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「再販売価格維持」の版間の差分

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#REDIRECT [[再販売価格維持契約]]

'''再販売価格維持'''(さいはんばいかかくいじ、''resale price maintenance'')とは、ある[[商品]]の生産者または供給者が[[卸売|卸]]・[[小売]]業者に対し商品の再販売[[価格]]を指示し、それを遵守させる行為。

要はメーカーが小売業者に対し商品の値引き販売を許さないことをいう。


==再販行為実施の効果==

===社会全体への影響===
再販行為の実施により定価販売が行われると、需要に見合った価格が形成されないために、販売数量は減少する。またその分の顧客が隣接市場([[古物|中古]]市場や[[貸与|レンタル]]市場を含む)に流出する。その結果として、[[社会的余剰]](総余剰)は減少する。

なお、再販行為の実施は、ブランド内競争を減少させる一方で、ブランド間競争を激化させるという効果をもたらしうる。よって、再販行為の実施が、必ずしも社会的総余剰の減少をもたらすわけではない。ただし寡占的市場においては、協調的企業行動によってブランド間競争すら行われなくなるおそれがある。よってこの場合は、やはり再販行為は市場に悪影響を及ぼしうる。
また、価格競争が行われないために、非効率的な取引慣行が温存されやすく、流通機構の合理化は進みにくい。
<!-- ホテリングのモデルによれば、製品の差別化は行われない。つまり似たような商品が店頭に並ぶことになる。-->

===生産者・小売業者への影響===
メーカーは、再販行為の実施によって、販売された分の商品について超過利潤を得ることができる。また小売段階での価格競争が行われないために、卸価格の安定を見込むことができ、利益の変動リスクを抑制することができる。また、再販行為の実施に伴っては、最低利潤が保証される場合が多いため、小規模の小売業者にとっては、薄利多売による体力競争を回避できるというメリットがある。以上より、再販行為の実施は、その価格戦略が効果的であれば、販売数量の下落を単価の上昇が埋め合わせることにより、[[生産者余剰]]を増加させうる。

===消費者への影響===
消費者は、再販行為の実施によって、本来より高い価格で商品を購入することを余儀なくされる。また、定価販売による高値の商品価格が、消費者の限界効用を上回る場合は、消費者はこの商品を買い控えることになる。以上より、再販行為の実施は、[[消費者余剰]]を必然的に減少させ、消費者に損をさせる。

==再販行為の実施主体==
小売業者にとって顧客を誘引するために価格は重要であるから、有力な小売業者は再販行為によって価格決定権を奪われることを好まず、可能な限り代替商品に変更することでこれを避けようとする。そこで再販行為を行えるメーカーは、
*商品差別化に成功した有力メーカー
*大規模メーカー
*非競争的な市場のメーカー
に限られる。

==法律上の規制==
{{main|再販制度}}

再販行為は流通段階での自由で公正な競争を阻害し、[[需要と供給]]の原則に基づく正常な価格形成を妨げて消費者利益を損なうため、日本では、[[私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律|独占禁止法]](独禁法)2条第9
項にいう[[不公正な取引方法]]に該当するとして、原則として禁止されている。その例外としては、著作物および公正取引委員会の指定を受けた商品(いわゆる「指定再販商品」)がある。

なお、実質的にメーカーが販売していると認められるいわゆる[[委託販売|委託取引]]の場合、一定の要件を満たしていれば再販行為を行っても、通常違法とはされない。これは、自らが在庫リスクおよび売れ残りのリスクを負担して取引を行っている以上、メーカーが直接消費者に商品を販売していることと同視できることから、[[契約自由の原則]]どおりに価格決定の自由を認めても、自由競争を減殺する怖れがないためである。
[[アパレル]]分野等の高級[[ブランド]]が、上記以外の商品分野においても価格統制を行うことができている理由は、この委託取引方式、もしくは[[直営店]]を通じた販売方式を採用しているからである。


{{節スタブ}}

==参考文献==
*公正取引委員会 『流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針』 1991年。

==関連項目==
* [[再販売価格維持制度]]
* [[不公正な取引方法]]

[[category:経済犯罪|さいはんはいかかくいし]]
[[Category:料金システム|さいはんはいかかくいし]]
[[en:Resale price maintenance]]
[[de:Preisbindung]]

2007年9月30日 (日) 10:13時点における版