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おすわどん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

おすわどん古典落語の演目の一つ。主に東京で広く演じられる。

概要

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怪談噺滑稽噺の要素が混じった演目。

桂歌丸が『文芸倶楽部』(1907年10月刊)に掲載されていた六代目桂文治の口演速記から発掘し、手を加えた上で持ちネタとした。のちに5代目三遊亭圓楽が歌丸から直接教わり演者の一人となる[1]

他には柳家喜多八も持ちネタとしていたほか、文治の名を継いだ十一代目も歌丸から教わり演じている[2]

あらすじ

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江戸下谷阿倍川町の呉服商・上州屋徳三郎と妻のお染(あるいは、お艶)は、大変仲の良いことで評判であった。しかし妻は病の床に就き、ある日徳三郎に「そろそろ天からお迎えが参りました。そろそろお前さんも後添え(=後妻を迎えること)を考えなくてはいけない。あなたに大層尽くしてくれる人と結ばれてほしい。そうでない人が来た時、後悔するのはあなたです」といい終えて、亡くなる。四十九日が過ぎ、徳三郎は女中のおすわを後妻に迎えた。

ある晩、徳三郎が用を足して寝室に戻ろうとすると、外でバタバタと戸を叩くような音がし、続いて「おすわどーん」と呼ぶか細い声が聞こえるようになる。これが毎晩続き、気に病んだおすわは寝込んでしまう。上州屋の人々は、前妻の幽霊ではないかと恐れおののく。徳三郎は町内に住む浪人の「荒木またずれ(荒木又右衛門のもじり)」に、店の門の裏に張り込んで幽霊の正体を見破るよう頼む。

その晩、荒木は剣を構え、音と声の主を待つ。バタバタバタ。「おすわどーん」「待て!」荒木が表へ飛び出すと、声がしたあたりには屋台のそば屋が座っている。バタバタという音はうちわ七輪をあおいで火をおこす音であり、「おすわどーん」と聞こえた声は「おそば、うどーん」という売り声であった。

荒木は「拙者は、上州屋の主に頼まれて化け物退治にまいったのだ。しかし、武士としてこのまま手ぶらで帰るわけにはまいらん。化け物の首を持ち帰りたい。打ち落とすからこれへ出せ」と無理を言う。そば屋は「私の首は差し上げられません。その代わり、私の息子を身代わりに立てますので、お許しを」と言って、屋台の引き出しからそば粉を取り出し、「そば屋のコ(子=粉)だからソバコ」ととぼけてみせる。荒木が「たわけたことを申すな。貴様これを何とするのだ」と怒ると、そば屋は平然として、

「ええ、テウチになさいまし」(そばの生地を打つことをさす「手打ち」と武士の制裁をさす「手討ち」を掛けた地口)。

脚注

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  1. ^ 桂歌丸 長井好弘『歌丸不死鳥ひとり語り』 2018年 中央公論新社 ISBN 9784122066229 p97-99
  2. ^ @11bunji (2023年8月22日). "月曜日の夜に墨亭へご来場のお客様に感謝。…". X(旧Twitter)より2024年9月25日閲覧