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持続可能な交通

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
持続可能な輸送から転送)

持続可能な交通(じそくかのうなこうつう、Sustainable transport)、持続可能な輸送(じぞくかのうなゆそう)とは、社会的・環境影響的な観点から持続可能(サスティナブル)な輸送交通方法を指す。持続可能性を評価するための要素には、陸送・水上運送・航空輸送に使用される特定の車両、エネルギー源、輸送に使用されるインフラ(道路鉄道航空、水路、運河、ターミナル)が含まれる。輸送業務や物流、交通指向の開発も評価に含まれる[1]。持続可能性は、主に輸送システムの有効性と効率、システムが環境や気候に与える影響によって測定される[2]。輸送システムは環境に重大な影響を与えており、世界のエネルギー消費二酸化炭素排出量の20%-25%を占めている[3]。排出量の大部分(ほぼ 97%)は、化石燃料の直接燃焼によるものである[4]。2019年には、燃料の約95%が化石資源由来であった。欧州連合において、温室効果ガスの主な排出源は輸送であった[5][6]。2019年においては、世界の排出量の約31%、EUの排出量の24%を占めている。輸送からの温室効果ガス排出量は、他のどのエネルギー使用部門よりも速いペースで増加している[7] 。道路交通も、その地域の大気汚染やスモッグの主な原因となっている。

国連環境計画(UNEP) は、屋外の大気汚染による防ぎうる死は毎年240万人であったと推定している[8] 。とりわけ健康に有害なのは粒子状物質成分であるブラックカーボン排出であり、呼吸器疾患や発がん性疾患の原因として知られ、地球規模の気候変動に大きく寄与する[9]温室効果ガス排出量と粒子状物質との関連性のため、低炭素輸送は各地でより持続可能な投資となってきている。排出量を削減によって気候変動を緩和し、大気の質を改善することで公衆衛生を向上させることができる[9]

各国の状況

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欧州

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日本

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日本におけるセクター別CO2排出量は以下の通り[10]

輸送量あたりのCO2排出量 (CO2/トンキロ)[10]
輸送手段 旅客輸送 貨物輸送
自家用車 / 自家貨物車
132
1,124
バス / 営業貨物車
90
216
船舶
0(N/A)
43
航空
124
0(N/A)
鉄道
25
20


日本のセクター別CO2排出量[10]

  運輸部門 (17.5%)
  業務その他 (17.9%)
  家庭部門 (14.5%)
  産業部門 (35.1%)
  その他 (15%)

日本の運輸セクターCO2排出量 [10]

  自家用自動車 (44.3%)
  営業用貨物車 (23.0%)
  自家用貨物車 (16.8%)
  内航海運 (5.5%)
  鉄道 (4.1%)
  バス (1.6%)
  その他 (4.7%)

脚注

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  1. ^ Sustainable city” (英語). HiSoUR - Hi So You Are (2018年10月4日). 2022年6月18日閲覧。
  2. ^ Jeon, C M; Amekudzi (March 2005), “Addressing Sustainability in Transportation Systems: Definitions, Indicators, and Metrics”, Journal of Infrastructure Systems 11: 31–50, doi:10.1061/(ASCE)1076-0342(2005)11:1(31), オリジナルの2016-03-03時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20160303232443/http://center.sustainability.duke.edu/sites/default/files/documents/transportation_indicators.pdf 2012年11月21日閲覧。 
  3. ^ World Energy Council (2007年). “Transport Technologies and Policy Scenarios”. World Energy Council. 2008年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年5月26日閲覧。
  4. ^ About Transportation & Climate Change: Transportation's Role in Climate Change: Overview - DOT Transportation and Climate Change Clearinghouse”. climate.dot.gov. 2015年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ2015年11月15日閲覧。
  5. ^ Get on the bus first to make Nicosia tram infrastructure worth the investment” (英語). European Investment Bank. 2022年9月1日閲覧。
  6. ^ Transport emissions” (英語). ec.europa.eu. 2022年9月1日閲覧。
  7. ^ Intergovernmental Panel on Climate Change (2007年). “IPCC Fourth Assessment Report: Mitigation of Climate Change, chapter 5, Transport and its Infrastructure”. Intergovernmental Panel on Climate Change. 2008年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ2009年5月26日閲覧。
  8. ^ Air pollution: World's worst Environmental health risk”. United Nations Environment Programme (UNEP). 2016年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ2016年5月25日閲覧。
  9. ^ a b LEDS in Practice: Breathe clean”. Low Emission Development Strategies Global Partnership (LEDS GP). 2018年12月19日時点のオリジナルよりアーカイブ2016年5月25日閲覧。
  10. ^ a b c d 運輸部門における二酸化炭素排出量”. 国土交通省 (2023年5月17日). 2027年8月閲覧。

関連項目

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