「制服」の版間の差分
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'''制服'''(せいふく)とは、[[会社]]・[[学校]]あるいは[[軍隊]]・[[警察]]など、ある一定の[[集団]]や[[組織 (社会科学)|組織]]の所属者が着用することを目的に規定された[[服]]のことである。同じ集団内でも[[男性]]と[[女性]]の制服の格好([[デザイン]])が異なる場合も多い。また、普段の着用[[義務]]がない服は、'''標準服'''(ひょうじゅんふく)や'''奨励服'''(しょうれいふく)と呼ばれることもある。なお、制服を[[英語]]でいうと、uniform(ユニフォーム)となるが、日本語で'''[[ユニフォーム]]'''と言う場合、[[スポーツ]]のチームメンバーの統一された服装に限定して使用されることがある。<!--←「ユニフォーム」の項目参照--> |
'''制服'''(せいふく)とは、[[会社]]・[[学校]]あるいは[[軍隊]]・[[警察]]など、ある一定の[[集団]]や[[組織 (社会科学)|組織]]の所属者が着用することを目的に規定された[[服]]のことである。同じ集団内でも[[男性]]と[[女性]]の制服の格好([[デザイン]])が異なる場合も多い。また、普段の着用[[義務]]がない服は、'''標準服'''(ひょうじゅんふく)や'''奨励服'''(しょうれいふく)と呼ばれることもある。なお、制服を[[英語]]でいうと、uniform(ユニフォーム)となるが、日本語で'''[[ユニフォーム]]'''と言う場合、[[スポーツ]]のチームメンバーの統一された服装に限定して使用されることがある。<!--←「ユニフォーム」の項目参照--> |
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== 学校の制服 == |
== 学校の制服 == |
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[[画像:Japanese school uniform dsc06052.jpg|right|thumb|300px|女子生徒の制服各種]] |
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{{main|学校制服}} |
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[[学校]]の[[在学生]](幼児・児童・生徒・学生)が着用する制服は、源流をたどっても、学校内部や[[教育]]現場での序列や役割を表わすものではなく、在学生の制服には、一般社会と多少異なった意義があるものと考えられている。 |
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一般的に言えば、学校の制服には、それを着用する生徒が所属する学校を特定する機能がある。この機能には、学校側からの生徒管理と、生徒の側からのアイデンティティ・帰属心の確立という2つの要素が含まれる。[[1960年代]]末の紛争で廃止された学校を除き、多くの旧制中学の伝統を汲む都道府県立高校で、必ずしも活動的とはいえない[[学生服|詰襟の制服]]が堅持されている根拠には、教師側によるもののほかに生徒からの支持もある。 |
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制服の新設・廃止・変更に関しては、保護者・学校側の立場からは、学校内部の連帯感や秩序・規律を保つために有意義であり、[[愛校心]]を育むためにも[[歴史|伝統]]を守るためにも廃止・変更を避けるのが妥当であるという意見がみられる。また、「学生の伝統」として生徒側から制服維持論(私服・自由服への移行に対する異議)が出されることもある。制服を廃止したために志願者が減少してしまい、制服を再導入する高校もある。一方で着心地の悪さ、着替えの煩雑さ、機能性の面などから制服に否定的な意見も一定数見られる。近年は、魅力的な制服で志願者を集める目的から、制服をファッショナブルなものに変える学校も目立つ。 |
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=== 学校の制服の評価 === |
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[[現代社会]]においては、制服が考案・導入された当初から社会状況が大きく変化し、「存在意義がなくなっている」などの否定的な評価がされることもある。反対に[[生徒指導]]をある程度[[規格化]]して行える面から、[[中学校]]や[[高等学校]]などの制服には、社会性を身に着けさせやすくする働きもあるのではないかという意見もある。 |
