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利用者:Anesth Earth/セボフルラン

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Anesth Earth/セボフルラン
動脈性高血圧を示している自動血圧計(収縮期血圧(最高血圧)158水銀柱ミリメートル (mmHg)、拡張期血圧(最低血圧)99mmHg、心拍数80bpmを表示している)
概要
分類および外部参照情報
ICD-10 I10,I11,I12,
I13,I15
ICD-9-CM 401.x
OMIM 145500
DiseasesDB 6330
MedlinePlus 000468
eMedicine med/1106
MeSH D006973

高血圧(こうけつあつ、英語: Hypertension、高血圧症)とは、血圧が正常範囲を超えて高く維持されている状態のことを指す。

生活習慣病のひとつとされ、厚生労働省は男女共に最も通院者率が高い疾患として公表している(2022年、国民生活基礎調査結果。2位は男性が糖尿病、女性が脂質異常症[1]

アメリカ合衆国では1995年に、成人全体の24%には高血圧があり、そのうちの53%の人は降圧剤を服用していた[2]

定義(診断)

日本高血圧学会では高血圧の基準を以下のように定めている。[3]

成人における血圧値の分類(mmHg
分類 収縮期血圧 拡張期血圧
正常血圧 120未満 かつ 80未満
正常高値血圧 120から129 かつ 80未満
高値血圧 130から139 または 80から89
I度(軽症)高血圧 140から159 または 90から99
II度(中等症)高血圧 160から179 または 100から109
III度(重症)高血圧 180以上 または 110以上
収縮期高血圧 140以上 かつ 90未満


血圧は1日の中でも変動している。診察室で測定した血圧が高血圧であっても、診察室外では高血圧では無いことがあり、これを白衣高血圧と呼ぶ[4]。逆に、診察室での血圧が高くなくても、診察室外で測定すると高血圧となる場合もあり、これを仮面高血圧と呼ぶ。そして、診察室、診察室外、いずれでも血圧高値が認められているものは持続性高血圧と定義される[4]。いずれも、経過観察が必要な病態であるが、白衣高血圧は持続性高血圧に比べて、臓器障害は軽度で脳心血管系予後は良好である[4]。他方、仮面高血圧の心血管疾患の発症リスクは持続性高血圧と同程度である[4]

糖尿病患者では起立性低血圧を呈する症例が有るため、座位だけでなく臥位・立位でも適宜測定する[5]

初診時には両側の上腕血圧測定を行って左右差を確認し、以後は右か左かを記載して測定する[6]

  • 日本高血圧学会によれば家庭血圧の測定時の留意事項[7]は、
  1. 測定部位・装置:上腕でオシロメトリック法に基づく血圧計
  2. 朝の場合は、起床後1時間以内、排尿後、服薬前、朝食前の安静時、座位1分から2分後に測定。
  3. 夜の場合は就床前の安静時、座位1分から2分後に測定。
  4. 血圧測定一機会につき、原則2回測定し、その平均値を記録する。
  5. 評価の対象は朝、晩の測定値7日間(少なくとも5日間)のそれぞれ平均値とする。
  6. 朝晩いずれかの平均値135/85 mmHg以上は高血圧、それぞれの平均値115/75未満は正常血圧と判定する

としている。

リスク分類

血圧以外のリスク要因を加味し下記のように層別化される。

(診察室)血圧に基づいた脳心血管リスク層別化。高血圧治療ガイドライン2019[8]より引用
分類 高値血圧
130-139/
80-89
I度高血圧
140-159/
90-99
II度高血圧
160-179/
100-109
III度高血圧
≧180/
≧110
リスク第一層
(予後影響因子なし)
低リスク 低リスク 中等リスク 高リスク
リスク第二層
(年齢65歳以上、男性、脂質異常症、喫煙のいずれかがある)
中等リスク 中等リスク 高リスク 高リスク
リスク第三層
CeVD既往非弁膜症性af、糖尿病、蛋白尿のあるCKDのいずれか、
または第二層の危険因子が3つ以上ある)
高リスク 高リスク 高リスク 高リスク

※CeVD:脳血管疾患、af:心房細動、CKD:慢性腎臓病

原因

生物学的な原因と環境的な原因の両方が関与している可能性がある[9]。ホルモン、腎機能も関与している[10]。食塩過剰摂取は血圧を上昇させる[11]

  • 砂糖が高血圧の原因の一つであるという説がある[12][13]

