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現在、[[日本]]政府は、[[航空自衛隊|空自]]の[[F-4 (戦闘機)#日本|F-4EJ改]]に代わる次期戦闘機(F-X)を選定する作業を進めており、F-22Aが候補に上げられている。性能の点から見れば、日本にとってF-22Aの導入はメリットが大きいと考えられる。 |
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ロッキード・マーティン社のコメントや、アメリカ高官の発言などには、F-22Aの対日輸出を支持・容認するものも相当数あるが、現状では課題が多い。ほかに適当な機体が無い事もあり、F-22Aに強い関心を持つ[[防衛省]]はF-X選定の延期も視野に入れている。 |
ロッキード・マーティン社のコメントや、アメリカ高官の発言などには、F-22Aの対日輸出を支持・容認するものも相当数あるが、現状では課題が多い。ほかに適当な機体が無い事もあり、F-22Aに強い関心を持つ[[防衛省]]はF-X選定の延期も視野に入れている。 |
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===== 価格の問題 ===== |
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現在、米空軍のF-22Aの1機あたりの調達価格は1億2000万から1億3000万ドル(1ドル120円として約156億円)と言われている。[[F-15]]戦闘機が約4000万ドル(1ドル120円として約48億円)である事を考えれば、大変高価な機体であることは間違いない。<br/> |
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日本への輸出にあたってはさらに値を上げ、200億円を超えるのは確実視されている。なお、日本のF-15J/DJの調達価格は、一機あたり100億から120億円ほど。 |
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===== ライセンス生産の問題 ===== |
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日本政府は次期戦闘機について、国内航空産業の製造・技術基盤の維持という観点から見て、機体の[[ライセンス生産]]が望ましいとしているが、米政府内には、最新の軍事技術を多く含んだF-22Aの販売には、技術流出を危惧する声も少なくなく、その為にライセンス生産が認められる可能性は低い。また仮にライセンス生産が可能になったとしても、米国から輸入しなければならない部品の割合が多くなる可能性が高い。また、ライセンス生産にはライセンス料を始め多額の費用がかかり、需要が少ないのも手伝って、調達価格のさらなる高騰が予想される。 |
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なお、ライセンス生産が認められなければ、必然的に完成機を輸入することになる。但し、完成品輸入の場合、ライセンス生産した場合と比べ部品の調達や技術情報の制限(輸入元の事情次第で大きく影響する)から稼働率が大幅に低下する。単純に製造技術という側面だけでなく、運用上の問題も大きくなる。 |
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===== 搭載兵装の問題 ===== |
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F-22Aのウエポンベイには空自の[[99式空対空誘導弾|AAM-4]]や[[04式空対空誘導弾|AAM-5]]は、搭載が出来ない可能性がある。ミサイル側のフィンや弾体の小型化などで対応できるならばともかく、機体側のウエポンベイの改修が必要となれば、コストはもとより技術的側面から見て現実的ではないし、そもそも米側が認めない可能性もある。その場合、米国製のAIM-120CとAIM-9Xを使うことになる。 |
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===== 米国の思惑 ===== |
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米国には、上で述べているように生産予定数が減らされたことを受け、総生産機数を増やして一機あたりの生産コストを下げたいとの商業的な思惑が強いと見られる。“顧客”には前提として、米軍のパートナーとして信頼できること、財政的に導入の余裕があり、また戦略的に導入の意義があることなどが求められるが、それらを満たす国家というと、日本が真っ先に挙げられるであろうことは想像に難くない。 |