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学校外でも在学生を保護するという観点から、学生・生徒の[[身分]]を社会の人々が[[認識]]しやすい制服着用について肯定的な評価がされることもある。生徒としては学校帰りなどの寄り道など、制服のまま街を歩くのに抵抗がないという人もいれば、休日などの学校外での制服着用までは強制されたくないという意見もある。その他、アメリカでは制服を導入したところ、校内の暴力事件発生件数が減った事例などがある。公立の小学校の場合、経済力から生じる児童衣服の格差から生じる差別をなくするという目的で、制服着用を求める声も多い。一方で、制服は保護者に経済的負担が及ぶこともあり、家庭の経済格差を理由に制服導入に慎重な声もある。[[幼稚園]]などで設けられている制服については、[[誘拐]]などの[[犯罪者]]が標的とする[[子供]]を発見するのを容易にしてしまう働きもあるのではないかという意見もある。 |
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一方で、公立[[小学校]]のほとんどが[[私服]]なのに対しほとんどの[[中学校]]で制服があることと、[[いじめ]]や[[不登校]]が中学校の段階になり急増していることから、制服に反対する意見もある。制服が生徒の個性を抑圧し異質なものへの寛容心を奪っているのではないかというのである。こうした背景から、日本国内においても制服を廃止、または「標準服」として強制しない[[中学校]]や[[高等学校]]もある。 |
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また、当事者たる生徒側からの評価はまちまちである。制服によって衣服選択が楽になる、デザインが良い、生徒の伝統などの肯定的評価もあれば、着心地が悪い、格好悪いなどの否定的評価も見られる。生徒が自分の所属校に誇りを持つような名門校には制服支持の向きが強いといわれるが、やはり人によって評価が分かれることも多い。近年では、制服のファッション的評価の高まりから、いったん廃止された制服がリニューアルされて復活している学校もみられる。 |
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===学校の制服の種類=== |
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女子生徒用の制服は女子通学服、男子生徒用の制服は詰襟学生服・ブレザー、に大別されている。なお、学校の制服全般を男女形状タイプに関係無く「学生服」、小学生向けのものは「[[学童服]]」と呼ぶ場合もある。 |
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====女子==== |
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女子生徒用の制服は男子生徒用の制服に比べ、デザイン・色・オプションなどの種類が豊富。女子通学服が女子受験生の学校選択の要素の1つになることもあり、学校側は女子生徒用の制服を男子生徒用の制服よりも重視する傾向がある。女子の制服では[[スカート]]が一般的であるが、防寒・防犯・機能性などを考慮しオプションとして[[スラックス]]にしている学校もある(全国の中学・高校の1割程度、最近になりスラックス着用を義務づける学校も出てきた)<!-- 2008年3月30日の朝日新聞朝刊の教育欄より。-->。中学生・高校生らしく見られたい生徒側と健康管理や防犯を優先する学校側との間で意見が食い違い、現実的なスラックス普及は難しいとされている。 |
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*[[ブレザー]] - 女子生徒に主流の制服。高等学校の新設校やモデルチェンジによって採用されることが比較的多い制服である。 |
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*[[セーラー服]] - 伝統的な女子生徒の制服。このセーラー服(クラシックな従来型)を採用している中学・高校はかつてに比べれば減ったものの、女子中高生にはまだ主流の制服と言える。また近年は、セーラーブラウスとジャケットを組み合わせた変形型・複合型などといったようなセーラー服を採用する中学・高校が出てきた。 |
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*[[ボレロ (衣服)|ボレロ]] - 前を打ち合わせない短い丈のジャケットで、主にジャンパースカートの上に着用。最近では衰退傾向にある。 |
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*[[イートンジャケット]] - [[襟|カラー]]レスジャケットの形状で、主に濃紺色で小中学校に多い。英国[[イートン・カレッジ]]のイメージを流用し命名された。 |
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*[[ワンピース]] - 冬服タイプはブレザーなどを重ね着することがある。採用校は極めて少ない。 |
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*[[ジャンパースカート]] - 夏服の標準的な制服であったが、モデルチェンジの折に減少傾向にある(元々ジャンパースカートはスカートの一種であるが、冬服タイプはブレザーやボレロ等の下に着用される)。 |
