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「エイリアン (架空の生物)」の版間の差分

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エイリアン (映画シリーズ)の2008年2月10日 21:05 (UTC)から分割
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2008年2月14日 (木) 17:10時点における版

生物としてのエイリアン

エイリアンというのは通称で、生物学的には「Xenomorph/ゼノモーフ」と言うが、一般的にはエイリアンという名称で通っている。本来のエイリアン (Alien) という単語は、「異邦人」「外国人」の意味であったが、同映画公開と前後して、本来の生息環境ではない人間の世界に入り込んだ「異星人」を指す表現としても使われるようになった(平安京エイリアンなど)。

強酸の体液や、宇宙空間等の真空中でも生存可能な強靭な身体能力、強い生存本能から、第一作においては「完全生物」と言われ、リプリーらはエイリアンの地球侵入を恐れていた。シリーズを通じてこの生命体を生物兵器に利用しようと目論む企業「ウェイランド湯谷」の存在が描かれ、シリーズ第1作の監督リドリー・スコットも生物兵器として作られた可能性を示唆している(DVDの音声解説による)。
一方『エイリアンVSプレデター』では、既に異星人プレデターの手で地球にエイリアンが持ち込まれていた事が明かされているが、この設定がエイリアンシリーズ本編とおなじ世界の出来事かどうかは不明である。

エイリアンの生殖プロセスは下記の様になっており、他の生物を宿主とする必要がある。

  1. 卵(エッグチェンバー)から生まれた中間体(フェイスハガー)が宿主に取り付き、寄生体を産み付けて間もなく死亡する。
  2. 寄生体は宿主の体内で幼体(チェストバスター)に成長し、宿主の身体を食い破って孵化する。
  3. 幼体は短期間で脱皮を繰り返して成体となり、別の個体の宿主となる生物の捕獲を行う。

寄生対象の性質を色濃く受け継ぐ(宿主が犬の場合、成体は4つ足で移動する)ことが判明している。これは寄生している時へその緒(エイリアン4では取り出されたチェストバスターとリプリーの内臓がへその緒で繋がれたシーンがある)を通じて宿主のDNAと生態情報を得ている為である。また、卵を産む女王体(エイリアン・クイーン)はフェイスハガーの段階から既に通常の個体とは違っており、どの様な条件で出現するのかの詳細は不明である。

成体の特徴

成体の生物的特徴には、以下の様なものがある。

頭部
頭部は前後に細長い形状をしており、その上部は半透明のフードで覆われている(エイリアン・ウォーリアーのみ、アクションシーンでの破損への懸念、及びジェームズ・キャメロン自身の趣味によりフードが省略された)。頭部のデザインは、男性器を基にしている(ギーガーが好んで使用するモチーフである)。
視覚
ビッグチャップのみ眼窩を持つが、眼球らしき器官は無い。シリーズ3に魚眼レンズのような主観視点が登場したが、撮影スタッフが思いつきで撮影したものであり、エイリアンの視覚に関しては謎に包まれている。なおPCゲーム『エイリアンVSプレデター』では、通常の人間の視覚に、嗅覚による生体フェロモンの感知を表現したオーラを加えた視覚効果が採用されていた。
口顎
エイリアンは口の中に”インナーマウス”と呼ばれる第二の顎を持つ。トンボの幼虫の口器のように伸縮し、口腔内から外へ向けて一直線に数十cmの長さまで飛び出す。噛み付きや、口腔より射出される際の勢いによる対象物への打撃(及び貫通)によって、主に獲物を攻撃するために使われる。その射出力は、人間をはじめとする生物の骨格はおろか、金属をも貫くほどである。
歯は人間の物に酷似しており、門歯犬歯にあたる形状を見て取れる。人間に比べて犬歯が長い。
手足
手足の力は人間をはるかに凌ぐ。特に脚力は非常に強く、極めて高い瞬発力を備えている。指[1]の先端には鋭いを備えており、これと強い握力とを併用することで、何も凹凸の無い天井や壁に張り付くことも可能である。
尾は身の丈以上に長い。先端はの穂先のように鋭利な形状をしていて、岩石を砕くほどの力と硬度を持っている。戦闘時には、のように振り回すか、槍のように突き刺して使用する。
外殻
宇宙空間などの真空状態にも耐えうるが、外皮は、硬質感のある見た目ほどに強靭ではない。銃火器等によって容易に破壊でき、プレデターとの戦闘では、彼らが使用するレイザー・ディスクによって、頭部そのものを切断されている。外骨格ではないという説もある(シリーズ第2作)。
体液
幼体・成体を問わず体液は強酸性で、金属その他のあらゆるものを腐食させる性質を持つ。そのため、うかつに攻撃すると、攻撃者側も大きな被害を受ける。当然ながら自身への被害は全く無く、エイリアンVSプレデターではエイリアンの体を加工し、対エイリアン用の武装にするという応用がなされた。
分泌液
分泌液によって幾何学的な“巣”を構築し、その部材で犠牲者を拘束し、チェストバスターを寄生させる(狩りバチの巣と相似する)。分泌のプロセスは不明。 第一作ではノストロモ乗員が繭にされているシーンが撮影されたが編集でカットされた。 (初期シノプシスを元にしたと思われるノヴェライズ版には存在していた)。後にディレクターズカット版で復活している。
俊敏性
チェストバスターやフェイスハガーも動きは敏捷である。フェイスハガーは強靱な尾によって、獲物に飛びかかったり首を締め上げたりもする。
知能
機械動力を絶つ事で人間を無力化させられる事を理解できるだけの知能があり、クイーンに関しては卵を守ろうとする母性も見せる。作品を重ねるごとに高い知能を持つような描写が増えてきており、最新作においてはコミュニケーションとまでは行かないが、ある程度の意思の疎通が描かれている。