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2006年に米連邦議会に提出され、下院を通過した日本・[[オーストラリア]]・[[イギリス]]に対するF-22Aの輸出解禁法案は上院で否決され、実際に輸出される見通しはまだ立っていない。今後の動向が注目されている。 |
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===== 周辺諸国への影響 ===== |
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圧倒的な戦闘能力を持つF-22Aを保有する国の軍事的優位は明白であり、周辺地域の軍事バランスを変化させる事は必至である。これに伴い配備国周辺への政治影響が懸念され、既に各界で議論やプロパガンダが盛んになっている。日本のF-22A配備はアジア情勢に影響を与える大きな要因となり、親密な同盟関係にある米国、政治経済で結びつきが強くなりつつある[[台湾]]、戦略的な結束を強めつつある[[インド]]、また日本同様F-22Aを購入する可能性のある[[オーストラリア]]等、日本と友好的な国、戦略的な結束を強めつつある国、国際政治の場において利害の一致する国々にとっては歓迎すべき事であり、日本の軍事的優位の形成がこれらの国の平和維持や膠着する政治情勢の好転といった恩恵をもたらすと分析される。一方で、近年日本と政治的な対立を深める[[中華人民共和国|中国]]や[[ロシア]]等にとっては大きな脅威となり、対抗策の模索や対日政策の方針が注目されている。ただし、現在までのところ、日本・オーストラリア両国へのF-22A導入は可能性の域を超えない為、対外諸国の公式コメントは無い。 |
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== 諸元 (F-22A) == |
== 諸元 (F-22A) == |
2007年3月5日 (月) 07:18時点における版
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F-22 ラプター
F-22は、F-15の後継機としてロッキード・マーティン社が開発し、アメリカ合衆国空軍(USAF) に正式採用された多用途戦術戦闘機(航空支配戦闘機とも呼ばれる)。愛称はラプター(Raptor//猛禽類の意)。初飛行は1997年。(YF-22の初飛行は1990年9月30日)
開発の上での要求
この戦闘機は、『ステルス性』と『アフターバーナーを使わないスーパークルーズ(超音速巡航)』という2つの主な要求のもとに開発された。
開発の経緯
1981年に米国でATF(en:Advanced Tactical Fighter//先進戦術戦闘機)と呼ばれる計画が始まった。空軍の要求の元に、ロッキードのYF-22とノースロップのYF-23の競争試作となった。それにあたって両社ともに試作機を2機ずつ作り、1機にはプラット・アンド・ホイットニー製のYF119エンジンを、もう1機にはGE(ゼネラル・エレクトリック)社製のYF120エンジンを搭載し試験を行うこととなった。
その結果1991年にP&W社製のYF119を搭載したYF-22の正式採用が決定した。YF-22が採用された理由としては、YF-23にくらべステルス性やスーパークルーズ性能では劣っていたが機動性および整備の簡易さが優れていたためといわれる。
F-22の特徴と性能
F-22はその性能要求通り、高いステルス性とスーパークルーズ能力を併せ持っている。ステルス性の詳細については軍事機密であり不明だが、レーダー反射面積は0.003~0.005m²といわれている。これは、さばみそ煮缶詰(6号缶)のふたほどのレーダー反射しかないことを示している。スーパークルーズについては、アフターバーナーの使用なしで最大巡航速度マッハ1.58となっている。実際にはマッハ1.7まで到達したという発表もある。
また、F-22のエンジンは上下方向に20度まで推力軸を傾けることができる推力偏向ノズルの採用によりF-15を上回る旋回性能を持ち、格闘戦性能も高い。ただし、ステルス性を利用すると、敵に探知されない遠距離から攻撃を加える(first look, first shot, first kill)ことができるため、そもそもドッグファイトが起こる可能性は低いと考えられている。 推力偏向ノズルによる運動性の向上に伴い、パイロットの体が強烈な加速Gに耐えられなくなり、パイロットの体を保護する耐Gスーツが機体と併せて開発された。パイロットがブラックアウト・レッドアウトを起こしたり、平衡感覚が狂ったりした場合には、操縦桿を離すことで機体を自動的に水平状態に復帰させる機能もある。
電子機器も優れており、特にレーダーは、約250km先の目標を探知出来るアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダー(AN/APG-77)を装備しており、多彩なモードとの組み合わせにより索敵能力・信頼性・低被捕捉性に秀でている。電子機器は、非常に高性能で、リスク分散のため複数搭載されている。飛行姿勢はコンピュータ制御されており安定している。 飛行操縦系統には、3重のフライ・バイ・ワイヤ(FBW)を使用しており、列線交換ユニットの採用により整備性は高い。