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*[[ベスト]] - 夏服や中間服のパターンだが、最近ではチェック柄のスカートが増えているところから、[[メリヤス|ニット]]系のベストに替わることが多い。 |
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*[[ブラウス]] - 制服スカートに指定のブラウスを着用する夏服(盛夏服)型。その上に[[メリヤス|ニット]]系のベストや[[カーディガン]]等を重ね着することが多い。 |
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*[[セーター|スクールセーター]] - 冬場に着用する[[セーター]]。[[女子高生]]の間では冬場だけでなく春、秋にも濃紺の[[ミニスカート]]に白のブラウスの上から濃紺のスクールセーターを着用していることが多い。<!-- 派生するバリエーションとしてはいいのですが、スクールセーターを制服にするには疑問が残ります。なぜならば、随意ではないという校則がないようなので。--> |
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*[[吊りスカート]] - 夏は[[ブラウス]]の上に着用することが多い。冬は[[イートンジャケット]]などを重ね着する。主に小学校や中学校などで見られる。 |
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*[[コート]]-冬に防寒で着用する。 |
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====男子==== |
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[[ファイル:IzuoUniform.jpg|thumb|right|200px|[[大阪府立泉尾高等学校]]の制服。創立約90年の同校だが、[[高等女学校]]からの伝統の[[セーラー服]]を止め、2003年から男女とも[[ブレザー]]制服にした。なお、同校では「女子生徒でも、ズボンとネクタイ」という、ボーイッシュな組み合わせを許可している]] |
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男子の制服は下記のように大きなモデル分け自体が少ないが、[[学生服|詰襟学生服]]など細かいバリエーションが多数あるモデルもある。制服に対する興味関心の度合は学校・地域・校則・時代・モデル・形状などの要因や傾向によって大きく左右されている。 |
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*[[学生服]](学ラン) - [[詰襟]]を用いた、[[旧制高等学校]]当時から存在する伝統的な男子の制服である。中学校では現在でも主流であるが、高等学校はブレザーなどへのモデルチェンジで大きく減少している<ref name="ex">[http://www.excite.co.jp/News/bit/00091145466351.html エキサイトニュース2006年4月20日『ところで学ランの「ラン」って何?』にて、'''尾崎商事マーケティング部社員談'''より。]</ref>。一部大学の[[体育会系]]にも着用されている。[[応援団]]の衣装としても使われる。 |
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*[[ブレザー]] - 高等学校で主流のタイプであり<ref name="ex"/>、小中学校でも採用が増えている。ただ、ブレザーの高校でも応援団は学生服(学ラン)を着ることが多い。 |
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*[[イートンジャケット]] - カラーレスジャケットの形状で、主に濃紺色で小学校に多い。英国[[イートン・カレッジ]]のイメージを流用し命名された。 |
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*[[学帽]] - 制服が学ランでなくなってからは廃れる一方。 |
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====地域性==== |
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中学校、高等学校の制服が全国的に導入されているのとは対照的に、小学校の制服は導入する地域としない地域が偏在している。東日本、九州北部、南西諸島の公立小学校は私服登校の学校が多いのに対し、関西(特に[[大阪市|大阪市内]]。他に滋賀県、奈良県、和歌山県の大部分)、北陸、中国、四国(高知県を除く)、九州の中南部では制服が導入されている学校が多い。なお、男子生徒への[[丸刈り]]強制も九州地方に多い。 |
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但し、同じ市町村にあっても制服の学校と私服の学校が混在するケースは少なくない。また上記での地域はあくまでも一例であり、[[水戸市]]のように関東にありながら4割近くの小学校で導入しているケースや、[[甲府市]]のように9割近くの小学校で私服登校が可能だが、少数ながら制服を導入している学校([[学校放送]]の『[[虹色定期便]]』で舞台となった[[甲府市立富士川小学校|富士川小学校]]など)があるケースも存在する。逆に[[京都市]]や[[神戸市]]、[[枚方市]]のように関西にありながらほとんどの小学校で私服登校が可能なケースもある。 |
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学校の公式ホームページや教育委員会の案内・衣料メーカーの情報等で制服の着用義務の有無について公表している場合があり、それらの情報によると、制服が指定されている公立小学校が存在するのは[[福島県]]・[[茨城県]]・[[東京都]](特に[[台東区]]は全域)・[[山梨県]]・[[富山県]]・[[石川県]]・[[福井県]]・[[滋賀県]]・[[大阪府]]・[[奈良県]]・[[和歌山県]]・[[兵庫県]]・[[岡山県]]・[[広島県]]・[[島根県]]・[[山口県]]・[[愛媛県]]・[[香川県]]・[[福岡県]]・[[熊本県]]・[[鹿児島県]]の21都府県である(国立・私立を含めた場合これ以外の地域にも着用例があり)。但し、これらの都府県においても導入率はまちまちであり、一律に導入されているというわけではない。 |
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=== 学校制服の歴史 === |
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==== 近代初期 ==== |
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[[明治維新]]直後は[[学校制度]]自体が未整備であり、学を志す者は従来の[[藩校]]や私塾に通っていた。生活様式も江戸時代然のものであるため、着物・袴に髷を結い、士族の子弟は帯刀して通学していた。この時点で制服を定める動きは特になかったが、それでも塾ごとに、門人の着こなしに明らかな違いが自然に現れてきたようである。例えば、[[慶應義塾]]は無刀で角帯を締め、外出の際に[[羽織]]を着る、[[商法講習所]]の生徒は[[前垂れ]]をかけた、商人風の格好で通っていたことが、当時の関係者の証言にある。 |
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初期の洋服の学校制服の例に、工学寮(後の[[工部大学校]])が1873年の開校時に、紺色の詰襟服を制定したことが挙げられる。制服(のみならずその他日用品のほとんど)が官給品であったことも特徴的である。[[学習院]]では、1879年、在学生同士での[[経済]]的な格差を感じることがなく、生徒としての意識を高めることを目的に服制が決められた。また、今日一般的な学生服として認識される制服を制定したのは、[[帝国大学]](後の[[東京帝国大学]])であった。1886年に風紀向上策の一環として取り入れられた([[制帽]]は、前年に在学生が考案したものを採用した)。 |
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一方で[[東京美術学校]]では、1889年に[[闕腋袍]]と[[日本の冠|冠]]よりなる服装が考案された。教員・生徒とも同じ型(色で区別)で、飛鳥・奈良時代の官人の服に倣ったものであったが、これは伝統美術の復興を志向する[[岡倉天心]]校長の意図が強く働いた結果であり、賛否両論があった。 |
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==== 明治 - 昭和初期 ==== |
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明治時代後期にもなると、教育の場では体操の際に動きやすく機能的であるとして、洋式の制服が次第に定められていった。男子の制服は、当時の国家主義的風潮と、縫製の容易さから詰襟型の上衣と軍隊式の制帽の組み合わせが主流だったが、大正時代に民主的風潮が広まると、背広型の制服を定める例もいくつか見られた。 |
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女子の制服は、当初は定まったものがないか、着物に袴をはく和服様式が多かったが、やがて洋服の普及に合わせて、スーツにスカート、或いはセーラー服を制定する学校が増加していく。 |
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==== 太平洋戦争 - 昭和中期 ==== |
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戦争が激化し、物資の不足が目立ってくると、学校の制服も全国的な統制を受けるようになる。1941年より、[[文部省]]によって中学校以上に在籍する生徒・学生は[[国民服]]乙号に戦闘帽、[[ゲートル]]を着用し、制服の新調は控えるよう決められた。帽章やボタンに使用される金属も供出の対象になり、代用品として陶製やガラスのボタンが充てられた。女子生徒にも統一されたデザインの服を着用するよう求められている。 |
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敗戦後は以上の規制も撤廃されるが、極度の物不足のために従来の制服を着られる者はあまりおらず、先述の国民服や軍服などで代用するケースが多く見られた。経済が回復するにしたがい、学校制服の普及率も再び高まっていった。 |
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==== 1960年代から1970年代 ==== |
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[[第二次世界大戦]]後、[[1960年代]]後半から、主に[[服飾]][[業界|界]]([[ファッション]]界)の関係者から「会社員が[[ドブネズミ]]と称されるような画一的な服装をするのは、[[中高生]]の多感な時期に制服を押し付けられ服飾感覚を磨く機会が奪われているからだ」という批判があった。この[[背景]]には、[[ピーコック革命]]と称する[[大人]]の男性の服装をもっと見栄え良く([[ファッショナブル]]に)していくという動きがあった。制服批判には、こどもや[[青少年]]の没[[個性]]化の[[原因]]は制服にあるとされ、さらに、[[男子]]の[[学生服|詰襟学生服]]や[[女子]]の[[セーラー服]]は、共に[[軍服]]の格好が参考にされていたことから、工夫の少なさや、[[平和]]的な[[国家]]である日本の学校現場にふさわしいものなのかという議論もあった。 |
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[[1970年代]]には、このような中で、制帽、制服を廃止して自由服などに移行する高等学校も現れ始めた。 |
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====1980年代==== |
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[[1980年代]]後半には、[[大都市]]圏の[[私立学校|私立]]の高等学校を中心に、見栄えの良い制服を導入することが[[流行]]した。従来の紺・黒系統から明るい色が増えたり、斬新なデザイン、チェック模様のズボン、カラフルなネクタイ、防寒着の変化(ダッフルコート、マントの採用)、複数の制服の自由な組み合わせなどがあげられる。見栄えの良い制服の導入は、[[受験生]]を増やして[[入学試験]]の合格点<!--(受験時における[[偏差値]])-->を上げる効果があるといわれた。また、いわゆる管理教育の見直しなど校則に関する社会的な議論の高まりを背景に、それまで制服が当たり前であった公立中学・公立高校でも一部に制服を廃止し、着用義務のない標準服に移行する[[学校]]が出てきた。 |
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いわゆる伝統校と呼ばれる学校ほど制服のデザインには保守的である傾向がある。 |
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====1990年代以降==== |
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[[1990年代]]以降の在学生の制服については、スーツなどのフォーマルウェアが時としてそうであるように[[おしゃれ]]やファッションの手段として傾向も強まり、制服の着方(着こなし方・着崩し方)や存在などをめぐっては、制服着用と教育効果の関係性の面からも議論されるようになってきている(→[[服装の乱れ]])。また[[自由服]](私服)の高校に通う生徒などが市販の[[学生服]](制服)や他校の制服を私服として通学時や学校のない時に着たり、他校の指定の鞄を持ったりするいわゆる「なんちゃって制服」と呼ばれる現象も存在するようになり、学生服メーカーや販売店などもそうした需要に注目している。 |
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女子中高生を顧客に持つ衣料品メーカー[[イーストボーイ]]など一部ブランドには「なんちゃって制服」の需要を見込んで、一見したところ制服風のブレザー、リボンタイつきブラウス、プリーツスカート、ワンポイント入りハイソックスなどを販売しているところもある。またこれはファッション史の見地からは正統派のリセファッションと評価されている。 |
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制服のファッション化の背景には、制服は基本部分を親に購入してもらうことができるため、リボンなどの小物や色の組み合わせを変えることでオシャレを演出できるほか、小遣いの範囲で小物を買い足していくことができるといった、私服よりも安価にオシャレを楽しめることが理由だと考える意見がある<ref>{{Cite book|和書|title=世界カワイイ革命 なぜ彼女たちは「日本人になりたい」と叫ぶのか|author=[[櫻井孝昌]]|publisher=[[PHP新書]]|date=2009-11-30|isbn=978-4-569-77535-7|pages=p.33}}</ref>。 |
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一方で、制服の高価さ、不便さなどから、制服の廃止を訴える声も少なくはなく、最近は制服を廃止する学校も増えてきている。 |
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しかし、一度制服を廃止した途端に受験者数が落ち込むケースが存在する。制服を再導入する学校も出てきている。[[千葉県立小金高等学校]]では、公立の学校としては珍しく1993年から私服通学を認めていたが、志願者が減少の一途を辿っていたため、2011年から制服を再導入すると決定したところ、志願者数が増加した<ref>{{cite web |
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| url =http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090523-OYT1T00063.htm |
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| title =「自由過ぎて」私服不人気…千葉県立小金高、制服再導入へ |
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| publisher = [[読売新聞]] |
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| accessdate = 5月23日 |
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| accessyear = 2009年 |
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}}</ref>。また[[北海道富良野高等学校]]が、式典などでの服装の乱れについて指摘を受け、2011年度から制服を復活させることにした<ref>[http://www.hokkaido-np.co.jp/news/education/222537.html 富良野高制服復活へ 2011年度から 式典などで服装乱れ指摘受け][[北海道新聞]]2010年3月25日</ref>。 |
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近年の日本におけるこのような制服のファッション化は、日本国外でも注目されており、[[フランス]]の雑誌『[[Japan LifeStyle]]』における言及、「日本の女子高生の制服は自由の象徴」といった[[パリ]]娘たちの意見<ref>{{Cite book|和書|title=世界カワイイ革命 なぜ彼女たちは「日本人になりたい」と叫ぶのか|author=櫻井孝昌|publisher=PHP新書|date=2009-11-30|isbn=978-4-569-77535-7|pages=p.30}}</ref>や2009年[[Japan Expo]]における制服ファッションの前年比での激増<ref>{{Cite book|和書|title=世界カワイイ革命 なぜ彼女たちは「日本人になりたい」と叫ぶのか|author=櫻井孝昌|publisher=PHP新書|date=2009-11-30|isbn=978-4-569-77535-7|pages=p.160}}</ref>、ファッション誌に常に制服が特集されている[[タイ王国]]<ref>{{Cite book|和書|title=世界カワイイ革命 なぜ彼女たちは「日本人になりたい」と叫ぶのか|author=櫻井孝昌|publisher=PHP新書|date=2009-11-30|isbn=978-4-569-77535-7|pages=p.48}}</ref>、[[バンコク]]で2009年3月に開催された制服ファッションイベント「カワイイ・フェスタ」の開催などに、その注目の度合いを見ることができる。 |
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=== 日本国外における学校の制服 === |
=== 日本国外における学校の制服 === |
2011年12月23日 (金) 01:19時点における版
制服(せいふく)とは、会社・学校あるいは軍隊・警察など、ある一定の集団や組織の所属者が着用することを目的に規定された服のことである。同じ集団内でも男性と女性の制服の格好(デザイン)が異なる場合も多い。また、普段の着用義務がない服は、標準服(ひょうじゅんふく)や奨励服(しょうれいふく)と呼ばれることもある。なお、制服を英語でいうと、uniform(ユニフォーム)となるが、日本語でユニフォームと言う場合、スポーツのチームメンバーの統一された服装に限定して使用されることがある。
制服の意義・機能
制服を設けるもっとも重要な目的は、組織内部の人間と組織外部の人間、組織内の序列・職能・所属などを明確に区別できるようにすることである。また、同じ制服を着ている者同士の連帯感を強めたり、自尊心や規律あるいは忠誠心を高める効果が期待される場合もある。格好良い制服やかわいい制服は、あこがれを抱かせ、その制服を着たい(転じて、その職種に就きたい・その組織に入りたい)という願望をもたせ、人材確保に一役買うこともある。
