「動画 (アニメ制作)」の版間の差分
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2024年10月27日 (日) 06:59時点における版
アニメにおける
概要
動画はアニメの作画工程のひとつであり、原画が清書されそれらの間のコマが描かれる(⇒#動画 (工程))。この工程により最終的なアニメ作品に表示される一連の線画が得られ、この線画素材そのものもまた動画と呼ばれる(⇒#動画 (素材))。担当スタッフは動画マンと呼ばれる。
動画 (素材)
アニメの素材における
動画はアニメ作品に直接反映される輪郭線や色面境界が清書された線画であり、原画と原画に跨る一連の動きが各コマに描かれている[1][2]。
二値化
多くの実務において動画の線は二値化される[3]。アナログ動画であれば仕上のスキャン時に[4]、デジタル動画であれば動画検査後のエクスポート時に二値化される[5](あるいは描線段階から二値ペン[6])。
二値化の目的は彩色の効率化である[7][3]。アンチエイリアスの効いた線は純白(#ffffff)ではないがほぼ白のピクセルを生むため、バケツツールで彩色すると塗られないほぼ白のピクセルがポツポツと残る。これを解決するための閾値設定はそれ特有の問題をまた引き起こすため、現行のデファクトでは彩色前にそもそも二値化(=アンチエイリアスoff)することで問題を回避し制作を効率化している[7][3]。二値化に伴うジャギーは撮影におけるスムージングで解消される。
動画の途中段階をアンチエイリアスONで制作した場合、二値化する段階で線のニュアンスが変わる/失われるという指摘がしばしばなされている[8]。
動画 (工程)
アニメの制作工程における
動画は原画・修正原画・指示書を素材とし[9]、クリーンナップと中割の2つのサブ工程で構成される[1][10][2][11][12][13][14]。ディズニー作品などの海外劇場作品では「動画」と「クリンナップ」は別セクションで行う[要出典]。
クリーンナップ
クリーンナップは原画をトレースし清書する工程である[13][9]。原画トレスとも。後工程は中割である。
中割
前工程はクリーンナップであり、後工程は動画検査あるいは仕上である[16]。現在では原画の段階でタイミングや動きの軌道を決め込んでおくのが主流で、そこに動画マンのオリジナリティを発揮することは基本的には要求されない。
関連工程
動画検査
不完全な動画が次工程に流れ手戻りするリスクや完成作品まで残ってしまうリスクを低減するため、動画作成後に動画をチェックする工程が動画検査である[19]。日本型作画システムによる分業の中で、動画にも原画同様に管理役職が登場し、リテイク、動画修正が行われるようになる。近年では国外に「仕上げ」込みで発注されることも多く、動画の検査作業は思うように出来ない場合も多い為、動画を外注に出す前に動検を通しラフや参考を入れておくことで質の向上を図るというパターンも増えてきている[17]。
動仕
国外発注
仕上げ(彩色)とセットで、海外(現在では、主に中国や韓国)に下請けに出されることが多い。
自前のスタジオを海外に持つような場合を除けば、国内外に拠点を持つ仲介業者が介在するため、人件費の安い国であっても基本的に国内と単価は同じである。
海外に動画を出す主な理由はある程度質を犠牲にして得られる早さと量による場合が多い。十分な期間さえあれば海外でも国内と遜色ない質で上がってくる場合も多いが、逆にそれは海外に飛ばす手間や時間がデメリットとなるためあまり意味が無い。近年では原画をスキャンして現地でプリントアウトしたうえで動画作業を行う電送と呼ばれる手段を使うこともあるが、スキャン→プリント時にズレが発生して正確な作業が出来ないことから質の保証は出来ず、電送が行われるのはスケジュールが切迫している状況である場合がほとんどである。
脚注
出典
- ^ a b c d e "【動画】…アニメーションとして実際に画面に映される絵の線画であり、これを作画する工程です。 原画の清書(原画トレス)を行った上で、原画と原画の間にあらかじめ指定された枚数で連続した一連の動きを繋いでいきます(中割り)。英語ではIn between animation(drawing)。" 一般社団法人日本動画協会人材育成委員会 2020, p. 12 より引用。
- ^ a b c "動画 どうが 原画をクリンナップし、その間の動きを更に割って(足して)アニメーションにしたもの、あるいはその素材。" 以下より引用。SHIROBAKO製作委員会. 用語集. SHIROBAKO公式HP. 2024-10-20閲覧.
- ^ a b c "現在寡占状態にある作り方である、RETAS STUDIO TraceMan / PaintManを使用して動画素材を二値化(アンチエイリアス除去)・ペイントして、Adobe After Effects上で再度アンチエイリアス処理をかけなおすという、作業効率を突き詰めたフロー" 日本動画協会. (2023). アニメーションのデジタル制作に対応した効果的な人材育成に関する調査報告書. 経済産業省委託事業 令和4年度コンテンツ海外展開促進事業.
