フーズ・ミッシング
『フーズ・ミッシング』 | |
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ザ・フー の コンピレーション・アルバム | |
リリース | |
録音 | 1964年-1971年 |
ジャンル | ロック |
時間 | |
レーベル |
MCAレコード ポリドール・レコード |
『フーズ・ミッシング』(Who's Missing)は、イングランドのロック・バンドであるザ・フーのコンピレーション・アルバムである[1]。彼等が解散していた1985年にアメリカで発表された[注釈 1]。
概要
[編集]経緯
[編集]ザ・フーの歴史は、1964年にピート・タウンゼント(ギター、ヴォーカル)、ロジャー・ダルトリー(リード・ヴォーカル)、ジョン・エントウィッスル(ベース・ギター、ヴォーカル)、キース・ムーン(ドラムス)の顔ぶれで始まった[注釈 2]。彼等はピーター・ミーデンのマネージメントの下でザ・ハイ・ナンバーズ(The High Numbers)と改名して、同年7月にイギリスでデビュー・シングルを発表した[2]。その後、キット・ランバートとクリス・スタンプをマネージャーに迎え、1965年1月にザ・フー名義のデビュー・シングル[3]を発表した。1978年8月にムーンが死去すると、彼等はケニー・ジョーンズを迎えて活動を続け、1982年末にフェアウェル・ツアーを行なって解散した。
解散後、1980年代には様々な編集アルバムが、イギリスではポリドール・レコード[4][5][6][7]、アメリカではMCAレコード[8][1][9][7]から発表された。MCAレコードが1985年に発表した本作[注釈 1]と1987年に発表した続編のトゥーズ・ミッシング[9]には、シングルやEPで発表されたアルバム未収録曲の他、未発表のスタジオ音源とライブ録音が数曲収録された。
内容
[編集]収録曲は1964年から1971年までの期間に録音された12曲で、オリジナルが7曲、カヴァーが5曲である。オリジナルの「バーゲン」のライブ録音、カヴァーの「リーヴィング・ヒア」、「ルビー (カム・バック・ホーム)」は、本作で初めて発表された。
オリジナル
[編集]未発表音源
[編集]- 「バーゲン(Bargain)」(Live)
1971年12月13日、サンフランシスコのシビック・オーディトリウムで録音[10]されたライブ音源。原曲はアルバム『フーズ・ネクスト』(1971年)収録。
アメリカでの未発表曲
[編集]- 「ワイルド・ボーイ(When I was a Boy)」
- 1971年にイギリスで発表されたシングル『レッツ・シー・アクション』のB面に収録[11]。
アメリカでのアルバム未収録曲
[編集]- 「ヘヴン・アンド・ヘル(Heaven and Hell)」
- 「ヒア・フォー・モア(Here for More)」
- 「ドント・ノウ・マイセルフ(Don't Know Myself)」
- 「アイム・ア・ボーイ(I'm a Boy)」(Original version)
- 1966年8月にロンドンのIBCスタジオで録音され、同月にイギリス、12月にアメリカでシングル発表された[16]。因みに編集アルバム『ミーティ・ビーティ・ビッグ・アンド・バウンシィ』(1971年)に収録された'Extended version'は、同年10月に録音されたもののステレオ・ミックスである。
- 「マリー・アンヌ(Mary Ann with the Shaky Hand)」(Original version)
- 1967年8月6日に、ニューヨークのタレントマスターズ・スタジオで録音され、同年9月にアメリカで発表されたシングル『恋のマジック・アイ』[17]のB面に収録された。因みにアルバム『セル・アウト』(1967年)に収録されたものは、同年10月24日にロンドンのデ・レーン・リー・スタジオで録音された。
カヴァー
[編集]未発表音源
[編集]- 「リーヴィング・ヒア(Leaving Here)」
- 彼等がザ・ハイ・ナンバーズと名乗っていた1964年6月、ロンドンにあったフォンタナ・レコードのスタジオでChris Permeinterとミーデンのプロデュ―スによって録音された[注釈 3]。原曲はエディ・ホーランド、ブライアン・ホーランド、ラモント・ドジャーが構成したアメリカのソングライター・チームであるホーランド=ドジャー=ホーランドの楽曲で、1963年12月にエディ・ホーランドがシングルで発表した。
- 「ルビー (カム・バック・ホーム)(Lubie (Come Back Home))」
- 1965年3月11日にロンドンのIBCスタジオで、タルミーのプロデュースにより録音された。ニッキー・ホプキンス(ピアノ)が参加。原曲はポール・リヴィア&ザ・レイダーズが1964年に発表したルイ、ゴー・ホームである。
アメリカでの未発表曲
[編集]- 「バーバラ・アン(Barbara Ann)」
- 1966年11月にイギリスで発表されたEP『レディ・ステディ・フー』に収録。ムーンがリード・ヴォーカルを担当[18][注釈 4][19]。原曲はフレッド・ファサート作。1958年にドゥーワップ・グループのリージェンツによって録音され、1961年にBarbara-Annの題で発表されて[20]Billboard Hot 100 チャートで13位まで上昇した。ザ・ビーチ・ボーイズのアルバム『ビーチ・ボーイズ・パーティ』(1965年)で取り上げられ、シングル・カットされて[21]欧米で大ヒットした。
アメリカでのアルバム未収録曲
