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鉄道事業法第2条により、次のような鉄道事業の区分がある。 |
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*[[鉄道]]による[[旅客]]又は[[貨物]]の運送を行う事業であって、第2種鉄道事業以外のもの。 |
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鉄道施設一式を保有するとともに列車の運行も行う。[[JR]]旅客各社、[[私鉄]]、[[地下鉄]]などほとんどの鉄道事業者が該当する。 |
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===第2種鉄道事業=== |
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*自らが敷設した鉄道線路以外(第1種や第3種鉄道事業者が保有)の鉄道線路を使用して鉄道による旅客又は貨物の運送(列車の運行)を行う事業。 |
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また、[[神戸市]]内の鉄道路線網の一翼を構成する[[神戸高速鉄道]]は、自身が第3種であり、ここに乗り入れる[[阪急電鉄]]・[[阪神電気鉄道]]・[[山陽電気鉄道]]・[[神戸電鉄]]・[[北神急行電鉄]]が第2種となっている。ただし、北神急行電鉄から施設を移管された[[北神急行電鉄北神線|北神線]]以外は神戸高速鉄道の路線として営業されているため、他のケースと異なっている。 |
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===第3種鉄道事業=== |
===第3種鉄道事業=== |
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*鉄道線路を第1種鉄道事業を経営する者に譲渡する目的をもって敷設する事業及び鉄道線路を敷設して該当鉄道線路を第2種鉄道事業を経営する者に専ら使用させる事業。 |
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前述の北総・公団線の小室以東の都市基盤整備公団や神戸高速鉄道のほかに、都市部の新線建設の際に鉄道施設の建設・保有を行う第3種鉄道事業者として設立される[[第三セクター]]会社(例・[[JR東西線]]の施設を保有する[[関西高速鉄道]]。実際の運行を行う[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]が第2種)が該当する。 |
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===索道事業=== |
===索道事業=== |
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*他人の需要に応じ、索道による旅客又は貨物の運送を行う事業。 |
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[[ロープウェイ]]、[[ケーブルカー]]のこと。 |
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===専用鉄道=== |
===専用鉄道=== |
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*専ら自己の用に供するため設置する鉄道であつて、その鉄道線路が鉄道事業の用に供される鉄道線路に接続するもの。 |
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工場や倉庫などへの貨物引込線のこと。 |
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一般的には、実際の車両を保有し、列車の運行管理を行う第1種と第2種鉄道事業を行う事業体を鉄道事業者と呼ぶことが多い。 |
一般的には、実際の車両を保有し、列車の運行管理を行う第1種と第2種鉄道事業を行う事業体を鉄道事業者と呼ぶことが多い。 |
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戦後、鉄道事業者は国や、民間企業の大きく分けて2つの事業体の形態があった。国([[日本国有鉄道]])が経営した鉄道を'''国鉄'''と呼び、民間企業が経営した鉄道を'''私鉄'''(または'''民鉄''')と呼んだ。私鉄の路線は'''会社線'''('''社線''')と呼んだ。 |
戦後、鉄道事業者は国や、民間企業の大きく分けて2つの事業体の形態があった。国([[日本国有鉄道]])が経営した鉄道を'''国鉄'''と呼び、民間企業が経営した鉄道を'''私鉄'''(または'''民鉄''')と呼んだ。私鉄の路線は'''会社線'''('''社線''')と呼んだ。 |