- ^ "前工程で描かれた原画群を、スキャナを用いて画像データとして取り込む ... そして取り込んだ線画に対して2値化処理を加える。" 渡辺 2008, p. 1 より引用。
- ^ "工程④ 動画検査による確認 ... 工程⑤ 仕上げ作業 STYLOS 上で動画データを 2 値化して書き出し(tga)" 経済産業省. (2016). アニメーション デジタル作画導入のためのマニュアル. 杉並区・練馬区等東京西部地域立地アニメ企業のデジタル作画人材共同育成事業.
- ^ "初めから二値化した線で描く ... 二値化された線なので、そのまま動画データとしても仕上げデータとしても成立します。" 永岡. (2018). 原画・動画・仕上げの垣根を越えデジタル作画ならではの表現で描く、劇場版『フリクリ プログレ』. CGWORLD.
- ^ a b "2値化処理を加える。これは次工程の着色作業の効率化を図るためである ... 主線 、色トレス線の双方が2値化されているため 、単色の流し込み処理で効率的に着色作業を行うことができる。" 渡辺 2008, pp. 1–2 より引用。
- ^ "紙からスキャンして線画を二値化(白と黒の2色のみに変換すること)したときに、原画とニュアンスが異なったりする" Production I.G. (2021). インタビュー CASE:佐藤真由美.
- ^ a b "この例では、原画の段階で清書(クリンナップ)を済ませていますが、動画を作画するときにまとめて清書する方法が一般的です。... 動画の担当者は原画と修正原画をもとに清書を行います。" CELSYS 2008, p. 68 より引用。
- ^ "【動画マン】 原画をクリンナップ(清書)して、原画と原画の中割りを作るスタッフです。" 一般社団法人日本動画協会人材育成委員会 2020, p. 25 より引用。
- ^ "動画とは何か ... 動画アニメーターが線を整え、原画と原画の間を埋めてゆく事により、綺麗な線で、スムーズな動きが完成します。" スタジオジブリ 2006 より引用。
- ^ a b "原画をクリンナップし、原画と原画のあいだの動き(中割り)を描くセクション「動画」。" 以下より引用。深井. (2017). 元スタジオジブリのベテランアニメーターが明かす「動画」のテクニック【AJ2017】. アニメ!アニメ!
- ^ a b c "原画を元にして、動画を描いていきます。動画の役割は 2 つ。原画で大まかにつけた動きの間をさらに描いていくこと(中割りと言います)。もう 1 つは原画でラフに描いた絵を、色が塗れるように清書(クリンナップ)することです。" CELSYS 2008, p. 14 より引用。
- ^ "動画アニメーターは、原画の線をクリンナップし ... 中割 ... を行います。" スタジオジブリ 2006 より引用。
- ^ "動きのキーとなる部分のみ描かれている原画の画と画の間の動きを埋めてゆく、中割(なかわり)という作業 ... " スタジオジブリ 2006 より引用。
- ^ a b c "動仕(動画と仕上を一緒に行う)は、動画検査の工程が入らない" 一般社団法人日本動画協会人材育成委員会 2020, p. 38 より引用。
- ^ a b "【動画検査】 上がってきた動画をチェックして品質を保つ ... 原画を動画に渡す前に、うまく中割りできるか事前チェックを行う場合もあります(動画出し前チェック)。" 一般社団法人日本動画協会人材育成委員会 2020, p. 25 より引用。
- ^ "動画は、動画検査スタッフが1枚1枚全てチェックし、線が乱れていないか、動きはスムーズになっているかを確認し、初めて完成となるのです。" スタジオジブリ 2006 より引用。
- ^ a b "動画検査といって、動画スタッフから上がってきた動画に線抜けや素材不備がないかを検査する仕事 ... 出来上がった映像を見て、キャラクターの動きに不自然な部分があれば再度素材を修正します。" 以下より引用。ウィットスタジオ. (2019). 先輩社員インタビュー(6)- 三瓶苑美. ウィットスタジオ公式HP. 2024-10-20閲覧.
参考文献
- スタジオジブリ「(6)―動画・動画検査―」『特集コラム「ゲド戦記はこうして生まれる」』2006年 。
- CELSYS『RETAS STUDIO でアニメを作ろう!』株式会社セルシス、2008年 。
- 一般社団法人日本動画協会人材育成委員会『TVアニメシリーズ制作における制作進行のマニュアル』一般社団法人日本動画協会 人材育成委員会、2020年 。
- 渡辺, 賢悟 (2008). “ディジタルセル動画における表現力向上のためのプラグイン開発”. 図学研究 42 (Supplement2): 1–6. doi:10.5989/jsgs.42.Supplement2_1 .