高血圧の合併症

脳血管障害

脳卒中

世界保健機構WHOは「脳卒中の62%は高血圧が原因である」と述べている[14]。日本人を対象とした2009年のメタアナリシスでは、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、平均動脈圧の4つの血圧指標では、全て脳卒中リスクと有意な関連があったが、収縮期血圧と平均動脈圧に特に強い関連があった[15]

心臓疾患

虚血性心疾患
世界保健機構WHOは「冠動脈疾患の49%は高血圧が原因である」と述べている[14](2002年)。

診断

臨床的には心臓超音波検査(心エコー)において、心重量の増大や左室肥大が観察される[16]

管理・治療

食事療法

食塩制限(ナトリウム制限)

日本高血圧学会のガイドラインでは高血圧患者においては減塩目標6g/日未満が推奨されてきている[17][18]。食塩相当量の多くは加工食品由来である[19]。日本では、加工食品の栄養成分はナトリウムでの表示に決められており、2.54倍して食塩相当量に変換する必要があったが、2020年までの移行期以降は食塩相当量の表示が義務化された[19]

高塩分食は、脳卒中、左心室肥大、腎疾患のリスクを高めるなど[20]、血圧への影響とは無関係に直接的な悪影響を及ぼす可能性がある[20]。また、塩分摂取は清涼飲料の摂取による肥満と関連しており、腎結石や骨粗鬆症とも関連しており、おそらく胃がんの原因ですらあるエビデンスが増えている[20]。ほとんどの先進国では、食品業界が食品に添加する塩の量を段階的かつ持続的に減らすことで、塩分摂取量の減少を達成することが期待できる[20]。消費者に塩の使用量を減らすように促すための公衆衛生キャンペーンが必要である[20]。日本(1960年〜1970年)、フィンランド(1975年以降)、そして英国(2008年時点)など、いくつかの国ではすでに塩分摂取量が減少している[20]。課題は、これを他のすべての国に広げることであり、世界中の人口の塩分摂取量がわずかに減少しても、公衆衛生は大幅に改善されるであろう[20]

また、ある研究者は、米国において1日に3gの食塩を減らすことができれば、脳卒中を年に3万2000件〜6万6000件、心筋梗塞を年に5万4000件〜9万9000件減らすことができると推定している[21]

減塩には、あらゆる関係者の努力が必要である。とくに、消費者自身が意図的に食塩を減らすこと、食品産業が加工食品中の食塩を減らすこと、一般向けに減塩のキャンペーンを行うことが重要である[22]。フィンランド、英国、米国では、食品産業の協力を得て、減塩プログラムを実施し、意図的に食塩を減らすことに成功している[22]。例えば英国では、[いつ?]最近、食品中の食塩を20%〜30%減らすことに成功した。減塩は、欧米諸国の政府の重要な政策課題となっている[22][23]

カリウム摂取

カリウムはナトリウムの血圧上昇作用に対して、拮抗的に作用する[19]ことから、血圧上昇を抑制する作用がある[24]。カリウム摂取量が多い成人ほど収縮期および拡張期血圧が有意に低く、脳卒中リスクも低いことが報告されている[25]2012年WHO は、カリウム摂取のガイドラインを初めて発表し、推奨摂取量を90mmol/日(3519mg)以上とした[25]

腎臓に障害がなくカリウムを摂取しても問題がなければ、カリウムを豊富に含む野菜果物の摂取を増やすことによる降圧が期待できる[26]

DASH食

米国において、野菜、果物、低脂肪乳を多く摂って、飽和脂肪酸とコレステロールが少なく、カルシウム、マグネシウム、カリウム、食物線維が多い食事、すなわちDASH食の介入試験で有意な降圧効果が示された[27]

日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2014では、降圧の効果を、減塩、運動、減量、節酒、DASH食、で比較したところ、DASH食で収縮期血圧の降圧効果が最も大きく、拡張期血圧の効果も減量に次いで大きいことが示されている[27]

生活習慣

良好にデザインされた研究によれば、身体活動強度を上げれば、収縮期血圧、拡張期血圧共に6-7mmHgの降圧が認められるとされる[28]