[編集]- 「シャウト・アンド・シミ―(Shout and Shimmy)」
- 1965年4月12日にロンドンのIBCスタジオでシェル・タルミーのプロデュースにより録音され[22]、同年10月29日にイギリス、11月20日にアメリカで発表されたシングル『マイ・ジェネレーション』のB面[23]に収録された[注釈 5]。原曲はジェームス・ブラウンの自作で、1962年6月にシングルで発表されてBillboard Hot 100 チャートの61位まで上昇した。
- 「エニータイム・ユー・ウォント・ミー(Anytime You Want Me)」
- 1965年4月12日から14日にかけて、ロンドンのIBCスタジオでタルミーのプロデュースにより行なわれたレコーディング・セッションで録音され[22]、同年6月5日にアメリカで発表されたシングル『エニウェイ・エニハウ・エニホエア』[24][25]のB面に収録された。ホプキンス(ピアノ)とジ・アイヴィー・リーグ(コーラス)が参加。原曲はガーネット・ミムズ・アンド・ザ・エンチャンターズ(Garnet Mimms and the Enchanters)[26]を率いたアメリカのシンガーのガーネット・ミムズが、ジェリー・ラゴヴォイと共作して1964年にシングルで発表した[27]。
収録曲
[編集]LP
[編集]# | タイトル | 作詞・作曲 | 録音年月日及び場所・プロデュ―サー・オリジナル | 時間 |
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1. | 「シャウト・アンド・シミ―(Shout and Shimmy)」 | James Brown |
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2. | 「リーヴィング・ヒア(Leaving Here)」 | Lamont Dozier, Brian Holland, Eddie Holland |
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3. | 「エニータイム・ユー・ウォント・ミー(Anytime You Want Me)」 | Jerry Ragovoy, Garnet Mimms |
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4. | 「ルビー(Lubie (Come Back Home))」 | Paul Revere, Mark Lindsay |
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5. | 「バーバラ・アン(Barbara Ann)」 | Fred Fassert |
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6. | 「アイム・ア・ボーイ(I'm a Boy)」(Original version) | Pete Townshend | ||
7. | 「マリー・アンヌ(Mary Anne with the Shaky Hand)」(Original version) | Townshend |
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合計時間: |
# | タイトル | 作詞・作曲 | 録音年月日及び場所・プロデュ―サー・オリジナル | 時間 |
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1. | 「ヘヴン・アンド・ヘル(Heaven and Hell)」 | John Entwistle |
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2. | 「ヒア・フォー・モア(Here for More)」 | Roger Daltrey | ||
3. | 「ドント・ノウ・マイセルフ(Don't Know Myself)」 | Townshend |
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4. | 「ワイルド・ボーイ(When I was a Boy)」 | Entwistle | ||
5. | 「バーゲン(Bargain)」(Live) | Townshend |
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合計時間: |
CD
[編集]# | タイトル | 作詞・作曲 | 録音年月日及び場所・プロデュ―サー・オリジナル | 時間 |
---|---|---|---|---|
1. | 「シャウト・アンド・シミ―(Shout and Shimmy)」 | James Brown |
| |
2. | 「リーヴィング・ヒア(Leaving Here)」 | Lamont Dozier, Brian Holland, Eddie Holland |
| |
3. | 「エニータイム・ユー・ウォント・ミー(Anytime You Want Me)」 | Jerry Ragovoy, Garnet Mimms |
| |
4. | 「ルビー(Lubie (Come Back Home))」 | Paul Revere, Mark Lindsay |
| |
5. | 「バーバラ・アン(Barbara Ann)」 | Fred Fassert |
