インフレ連動債
インフレ連動債(インフレれんどうさい、英: inflation indexed/linked bonds[1])や物価連動債(ぶっかれんどうさい)とは、仕組みにより異なる場合があるが、一般に元本がインフレ率によって変動する債券である。各政府が国債として発行するものと、各企業が社債として発行するものとがある。
日本、アメリカ合衆国、イギリスなどで発行されている。固定金利債券との違いは、元本・クーポン(利息)のどちらかないし両方が、発行条件に明示されている物価指数による調整を受ける点である。
日本国債
[編集]日本では2004年2月より、国家・公共団体と金融機関系の法人のみ購入が可能な10年の「物価連動国債」が発行された。これは元本に対するクーポン利率は固定であるものの、元本及び受取クーポン額が参照消費者物価指数(概ね3ヶ月前だが例外規定あり)に連動する。全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)を基準とする[2]。消費者物価指数に連動するため、元本の最低保証はなく、償還価格が購入時価格を下回ることも有り得る。また、この物価連動国債を組み込んだ投資信託も設定され、証券会社などで販売されていた。
長引くデフレによる需要の落ち込みで2008年に発行を中断されていたが、2013年に発行が再開される[3]。
2013年10月8日、物価連動国債10年物の入札が5年ぶりに実施された[4]。
2015年1月から個人に対しても物価連動国債の販売が解禁される[5][6]。
米国債
[編集]米国では、Treasury Inflation-Protected Securities (TIPS) の名称で販売している。インフレ率は消費者物価指数の Consumer Price Index for All Urban Consumers (CPI-U) で計測する。5, 10, 30年債が販売されている。1997年1月29日販売開始。[7][8]
期待インフレ率
[編集]期待インフレ率(予想インフレ率)やブレーク・イーブン・インフレ率(損益分岐インフレ率)に関しては期待インフレ率を参照。
脚注
[編集]- ^ 【WSJで学ぶ経済英語】第76回 ブレークイーブン・インフレ率WSJ.com 2013年4月1日
- ^ 物価連動国債の商品設計 : 財務省
- ^ 物価連動債が3年ぶりに復活、13年度計画に数千億円=政府筋Reuters 2013年1月27日
- ^ アングル:物価連動債5年ぶり発行、期待インフレ率2%へ道遠しReuters 2013年10月8日
- ^ 麻生財務相、物価連動債の個人保有「来年から解禁」Reuters 2014年5月13日
- ^ 物価連動債を個人に解禁 財務相表明、15年1月から日本経済新聞 2014年5月13日
- ^ Institutional - Treasury Inflation-Protected Securities (TIPS) - TreasuryDirect
- ^ Individual - Timeline of Treasury Inflation-Protected Securities (TIPS) - TreasuryDirect