また、F-22 の大きな特徴としてネットワーク機能がある。飛行中の F-22 は互いにデータリンク (IFDL : In Flight Data Link) によって戦術情報をやりとりしながら、連携して戦闘行動を取ることができ、索敵範囲を超える敵機及び友軍機の情報を司令部や早期警戒管制機から受信することもできる。さらにロックウェル・コリンズ社が開発中の高速データリンク・TTNT (Tactical Targeting Networking Technology) を 2008 年から導入する計画である。
2007年1月現在においてF-22には実戦経験はないが、「目視は出来ているのに(F-15の)レーダーに映らない」ことさえあるというステルス性により、「1機でF-15を5機同時に相手にできる」と言われる。 実際、訓練中の模擬戦闘では驚異的な逸話がすでにいくつも生まれており、例をあげれば、「F-15を相手として100戦以上行われた模擬戦闘で無敗」「アグレッサー部隊のF-16が300ソーティもの模擬戦闘を行ってついに一度もミサイルの射程内に捉えられなかった」等。
なお、当初転換訓練などのための複座型としてF-22Bを生産する予定であったが、その後、地上シミュレーターで完全に代替出来ると判断されたため、生産されていない。
名称の変更
当初F-22は空対空戦闘能力のみを備える予定だったが、後に空対地攻撃能力を付与されることが決定され、2002年9月に攻撃機という意味のA(Attacker)の文字を加えられ、名称がF-22からF/A-22へ変更された。しかし、2005年12月に初度作戦能力を得る際に、名称を再度F-22Aへと変更している。その理由には諸説あるが、名称変更に伴う要求性能の変更などは特に発表されていない(2006年1月現在)。
生産数
F-22はF-15の後継に恥じない高性能機であるが、開発の遅れもあり、製造コストが大きい。 当初は750機生産と予定されていたが、冷戦の終結で導入の意義が薄れ、2006年現在では183機のみ生産予定で、米空軍はF-15の全機代替はせず、当面F-22とともに第一線で運用する。
現在の配備状況
2005年12月15日にアメリカ空軍はバージニア州のラングレー空軍基地にある第1戦闘航空団に初めて実戦配備を完了したと発表した。ある軍事専門誌では、同航空団麾下の3個飛行隊のうち2個飛行隊にF-22Aを配備、残り1個飛行隊は F-15C/Dのままで配備機数を増やしてビッグスコードロン化されると報じている。2006年以降はグアムなど太平洋に展開する可能性も示唆されている。
なお、2番目の配備先はアラスカ州のエルメンドルフ空軍基地に決定しており、さらに2006年3月1日に、ニューメキシコ州ホロマン空軍基地、ハワイ州ヒッカム空軍基地への配備も発表されている。転換訓練飛行隊・第325戦闘航空団(フロリダ州ティンダル空軍基地)と合わせて、合計6個飛行隊の配備になる見込みである。
2007年1月には、バージニア州のラングレー空軍基地に所在している第27戦闘飛行隊の12機のF-22Aを、同年2月10日より沖縄県の嘉手納空軍基地に暫定的に展開する事が発表された。期間については90日間~120日間とされ、これに伴い嘉手納空軍基地の人員はパイロットや整備士など約250人が一時的に増加した。一部では下記に述べる航空自衛隊のF-X選定に対するデモンストレーションではないか、との声も挙がっている。また、基地周辺の住民からは騒音問題を危惧する声がある。ただし、F-22はF-15よりは騒音が少ないと言われており、嘉手納空軍基地での離陸の際はアフターバーナーを使用しないと発表されている事から、F-15に比べると騒音レベルが軽減されるのではないかと見られている。
しかし、2月7日に経由地であるハワイ州のヒッカム空軍基地に到着したものの、2月10日に予定されていた嘉手納空軍基地への到着は天候不良を理由に翌日に延期され、翌2月11日も「運用上の理由」として延期された。2月13日に米空軍広報局は、2月11日の延期は「ナビゲーションシステムに影響するソフトウェアの不具合が見つかった」為だと説明したが、二日後の2月15日に読売新聞が、2月13日まで行われた六カ国協議で北朝鮮が米国にF-22Aの嘉手納空軍基地への暫定配備を中止するよう求めたという報道を行った。米国の北朝鮮政策の軟化の表れという見方も出ている。その後、2月17日になって先遣隊の2機が先行して嘉手納空軍基地に到着、8機が2月18日に到着、残りの2機は遅れて2月21日に到着した(1機に発電機の不具合が生じた為だという)。F-22Aの国外への配備はこれが初めてであり、米国の極東政策への関心の強さが浮き彫りになった形といえるだろう。この配備についてNHKのインタビューに答えた在日米軍のライト司令官は「可能であれば(航空自衛隊との)共同訓練を行うというのが空軍の参謀総長らの意向だ」と語り、嘉手納空軍基地に暫定配備されたF-22Aと九州の航空自衛隊基地に所在しているF-15戦闘機を装備する部隊との防空戦闘訓練が検討されている事を明かした。