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日本国有鉄道は、[[政治家]]の圧力により、採算度外視で建設を進めた為、膨大な赤字を抱えることとなった。そこで赤字路線は、[[路線バス]]にするか、[[地方公共団体]]と民間との共同体[[第三セクター]]への移行を行い整理することとなった。これが'''第三セクター'''と呼ばれるグループの鉄道会社である。その他に、[[新幹線]]開業に際して分離される[[在来線]]区間や赤字私鉄を引き受けるための会社、臨海工業地帯の貨物鉄道(臨海鉄道)、[[新交通システム]]の事業者の多くが第三セクター方式で設立されている。 |
日本国有鉄道は、[[政治家]]の圧力により、採算度外視で建設を進めた為、膨大な赤字を抱えることとなった。そこで赤字路線は、[[路線バス]]にするか、[[地方公共団体]]と民間との共同体[[第三セクター]]への移行を行い整理することとなった。これが'''第三セクター'''と呼ばれるグループの鉄道会社である。 |
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その他にも、[[新幹線]]開業に際して分離される[[在来線]]区間や赤字私鉄路線を引き受けるための会社、臨海工業地帯の貨物鉄道(臨海鉄道)、[[新交通システム]]の事業者の多くが第三セクター方式で設立されている。 |
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さらに日本国有鉄道は[[JR]]への分割民営化を行うこととなった為、民営化された会社は、国鉄の代わりに「'''JR'''('''グループ''')」と呼ぶこととなった。国鉄と私鉄の区分の名残によって、JRグループは私鉄(民鉄)とは呼ばない。「会社線」という呼称についても、JRの乗車券に例えば「東日本会社線」のように書かれてはいるが、JRの路線を会社線と呼ぶことはない。 |
さらに日本国有鉄道は[[JR]]への分割民営化を行うこととなった為、民営化された会社は、国鉄の代わりに「'''JR'''('''グループ''')」と呼ぶこととなった。国鉄と私鉄の区分の名残によって、JRグループは私鉄(民鉄)とは呼ばない。「会社線」という呼称についても、JRの乗車券に例えば「東日本会社線」のように書かれてはいるが、JRの路線を会社線と呼ぶことはない。 |
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また、大都市([[政令指定都市]])では、地方自治体による公営地下鉄が存在するが、これは地下鉄建設費の補助金が原則として地方自治体や営団だけに支給されるため、純民間企業での地下鉄建設が採算的に困難なためである。 |
また、大都市([[政令指定都市]])では、地方自治体(交通局)による公営地下鉄が存在するが、これは地下鉄建設費の補助金が原則として地方自治体や営団だけに支給されるため、純民間企業での地下鉄建設が採算的に困難なためである。 |
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なお、旧国鉄やJRの路線を引き継いだ第三セクター会社は私鉄には含まない場合が多いが、大都市周辺の都市開発を目的として設立された第三セクター会社(例・[[北総開発鉄道]]、[[北大阪急行電鉄]]、[[大阪府都市開発]]など)や、元々の私鉄路線を引き継いだ路線については、私鉄として扱うことが多い。 |
なお、旧国鉄やJRの路線を引き継いだ第三セクター会社は私鉄には含まない場合が多いが、大都市周辺の都市開発を目的として設立された第三セクター会社(例・[[北総開発鉄道]]、[[北大阪急行電鉄]]、[[大阪府都市開発]]など)や、元々の私鉄路線を引き継いだ路線については、私鉄として扱うことが多い。 |
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==大手私鉄・準大手私鉄・中小私鉄の区分== |
===大手私鉄・準大手私鉄・中小私鉄の区分=== |
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JRを除く私鉄についても、首都圏や関西圏を中心に、従業員が数千人、数万人規模の会社が存在する。これらは、他の業界同様に社会全体に対して大きな影響を与えるためこれらを[[大手私鉄]](大手民鉄)と呼び、他の私鉄会社とは区別する。現在は15社をさす。[[国土交通省]]鉄道局などでも、統計資料を出す際に、この区分を用いている。私鉄が加盟する[[日本民営鉄道協会]]などでも、15社を大手民鉄と紹介している。なお、15社に加えて地下鉄の[[帝都高速度交通営団]](営団地下鉄)を加えて、16社とする場合もある。 |
JRを除く私鉄についても、首都圏や関西圏を中心に、従業員が数千人、数万人規模の会社が存在する。これらは、他の業界同様に社会全体に対して大きな影響を与えるためこれらを[[大手私鉄]](大手民鉄)と呼び、他の私鉄会社とは区別する。現在は15社をさす。[[国土交通省]]鉄道局などでも、統計資料を出す際に、この区分を用いている。私鉄が加盟する[[日本民営鉄道協会]]などでも、15社を大手民鉄と紹介している。なお、15社に加えて地下鉄の[[帝都高速度交通営団]](営団地下鉄)を加えて、16社とする場合もある。 |
