コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

編集権声明

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

編集権声明(へんしゅうけんせいめい)は、1948年3月16日日本新聞協会が出した、新聞の編集する権限である編集権などについての声明。新聞編集権の確保に関する声明(しんぶんへんしゅうけんのかくほにかんするせいめい)とも。戦後の日本の新聞社の、記事の編集方針を示したものとされる。新聞社が記者全員に配る『取材と報道』に現在でも掲載される重要指針[1]

「新聞編集に必要な一切の管理を行なう権能」である編集権の行使者は、「経営管理者およびその委託を受けた編集管理者に限られる」とするものであり、これは新聞による報道への外部からの介入を防ぐものであると同時に、個々の記者などが持つ経営陣からの独立した権限を制限するものであった。背景に、占領下の日本において、労働組合の経営陣との対立やプレス・コードとの兼ね合いといった問題点を起点として、過度な民主化が新聞社統制への障害になる懸念をGHQが持ったことがあるとされ[2][3][注 1]、そのような時代背景の中で、編集権の概念が「きわめて政治的な機能を持った規制力」として受容された[5][注 2]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 1948年3月3日には、GHQは編集権侵害には労働法が適用されないという内容を含む声明を発表していた[4]
  2. ^ 「編集権」という用語は、アメリカにも占領期以前の日本にも存在しなかった[6][7]

出典

[編集]
  1. ^ “朝日新聞記者、他社の安倍元首相記事の掲載前に閲覧要求「ゴーサインは私が決める」”. Business Journal. (2022年4月12日). https://biz-journal.jp/journalism/post_289678.html 
  2. ^ “朝日新聞「池上コラム」問題でも注目 新聞社における「経営と編集の分離」の原則とは?”. Y!ニュース. (2015年1月1日). https://news.yahoo.co.jp/articles/3c65a405a1bc0d2d5447a577b86e681e3d0487de 
  3. ^ 柏木成樹 (1960). 新聞編集権をめぐる労働関係 : 新聞の自由と新聞労働協約. 朝日新聞社調査研究室. pp. 24〜38. doi:10.11501/9526667 
  4. ^ 新井直之 (1979). 新聞戦後史 : ジャーナリズムのつくりかえ 増補版. 双柿舎. pp. 21〜27. doi:10.11501/12278733 
  5. ^ 新聞学. 日本評論社. (1977). pp. 110〜120. doi:10.11501/12274560 
  6. ^ メディア・権力・市民. 青木書店. (1981). pp. 27〜63. doi:10.11501/12104427 
  7. ^ 講座現代の社会とコミュニケーション 3 (言論の自由). 東京大学出版会. (1974). pp. 105〜121. doi:10.11501/12104587 

参考文献

[編集]

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]