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火山帯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
火山列から転送)

火山帯(かざんたい、: volcanic belt, volcanic zone[1], : Volkanzone, : zone de valcans, : вулканический пояс[2])は、火山が列をなすように分布する地帯[1]。火山が広く面的に分布することはほとんどないが、これを一般の山脈とは別に火山帯と呼ぶ[3]。「ある限られた時代内に噴出した火山が多数分布する帯状地域」とする定義もある[4]

古くは火山脈とも呼んだ[2]

概要

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火山帯には火山が分布するだけでなく、火山活動噴気孔温泉などを含む)も見られる[3]

第四紀以降の地球上の火山をみると、帯状になっていたり、限られた地域に集まって分布している[5]海洋プレートの沈み込みで海洋地殻から脱水した水がマントルウェッジのかんらん岩の融点を下げ、マグマを形成し、それが地表から噴出することで火山が形成される。こうして形成される火山は沈み込み境界に平行で帯状に分布する火山帯となる[6]

火山帯の中にも火山が分布していない地域もあり、それによって火山帯をさらに細分する場合は、火山フロントからの距離に応じた細長い火山列(かざんれつ、volcanic chain)に区分するのが合理的である。これは沈み込んだ海洋プレートの到達深度によって発生するマグマの成分が異なるからである。海洋側の火山フロントの近くには珪酸が多くアルカリが少ない玄武岩質マグマに由来する火山が並び、その背後の大陸側ではアルカリが多く珪酸が少ない火山が分布する。両者の境界は明確ではなく、連続的に移り変わる[2][7]

地球全体では環太平洋火山帯地中海火山帯インドネシア火山帯、大西洋火山群、ハワイ諸島の火山群、東部アフリカ火山帯が主要なものである[8]。いずれも地殻変動が最も盛んな地帯であり、地震帯ともほぼ一致する[8]

日本では国内の火山を地理的分布にもとづいて七つの火山帯(千島・那須・鳥海・富士・乗鞍・大山(白山)・霧島(琉球))に区分していた[7] が、現在では適切ではないとして使われない[9]。近年ではプレートテクトニクスにもとづく日本列島の大地形の説明に関連して、東日本火山帯西日本火山帯に二分する[4]

脚注

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  1. ^ a b 大明堂 2002, p. 36.
  2. ^ a b c 平凡社 1996, p. 232.
  3. ^ a b 古今書院 1983, p. 45.
  4. ^ a b 大明堂 1979, p. 79.
  5. ^ 吉川圭三「霧島火山帯の火山活動」『京大防災研究所年報』12A、京都大学、1969年、5頁。 
  6. ^ 高橋 2017, p. 149.
  7. ^ a b 朝倉書店 2017, p. 110-111.
  8. ^ a b 古今書院 1987, p. 83.
  9. ^ 東京堂出版 1993, p. 39.

参考文献

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  • 高橋雅紀「東西日本の地質学的境界【第七話】火山フロントのずれ」『地質ニュース』第6巻第5号、産業技術総合研究所地質調査総合センター、2017年、149-157頁。 
  • 『地下資源調査所ニュース』第6巻第1号、北海道立地下資源調査所、1990年1月20日、ISSN 0910-8122 
  • 片山信夫, 森本良平, 木村敏雄, 竹内均 編『新版 地学辞典(2)』(第8刷)古今書院、東京都千代田区神田駿河台、1987年7月15日。 
  • 地学団体研究会新版地学事典編集委員会 編『新版 地学事典』平凡社、1996年10月20日。ISBN 4-582-11506-3 
  • 日本地形学連合 編『地形の辞典』朝倉書店、2017年2月10日。ISBN 978-4-254-16063-5 
  • 浮田典良 編『最新地理学用語辞典』大明堂、2002年11月18日。ISBN 4-470-67009-X 
  • 金崎肇『地理用語の基礎知識』古今書院、1983年7月15日。ISBN 4-7722-1193-4 
  • 藤岡謙二郎 編『最新地理学辞典―新訂版―』大明堂、東京都千代田区神田小川町、1979年10月6日。 
  • 勝又護 編『地震・火山の事典』東京堂出版、1993年9月1日。ISBN 4-490-10354-9 

関連項目

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外部リンク

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