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2004年3月1日 (月) 08:50時点における版
鉄道事業者(てつどうじぎょうしゃ)とは、鉄道事業法第7条で「鉄道事業の許可を受けた者」と規定される事業体である。
許可を受けた事業体の多くは会社組織のため、一般には鉄道会社と呼ばれる。
鉄道事業形態による区分
鉄道事業法第2条により、次のような鉄道事業の区分がある。
第1種鉄道事業
鉄道施設一式を保有するとともに列車の運行も行う。JR旅客各社、私鉄、地下鉄などほとんどの鉄道事業者が該当する。
第2種鉄道事業
- 自らが敷設した鉄道線路以外(第1種や第3種鉄道事業者が保有)の鉄道線路を使用して鉄道による旅客又は貨物の運送(列車の運行)を行う事業。
JR貨物(JR旅客各社が第1種)や、北総開発鉄道北総・公団線の小室以東(都市基盤整備公団が第3種)などが代表例。
また、神戸市内の鉄道路線網の一翼を構成する神戸高速鉄道は、自身が第3種であり、ここに乗り入れる阪急電鉄・阪神電気鉄道・山陽電気鉄道・神戸電鉄・北神急行電鉄が第2種となっている。ただし、北神急行電鉄から施設を移管された北神線以外は神戸高速鉄道の路線として営業されているため、他のケースと異なっている。
第3種鉄道事業
- 鉄道線路を第1種鉄道事業を経営する者に譲渡する目的をもって敷設する事業及び鉄道線路を敷設して該当鉄道線路を第2種鉄道事業を経営する者に専ら使用させる事業。
前述の北総・公団線の小室以東の都市基盤整備公団や神戸高速鉄道のほかに、都市部の新線建設の際に鉄道施設の建設・保有を行う第3種鉄道事業者として設立される第三セクター会社(例・JR東西線の施設を保有する関西高速鉄道。実際の運行を行うJR西日本が第2種)が該当する。
索道事業
- 他人の需要に応じ、索道による旅客又は貨物の運送を行う事業。
専用鉄道
- 専ら自己の用に供するため設置する鉄道であつて、その鉄道線路が鉄道事業の用に供される鉄道線路に接続するもの。
工場や倉庫などへの貨物引込線のこと。
一般的には、実際の車両を保有し、列車の運行管理を行う第1種と第2種鉄道事業を行う事業体を鉄道事業者と呼ぶことが多い。
経営形態による区分
- 会社
- JR各社
- 第三セクター会社
- JRと第三セクター会社を除く純民間会社
- 非会社
- 地方自治体(交通局) - 大阪(軌道法)を除く公営地下鉄、大阪のニュートラムの一部(区間により鉄道事業法と軌道法が混在)
- 特殊な法人(営団、公団)
JRと私鉄、第三セクターの区分
戦後、鉄道事業者は国や、民間企業の大きく分けて2つの事業体の形態があった。国(日本国有鉄道)が経営した鉄道を国鉄と呼び、民間企業が経営した鉄道を私鉄(または民鉄)と呼んだ。私鉄の路線は会社線(社線)と呼んだ。
日本国有鉄道は、政治家の圧力により、採算度外視で建設を進めた為、膨大な赤字を抱えることとなった。そこで赤字路線は、路線バスにするか、地方公共団体と民間との共同体第三セクターへの移行を行い整理することとなった。これが第三セクターと呼ばれるグループの鉄道会社である。
その他にも、新幹線開業に際して分離される在来線区間や赤字私鉄路線を引き受けるための会社、臨海工業地帯の貨物鉄道(臨海鉄道)、新交通システムの事業者の多くが第三セクター方式で設立されている。
さらに日本国有鉄道はJRへの分割民営化を行うこととなった為、民営化された会社は、国鉄の代わりに「JR(グループ)」と呼ぶこととなった。国鉄と私鉄の区分の名残によって、JRグループは私鉄(民鉄)とは呼ばない。「会社線」という呼称についても、JRの乗車券に例えば「東日本会社線」のように書かれてはいるが、JRの路線を会社線と呼ぶことはない。
また、大都市(政令指定都市)では、地方自治体(交通局)による公営地下鉄が存在するが、これは地下鉄建設費の補助金が原則として地方自治体や営団だけに支給されるため、純民間企業での地下鉄建設が採算的に困難なためである。
なお、旧国鉄やJRの路線を引き継いだ第三セクター会社は私鉄には含まない場合が多いが、大都市周辺の都市開発を目的として設立された第三セクター会社(例・北総開発鉄道、北大阪急行電鉄、大阪府都市開発など)や、元々の私鉄路線を引き継いだ路線については、私鉄として扱うことが多い。
大手私鉄・準大手私鉄・中小私鉄の区分
JRを除く私鉄についても、首都圏や関西圏を中心に、従業員が数千人、数万人規模の会社が存在する。これらは、他の業界同様に社会全体に対して大きな影響を与えるためこれらを大手私鉄(大手民鉄)と呼び、他の私鉄会社とは区別する。現在は15社をさす。国土交通省鉄道局などでも、統計資料を出す際に、この区分を用いている。私鉄が加盟する日本民営鉄道協会などでも、15社を大手民鉄と紹介している。なお、15社に加えて地下鉄の帝都高速度交通営団(営団地下鉄)を加えて、16社とする場合もある。
また、大手私鉄に次ぐ規模を持つ私鉄を準大手私鉄(準大手民鉄)と呼ぶことがある。準大手私鉄の明確な定義はないが、現在、6社が準大手私鉄とされている。大手私鉄・準大手私鉄を除く私鉄は中小私鉄(中小民鉄)と呼ばれる。
前述の第三セクター会社の一部には日本民営鉄道協会に加盟している会社がある。