航空自衛隊の次期F-Xについて
現在、日本政府は、空自のF-4EJ改に代わる次期戦闘機(F-X)を選定する作業を進めており、F-22Aが候補に上げられている。性能の点から見れば、日本にとってF-22Aの導入はメリットが大きいと考えられる。
ロッキード・マーティン社のコメントや、アメリカ高官の発言などには、F-22Aの対日輸出を支持・容認するものも相当数あるが、現状では課題が多い。ほかに適当な機体が無い事もあり、F-22Aに強い関心を持つ防衛省はF-X選定の延期も視野に入れている。
諸元 (F-22A)
- 乗員: 1名
- 全長: 18.92 m
- 全幅: 13.56 m
- 全高: 5.08 m
- 翼面積: 78.0 m²
- 空虚重量: 14365 kg
- 運用: -- kg
- 最大離陸: 27216 kg
- 動力: P&W製 F119-PW-100 A/B付きターボファンエンジン ×2
- 推力: 156 kN (15,907 kgf) ×2(A/Bオン)
- 最大巡航速度: マッハ 1.72(A/Bオフ)
- 最大速度: マッハ 2.42(A/Bオン)
- 戦闘行動半径: 1200 km
- 実用上昇限度: 15240 m
- 上昇率: -- m/min
- 最大離陸重量での翼幅荷重: 148.01 kg/m²
- 最大離陸重量での翼面荷重: 348.92 kg/m²
- 最大離陸重量での推力重量比: 1.1689
武装
- 固定武装: M61A2 20mm機関砲 × 1 (480発)
- 爆弾: GBU-32 JDAM × 2 , GBU-39 SDB × 8
- ミサイル
- AIM-120C × 6 (AIM-120A/Bの場合は × 4)
- AIM-9L/M/X × 2
- 翼下パイロンであればAGM-88, GBU-22の搭載も可能とされる
アビオニクス
- AN/APG-77 レーダー
兵装
ステルス性が重視されているため、機関砲発射口は普段は閉じられており、発射時のみ開く(発射まで多少のラグが生じる)。また、通常すべての兵装は機内3箇所のウェポンベイ(兵器庫)に搭載される(内2箇所は短距離空対空ミサイル専用)。ただしステルス性を犠牲にすれば翼下に600ガロンの燃料タンクを4つとAIM-120C AMRAAM中距離空対空ミサイルを8発装備することが可能である。胴体下のウェポンベイとあわせれば計14発のAIM-120C AMRAAM中距離空対空ミサイルを搭載できることになり、 これは例を見ない数である。 ウェポンベイに装備できるものの一例を下に挙げる。
空対空戦闘時
- 中距離空対空ミサイル(胴体下ウェポンベイに搭載)
- 短距離空対空ミサイル(空気取り入れ口側面ウェポンベイに搭載)
- AIM-9L/M サイドワインダー ×2
- AIM-9X サイドワインダー2000 (JHMCS対応機の場合)×2
- 固定武装
空対地戦闘時
- 対地誘導爆弾(以下の二つから選択、胴体下ウェポンベイに搭載)
- GBU-32 JDAM(1000ポンドGPS/INS誘導爆弾)×2
- GBU-39 SDB(100~250ポンドGPS/INS誘導爆弾)(2004-07現在開発中)×8
FB-22とInterim bomber計画
2004年8月現在ロッキード・マーティン社は、米空軍が構想中のInterim bomber(暫定爆撃機)計画の候補として、より対地攻撃能力を増強したFB-22を提案しているが、空軍が採用するという結論は出ていない。
FB-22の概要は以下のようであると言われる:
- デルタ翼
- ウェポンベイを拡張し、GBU-39 SDB(250ポンドGPS/INS誘導爆弾)を30発搭載
- Mach 1.8で超音速巡航
- B-2の75%の航続距離(約9,000 km)
- 乗員は1名か2名
このInterim bomber計画はF-15EやF-117、さらにはB-1BやB-2といった大型爆撃機の後継として、本格的な次世代爆撃機出現までの繋ぎとしての爆撃機の開発を意図しているようだ。2006年から開発を開始し、2015年から運用を開始する予定。一方、次世代爆撃機は2037年ごろ登場するという。
2004年8月現在、以下のようなものがInterim bomberの候補として挙げられている:
ノースロップ・グラマンは、同社のQuiet Supersonic Technology(静粛超音速技術)を適用するだろうと言われている。
- F-22 Air Dominance Fighter F-22での対戦シミュレータ(初期)。
- F-22 TOTAL AIR WAR
- F-22 Lightningシリーズ1~3(2006年7月現在) ミッション型フライトシミュレータ。
また、そのヒロイックな形状からフライトシューティングゲームにも広く登場している。