「満洲国の国歌」の版間の差分
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[[満州国|満洲国]]の[[国歌]]は三つあるが、多くの資料は二つと誤記しており、題名や作詞・作曲者についても正しく記されているものが少ない。 |
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==大滿洲國國歌== |
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1932年7月に開催が予定されていたロサンゼルス・オリンピックに満州国から選手を派遣し、国旗(同年3月制定)と国歌を世界に紹介するという意図のもとで、1932年7月に完成された。作詞は満州国の国務院総理であり、文筆家としても知られていた[[鄭孝胥]]、作曲は日本作曲界の大御所であった[[山田耕筰]]。日本国内では満州国国歌の完成を新聞等が報じ、雑誌「月刊楽譜」(昭和7年9月号)には付録として楽譜が掲載されたが、満州国内では一切公表されず、結局正式には採用されなかった。不採用の理由は明らかにされていないが、旋律が難解で一般大衆が歌うのは困難、という批判が発表当時からあった(ただし、山田自身にはこの曲への思い入れがあり、後に《建国十周年慶祝曲》の主題として取り入れている)。加えて、満州国がオリンピックに参加できず、発表の場を失ったこと、歌詞の「善守國以仁、不善守以兵(善く国を守るは仁をもってし、善く守らざるは兵をもってす)」の部分に[[関東軍]]が不快感を示したこと、などが理由になったと考えられている。 |
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鄭孝胥が作詞し、[[1933年]](大同2年)2月24日に制定された。 |
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1933年に国歌が制定されると、《大滿洲建國歌》と改題された。 |
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===歌詞=== |
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*満語 |
*満語(中国語) |
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<p lang="zh-Hant">地闢兮天開<br/> |
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<p lang="zh-Hant">天地內,有了新滿洲。<br/>新滿洲,便是新天地。<br/>頂天立地,無苦無憂,造成我國家。<br/>只有親愛竝無怨仇,<br/>人民三千萬,人民三千萬,<br/>縱加十倍也得自由。<br/>重仁義,尚禮讓,使我身修;<br/>家已齎,國已治,此外何求。<br/>近之則與世界同化,遠之則與天地同流。</p> |
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松之涯兮白之隈<br/> |
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我伸大義兮繩於祖武<br/> |
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我行博愛兮懷於九垓<br/> |
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善守國兮以仁<br/> |
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不善守兮以兵<br/> |
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天不愛道地不愛寶<br/> |
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貨惡其於地兮獻諸蒼昊<br/> |
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孰非橫目之民兮視此洪造</p> |
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==滿洲國國歌(その一)== |
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従前の国歌は満州語(中国語)のみで皇帝への言及がないものだった。そこで建国十年を記念して、新たな国歌が作られた。先ず[[日本語]]で歌詞が作られ、その後満州国の作曲家数人が作曲し、[[山田耕筰]]らがそれを修正、「帝徳」と「万寿」が二言語で相応する様にして歌が完成。結果的に作詞:[[鄭孝胥]]、作曲:山田耕筰となった。 |
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前の国歌に続いて鄭孝胥が作詞した。作曲者については「満洲国文教部選」として公表されなかったが、高津敏・園山民平・村岡楽童の合作であることがわかっている(山田耕筰とは無関係)。1933年(大同2年)2月24日に制定された(国務院佈告第4号)。軽快な旋律が中国的な印象を与え、日本語の歌詞がないにもかかわらず、日本人に親しまれた。 |
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1942年に新国歌が制定された際、一部でこの《滿洲國國歌》を「建国歌」と呼んだため、《大滿洲建國歌》との混同が生じている。 |
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===歌詞=== |
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<p lang="zh-Hant">天地內有了新滿洲<br/> |
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新滿洲便是新天地<br/> |
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頂天立地無苦無憂<br/> |
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造成我國家<br/> |
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只有親愛竝無怨仇<br/> |
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人民三千萬人民三千萬<br/> |
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縱加十倍也得自由<br/> |
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重仁義尚禮讓<br/> |
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使我身修<br/> |
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家已齎國已治<br/> |
