コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

本間一夫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本点字図書館創設に関するインタビューでスーツを着て微笑んでいる75歳の本間一夫の写真
75歳の本間一夫

本間 一夫(ほんま かずお、 1915年10月7日 - 2003年8月1日)は、日本点字図書館の創立者。点字図書録音図書の製作と貸出を主とする図書館事業に取り組み、視覚障害者の読書環境向上に貢献した。

来歴

[編集]

1915年(大正4年)、北海道増毛町の商家丸一本間家に生まれる[1]。1920年(大正9年)、脳膜炎にかかり視力を失う[2]。1929年(昭和4年)、函館盲唖院に3年生として入学。点字を知る[2]琵琶の稽古を始める。1932年(昭和7年)、北海道弁論大会で2位を取る。演題は「明日の希望に生きよ」[3]。1933年(昭和8年)、函館の組合教会で岩橋武夫の講演を聴く。東北・北海道弁論大会で1位を取る。演題は「聞け黎明に高鳴る響きよ」[3]。1934年(昭和9年)、メソジスト教会で熊谷鉄太郎の講演を聴き握手する[4]。1935年(昭和10年)、函館盲唖院中等部を卒業。

関西学院大学時代

[編集]

1936年(昭和11年)、中村京太郎に会う[4]。1937年(昭和12年)、関西学院長ベーツの司式により受洗する[5]。1939年(昭和14年)、関西学院文学部専門部英文科を卒業。東京の「陽光会」に勤務し「点字倶楽部」の編集に当たる[6]

日本盲人図書館の創立

[編集]
創立されたばかりの日本盲人図書館の前に、スーツを着て杖をつき帽子を片手に持ったサングラスをかけた本間一夫青年が立っている写真
日本盲人図書館創立当初の本間一夫

1940年(昭和15年)、豊島区雑司が谷点字図書館を創立し、「日本盲人図書館」と命名[6]

1941年(昭和16年)、新宿区高田馬場に図書館と住居を移転[7]。1943年(昭和18年)、吉祥寺教会で藤林喜代子と結婚[7]。1944年(昭和19年)、茨城県結城郡総上村に疎開[8]。1945年(昭和20年)、北海道増毛町に再度疎開[8]

1948年(昭和23年)、高田馬場に住宅を再建し、「日本点字図書館」と改名し再出発する[9]NHK朝のラジオ「私たちの言葉」で「点訳奉仕を世に訴える」と題して話し反響を呼ぶ[10]。東京本郷富士見町教会ヘレン・ケラーと会い握手する[10]。1964年(昭和39年)、加藤善徳と欧米視察旅行へ行く[10]。ニューヨークで開催された、第3回世界盲人福祉会議に出席[11]。ロンドンの点字図書館、ルイ・ブライユの生家などを訪問し、盲人用具150点を収集して帰国[10]。1966年(昭和41年)、NHKラジオ「人生読本」に出演[10]。1969年(昭和44年)、ニューデリーで開催された第4回世界盲人福祉会議に出席し講演する[10]。1970年(昭和45年)、韓国の盲教育大会で講演する[10]。1978年(昭和53年)、日本点字図書館理事長に就任[10]

1986年(昭和61年)、「わたしの青春ノート」に出演。1991年(平成3年)、「点字毎日」に「我が人生 日本点字図書館」を連載する(3月から6月まで)[10]。1995年(平成7年)、母校の北海道函館盲学校創立100周年に招かれ記念講演をする[10]。1996年(平成8年)、「点字毎日」に「忘れえぬ事ども」を連載する(1月から翌年3月まで)[10]。2003年(平成15年)、心不全のため死去。享年87[12]

没後、日本点字図書館により本間一夫文化賞が設けられた[13]

受賞歴

[編集]

著書

[編集]

参考文献

[編集]
  • 本間記念室委員会 編『本間一夫と日本盲人図書館』日本点字図書館、2015年。 
  • 金治直美『読む喜びをすべての人に 日本点字図書館を創った本間一夫』2019年、佼成出版社ISBN 978-4-333-02812-2
  • 日本点字図書館『われら播きし一粒の麦は : 日本点字図書館創立50周年記念誌』1990年、社会福祉法人日本点字図書館。

脚注

[編集]
  1. ^ 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 8.
  2. ^ a b 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 9.
  3. ^ a b 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 11.
  4. ^ a b 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 12.
  5. ^ 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 13.
  6. ^ a b 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 14.
  7. ^ a b 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 15.
  8. ^ a b 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 16.
  9. ^ 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 17.
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 谷合侑「本間一夫略年譜」『我が人生「日本点字図書館」』日本図書センター、2001年、pp.199-208
  11. ^ 金治、p.113
  12. ^ 金治、p.122
  13. ^ 本間一夫文化賞|日本点字図書館
  14. ^ 金治、p.108
  15. ^ 本間一夫とは - コトバンク(2021年8月18日閲覧)

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]