脚注

注釈

出典

  1. ^ 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の結果を公表 厚生労働省”. JFPA情報チャンネル | 一般社団法人日本家族計画協会-JFPA-. 2024年8月7日閲覧。
  2. ^ Prevalence of Hypertension in the US Adult Population Hypertension. 1995;25:305-313
  3. ^ 日本高血圧学会 2019, p. 18.
  4. ^ a b c d 日本文 2019, pp. 20–21.
  5. ^ 日本高血圧学会 2019, p. 124.
  6. ^ 日本高血圧学会 2019, p. 14.
  7. ^ 日本高血圧学会 2019, p. 16.
  8. ^ 日本高血圧学会 2019, p. 50.
  9. ^ Discrimination at work is linked to high blood pressure” (英語). Harvard Health (2023年5月30日). 2023年6月1日閲覧。
  10. ^ 下澤達雄、穆勝宇、藤田敏郎、塩分の過剰摂取と高血圧の関係 化学と生物 2012年 50巻 4号 p.250-254, doi:10.1271/kagakutoseibutsu.50.250
  11. ^ 岩本隆宏、食塩感受性高血圧とNa+/Ca2+交換体:食塩負荷から血管トーヌス亢進への古くて新しい機序 日本薬理学雑誌 2006年 127巻 5号 p.387-392, doi:10.1254/fpj.127.387
  12. ^ Potential role of sugar (fructose) in the epidemic of hypertension, obesity and the metabolic syndrome, diabetes, kidney disease, and cardiovascular disease Richard Johnson
  13. ^ Just a spoonful of sugar helps the blood pressure go up
  14. ^ a b World health report : 2002”. 世界保健機関. 2024年8月7日閲覧。
  15. ^ Miura, Katsuyuki; Nakagawa, Hideaki; Ohashi, Yasuo; Harada, Akiko; Taguri, Masataka; Kushiro, Toshio; Takahashi, Atsuhiko; Nishinaga, Masanori et al. (2009-04-14). “Four Blood Pressure Indexes and the Risk of Stroke and Myocardial Infarction in Japanese Men and Women: A Meta-Analysis of 16 Cohort Studies” (英語). Circulation 119 (14): 1892–1898. doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.108.823112. ISSN 0009-7322. https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.108.823112. 
  16. ^ 長谷部直幸、赤坂和美、森平雅彦 ほか、心不全防止の視点からみた高血圧管理 第48回日本透析医学会ワークショップより 日本透析医学会雑誌 2003年 36巻 12号 p.1675-1676, doi:10.4009/jsdt.36.1675
  17. ^ 日本高血圧学会 2014, pp. 39–40.
  18. ^ 日本高血圧学会 2019, p. 71.
  19. ^ a b c 日本高血圧学会 2019, p. 65.
  20. ^ a b c d e f g He, F J; MacGregor, G A (2009-06). “A comprehensive review on salt and health and current experience of worldwide salt reduction programmes” (英語). Journal of Human Hypertension 23 (6): 363–384. doi:10.1038/jhh.2008.144. ISSN 0950-9240. https://www.nature.com/articles/jhh2008144. 
  21. ^ Bibbins-Domingo, Kirsten; Chertow, Glenn M.; Coxson, Pamela G.; Moran, Andrew; Lightwood, James M.; Pletcher, Mark J.; Goldman, Lee (2010-02-18). “Projected Effect of Dietary Salt Reductions on Future Cardiovascular Disease” (英語). New England Journal of Medicine 362 (7): 590–599. doi:10.1056/NEJMoa0907355. ISSN 0028-4793. PMC PMC3066566. PMID 20089957. http://www.nejm.org/doi/abs/10.1056/NEJMoa0907355. 
  22. ^ a b c A global brief on Hypertension: Silent killer, global public health crisis”. 世界保健機関 (2013年4月7日). 2014年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月7日閲覧。
  23. ^ Salt CDC
  24. ^ 安東克之、藤田敏郎、山下亀次郎、本態性高血圧症患者におけるカリウムの降圧効果 日本内科学会雑誌 1983年 72巻 7号 p.882-889, doi:10.2169/naika.72.882
  25. ^ a b カリウム摂取量が多いほど血圧が低く、脳卒中リスクも低い 日経メディカルオンライン 記事:2013.4.18 閲覧:2013.4.18
  26. ^ 久代登志男、高齢者高血圧治療のこつ 日本老年医学会雑誌 2010年 47巻 2号 p.123-126, doi:10.3143/geriatrics.47.123
  27. ^ a b 日本高血圧学会 2014, pp. 40–41.
  28. ^ “National High Blood Pressure Education Program Working Group Report on Primary Prevention of Hypertension” (英語). Archives of Internal Medicine 153 (2): 186. (1993-01-25). doi:10.1001/archinte.1993.00410020042003. ISSN 0003-9926. http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?doi=10.1001/archinte.1993.00410020042003. 


参考文献

関連項目

外部リンク