。通常のメーカーは受注した仕事は自社で施行するのではなく、実際に工事が行われる付近の工務店等に発注することで完成させている。また現代の日本では下請けの次に孫受けができているなど構造が複雑化しており、元請けと実際に仕事をする工務店との間には何重もの請け負い関係が存在していることもある。この場合には間に介在する業者が多ければそれだけ多くのリベートが取られるため、施行を担当する工務店が受け取れる報酬は少なくなるため工事に十分な費用をかけることが難しくなることから手抜き工事が行われやすくなっている[3]

手抜き工事の事例

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脚注

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  1. ^ 「手抜き工事(てぬきこうじ)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書”. www.weblio.jp. 2024年9月26日閲覧。
  2. ^ 手抜き工事を訴えたい! 損害賠償を請求することはできる?|建築トラブルや訴訟・紛争問題でお困りならベリーベスト法律事務所”. www.vbest.jp. 2024年9月26日閲覧。
  3. ^ a b c d e 新築住宅で手抜き工事が発覚した場合に知っておくべき7つのこと”. 【公式】リーガルモール by ベリーベスト法律事務所 (2022年4月15日). 2024年9月26日閲覧。
  4. ^ トルコ・シリア地震(2023年2月6日)”. 災害カレンダー. 2024年9月27日閲覧。