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書記長

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
書記局長から転送)

書記長(しょきちょう、英語: general secretaryロシア語: генеральный секретарьドイツ語: Generalsekretär中国語: 总书记)は、政党労働組合における事務責任者を指す。

一般的な団体における「事務総長」に相当する(英文もほぼ同じである)。

政党や労働組合の書記局に置かれる場合と、地方公共団体に置かれる場合がある。

団体に置かれる書記長

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団体においては「書記局の長」という意味合いで主に用いられる。書記局は、日常的な業務を処理する機関である。「書記長」という名前は、委員長と同じく、社会党社会民主党共産党労働組合に用いられることが多い。

日本でも1990年代前半までは、旧日本社会党や旧公明党新進党合流以前)、民社党(新進党に合流して解散)、社会民主連合(94年解散)などで「書記長」と言う呼称が採用されていたが(ただし、東欧諸国と異なり、名目的にも実権上も委員長を下回る地位であった)、今日では自由民主党と同様の「幹事長」との呼称に変更されている。なお、日本共産党では「書記長」ではなく「書記局長」(補佐役は書記局次長)という呼称が1970年より用いられている(地方組織の都道府県委員会では書記長を使用)。地域政党沖縄社会大衆党は書記長・副書記長を置いている。また、社民党も、沖縄県の地方組織である沖縄県連合については旧社会党と同じく書記長・書記次長(県連の代表者は、他の都道府県のように「代表」ではなく委員長を使用)を置いている。

一水会大日本愛国党などでは、右翼団体としては少数事例ではあるが、役職に書記長を置いている。

労働組合では非連合系のナショナルセンターである全国労働組合総連合(全労連)系と全国労働組合連絡協議会(全労協)系は書記長を使い、反共主義を明確化している日本労働組合総連合会(連合)系は「事務局長」を使っていることもある。ただし、全労連も中央については「事務局長」を使っている。

創価学会では全国男子部書記長や創価班全国書記長、またラインでは圏(区)以上に書記長がおかれている。また、社会部等各種部にも書記長がおかれている(ただし、創価学会の組織における「書記長」は、その組織のトップではなく、トップを補佐する事務責任者にすぎない[注釈 1])。

社会主義国家における書記長

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東側諸国の場合、支配政党の中央委員会書記長が党首にあたるものとして存在し(日本などの社会主義政党と異なり、書記長より上の党役職は存在しない)、党だけでなく国家の実権を掌握することが多かった。

ソビエト連邦においては、1936年憲法126条で「党の指導的役割」が明記されており、国家元首である最高会議幹部会議長や、行政の長(首相格)である人民委員会議議長ではなく、ソビエト連邦共産党書記長が最高権力者であった。時期によっては、また東欧諸国の一部では、第一書記と呼ばれたこともある。中国における総書記も、やはり元首である国家主席より強い権力を持つ(ブレジネフ以降のソ連や江沢民以降の中国のように、書記長・総書記が元首を兼ねている場合もあるが、その場合でも元首の職責は儀礼的な部分が多く、党の最高指導者であることが権力の源泉である)。

党の方針は予め書記長を含む少数の幹部で話し合い、書記長が具体的な決議案・予算案を文書化してから、党大会でその可否を問うという形で決めていた。

また、党大会の委員も、建前としては「各支部から投票で選出する」ことになっていたが、自由に立候補出来る訳ではなく、中央委員会から事前に送られてくる『候補者名簿』の中から選ばなくてはならない。当然、この名簿の作成にも書記長が関わっていたため、書記長は、自分の言うことを聞き従う委員を選び、自分で作った議案を簡単に通すことが可能だった。

この様な「党の実権を握る書記長」の先駆けはソビエト連邦共産党書記長を務めたヨシフ・スターリンだった。

スターリンが権力を掌握出来た理由として以下のことが挙げられる。

  • 元々ボリシェヴィキには、「ロシアは資本主義が未発達なので労働者の資本家に対する闘争意識も薄い。よって少数精鋭の革命家集団(共産党)が多数の労働者を指揮しなくてはならない」という『前衛党論』と、「党の方針は自由な議論によって決めるが、一度決まった方針には全党員が必ず従わなくてはならない」という『民主集中制』という原則があり、少数の幹部党員によって党を運営することが正当化されていた。ロシア革命直後は反革命勢力との戦争や食糧危機に追われ、定期的に党大会を招集する余裕がなかったため、その傾向が強まった。
  • 党中央の書記長は地方支部の書記の人事権も持っていたので、書記長を中心とする書記の全国ネットワークが構築され、そのネットワークが食料の徴発や反革命勢力の逮捕に利用された。また国民の政府に対する要望も集約できたため、「外国の革命を支援するより自国の発展に注力する(一国社会主義論)」、「地主の土地を取り上げて農民の共有財産とする(集団農場)」といった国民の支持を得られる政策を打ち出し、政敵を追い落とすことが出来た。
  • 1922年にレーニンが脳梗塞で倒れ入院すると、スターリンは手紙や来客をレーニンに取り付いだり、逆にレーニンの意向を党の会議で報告する役割を任された。そのためレーニンに対しても他の党幹部に対しても、都合の悪い情報を表に出さないことが出来た。

結果として、書記、書記長、第一書記といった、本来は事務職員やその取りまとめ役程度の意味合いしか持たなかった軽い言葉が、超大国、大国の最高権力者を指すようになるという20世紀固有の現象が定着していった。本来は、国家のトップといえども人民に奉仕する事務員にすぎないという共産主義の建前であるが、実態は全くこれとはかけはなれた専制主義的独裁者を多く生むことになる。

地方公共団体に置かれる書記長

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地方公共団体の組織に設置される書記長の職は、一般に、独立した機関において専任の職員を配置して事務局を設けない場合に、首長部局の職員の者が兼任して独立した機関の事務を掌らせるために設けられることが多い。

事務局を置かない議会

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事務局を置かない市町村の議会に書記長が置かれるが、町村においては書記長を置かないことができる[1]

職務

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書記長は、議長の命を受け議会の庶務を掌理し、書記その他の職員を指揮する[2]。また、議長の命を受けて会議録を調製し、会議の次第及び出席議員の氏名を記載させなければならない[3]

任命権者

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書記長は、議長が任免する[4]

身分の取扱い

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書記長の職務及び身分の取扱いについては、地方自治法の定めるもののほか、地方公務員法の定めるところによる[5]

事務局を置く議会

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事務局を置く議会においては、事務局長が書記長に相当し、その職務、身分の取扱いなどについては上記に準ずる。

選挙管理委員会

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都道府県及び選挙管理委員会にも書記長が置かれる[6]

職務

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書記長は、委員長の命を受け、選挙管理委員会に関する事務に従事するほか、書記その他の職員を指揮する[7]

任命権者

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書記長は、選挙管理委員会が任免する。

身分の取扱い

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身分の取扱いについては、地方自治法の定めるもののほか、地方公務員法の定めるところによる[8]

脚注

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注釈

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  1. ^ 例えば、2010年5月6日現在の婦人部長である杉本しのぶは、婦人部書記長からの昇任であった(創価学会:基本情報:各部長紹介)。

出典

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  1. ^ 地方自治法第138条第4項
  2. ^ 地方自治法第138条第7項、第8項
  3. ^ 地方自治法第123条第1項
  4. ^ 地方自治法第138条第5項
  5. ^ 地方自治法第138条第9項
  6. ^ 地方自治法第191条第1項
  7. ^ 地方自治法第191条第3項
  8. ^ 地方自治法第172条第2項、第4項、第193条

関連項目

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