成体の種類

また、成体においては様々な種類が存在する。

デザイン・造型

第一作のエイリアン成体のスーツ原型は、デザインを手掛けたH・R・ギーガー自ら製作している。当初はデザインのみの参加のつもりが、アメリカのスタジオで制作されたモデルがイメージとかけ離れているという理由でロンドンでの撮影に志願した。
また首廻りの管状の器官には、日本製の灯油ポンプが流用されており、プロップから作られた精巧なコピーを仔細に観察すると、元の灯油ポンプに刻印された文字とJISマークが確認できる。

初期のデザイン画には昆虫のような大きな目が描かれ、スーツ原型にも頭部に人間の頭蓋骨を模した造形が見られるが、透明なフードがかけられたためほとんど見えなくなっている。初期のアイディアにある卵が祀られた寺院や「蛇やタコの足のような、人間の口から入って内臓から裏返しにしてしまう」舌、「体が透明」という要素は削除されている。卵の周りに宿主の接近を感知するもやがかかっている設定も、二作目以降は採用されていない。

フェイスハガーの産卵管周辺には女性器を思わせる造形がある(卵の開口部も当初は女性器がデザインされていたが、ストレートすぎるとして十字形に変更された。十字架を連想させるとしてスタッフを喜ばせたという)。

第二作のエイリアン・クイーンは、ジェームズ・キャメロン監督のデザインを基に、アニマトロニクスの第一人者スタン・ウィンストンが製作した。二対の腕は内部に人間が二人入って繰演している。映画完成後はコレクターの手に渡っていたが、第四作で一部改修して再登場している。

第三作では再びギーガーが初期デザインで参加している(ノンクレジット)。ギーガーの意向により第二作で外されていたエイリアン頭部のフードが復活し、逆に前二作で見られた背中の突起の除去が行われた。特殊メイクアーティストのトム・ウッドラフJr.自身がスーツを着用してエイリアンを演じた。ただし犬型エイリアンは人が着るスーツでは困難なシーンが多くアニマトロニクスパペットが撮影に多用されている。

第四作以降ではフルCGによるエイリアンが登場しているが、第三作のウッドラフがAVPとその続篇も含めて、引き続きスーツ撮影のシーンでエイリアンを演じている。

化石となった遺棄船の飛行士(スペース・ジョッキー)もギーガーのデザイン。画面で見られるよりずっと小さなスケールで作られており、気密服のコスチュームを着用した子役に船長ら一行を演じさせる事で、セットを巨大に見せかけている。撮影に使われた飛行士の模型は公開にあわせてアメリカの映画館に運ばれ展示されたが、煙草の不始末で焼失した。

  • 第一作におけるギーガーによるデザイン過程は画集『ギーガーズ・エイリアン』に詳しい。ただ制作日誌として綴られた内容からは、ハリウッドのスタッフとの共同作業が良い体験ではなかった事が伺える。
  1. ^ 指の本数は作品毎に異なり、1作目は6本、2作目は5本、3作目以降から4本となっている。