ケッペンの気候区分
表示
ケッペンの気候区分とは、ドイツの気候学者ケッペンが、植生分布に注目して1923年に考案した気候区分である。
- 分類基準が明確で簡便
- 植生の違いを反映している
- 実際の風土の違いを反映している
など、扱い易い上に有用な分類法であり、現在でも気候・産業・文化・農業を論ずる上で欠かすことができない。
現在は、H(高山気候)を追加するなど補正されて使用されている。
気候型の判定法
乾燥気候
樹木が生育するのに必要な最低限の降水量を乾燥限界という。乾燥限界の求め方は降雨タイプ(後述)によって異なる。気温の高い時期の降水はすぐ蒸発してしまい、気温の低い時期ならば少ない雨でも土壌を湿らせておけるためである。
- w(夏雨)の場合 : 乾燥限界=20×(年平均気温+14)
- f(年中多雨)の場合 : 乾燥限界=20×(年平均気温+7)
- s(冬雨)の場合 : 乾燥限界=20×年平均気温
これを下回る気候がB(乾燥帯)である。
年降水量が乾燥限界の半分に満たない場合はBW(砂漠気候)、半分以上だが乾燥限界に満たない場合はBS(ステップ気候)とされる。
湿潤気候の分類
年降水量が乾燥限界を上回る場所は湿潤気候である。最暖月平均気温と最寒月平均気温によって大きく次のように分けられる。
- A(熱帯) : 最寒月平均気温が18℃以上
- C(温帯) : 最寒月平均気温が-3~18℃
- D(冷帯) : 最寒月平均気温が-3℃未満で、最暖月平均気温が10℃以上
- E(寒帯) : 最暖月平均気温が10℃未満
- ET(寒帯・ツンドラ気候) : 最暖月平均気温が0~10℃
- EF(寒帯・氷雪気候) : 最暖月平均気温が0℃未満
最寒月18℃というのはヤシが生育できる気温、最暖月10℃以上というのは樹木の生育の最低条件とされている。また、-3℃というのは積雪があるかどうかの分かれ目となる気温である。
降雨パターン
降雨パターンによる分類もある。
- w(夏雨) : 夏に最多雨月があり、最少雨月降水量の10倍以上
- s(冬雨) : 冬に最多雨月があり、最少雨月降水量の3倍以上
- f(年中多雨) : w,sのどちらでもない
熱帯の分類
A(熱帯)は乾季の強さによって次のように分類される。
- f(熱帯雨林気候) : 最少雨月降水量が60mm以上。
- w(サバナ気候) : 最少雨月降水量が(100-0.04×年降水量)未満
- m(熱帯モンスーン気候) : 最少雨月降水量がAfとAwの中間
温帯・冷帯の細分類
C(温帯)とD(冷帯)に関しては気温によってさらに細分化される。
- a : 最暖月の平均気温が22℃以上
- b : 最暖月の平均気温は22℃未満で、10℃以上の月が4ヶ月以上
- c : 平均気温10℃以上の月が1~3ヶ月で、最寒月の平均気温が-38℃以上
- d : 平均気温10℃以上の月が1~3ヶ月で、最寒月の平均気温が-38℃未満
「10℃以上が4ヶ月」とは農作物を栽培するのに必要な条件である。
気候型と植生
上の記号の組み合わせにより、次のような区分ができる。
- A(熱帯)
- B(乾燥帯)
- C(温帯)
- D(冷帯)
- E(寒帯)
- H(高山気候)