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熊本市交通局8800形電車

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8801「サンアントニオ号」

熊本市交通局8800形電車(くまもとしこうつうきょく8800がたでんしゃ)は熊本市交通局(熊本市電)の路面電車車両の形式である。形式名は製造初年の1988年(昭和63年)に由来する。

車両概説

8200形及び8500形に引き続き一部の経年車両の置き換えを図ったものである。1988年(昭和63年)に8801・8802の2両がアルナ工機にて製作された。熊本市の提携している姉妹都市にちなみ8801は「サンアントニオ」、8802は「桂林」の愛称名が付けられている。なおかつて車内には両都市を紹介するパネルが掲示されており、8801では英語、8802では中国語での車内放送が行われていた。

また1993年(平成5年)にはレトロ調車両の101がアルナ工機にて製作された。形式は8800形であるが9200形に準じた仕様になっており一般運用されているが、A系統と貸切電車へ優先的に充当され、毎年12月から翌年1月の二ヶ月間は車体外部にLED照明を取付け、イルミネーション電車として夜間に点灯しながら一般運用に入るが、運行時間は指定されていない。

更に8801は、夏期期間中は「ビアガー電」(いわゆるビール列車)専用車として、窓際へのテーブル設置や専用の座席への交換が行われた上で毎夜運行されていたが、ここ数年「ビアガー電」は運用されていない。

構造

車体・車内設備

8801・8802

前面は流線型の大形一枚窓で、前面両端下部に前照灯と尾灯を配置している。中央にはサンアントニオ・桂林のヘッドマークが取り付けられている。窓配置はD3Dの対称形で、下部固定・上段スライド式のユニット式アルミサッシ窓、2枚折り戸の前後扉である。現役の車両で前後扉となっているのは熊本市交通局ではこの2両だけである。 このグループ以降から8500形でも述べているが前面系統表示板は廃止し、系統は方向幕に記載。側面系統幕は以前から前面系統幕と同様で系統と行先表示のみであり、側面系統表示板を取付た現在も使用している。 車番は新製時より前扉上部と側面中央のみに掲載され、前面には掲載されていない。(9200型も同様。)

座席はロングシートである。屋根上に三菱電機製の冷房装置と補助インバータを搭載する。

101

レトロ調電車で、かつて熊本市交通局に在籍していた70形をモデルにしている。窓配置はD5D4の対称形で、扉は2枚折り戸を2組用いた両開き式4枚扉の中央扉(乗車口)、2枚折り戸の左扉(降車口)である。

座席はロングシートで入口中央扉より対面する一部座席は車椅子用のスペースとして折り畳み出来る様になっており、車内は真鍮の手すりや木目調の化粧板を採用するなどレトロ調となっている。屋根上はダブルルーフ風の装飾で機器を隠している。 なお101は70形が九州電気軌道時代に名乗っていた車番である。 こちらの側面系統幕は9200形と同じく、8801・8802よりも少し大きくなり、側面系統表示板を取付た現在も使用している。但し前面とは違い、以前は通過停留所を表示したものだったが、A・B系統になってからは前面と同じ系統と行先のみの表示となっている。

電装品・台車

VVVFインバータ制御を採用している。インバータ装置と交流モータは三菱電機が製造した。モータは50kWのものを2基使用しており、1台車1モータ方式を採用している。なおブレーキ装置も三菱電機製である。8200形のRCT素子からGTO素子に変更されている。

台車は8801・8802が住友金属工業製FS-89で、101が同社製FS-89Bで空転防止用砂撒装置を備えている。また8801はシングルアームパンタに交換された。

主要諸元

  • 製造年:1988年(昭和63年)(8801・8802)・1993年(平成5年)(101)
  • 全長:13,700mm (8801・8802) 13,500mm (101)
  • 全幅:2,360mm
  • 全高:3,850mm
  • 自重:19.0t
  • 車体構造:全金属製
  • 定員(着席):72(36)人 (8801・8802) 72(30)人 (101)
  • 電動機
    • 出力:50kW×2基
    • 駆動方式:平行カルダン方式
  • 制御方式:VVVFインバータ制御方式
  • 制動装置:ME38LM型(三菱電機製)

現況

近年は新製時より搭載されていたVVVF装置の老朽化及び更新時期により他形式(8200、9200)がIGBT素子へ交換されたのにも関わらず8801、8802は更新はしておらず現在も使用している。ただし、101は他形式同様にIGBT素子を用いたVVVF装置へ交換が完了している。

また構造(車体・車内設備)項目でも述べているが、在籍するワンマン車両の中で8801、8802は唯一の後扉であり、尚且つ一枚折扉である為に乗車に困難する点があり、旧型車両及び他の高性能車両より稼働率が低く、2両とも朝のA系統でのラッシュ時以外は上熊本車庫で留置してある事が多い。

また101は2016年10月に前後の前照灯が白色HIDに交換された。

塗装

新製時から現在まで

8801・8802のベースはクリーム地で、8801はサンアントニオをイメージした緑色の帯、8802は桂林をイメージした緑色と黄色の帯を配した塗装である。

101は茶色をベースとし下部に金色の装飾を施している。

8801は新製時からサンアントニオ号で落成したが、8802は翌年(平成元年)7月に桂林号になるまで白色アイボリーベースに細い青緑のラインだけで運用していた。

画像

参考文献

外部リンク