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サン-ピエール教会の完成とフィルミニ-ヴェールの建築都市遺産への登録
ル・コルビュジエの没後、彼が遺した概略的な計画から出発して、実質的には1973年に開始されたフィルミニのサン-ピエール教会の建設が、財政的事情により1978年にいったん中止されたことはよく知られている。
2006年十一月末から十二月はじめにかけてのル・モンド、AFP等の報道を要約すると、2001年に選出された市長ディノ・シニエリ(民衆運動連合=中道右派)が、ル・コルビュジエによって設計された文化会館、競技場、ユニテ・ダビタシオンなどの既存建築群とフィルミニ-ヴェールの都市計画全体が観光資源になる可能性を持ち、かつ教会の完成は話題づくりに役立つとともにその目玉になりうると判断したことが端緒となり、2003年に地元の広域自治体サンテティエンヌ・メトロポールは、ル・コルビュジエ財団の同意を得たうえで、ル・コルビュジエの生前からこの教会の計画にたずさわっていたジョゼ・ウブルリーの実施設計に従って、その建設を再開させた。このような経緯で2006年十一月に、サン-ピエール教会は計画の開始の四十六年後(ル・コルビュジエの没後四十一年後)に竣工するにいたった。工費は最終的には一千万ユーロにのぼるとみられる。低層部分には「ル・コルビュジエ解釈センター」が設けられ、上階に位置する教会の身廊部分も来訪者に開放される。
この機会にフィルミニ-ヴェール全体がフランスの「建築都市風景遺産保護地区」に指定され、アンドレ・ヴォジャンスキのプールの修復とユニテ・ダビタシオンの改修がすでに終了した。広域自治体側は最大で年間二十万人の来訪者を見込んでおり、他の既存建築の改修が行われるだけでなく、応接施設、券売所、売店などが新たに併設される。