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追憶 (唱歌)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
月みればから転送)

追憶」(ついおく)は、アメリカ合衆国賛美歌聖歌として歌われていた「フリー・アズ・ア・バード (Flee as a bird)」ないし「フリー・アズ・ア・バード・トゥ・ユア・マウンテン (Flee as a bird to your mountain)」に、古関吉雄日本語詞をつけ、1939年に発表された唱歌[1][2]第二次世界大戦後の日本では、音楽の教科書に掲載されるなど広く知られ[1][2]、また「フリー・アズ・ア・バード」の演奏が、日本語ではこの曲名で紹介されることもある。

「フリー・アズ・ア・バード」

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フリー・アズ・ア・バード」は、アメリカ合衆国詩人で、賛美歌の作詞作曲もしたメアリ・S・B・シンドラー英語版(旧姓:ダナ (Dana))が、スペインの旋律をもとに、旧約聖書詩篇第11篇)に基づいて作詞した賛美歌とされる[3]。ただし、原曲となった具体的な楽曲は特定されていない[3]。曲名は「鳥のように、(向こうの山に)飛んでゆけ」を意味する冒頭の1行から取られている[4]

Flee as a bird

Flee as a bird to yon mountain,
Thou who art weary of sin;
Go to the clear flowing fountain,
Where you may wash and be clean.
Fly for th' avenger is near thee,
Call, and the Saviour will hear thee,
He on His bosom will bear thee;
Oh, thou who art weary of sin.
Oh, thou who art weary of sin.

He will protect thee forever,
Wipe every falling tear;
He will forsake thee, Oh, never,
Sheltered so tenderly there!
Haste then, the hours are flying,
Spend not the moments in sighing,
Cease from your sorrow and crying,
The Saviour will wipe ev'ry tear,

The Saviour will wipe ev'ry tear.

1916年には、コントラルトルイーズ・ホーマーがこの曲を録音している[5]

この曲は、セカンド・ラインとして知られるニューオーリンズにおける黒人の葬送の際によく演奏される楽曲でもあり、それを再現したジャズ・ミュージシャンによる演奏でもしばしば取り上げられ、ルイ・アームストロング[6]ジョージ・ルイスから[7]ウィントン・マルサリスまで、様々な音楽家による録音がある[8]ジェリー・ロール・モートンは、1927年に発表した「デッド・マン・ブルース (Dead Man Blues)」の冒頭に、この曲からの引用を盛り込んでいる[9]

日本語での歌唱

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「月みれば」

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フリー・アズ・ア・バード」をもとに日本語詞をつける取り組みの最初は、1890年に『明治唱歌 第五集』に収録される形で発表された、大和田建樹による「月みれば」であった[2]

月みれば

霞にしづめる 月影見れば
浮世を離れて 心は空に
海原しづかに 波もなき夜を
松原ねむりて 月もなき夜半を
  あゝめでゝや 空に

布ひく雲間に かかれる見れば
この世のにごりも 忘れて空に
萩ちる野末に 鹿のなく夜を
花咲く芦辺に 雁の来る夜半を

  あゝめでゝや 空に

「故小妹」

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1919年には、ユニテリアンのサークルであった「惟一倶楽部」名義の日本語詞による「故小妹」(こしょうまい)が発表され、後には喜波貞子藤山一郎によって録音も行われた[2]

故小妹

更けゆく鐘の音 思いうつせみの
果なき面影 結びもあえず
忽(たちま)ち夢さめて とめし我が手に残しし
ゆかりの色濃き 若紫の
ああ ゆかりの小袖

思い出づれば 十年(ととせ)の昔
はるけき旅路に 我等残しし
幼き姉妹(はらから)の 夢の面影なれや
更けゆく鐘の音 昔を語る

ああ ゆかりの小袖

「追憶」

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1939年に、明治大学教授であった古関吉雄は、「追憶」と題して、「星影やさしく またたくみ空」で歌い出す歌詞を発表し、以降、学校教科書などで取り上げられるようになって、この曲の代表的な日本語詞となった[2]

脚注

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  1. ^ a b 追憶(星影やさしく またたくみ空)”. 世界の民謡・童謡. 2017年7月3日閲覧。
  2. ^ a b c d e 二木紘三 (2012年6月26日). “二木紘三のうた物語 追憶”. 二木紘三. 2017年7月3日閲覧。
  3. ^ a b Flee As a Bird フリー・アズ・ア・バード”. 世界の民謡・童謡. 2017年7月3日閲覧。
  4. ^ 訳文は三宅忠明による。:Flee as a Bird”. 三宅忠明. 2017年7月3日閲覧。
  5. ^ Flee as a bird”. Library of Congress. 2017年7月2日閲覧。
  6. ^ ‘Flee As A Bird’”. Paul Neeley (2013年6月27日). 2017年7月2日閲覧。
  7. ^ George Lewis' Ragtime Band of New Orleans: The Oxford Series, Vol. 3 - オールミュージック
  8. ^ The Spiritual Side of Wynton Marsalis - オールミュージック
  9. ^ A New Orleans Jazz History, 1895-1927”. NPR. 2017年7月2日閲覧。

外部リンク

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