冷凍能力
冷凍能力(れいとうのうりょく)とは、冷凍機などが物体を冷却する能力のこと。冷房機の場合は冷房能力(れいぼうのうりょく)と呼ぶこともある。
概要
[編集]物体を冷却する能力を定量的に求めるためには「単位時間当たりの、物体から奪う熱量」を求めればよい。SIでは、ジュール毎秒(J/s)すなわちワット(W)を用いることになるが、冷凍能力は慣習的にキロカロリー毎時(kcal/h)を用いることが多い。1 kcalは、正確に4,184 Jであるから、1 kcal/h = 4,184/3,600 J/s ≒ 1.162 W である。
冷凍トン
[編集]冷凍トン(れいとうトン、英: Refrigeration Ton または Ton of Refrigeration、記号: RtまたはRT)とは、冷凍機などの冷凍能力を表す慣用の単位である。「0 ℃の水 1トンが 24時間で 0℃の氷に変化するために必要な熱量」を指し、「水から氷に相転移させる際、水から奪う必要がある熱」すなわち潜熱に着目した単位である。
日本における冷凍トンの定義
[編集]「0℃の水 1 トン(1,000 kg)が 24時間で 0℃の氷に変化するために必要な熱量」を日本冷凍トン(Japan Refrigerating Tons、略称:JRtまたはJRT)と定義している。JIS規格では、日本冷凍トンを「冷凍能力の単位。1 冷凍トンは,24時間で 0℃ 重さ 1 トンの水を 0℃の氷にするのに必要な冷却能力。1 冷凍トンは 13900kJ/h(3320kcal/h)。」と定義している[1]。0℃の氷の融解熱(凝固熱)は79.68 kcal/kgであることから、1日本冷蔵トン(1JRt)=79.68×1,000/24=3,320kcal/h(重力単位)[2]。SI単位に換算した場合、3,861.16W=3.86116kWとなる[3][4]。
アメリカにおける冷凍トンの定義
[編集]アメリカ合衆国ではヤード・ポンド法を米国慣用単位として用いることから、メートル法のトン(1メトリックトン=1000kg)ではなく、ショートトン(米トン=2000ポンド)で計算する。
「0℃の水 1 トン(2000ポンド=907.18474kg)が 24時間で 0℃の氷に変化するために必要な熱量」を米国冷凍トン(Refrigerating Tons、略称:RTまたはUSRt、USRT)と定義している。0℃の氷の融解熱(凝固熱)は144Btu/Lb(=80 kcal/kg)として、1米国冷凍トン(1USRt)=144×2,000/24=12,000Btu/h=3024kcal/h(重力単位)[2]。SI単位に換算した場合、3,516.85W=3.51685kWとなる[3][4]。
脚注
[編集]- ^ JIS Z 9212-1983 エネルギー管理用語(その2) 番号9610「日本冷凍トン」、日本産業標準調査会
- ^ a b ターボ冷凍機ハンドブック2013、一般社団法人日本冷凍空調工業会 ターボ冷凍機技術専門委員会、2013年4月、2頁
- ^ a b 冷凍トン、一般社団法人日本機械学会 機械工学事典「電子版」
- ^ a b 冷凍機(チラー)に使われている冷凍トンとカロリーとの換算はどのようにするのでしょうか。、一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター