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「F-X (航空自衛隊)」の版間の差分

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== 現在のF-X (第4次F-X) ==
== 現在のF-X (第4次F-X) ==
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{{現在進行}}
{{現在進行}}

[[2008年]](平成20年)度中に廃棄がはじまる[[F-4 (戦闘機)#日本|マグダネルダグラス/三菱 F-4EJ改]]の代替となる戦闘機を導入する計画。平成21年度までの中期防にF-X7機分の予算が要求されている。将来的に[[F-15 (戦闘機)#日本|マクダネルダグラス/三菱 F-15J/DJ]]初期型(Pre-MSIP)も置き換える可能性があるが、方針ははっきりしていない。
[[2008年]](平成20年)度中に廃棄がはじまる[[F-4 (戦闘機)#日本|マグダネルダグラス/三菱 F-4EJ改]]の代替となる戦闘機を導入する計画。平成21年度までの中期防にF-X7機分の予算が要求されている。将来的に[[F-15 (戦闘機)#日本|マクダネルダグラス/三菱 F-15J/DJ]]初期型(Pre-MSIP)も置き換える可能性があるが、方針ははっきりしていない。


周辺諸国に[[Su-27_(航空機)|Su-27]]などのF-15と同水準の第4世代機が拡散しつつある防衛環境にあって現在FI任務についているF-4EJ改を代替する機体であるから、要撃任務の能力が高いことが第一の要求であるが、当然時代の趨勢といえるマルチロール化もある程度要求されているものと思われる。
周辺諸国に[[Su-27_(航空機)|Su-27]]などのF-15と同水準の第4世代機が拡散しつつある防衛環境にあって現在FI任務についているF-4EJ改を代替する機体であるから、要撃任務の能力が高いことが第一の要求であるが、当然時代の趨勢といえるマルチロール化もある程度要求されているものと思われる。


[[防衛省]]は[[アメリカ合衆国|米国]]の[[F-22 (戦闘機)|F-22Aラプター]]、[[F/A-18E/F (航空機)|F/A-18E/F]]、[[F-15E (航空機)|F-15FX]]、[[F-35 (戦闘機)|F-35]]、[[フランス]]の[[ラファール]]、[[ヨーロッパ|欧州]]の[[ユーロファイタータイフーン (戦闘機)|ユーロファイター]]の6機種をF-Xの候補として挙げ、調査を行っているとされている。
[[防衛省]]は[[アメリカ合衆国|米国]]の[[F-22 (戦闘機)|F-22Aラプター]]、[[F/A-18E/F (航空機)|F/A-18E/F]]、[[F-15E (航空機)|F-15FX]]、[[F-35 (戦闘機)|F-35]]、[[フランス]]の[[ラファール]]、[[ヨーロッパ|欧州]]の; [[ユーロファイタータイフーン (戦闘機)|ユーロファイター]]の6機種をF-Xの候補として挙げ、調査を行っているとされている。


各候補機については、その設計技術や機能・性能という機体本来の違いだけでなく、政治的・経済的要因から発生する各種問題が交錯しており、選定作業が難航している。
[[2007年]][[2月14日]]付け[[時事通信社]]の報道では、調査対象6機種の内、14日までに質問書に回答のあった米・英メーカーに対し、2月中にも調査員を現地に派遣する方針を固めたとのことである。対象はF/A-18(米)、F-15FX(米)、ユーロファイター(英)の3機種。もちろん、質問書に回答があったことと導入されることとは別の事象であり、現時点で回答が無いことと導入されないこともまた別の事象である。
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=== [[F-15E (航空機)#日本のF-Xについて|F-15FX]] ===
[[Image:F-15 eagle USAF.jpg|200px|thumb|right|F-15E ストライクイーグル]]
; 第4.5世代機。[[F-15E (航空機)|F-15E]]を対空戦闘重視に再設計し高機動化した機体で、ボーイング社より提案中。6機の中で最もデメリットが少ない。また、6機の中では最も設計が古い機体でもある。


** [[F-15 (戦闘機)|F-15D]]と外形はほぼ同じだが、改造によって内部構造にほとんど共通点はなくなっている。それゆえ、ライセンス生産前に完成機の分解調査を行う必要がある。
同年[[4月21日]]付け[[共同通信社]]報では、防衛省はF-22とF-15FXの二段構えの採用(所謂、『ハイローミックス』案)を検討していると報じられた。これは、高価格かつ輸出解禁が不透明で、所要機数の調達が可能かわからないF-22導入までのつなぎとして、高性能かつ整備・運用である程度ノウハウのあるF-15FXを整備するものとされる。米国がF-22の輸出解禁を渋る理由としては、米政府内には、最新の軍事技術を多く含んだF-22Aの販売には、技術流出(及び、[[防衛秘密の漏洩|自衛隊での情報漏洩事件]]による情報管理能力の低下)を危惧する声も少なくないという事情があるからだ。その為に、ライセンス生産が認められる可能性は低く、防衛省は、F-4EJ改(旧型機)の運用期間延長も検討している模様であり、F-Xの選定を2009年夏頃以降に延期することも検討している模様である。
** F-15最大の特徴である時代に合わせたアップデートが出来る事と最新鋭装備が奢られている為、戦闘力としては申し分ないが、F-15シリーズそのものがF-22の登場で近々型落ちになる可能性もある。
[[ワシントン・タイムズ]]でも「日本がF-22の100機導入を推進している」と報じ、[[中国]]や[[韓国]]では軍事的バランスが崩れると危険視する声が挙がった。アメリカの一部保守者からは[[北朝鮮]]の[[弾道ミサイル]]発射や、[[台湾有事]]に対する[[中国]]への牽制を担うとして、日本の購入を支持しているとも伝えられている。[[安倍晋三|安倍]][[総理]]は[[4月27日]]から2日間訪米し、[[ジョージ・ウォーカー・ブッシュ|ブッシュ]][[大統領]]と日米首脳会談を行い、これらが議題に挙がる期待されたが、首相から直接「F-22売却」については触れられなかった。(同年[[6月4日]]付け[[朝日新聞]]報によれば、この会談の際「協力を要請した」との報道も有る)
** RCS(レーダー断面積)が他の候補に比べてあまりに大きく、レーダーを駆使した現代の戦闘では圧倒的に不利である。もしも、RCSを削減するならば、大幅な改修と多くの費用や時間がかかってしまう。
** F-15Eは戦闘爆撃機として設計されており、F-15Jに比べ翼面加重は確実に増大する為、低空域での機動性の低下が問題となる可能性がある。ただし、対Gに関しては7Gから9Gに引き上げられており、グラスコクピットや[[JHMCS]]が使用可能という利点もある。
** [[韓国軍|韓国空軍]]もF-15Eをベースとした[[F-15E (航空機)#韓国|F-15K]]を導入している為周辺諸国の戦力対応としての不安が残る。
** F-15Jとは違い複座型である為、WSO(兵器技術士官)を搭乗させる必要があり、人件費及び訓練に関してのコストが高くなってしまう。もっとも、現行の[[F-4]]は複座であり、単座化はパイロット人員の削減に直結する可能性がある。
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=== [[F/A-18E/F (航空機)|F/A-18E/F]] ===
同年4月29日防衛省は、2008年度予算の概算要求に現在保持しているF-15戦闘機の内、32機を能力向上させる改修のための費用として1123億円を盛り込んだ。F-22の導入交渉が長引き、F-Xの選定が2009年度以降となったため、それまでの防空能力の低下を防ぐ狙いがあるものと見られる。
[[Image:F18E-01.jpg|200px|thumb|right|F/A-18E スーパーホーネット]]
;第4.5世代機。亜音速域で良好な運動性を持つ。最新アビオニクスが搭載されている。


各候補機について、以下のようなメリット・デメリット等が指摘されている。区分は[[2007年]][[2月14日]]までに防衛省が回答を受けたか否かである。

=== 回答のあった機種 ===
[[Image:F-15 eagle USAF.jpg|200px|thumb|right|F-15E ストライクイーグル]]
; [[F-15E (航空機)#日本のF-Xについて|F-15FX]]
* 第4.5世代機。[[F-15E (航空機)|F-15E]]を対空戦闘重視に再設計し高機動化した機体で、ボーイング社より提案中。6機の中で最もデメリットが少ない。また、6機の中では最も設計が古い機体でもある。
** [[F-15 (戦闘機)|F-15D]]と外形はほぼ同じだが、改造によって内部構造にほとんど共通点はなくなっている。それゆえ、ライセンス生産前に完成機の分解調査を行う必要がある。
** 将来性や性能面では問題はないが、F-15シリーズそのものがF-22の登場で近々型落ちになる可能性もある。F-15自体も世代的には比較的古い。(E型でも初配備から約20年であり、6機の中で最もRCS(レーダー断面積)が大きく、エンジンを換装しなければスーパークルーズも使用出来ないが、F-15最大の特徴である時代に合わせたアップデートが出来る事と最新鋭装備が奢られている為、戦闘力としては申し分ない)
** F-15Eは戦闘爆撃機であり、機体重量の増加等、F-15Jに比べ導入するメリットがあるか、という問題がある(戦闘爆撃機として改造された機体故、機体重量の増加は仕方の無い事ではあるが、対Gに関しては7Gから9Gに引き上げられており、エンジンもF-15Jより高性能のものを搭載している為重量の面ではさほど問題にはならない。また従来のC型ベースのJ型に比べグラスコクピットや、J及びDJでは使用できない[[JHMCS]]が使用可能となっている利点もある。ただし翼面加重は確実に増大する為低空域での機動性の低下は免れないであろう)。
** なお、[[韓国軍|韓国空軍]]もF-15Eをベースとした[[F-15E (航空機)#韓国|F-15K]]を導入している為周辺諸国の戦力対応としての不安が残る。
** 韓国同様、精密爆撃を支援する「精密映像位置提供地形情報(DPPDB)」というソフトウェアが輸出規制に引っかかる為爆撃精度が落ちる可能性がある。また、輸出規制にかかる品目を国産品で代用できるかも疑問視されている。(ただしイスラエル空軍に配備されている[[F-15E (航空機)#イスラエル|F-15Iラーム]]についてはDPPDBが搭載されている為、真偽は不明。また、上記にもあるように要撃専用になり、攻撃に関してはF-2支援戦闘機に任せる形になるので(援護として回す事も可能ではあるが)、精密爆撃のソフトウェアは搭載しなくてもいい事になる。)
** F-15Jとは違い複座型である為、WSO(兵器技術士官)を搭乗させる必要があり、人件費及び訓練に関してのコストが高くなってしまう。(ただしF-15Eにて計画のみに終わった単座型であるF-15Fをベースとした場合はこの限りではないが、F-15Fは、パイロットの負担過多等の理由により、採用されなかった)。もっとも、現行の[[F-4 (戦闘機)|F-4]]は複座であり、単座化は単純に半分の人員をリストラすることでもある。
** F-15Eは高い性能を有しているが、最大の欠点として、RCS(レーダー断面積)が他の6機に比べて、あまりに大きいということがある。(RCSが大きいとすぐに敵のレーダーに見つかってしまう)もしも、RCSを削減するならば、大幅な改修と多くの費用や時間がかかってしまう。
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[[Image:F18E-01.jpg|200px|thumb|right|F/A-18E スーパーホーネット]]
; [[F/A-18E/F (航空機)|F/A-18E/F]]
* 第4.5世代機。亜音速域で良好な運動性を持つ。最新アビオニクスが搭載されている。
** F/A-18C/Dが諸コストの高さで[[F-2 (支援戦闘機)|FSX商戦]]で敗れている。
** F/A-18C/Dが諸コストの高さで[[F-2 (支援戦闘機)|FSX商戦]]で敗れている。
** 導入経験のない艦載機であり、航空自衛隊の機体として扱うには不要な装備がある(これもコストの高さの一因になっている)。
** 導入経験のない艦載機であり、航空自衛隊の機体として扱うには不要な装備がある(これもコストの高さの一因になっている)。
** 加速性能・航続性能について問題があり、要撃機としては不向きと言われている。
** 加速性能・航続性能について問題があり、要撃機としては不向きと言われている。
** 他機種と比べ騒音がとてつもなく大きい(アメリカでも訴訟に発展)
** 他機種と比べ騒音が比較的大きい。
** 給油装置が[[空中給油#プローブアンドドローグ方式|プローブアンドドローグ方式]]である為、発注済の[[KC-767 (航空機)#KC-767J|KC-767J]]の[[空中給油#フライングブーム方式|フライングブーム方式]]とは合わない。そのため、アタッチメント(アタッチメントで簡単に変更できる)を追加発注する必要がある。
** 給油装置が[[空中給油#プローブアンドドローグ方式|プローブアンドドローグ方式]]である為、発注済の[[KC-767 (航空機)#KC-767J|KC-767J]]の[[空中給油#フライングブーム方式|フライングブーム方式]]とは合わない。そのため、アタッチメント(アタッチメントで簡単に変更できる)を追加発注する必要がある。
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=== [[ユーロファイター タイフーン]] ===
[[画像:Typhoon.t1.zj807.arp.jpg|thumb|200px|ユーロファイタータイフーン]]
[[画像:Typhoon.t1.zj807.arp.jpg|thumb|200px|ユーロファイタータイフーン]]
;欧州の第4.5世代機。[[アフターバーナー]]なしでの[[スーパークルーズ]]に対応しており、F-22A程のステルス性能ではないものの、RCS(レーダー断面積)がF/A-18E/Fやラファールよりも小さいとされる。
; [[ユーロファイター タイフーン]]

* 欧州の第4.5世代機。日本でのライセンス生産のほか、国産機器([[アビオニクス]]等)を搭載するための改造が大幅に許容されるという動きがある。
**日本でのライセンス生産のほか、国産機器([[アビオニクス]]等)を搭載するための改造が大幅に許容されるという動きがある。また、日英の企業間で生産ライセンス供与に向けた交渉が進んでいるとの報道もある。ただし、開発各国政府の輸出許可についてなどの公的な発言はまだない。
** 日本側としては、国産機器が搭載出来ることはアメリカ機にあるアメリカ製機器のコストの高さやアメリカ側の'''輸出規制に依存しない'''という意味でアメリカ機よりも有利と受け取れる。また、輸出規制に引っかかる等してアメリカ機の選定が不能になった場合には一番有利な機体である。ただしアメリカ側も最大のマーケットである日本を見過ごす筈が無いのであるが、[[2007年]][[5月31日]]に、[[BAEシステムズ]]が三菱重工業に同機の生産ライセンスを供与する方向であるとの発表があり、F-22の代理店である三菱重工がライセンス生産権を受注した場合、同機の選定の可能性も十分有り得る。導入が実現すれば、戦後史上初の欧州製戦闘機の導入となる。
** 国産機器が搭載出来ることはアメリカ機にあるアメリカ製機器のコストの高さやアメリカ側の輸出規制に依存しない、という意味でアメリカ機よりも有利と受け取れる。また、輸出規制に引っかかる等してアメリカ機の選定が不能になった場合には一番有利な機体である。
** 欧州側としては、ライセンス生産及び国産機器搭載改造を許容する見返りとして日本側が持つアビオニクス及び材料関係の技術を取得出来れば、既に配備されている、そして今後生産・配備するタイフーンの能力向上が見込める上、難航しているトランシェ3の開発にも大きく弾みがつくという思惑が見て取れる。しかし日本側には、いわゆる『[[武器輸出三原則]]』等があるため、その実現性に疑問が残る。
** これまで空自に導入経験のない欧州機であり、整備面などで不安が残る。しかし、アビオニクス等については国産品が使用できる為、後述のラファールよりは有利とも言える。
** これまで空自に導入経験のない欧州機であり、整備面などで不安が残る。しかし、アビオニクス等については国産品が使用できる為、後述のラファールよりは有利とも言える。
** 性能面で、今後航空優勢を維持出来るかに疑問が残る。
** 性能面で、今後航空優勢を維持出来るかに疑問が残る。但し、[[アフターバーナー]]なしでの[[スーパークルーズ]]に対応しているのは、回答のあった機種ではこの機種だけである。(回答のなかった機種ではF-22Aとラファールがある。)また、F-22A程のステルス性能ではないものの、RCS(レーダー断面積)がF/A-18E/Fやラファールよりも小さいとされている。
** 前述のF/A-18E/Fと同様に給油方式がプローブアンドドローグ方式である。
** 前述のF/A-18E/Fと同様に給油方式がプローブアンドドローグ方式である。
** 搭載エンジンのEJ200はF/A-18のエンジンと同じような設計思想で作られたため騒音が非常に大きい。
** 搭載エンジンのEJ200は騒音が比較的大きい。
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=== 回答のなかった機種 ===
=== [[ラファール]] ===
[[画像:X-35.jpg|thumb|200px|F-35イトニングII]]
[[Image:Rafale-060427-N-2959L-196.jpg|thumb|200px|ダッソーファール]]
;フランスの4.5世代機。元々は前述のユーロファイターをフランスが諸事情から蹴って独自開発した機種である。
; [[F-35 (戦闘機)|F-35]]
* 第5世代機。F-22以外の他機に比べ、[[ステルス (軍事)|ステルス性]]が高い(と言われている)。
** ステルス性を維持した状態では[[空対空ミサイル#中射程|中距離空対空ミサイル]]を2発しか搭載出来ず、数の劣勢をカバーしきれない可能性がある。(但し開発中の新しいラックをウエポンベイに装着すれば4-6発の空対空ミサイルを搭載可能であり、[[オーストラリア空軍|豪州空軍]]はそれの採用を示唆している。ベイは左右にあり、現行は各1発の空対空ミサイルとJSOWないし2000ポンド爆弾を搭載可能だが、爆弾架の部分にラックを装着するもの)
** バリエーションのひとつであるF-35Bは、[[航空機の離着陸方法#STOVL機|STOVL機]]であり、[[海上自衛隊]]が[[航空母艦]]の類を運用するなら、この機種も考えられるが、現時点で、[[防衛省]]は、空母保有を計画しておらず、空母に艦形が似ている[[おおすみ型輸送艦]]、及び、[[ひゅうが型護衛艦]]については、その甲板の耐熱性能は、[[垂直離着陸機|VTOL機]]の離着陸を想定していない([[海上自衛隊の航空母艦建造構想]]も参照されたし。)。
** 2009年度までとなる中期防に間に合わない。また、そもそも開発計画に参加していないため、購入するためには、開発計画に参加した国への配備が終了した後(2010年代後半?)になる。
** 開発の遅れにより、価格は当初より高騰中である。また、国際共同開発であるため、F-22以上にライセンス生産の可能性は低い。F-22輸出が解禁されなかった場合に備えて、(また技術情報アクセスのために)保険的に早くから少額パートナーに参加しておけばよかったが、もはや共同開発パートナーに参加するにも遅すぎる。
**ただし、量産効果のためF-35の米軍調達単価は第5世代機にかかわらず、(高騰してもなお)ライセンス国産の空自[[F-15 (戦闘機)#日本|F-15J]]や国産[[F-2 (支援戦闘機)|F-2支援戦闘機]]よりも安価と見込まれている。共同開発の場合、開発費膨張はほぼ確実に起こることであるが、「1国あたりの開発費負担」は経費膨張してもなお割勘効果のため「1国単独開発よりは安価」な場合が多いのに、「経費の膨張」だけを切り出して国際共同開発への参加が有害であるかのような主張がなされている場合が散見されるので注意が必要である。「F-35最終単価」や「[[イギリス|英]]/[[イタリア|伊]]一国あたりの開発費負担額」が「日本単独開発ステルス単価」や「日本単独開発ステルス開発費総額」と比較してどうか?という比較でなければ公正ではない。
**航空機は恐ろしく大量の交換部品を食う。有事の米空軍の来援を考慮すると、米空軍と部品共通性のあるF-35が望ましい。日本にF-35の部品在庫集積がない場合、米空軍のF-35の大量来援は補給部品と整備機器の日本集積が完了するまで遅延する事になる。
**日本の厳しい財政事情では一旦買った戦闘機の寿命半ばでの買い替えは困難であり、2015年に[[第4世代ジェット戦闘機|第4世代非ステルス戦闘機]]を買えば、「世代遅れの戦闘機を30年間も抱え込む」羽目になってしまう。(と言っても、非ステルスの[[F-15E (航空機)|F-15E]]は、近代改修を行なえさえすれば、性能が上がり、世代遅れになる心配はない)つまり、空自の第5世代ステルス化は2045年以降にずれ込んでしまう。それに対して、F-22が購入できなかった場合、F-4の寿命延長なり、F-15のリースで寿命切れ機体の穴を埋めた上で、(待たされるにせよ)2010年代後半からF-35を購入すれば2020年代に空自の総第五世代ステルス化は完了する。[[中国人民解放軍空軍|中国空軍]]も戦闘機数の一時的減少を受忍してまでも、世代の新しい戦闘機が手に入るまで待ち、安易に世代の古い戦闘機を買い込まない姿勢で調達を行っており、第二世代の[[MiG-19 (航空機)|J-6戦闘機]]の寿命が1990年代後半に切れ始め、更新に充当する予定の第四世代の[[J-10 (戦闘機)|J-10戦闘機]]の量産が6年遅れて2006年までずれ込んだのに、第3世代[[J-7 (航空機)|J-7戦闘機]]の調達は極力抑えて戦闘機数の一時的減少を耐え忍ぶ近代化優先政策を行った結果、2010年代に800-1200機前後は、第2世代から第4世代への一足飛びの世代交代を達成する見込みである。つまり、F-Xが第四世代機/非ステルスでは世代優位を維持できない。数的には中国空軍2400機に対して空自260機であり、同一世代非ステルス機同士なら日本上空での空自優位に大きな翳りが発生するのは避けられない。中ロは1990年代からステルス開発を行っており2015年頃に初飛行しても不思議ではない、今、日本が、目先の戦闘機数充足のために近代化を犠牲にし、F-Xで第4世代非ステルス機を買い込んで30年抱え込めば最悪2020年頃に日本側は世代劣位に転落する可能性すらある。


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[[Image:Rafale-060427-N-2959L-196.jpg|thumb|200px|ダッソー ラファール]]
; [[ラファール]]
* フランスの4.5世代機。元々は前述のユーロファイターをフランスが諸事情から蹴って独自開発した機種である。
** ユーロファイターと違い、国産機器搭載許可が出されていない。
** ユーロファイター同様、これまで空自に導入経験のない欧州機であり、整備面などで不安が残る。
** ユーロファイター同様、これまで空自に導入経験のない欧州機であり、整備面などで不安が残る。
** 国産機器搭載許可が出されていない。
** 同じく性能面で、今後航空優勢を維持できるかに疑問が残る。
** [[アフターバーナー]]なしでの[[スーパークルーズ]]に対応しているが、RCS(レーダー断面積)はユーロファイターより大きい。
{{-}}
** 性能面で、今後航空優勢を維持できるかに疑問が残る。
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==== [[F-22 (戦闘機)|F-22A]] ====
=== [[F-35 (戦闘機)|F-35]] ===
[[画像:Lockheed Martin F-22.jpg|250px|thumb|right|F-22プター]]
[[画像:X-35.jpg|thumb|200px|F-35イトニングII]]
* 第5世代機。高い[[ステルス (軍事)|ステルス性]]、[[スーパークルーズ]]性能を持つ事から、「航空支配戦闘機」米軍が名付けた戦闘機/戦闘攻撃機
;第5世代機。F-22以外の他機に比べ、[[ステルス (軍事)|ステルス性]]が高い(言われている)
** 2007年4月5日、航空自衛隊の次期主力戦闘機について、F-22を有力候補として、アメリカ側に輸出解禁を求める方針と、各メディアで報道された。
** 問題の詳細は、以下の通りである。

; 価格の問題
: 現在、米空軍のF-22Aの1機あたりの調達価格は1億2000万から1億3000万ドル(1ドル120円として約156億円)と言われている。[[F-15 (戦闘機)|F-15]]戦闘機が約4000万ドル(1ドル120円として約48億円)である事を考えれば、大変高価な機体であることは間違いない。
: 日本への輸出にあたってはさらに値を上げ、200億円を超えるのは確実視されている。なお、日本のF-15J/DJの調達価格は一機あたり100億から120億円、同様にF-2は120億円から130億円である。

; ライセンス生産の問題
: 日本政府は次期戦闘機について、国内航空産業の製造・技術基盤の維持という観点から見て、機体の[[ライセンス生産]]が望ましいとしているが、先述の通り、米政府内には、最新の軍事技術を多く含んだF-22Aの販売には、技術流出(及び、[[防衛秘密の漏洩|自衛隊での情報漏洩事件]])を危惧する声も少なくなく、その為にライセンス生産が認められる可能性は低い。
: また仮にライセンス生産が可能になったとしても、米国から輸入しなければならない部品の割合が多くなる可能性が高い。また、ライセンス生産にはライセンス料を始め多額の費用がかかり、需要が少ないのも手伝って、調達価格のさらなる高騰が予想される。
: 尚、ライセンス生産が認められなければ、必然的に完成機を輸入することになる。但し、完成品輸入の場合、ライセンス生産した場合と比べ部品の調達や技術情報の制限(輸入元の事情次第で大きく影響する)から稼働率が大幅に低下する。単純に製造技術という側面だけでなく、運用上の問題も大きくなる。

; 搭載兵装の問題
: F-22Aのウエポンベイには空自の[[99式空対空誘導弾|AAM-4]]や[[04式空対空誘導弾|AAM-5]]は、搭載が出来ない可能性がある。
: ミサイル側のフィンや弾体の小型化などで対応できるならばともかく、機体側のウエポンベイの改修が必要となれば、コストはもとより技術的側面から見て現実的ではないし、そもそも米側が認めない可能性もある。その場合、米国製のAIM-120CとAIM-9Xを使うことになる。


** ステルス性を維持した状態では現状、[[空対空ミサイル#中射程|中距離空対空ミサイル]]を2発しか搭載出来ず、数の劣勢をカバーしきれない可能性がある。ただし、爆弾架の部分に装着するタイプのラックを開発中であり、ウエポンベイに装着すれば4-6発の空対空ミサイルを搭載可能になる予定である。
; 米国の思惑
** 2009年度までとなる中期防に間に合わない。また、そもそも開発計画に参加していないため、購入するためには、開発計画に参加した国への配備が終了した後(2010年代後半か?)になる。
: 米国には、上で述べているように生産予定数が減らされたことを受け、総生産機数を増やして一機あたりの生産コストを下げたいとの商業的な思惑が強いと見られる。“顧客”には前提として、米軍のパートナーとして信頼できること、財政的に導入の余裕があり、また戦略的に導入の意義があることなどが求められるが、それらを満たす国家というと、日本が真っ先に挙げられるであろうことは想像に難くない。
** 開発の遅れにより、価格は当初より高騰中である。また、国際共同開発であるため、F-22以上にライセンス生産の可能性は低い。
: 2006年に米連邦議会に提出され、下院を通過した日本・[[オーストラリア]]・[[イギリス]]に対するF-22Aの輸出解禁法案は上院で否決され、実際に輸出される見通しはまだ立っていない。
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:また、2007年7月、米下院歳出委員会は、両院協議会の結果から、F-22Aの海外への輸出禁止条項を継続することを決めた。マーサ同委防衛小委員長は、「高度な技術を海外に渡すことに、神経質になっている。」との旨のコメントを[[産経新聞]]に寄せている。何れにせよ、今後の動向が注目される。


=== [[F-22 (戦闘機)|F-22A]] ===
; 周辺諸国への影響{{要出典}}
[[画像:Lockheed Martin F-22.jpg|200px|thumb|right|F-22 ラプター]]
: 圧倒的な戦闘能力を持つF-22Aを保有する国の軍事技術的優位は明白であり、周辺地域の軍事バランスを変化させる事は必至である。これに伴い配備国周辺への政治影響が懸念され、既に各界で議論やプロパガンダが盛んになっている{{要出典}}。
;第5世代機。高い[[ステルス (軍事)|ステルス性]]、[[スーパークルーズ]]性能を持つ事から、「航空支配戦闘機」と米軍が名付けた戦闘機/戦闘攻撃機。
: 日本のF-22A配備はアジア情勢に影響を与える大きな要因となり、親密な同盟関係にある米国、政治経済で結びつきが強くなりつつある[[台湾]]、戦略的な結束を強めつつある[[インド]]、また日本同様F-22Aを購入する可能性のある[[オーストラリア]]等、日本と友好的な国、戦略的な結束を強めつつある国、国際政治の場において利害の一致する国々にとっては比較的に歓迎される可能性がある。米共和党の主流は技術流出への懸念から日本へのF-22A輸出に慎重であり、米民主党主流派には中国への配慮から日本へのF-22輸出に慎重であるが、米共和党には日本にF-22Aを販売する代わりに、日本に台湾防衛の共同責任を負担してもらおうという意見もある。オーストラリアのハワード首相は日米豪印の同盟を提案している。21世紀中盤に米中と比肩する大国成長するとみなされているインドはロシアとも密接なつながりをもち、日米側と露中側の両方から同盟のアプローチを受けているが旗幟は鮮明ではない。


** 他の候補と比較しても圧倒的な戦闘能力を持つため、日本政府は有力候補として、アメリカ側に輸出解禁を求めている。
: 一方で、近年日本と政治的な対立を深める[[中華人民共和国|中国]]・[[大韓民国|韓国]]・[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]や[[ロシア]]等にとっては大きな脅威となり、対抗策の模索や対日政策の方針が注目されている。現在までのところ、日本・オーストラリア両国へのF-22A導入は可能性の域を超えないが、2007年6月4日付け朝日新聞報によれば、日本への配属には中国と韓国・北朝鮮が反対または重大な疑問・疑念を発表している。
** 現在、F-22Aの海外への輸出禁止条項が米国内に有り、輸出解禁法案も一度否決されているため、輸出される見通しが立っていない。
:ただし、中国空軍は2,400機。うち800〜1,200機は2015年頃までに第四世代機に更新され、800〜1,200機が第三世代のSEAD可能な戦闘攻撃機に更新される見込み。ロシア空軍はは2,200機でやはり半数が第四世代機、半数が第三世代の戦闘攻撃機である。それに比べて空自は260機であるから、正確には「F-22Aが購入できれば日本が軍事的に優位になる」というより「F-22Aが買えればある程度安心であるが、売ってもらえなければ同一世代機で機数1/8では日本の防空の状況がかなり悪化する」というバランスであることに留意すべきであろう。
** 日本政府は、国内航空産業の製造・技術基盤の維持という観点から、機体の[[ライセンス生産]]が望ましいとしているが、米政府内に技術流出(及び、[[防衛秘密の漏洩|自衛隊での情報漏洩事件]])を危惧する声があるため難しく、完成品輸入の場合、部品の調達や技術情報の制限から稼働率が大幅に低下する可能性がある。
:米議会の現状は最新技術の保護と対日重視から対中重視にシフトする勢力の思惑を反映しており、2006年の米中間選挙での民主党勝利、[[防衛秘密の漏洩|イージス艦情報漏洩事件]]など、状況は悪化してきており、2006年は米下院は日英豪への輸出を承認/米上院で否決されたが、2007年は下院段階で否決されてしまった。尚、イージス艦情報漏洩事件は海上自衛官の『中国人妻』がF-22A輸出許可について米議会で審議されている最中に「自首」して発覚した。「日本へF-22Aを輸出すると機密情報が漏れる恐れがある」との中国側の米議会ロビー工作との関連が疑われている。
** 高価であるといわれている[[F-15 (戦闘機)|F-15]]以上に価格が高い機体であるため、たとえ将来価格が下がったとしても、必要数をそろえ運用するには今まで以上に莫大な費用がかかることになる。
** 国産機器である[[99式空対空誘導弾|AAM-4]]や[[04式空対空誘導弾|AAM-5]]を搭載するには、対象となるミサイル、F-22、どちらかの機体改造が必要となるが、F-22側の改修はコストはもとより技術的側面からも困難である上、技術流出の観点などから米側が認めない可能性がある。


=== 展望 ===
== 展望 ==
日本の特殊な防衛事情のため、航空自衛隊の採用する要撃戦闘機には他国の戦闘機を圧倒するレベルの戦闘力が要求される。日本の周辺国では、[[第4世代ジェット戦闘機|第4世代戦闘機]]の配備が進んできており、ロシアや中国では[[Su-27 (航空機)|Su-27]]、[[Su-30]]や、韓国においては[[F-15E (航空機)|F-15E]][[戦闘爆撃機]](第4.5世代ジェット戦闘機)の韓国版:[[F-15E (航空機)#韓国|F-15K]]の配備が始まっている。日本の[[F-15 (戦闘機)#日本|F-15J]][[要撃機]]と同世代の戦闘機が周辺国に配備されたことにより、F-Xではそれ等の戦闘機を圧倒するに足る性能を持つ戦闘機、第5世代戦闘機が必須になると思われる。しかし、本命の[[F-22 (戦闘機)|F-22A]]はアメリカ上院議会で輸出許可が一度却下されており、非常に苦しい状況となっている。
日本の特殊な防衛事情のため、航空自衛隊の採用する要撃戦闘機には他国の戦闘機を圧倒するレベルの戦闘力が要求される。日本の周辺国では、[[第4世代ジェット戦闘機|第4世代戦闘機]]の配備が進んできており、ロシアや中国では[[Su-27 (航空機)|Su-27]]、[[Su-30]]や、韓国においては[[F-15E (航空機)|F-15E]][[戦闘爆撃機]](第4.5世代ジェット戦闘機)の韓国版:[[F-15E (航空機)#韓国|F-15K]]の配備が始まっている。日本の[[F-15 (戦闘機)#日本|F-15J]][[要撃機]]と同世代の戦闘機が周辺国に配備されたことにより、F-Xではそれ等の戦闘機を圧倒するに足る性能を持つ戦闘機、第5世代戦闘機が必須になると思われる。しかし、本命の[[F-22 (戦闘機)|F-22A]]はアメリカ上院議会で輸出許可が一度却下されており、非常に苦しい状況となっている。