また戦時体制や独裁国家などにおいては、物資の節約や意識の共有などを目的とした服装の統制が行われることがある。大日本帝国で太平洋戦争中に用いられた国民服、中国や北朝鮮の人民服などがその例である。
制服にはその職務にあった機能性が求められる。特定の作業用に機能性を重視して規定された服は作業服と呼ばれ、制服と区別されることもある。企業によっては作業服を業務において常に着用する服装であるとし、作業服を制服と位置づけるところもある。但し、この場合でも営業職など接客を伴う場合に限りスーツ着用を基本としている。
現在の日本の公務員では自衛官、警察官、消防吏員、海上保安官など、また民間企業では鉄道員・駅員・警備員などは業務上の観点から制服の着用が重要視されている[1]。
軍人・自衛官や警察官等の制服には階級章・所属章・部隊章・資格章(日本の警察には存在せず)等の記章が付けられており、制式(デザイン、色彩、材質等)も厳格に定められているので、これらの機関等における制服の意味は命令系統の統制や上下関係の明示等の役割を果たしている。階級ごとの制服を廃止し、最高司令官から兵卒までほぼ同じ制服を着用したことがあったが、組織統制上の混乱をもたらしたため階級ごとの制服が復活したかつての中国人民解放軍のような例もある。日本の自衛隊においては、航空自衛隊が幹部(士官)と曹士(下士官・兵)の制服に若干の差異をもうけている。海上自衛隊では幹部と曹の制服は殆ど同じであるが、曹と士の制服は完全にデザインが異なる。士の間でも入隊採用試験の区分により詰襟とセーラー服といった感じでデザインが異なる。陸上自衛隊では幹部と曹士の制服デザインは基本的に同じだが、制帽のあご紐の色(幹部は金色、曹士は黒色)や上着の袖章の有無(幹部は袖口に蛇腹織の線が付くが、曹士には付かない)、階級章の着用位置などで識別できる。
一般社会においては制服がない業種や職種も少なくない。が、社会人の場合はある程度あらたまった服装で勤務することが求められることもある。例えば、男性の会社員の場合は、背広(スーツ)・ワイシャツ・ネクタイ姿で勤務する人が多く、この背広やワイシャツは実質的に制服とされているとの見方もある。
企業ではこれまで、女性社員にのみ制服を採用している企業が多く見られたが、バブル崩壊後の企業業績悪化に伴うコスト削減、女性が多くを占める派遣社員の増加(その一方での制服着用の一般職女性社員の削減)に伴う企業の雇用形態の変化に合わせて、近年女性社員の制服を廃止する企業が増えている。フェミニズムの立場から、女性にのみ制服を適用するのは女性差別という理由は副次的である。一方、地球環境保全、盛夏における快適性の観点から、男性社員の服装の自由化を求める声も高まり、大企業を中心としてカジュアルな服装でも勤務可という職場が多くなっている。公務員においても国策としての温暖化対策のためクールビズ、ネクタイ不着用が標準となりつつある。
なお、グループ企業において独自の制服がある場合、子会社が親会社の制服に準じたデザインのものを採用することが多い。
学校の制服
日本国外における学校の制服
この節の加筆が望まれています。 |
- 中華民国(台湾)
- 韓国と同様、かつて日本統治時代の名残で、詰襟学生服、セーラー服を着用していた。
- 現在の台湾では小中学校を中心に制服が着用されているが、中学校の場合セーラー服はほとんど無く、概ね日本の女子高生が着用しているようなチェック柄のものが流行のようだが、昔ながらの紺色の制服を採用している学校も多い。また、台北市立第一女子高級中学(通称・北一女)のように、日本ではほとんど見かけない明るい鮮やかな緑色の制服を採用している学校もある。これらの緑色の制服はミャンマーなどでも見かけた。小学校の制服は、男子はYシャツに半ズボン、女子は吊りスカートであるところが多く、日本の小学校の制服と似ているが、冬期は女子も長ズボンを着用する場合がある。また、台北市敦化國小、台中縣文昌國小、高雄縣大華國小などのように、男女ともセーラー服が採用されている例もある(中国の場合とは異なり、海軍とは関係がない)。なお、台湾の小学校制服には地域性があり、私服の場合も含めて、地域ごとに類似した制服が採用される傾向がある。
- 大韓民国(韓国)
- 日本と同様、大部分の中学校および高等学校に制服がある。かつては、男子生徒は詰襟学生服(韓国では「チャイナカラー」と表現する)、女子生徒は紺色のスーツ型通学服(まれにセーラー服)を着用していたが、全斗煥政権下の1984年に日本植民地主義の名残として全廃された。しかし、自由服になったことによる風紀の乱れなどを理由として、ほどなくして制服が、植民地時代を想起しないようモデルチェンジの上復活した。
- 現在は、ほとんどの学校でブレザーを着用する。詰襟学生服は『友へ チング』をはじめ、1980年代以前を扱った映画やドラマで登場したり、またバラエティ番組でタレントが着用することもあるが、実際に学校の制服として着用されることはない。なお、女子生徒がセーラー服に似た制服を着用する学校は存在する。衣替えは5月と10月だが、春と秋に着用する制服がある学校も存在する。中学校・高校共に、上着や夏用ワイシャツに姓名のみを刺繍した横長の名札を縫い付ける学校が多い。