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6. | 「アイム・ア・ボーイ(I'm a Boy)」(Original version) | Pete Townshend | ||
7. | 「マリー・アンヌ(Mary Anne with the Shaky Hand)」(Original version) | Townshend |
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8. | 「ヘヴン・アンド・ヘル(Heaven and Hell)」 | John Entwistle |
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9. | 「ヒア・フォー・モア(Here for More)」 | Roger Daltrey | ||
10. | 「ドント・ノウ・マイセルフ(Don't Know Myself)」 | Townshend |
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11. | 「ワイルド・ボーイ(When I was a Boy)」 | Entwistle | ||
12. | 「バーゲン(Bargain)」(Live) | Townshend |
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合計時間: |
参加ミュージシャン
[編集]The Who
[編集]- Roger Daltrey - ヴォーカル
- Pete Townshend - ギター、キーボード、ヴォーカル
- John Entwistle - ベース・ギター、金管楽器、ヴォーカル
- Keith Moon - ドラムス、ヴォーカル
その他
[編集]- Nicky Hopkins - ピアノ(CD #3, #4)
- The Ivy League - コーラス(CD #3)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ a b イギリスでは1988年に発表された。
- ^ タウンゼント、ダルトリー、エントウィッスル、ダグ・サンダム(ドラムス)からなるザ・ディトゥアーズが2月にザ・フーと改名。サンダムが去った後、数人の後任を経て4月にムーンが加入した。
- ^ 編集アルバム『オッズ&ソッズ』(1974年)の再発CD(1998年)に収録されたものは、1964年の秋から年末にかけての時期に、ロンドンにあったパイ・レコードのスタジオで録音された。
- ^ 1977年7月20日、ドキュメンタリー映画『キッズ・アー・オールライト』の為の撮影がシェパートン・フィルム・スタジオで始まり、翌21日のリハーサルで同曲が演奏されて映画に収録された。
- ^ 同年8月にサリーで開かれた第5回ナショナル・ジャズ・アンド・ブルース・フェスティバルの初日6日の夜に出演して同曲を演奏する映像が、映画『キッズ・アー・オールライト』(1979年)に収録された。
出典
[編集]- ^ a b “thewho.com”. 2023年11月13日閲覧。
- ^ “thewho.com”. 2023年11月17日閲覧。
- ^ “thewho.com”. 2023年11月17日閲覧。
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- ^ a b “thewho.com”. 2023年11月17日閲覧。
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- ^ a b “thewho.com”. 2023年11月17日閲覧。
- ^ Neill & Kent (2007), p. 295.
- ^ “thewho.com”. 2023年11月18日閲覧。
- ^ “thewho.com”. 2023年11月18日閲覧。
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- ^ “thewho.com”. 2023年11月18日閲覧。
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- ^ “thewho.com”. 2023年11月18日閲覧。
- ^ “thewho.com”. 2023年11月18日閲覧。
- ^ Neill & Kent (2007), pp. 132–133.
- ^ Neill & Kent (2007), pp. 399–400.
- ^ “Discogs”. 2023年11月12日閲覧。
- ^ “Discogs”. 2023年11月12日閲覧。
- ^ a b Neill & Kent (2007), pp. 78–79.
- ^ “thewho.com”. 2023年11月16日閲覧。
- ^ “thewho.com”. 2023年11月15日閲覧。
- ^ “Discogs”. 2023年11月15日閲覧。
- ^ “Discogs”. 2023年11月15日閲覧。
- ^ “Discogs”. 2023年11月15日閲覧。
引用文献
[編集]- Neill, Andy; Kent, Matt (2007). Anyway Anyhow Anywhere: The Complete Chronicle of The Who 1958-1978. London: Virgin Books. ISBN 978-0-7535-1217-3