2007年9月29日 (土) 03:11時点における版

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F-Xまたは、FX(エフエックス)とは、Fighter-Xの略称で、日本航空自衛隊次期戦闘機導入計画を指す略語。

F-Xの概念

F-Xは、あくまで次期戦闘機導入にかかわる計画を指す語であって、特定の機種を指す語ではない。機種が選定され導入が始められれば計画はその機種の名で呼ばれ、その次に導入する戦闘機の計画・概念が新たなF-Xとなる。 F-X計画と呼ばれていたことのある計画には現在のところ以下の4つが存在するが、厳密な意味でF-Xと呼ばれうるのはその時点で進行している「次期」の計画ただひとつだけである。

第1次F-X

ノースアメリカン F-86の代替となる戦闘機を導入する計画。ロッキード F-104C/D改グラマン G-98J-11(F11Fの改造型)との争いになった。一旦F-104に内定したものの、ロッキード事件に伴い白紙化。再度選定して前者をF-104J/DJとして採用した。導入数230機。

第2次F-X

ロッキード/三菱 F-104J/DJの後継となり、未だ残っていたノースアメリカン F-86の代替となる戦闘機を導入する計画。マグダネルダグラス F-4E改ロッキード CL1010-2(F-104の発展型)、サーブ 37 ビゲンダッソー ミラージュF1の争いになったが、F-4E改をF-4EJとして採用した。導入数140機。

第3次F-X

採用されたF-15J

マグダネルダグラス/三菱 F-4EJの後継となり、未だ残っていたロッキード/三菱 F-104J/DJの代替となる戦闘機を導入する計画。マグダネルダグラス F-15C/D改グラマン F-14ゼネラルダイナミクス YF-16ノースロップ YF-17ダッソー ミラージュF1サーブ 37 ビゲンパナビア トーネードADVの争い(実質的にはF-14とF-15であった)になったが、F-15C/D改をF-15J/DJとして採用した。導入数213機。

3次までの総括

これら第3次までのF-Xでは、いくつかの騒動あるいは汚職疑惑(F-104J/DJ採用の逆転劇ダグラス・グラマン事件)がありながらも、結局は候補機の中で一番性能が高く、米軍でも運用しており有事の際の補給を受けやすい機種を採用してきた。また、いずれの機種も導入前半の数~数十機は完成機購入やノックダウン生産で調達されたものの、すぐに日本国内の航空機産業によるライセンス生産に移行した。生産が進行するにつれて徐々に国産化率が高められていき、国内航空機産業の技術向上と生産基盤維持に大きな貢献を果たした。3機種ともにライセンス生産の主契約企業は三菱重工業であったが、エンジンのライセンス生産をした石川島播磨重工はじめ、日本航空機産業におけるほぼすべての企業が何らかの形で生産にかかわっていた。

現在のF-X (第4次F-X)


2008年(平成20年)度中に廃棄がはじまるマグダネルダグラス/三菱 F-4EJ改の代替となる戦闘機を導入する計画。平成21年度までの中期防にF-X7機分の予算が要求されている。将来的にマクダネルダグラス/三菱 F-15J/DJ初期型(Pre-MSIP)も置き換える可能性があるが、方針ははっきりしていない。

周辺諸国にSu-27などのF-15と同水準の第4世代機が拡散しつつある防衛環境にあって現在FI任務についているF-4EJ改を代替する機体であるから、要撃任務の能力が高いことが第一の要求であるが、当然時代の趨勢といえるマルチロール化もある程度要求されているものと思われる。

防衛省米国F-22AラプターF/A-18E/FF-15FXF-35フランスラファール欧州の; ユーロファイターの6機種をF-Xの候補として挙げ、調査を行っているとされている。

各候補機については、その設計技術や機能・性能という機体本来の違いだけでなく、政治的・経済的要因から発生する各種問題が交錯しており、選定作業が難航している。


F-15E ストライクイーグル
第4.5世代機。F-15Eを対空戦闘重視に再設計し高機動化した機体で、ボーイング社より提案中。6機の中で最もデメリットが少ない。また、6機の中では最も設計が古い機体でもある。
    • F-15Dと外形はほぼ同じだが、改造によって内部構造にほとんど共通点はなくなっている。それゆえ、ライセンス生産前に完成機の分解調査を行う必要がある。
    • F-15最大の特徴である時代に合わせたアップデートが出来る事と最新鋭装備が奢られている為、戦闘力としては申し分ないが、F-15シリーズそのものがF-22の登場で近々型落ちになる可能性もある。
    • RCS(レーダー断面積)が他の候補に比べてあまりに大きく、レーダーを駆使した現代の戦闘では圧倒的に不利である。もしも、RCSを削減するならば、大幅な改修と多くの費用や時間がかかってしまう。
    • F-15Eは戦闘爆撃機として設計されており、F-15Jに比べ翼面加重は確実に増大する為、低空域での機動性の低下が問題となる可能性がある。ただし、対Gに関しては7Gから9Gに引き上げられており、グラスコクピットやJHMCSが使用可能という利点もある。
    • 韓国空軍もF-15EをベースとしたF-15Kを導入している為周辺諸国の戦力対応としての不安が残る。
    • F-15Jとは違い複座型である為、WSO(兵器技術士官)を搭乗させる必要があり、人件費及び訓練に関してのコストが高くなってしまう。もっとも、現行のF-4は複座であり、単座化はパイロット人員の削減に直結する可能性がある。

