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- 刑法175条1項(わいせつ物頒布等)
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。(b:刑法第175条)
- 「わいせつ」とは
「最高裁昭和26年5月10日判決」(サンデー娯楽事件)にて、「徒らに性慾を興奮又は刺戟せしめ且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」とされた。
「最高裁昭和32年3月13日判決」(チャタレー事件)では、従来判例を踏襲した上で、「わいせつ」に該当するかの判断は「事実認定の問題ではなく法解釈の問題=裁判所が判断すべき問題」「社会通念に沿って判断すべきもの」「芸術的・科学的・教育的の観点は無関係」「作品自体の客観で判断すべきで作者の主観的意図は関係ない」などとされた。
そのほか、「最高裁昭和44年10月15日判決」(悪徳の栄え事件)では、従来判例を踏襲した上で、「ただし、芸術性・思想性が、性的刺激を減少・緩和させて、わいせつ性を解消させる場合がありうる」「わいせつ性の判断は、作品の部分個々でなされるべきではなく、作品全体として判断すべきものである」とされた。
また、「最高裁昭和55年11月28日判決」(四畳半襖の下張事件)では、従来判例を踏襲した上で、「わいせつ性の判断は、性的描写の詳細程度・手法、描写叙述の文章全体に占める比重、表現思想と描写叙述との関連性、文章・構成の展開、芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度といった観点より作品全体として好色的興味に訴えるものか否かを検討した上でなされる必要がある」とされた。
園田寿 (2014年3月27日). “わいせつ性は、裁判所でどのように判断されてきたのか”. YAHOO!JAPAN ニュース. ヤフー. 2021年11月7日閲覧。も参照。
- 公然陳列とは
「最高裁平成13年7月16日判決」では、「不特定または多数者が認識できる状況に置くこと」「特段の行為を要することなく直ちに認識できる状態であることを必ずしも要しない」とした。
また、児童買春・児童ポルノ禁止法7条4項「公然と陳列した」に関し、「最高裁平成24年7月9日決定」では、「一部改変したURLの表示でも公然陳列に当たる」とした(反対意見もあり)。
“刑事弁護コラム>わいせつ物頒布罪とは|わいせつ物頒布で逮捕された場合等弁護士が解説”. 弁護法人中村国際法律事務所 (2020年8月7日). 2021年11月7日閲覧。も参照。