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此外何求<br/> |
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近之則與世界同化<br/> |
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遠之則與天地同流</p> |
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==滿洲國國歌(その二)== |
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従前の国歌の歌詞は中国語(満語)のみで皇帝への言及がなく、「帝政国家のものではなく、儒教的民主主義の歌」(満洲国弘報処長・武藤富男)という批判があった。そこで建国十年を記念して、新たな国歌を制定すべく準備が進められた。1941年10月22日に国歌制定委員会(会長・[[張景恵]]国務院総理)が創設され、その下に起草委員会(委員長・武藤富男)が設置された。起草委員会にはさらに日文歌詞起草委員会・満文歌詞起草委員会・作曲委員会の3分科会が設けられた。先ず[[日本語]]で歌詞が作られ、その後日・満両国の作曲家が原案を献納し、山田耕筰と[[信時潔]]がそれを修正、さらに「帝徳」と「万寿」の2語を日本語の歌詞と同じ位置で用いるように中国語の歌詞が付けられ、2言語で同時に斉唱できる国歌が完成した。 |
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[[1942年]](康德9年)[[9月5日]]に制定。 |
[[1942年]](康德9年)[[9月5日]]に制定。 |
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===歌詞=== |
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おほみひかり あめつちにみち<br/> |
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<p lang="zh-Hant">神光開宇宙 表裏山河壯皇猷<br/>帝德之隆 巍巍蕩蕩莫與儔<br/>永受天祐兮 萬壽無疆薄海謳<br/>仰贊天業兮 輝煌日月侔</p> |
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帝德は たかくたふとし<br/> |
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とよさかの 萬寿ことほぎ<br/> |
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あまつみわざ あふぎまつらむ |
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*満語(中国語) |
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<p lang="zh-Hant">神光開宇宙 表裏山河壯皇猷<br/> |
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帝德之隆 巍巍蕩蕩莫與儔<br/> |
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永受天祐兮 萬壽無疆薄海謳<br/> |
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仰贊天業兮 輝煌日月侔</p> |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
2007年7月17日 (火) 13:57時点における版
満洲国の国歌は三つあるが、多くの資料は二つと誤記しており、題名や作詞・作曲者についても正しく記されているものが少ない。
大滿洲國國歌
1932年7月に開催が予定されていたロサンゼルス・オリンピックに満州国から選手を派遣し、国旗(同年3月制定)と国歌を世界に紹介するという意図のもとで、1932年7月に完成された。作詞は満州国の国務院総理であり、文筆家としても知られていた鄭孝胥、作曲は日本作曲界の大御所であった山田耕筰。日本国内では満州国国歌の完成を新聞等が報じ、雑誌「月刊楽譜」(昭和7年9月号)には付録として楽譜が掲載されたが、満州国内では一切公表されず、結局正式には採用されなかった。不採用の理由は明らかにされていないが、旋律が難解で一般大衆が歌うのは困難、という批判が発表当時からあった(ただし、山田自身にはこの曲への思い入れがあり、後に《建国十周年慶祝曲》の主題として取り入れている)。加えて、満州国がオリンピックに参加できず、発表の場を失ったこと、歌詞の「善守國以仁、不善守以兵(善く国を守るは仁をもってし、善く守らざるは兵をもってす)」の部分に関東軍が不快感を示したこと、などが理由になったと考えられている。
1933年に国歌が制定されると、《大滿洲建國歌》と改題された。
歌詞
- 満語(中国語)
地闢兮天開
松之涯兮白之隈
我伸大義兮繩於祖武
我行博愛兮懷於九垓
善守國兮以仁
不善守兮以兵
天不愛道地不愛寶
貨惡其於地兮獻諸蒼昊
孰非橫目之民兮視此洪造
滿洲國國歌(その一)
前の国歌に続いて鄭孝胥が作詞した。作曲者については「満洲国文教部選」として公表されなかったが、高津敏・園山民平・村岡楽童の合作であることがわかっている(山田耕筰とは無関係)。1933年(大同2年)2月24日に制定された(国務院佈告第4号)。軽快な旋律が中国的な印象を与え、日本語の歌詞がないにもかかわらず、日本人に親しまれた。
1942年に新国歌が制定された際、一部でこの《滿洲國國歌》を「建国歌」と呼んだため、《大滿洲建國歌》との混同が生じている。
歌詞
- 満語(中国語)
天地內有了新滿洲
新滿洲便是新天地
頂天立地無苦無憂
造成我國家
只有親愛竝無怨仇
人民三千萬人民三千萬
縱加十倍也得自由
重仁義尚禮讓
使我身修
家已齎國已治
此外何求
近之則與世界同化
遠之則與天地同流
滿洲國國歌(その二)
従前の国歌の歌詞は中国語(満語)のみで皇帝への言及がなく、「帝政国家のものではなく、儒教的民主主義の歌」(満洲国弘報処長・武藤富男)という批判があった。そこで建国十年を記念して、新たな国歌を制定すべく準備が進められた。1941年10月22日に国歌制定委員会(会長・張景恵国務院総理)が創設され、その下に起草委員会(委員長・武藤富男)が設置された。起草委員会にはさらに日文歌詞起草委員会・満文歌詞起草委員会・作曲委員会の3分科会が設けられた。先ず日本語で歌詞が作られ、その後日・満両国の作曲家が原案を献納し、山田耕筰と信時潔がそれを修正、さらに「帝徳」と「万寿」の2語を日本語の歌詞と同じ位置で用いるように中国語の歌詞が付けられ、2言語で同時に斉唱できる国歌が完成した。
歌詞
- 日本語
おほみひかり あめつちにみち
帝德は たかくたふとし
とよさかの 萬寿ことほぎ
あまつみわざ あふぎまつらむ
- 満語(中国語)
神光開宇宙 表裏山河壯皇猷
帝德之隆 巍巍蕩蕩莫與儔
永受天祐兮 萬壽無疆薄海謳
仰贊天業兮 輝煌日月侔
外部リンク
- 満州国国歌 - 楽譜あり
- National Anthems of Manchukuo - MIDIあり
- 満州国建国歌 - 歌詞の日本語訳あり
- [1] - 日中両国語の歌詞あり