F/A-18E スーパーホーネット
第4.5世代機。亜音速域で良好な運動性を持つ。最新アビオニクスが搭載されている。
    • F/A-18C/Dが諸コストの高さでFSX商戦で敗れている。
    • 導入経験のない艦載機であり、航空自衛隊の機体として扱うには不要な装備がある(これもコストの高さの一因になっている)。
    • 加速性能・航続性能について問題があり、要撃機としては不向きと言われている。
    • 他機種と比べ騒音が比較的大きい。
    • 給油装置がプローブアンドドローグ方式である為、発注済のKC-767Jフライングブーム方式とは合わない。そのため、アタッチメント(アタッチメントで簡単に変更できる)を追加発注する必要がある。

ユーロファイタータイフーン
欧州の第4.5世代機。アフターバーナーなしでのスーパークルーズに対応しており、F-22A程のステルス性能ではないものの、RCS(レーダー断面積)がF/A-18E/Fやラファールよりも小さいとされる。
    • 日本でのライセンス生産のほか、国産機器(アビオニクス等)を搭載するための改造が大幅に許容されるという動きがある。また、日英の企業間で生産ライセンス供与に向けた交渉が進んでいるとの報道もある。ただし、開発各国政府の輸出許可についてなどの公的な発言はまだない。
    • 国産機器が搭載出来ることはアメリカ機にあるアメリカ製機器のコストの高さやアメリカ側の輸出規制に依存しない、という意味でアメリカ機よりも有利と受け取れる。また、輸出規制に引っかかる等してアメリカ機の選定が不能になった場合には一番有利な機体である。
    • これまで空自に導入経験のない欧州機であり、整備面などで不安が残る。しかし、アビオニクス等については国産品が使用できる為、後述のラファールよりは有利とも言える。
    • 性能面で、今後航空優勢を維持出来るかに疑問が残る。
    • 前述のF/A-18E/Fと同様に給油方式がプローブアンドドローグ方式である。
    • 搭載エンジンのEJ200は騒音が比較的大きい。

ダッソー ラファール
フランスの4.5世代機。元々は前述のユーロファイターをフランスが諸事情から蹴って独自開発した機種である。
    • ユーロファイター同様、これまで空自に導入経験のない欧州機であり、整備面などで不安が残る。
    • 国産機器搭載許可が出されていない。
    • アフターバーナーなしでのスーパークルーズに対応しているが、RCS(レーダー断面積)はユーロファイターより大きい。
    • 性能面で、今後航空優勢を維持できるかに疑問が残る。

F-35 ライトニングII
第5世代機。F-22以外の他機に比べ、ステルス性が高い(と言われている)。
    • ステルス性を維持した状態では現状、中距離空対空ミサイルを2発しか搭載出来ず、数の劣勢をカバーしきれない可能性がある。ただし、爆弾架の部分に装着するタイプのラックを開発中であり、ウエポンベイに装着すれば4-6発の空対空ミサイルを搭載可能になる予定である。
    • 2009年度までとなる中期防に間に合わない。また、そもそも開発計画に参加していないため、購入するためには、開発計画に参加した国への配備が終了した後(2010年代後半か?)になる。
    • 開発の遅れにより、価格は当初より高騰中である。また、国際共同開発であるため、F-22以上にライセンス生産の可能性は低い。

F-22 ラプター
第5世代機。高いステルス性スーパークルーズ性能を持つ事から、「航空支配戦闘機」と米軍が名付けた戦闘機/戦闘攻撃機。
    • 他の候補と比較しても圧倒的な戦闘能力を持つため、日本政府は有力候補として、アメリカ側に輸出解禁を求めている。
    • 現在、F-22Aの海外への輸出禁止条項が米国内に有り、輸出解禁法案も一度否決されているため、輸出される見通しが立っていない。
    • 日本政府は、国内航空産業の製造・技術基盤の維持という観点から、機体のライセンス生産が望ましいとしているが、米政府内に技術流出(及び、自衛隊での情報漏洩事件)を危惧する声があるため難しく、完成品輸入の場合、部品の調達や技術情報の制限から稼働率が大幅に低下する可能性がある。
    • 高価であるといわれているF-15以上に価格が高い機体であるため、たとえ将来価格が下がったとしても、必要数をそろえ運用するには今まで以上に莫大な費用がかかることになる。
    • 国産機器であるAAM-4AAM-5を搭載するには、対象となるミサイル、F-22、どちらかの機体改造が必要となるが、F-22側の改修はコストはもとより技術的側面からも困難である上、技術流出の観点などから米側が認めない可能性がある。

展望

日本の特殊な防衛事情のため、航空自衛隊の採用する要撃戦闘機には他国の戦闘機を圧倒するレベルの戦闘力が要求される。日本の周辺国では、第4世代戦闘機の配備が進んできており、ロシアや中国ではSu-27Su-30や、韓国においてはF-15E戦闘爆撃機(第4.5世代ジェット戦闘機)の韓国版:F-15Kの配備が始まっている。日本のF-15J要撃機と同世代の戦闘機が周辺国に配備されたことにより、F-Xではそれ等の戦闘機を圧倒するに足る性能を持つ戦闘機、第5世代戦闘機が必須になると思われる。しかし、本命のF-22Aはアメリカ上院議会で輸出許可が一度却下されており、非常に苦しい状況となっている。

国内産業面では、三菱が製造するF-2支援戦闘機の調達数が減少したため、F-Xで決定された機体のライセンス生産が行えない場合、50年にわたり継続して戦闘機の生産を行ってきた部署が浮いてしまうことになる。その際、会社としては技術者を他部署に配置転換することを免れず、後継者の育成が滞り、再度生産の機会が訪れても、技術者が不足する或いは技術力が落ちる、技術が断絶しているなどの恐れがある。そのため、国内航空機産業保護の点から、今回のF-Xもライセンス生産が望ましいと三菱は指摘している。

以上のことを勘案して、何が採用されるか、まったく予想出来ない状況にある。

参考項目