- ちなみに韓国では学校の制服は「校服」(キョボク、교복)または「学生服」(ハクセンボク、학생복)と呼び、警察官などの「制服」(チェボク、제복)とは区別する。
- 学生服市場は2007年現在過熱気味で、高級化、価格の上昇を招いている。また、大手メーカーによる談合疑惑も浮上している[2]。
- 朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)
- 中華人民共和国(中国)
- ベトナム
- ミャンマー
- ミャンマーでも小中学校を中心に制服が指定されているが、明るい緑色が目に付く。また、この国の女子制服は小学校でも数種類のものを選択着用できるようである。同じ学校の生徒が、ワンピース状の制服、胸当て付きの吊りスカート、普通の吊りスカートを着用して登校している。この制服バラエティの中には民族衣装のデザインもあり、女の子のみならず、男の子もそのロングスカートのような制服を着用して通学する姿も見られた。いずれも色は同じ明るい緑色である。
- その他のアジア諸国
- アフリカ諸国
- イギリス
- アメリカ合衆国
- オーストラリア
- 公立校では、小学校から制服がある。また、日差しが強いため、休み時間や屋外で行う授業でも制帽の着用が義務づけられている。
- 制服のデザインは公立はポロシャツ風、私立は日本のブレザーの制服に近いものであるが、いずれの場合も、日本よりもカラフルで多用なデザインである印象がある。
- 中南米諸国
- 多くの中南米諸国では、公立の学校でも制服が存在している。
- 特にペルーでは小学校(6年制)から高校(5年制)まで私立校も公立校もほとんど同じデザインの制服を採用している。女子の制服は特徴的で灰色の2本箱襞の吊りスカートで、吊り紐の前胸の部分に横紐が付いて前から見るとH型になっている(背中はクロス)。リマ、トルヒーヨなどの都市部の有名私立女子高だと、この吊りスカートに、紺色のカーディガンやセーター、白のブラウス、灰色のハイソックスに黒のローファーといった、トータルデザインの制服を着用しているが、農村部の村の小学校や高校でも、たとえ裸足にサンダル履きで登校してくる女子生徒でも、スカートだけはこの吊りスカートを穿いている。また、ペルーでは最近一部のハイスクールの制服にチェック柄のものも登場している。
- キューバでは、ペルーと同じタイプのH型吊り紐の吊りスカート(赤色)が小学生女子の制服となっている他、伝統的な高校や大学の中にも、吊りスカートを制服としている学校がある。
- ジャマイカではハイスクールの女子制服が制定されており、明るい紺色のプリーツの吊りスカートである。
- ハイチでもハイスクールに女子制服が制定されていて、赤、黄、黒、茶などの混じったチェック柄のプリーツの吊りスカートである。この国の制服は他の中南米諸国の制服に比べ、スカート丈が長めになっているのが特徴である。この国ではガールスカウトの制服も吊りスカートである。
- ニカラグアでは、ペルーほど制服は統一されていないのかもしれないが、農村部の学校にも、日本の最近の女子高の制服のような、チェック柄のおしゃれなジャンパースカートや吊りスカートが制服として採用されている学校がある。色はほとんどの場合青系の色である。
- ブラジルでは、ジャージ上下を制服としている公立学校が多い。私立高校はブレザー型の制服が一般的である。
- アルゼンチンの公立学校では、全国共通で私服の上に白衣を着用する。また、ブレザーの制服を着用させる学校もあるが、恐らく私立学校であろう。
- また、この他の中南米諸国でも、近年制服を制定する学校が増えたようで、アンティグアなどでも赤いチェック柄のジャンパースカートの制服を着た女学生を見かけた。なお、チリの学校には制服は無いようである。基本的に新たに制服を制定する場合にはチェック柄を採用する例が多く、ジャンパードレスタイプより紐で吊る吊りスカートが多いようだ。
制服・標準服がある職業・業種など
公務員・公営企業職員
※(カッコ内は補足事項)
- 軍人(日本以外の諸国における軍隊軍服)
- 軍属(同上、ただし制定されていない国もある)
- 自衛官(現在の日本の自衛隊)
- 防衛省職員(事務官や技官は通常私服[5]であるが、職務内容によっては制服着用者も存在する。詳細は軍属の項目を参照)
- 裁判官(いわゆる法服)
- 裁判所書記官(職服、いわゆる法服)
- 廷吏
- 宮内庁職員(儀礼式典時に着用する礼装のみで普段は私服)
- 警察官
- 警察事務官・警察技官(制服そのものの有無やデザイン等は警察本部や職務内容により異なる)
- 交通巡視員
- 皇宮護衛官(天皇・皇族の身辺警護や皇居等の施設警備を行なう特別司法警察職員)
- 海上保安官(海上における警察と消防的業務を兼任している特別司法警察職員)
- 入国警備官(「入国審査官」と胸章(階級章)以外は同一の制服なので混同されやすいが、別の官職)
- 入国審査官(「入国警備官」と胸章(入国審査官章)以外は同一の制服なので混同されやすいが、別の官職)
- 検疫官
- 家畜防疫官
- 植物防疫官
- 船員労務官
- 駐車監視員(身分は民間の法人・団体の職員であるが、職務中は「みなし公務員」とされる。制服は警察庁により全国規模で統一されたデザインの物が存在する)
- 交番相談員(警察官OBが任命される非常勤(嘱託)公務員。いわゆる「空き交番」の問題解消の一助となると期待されている。都道府県により、制服のある警察本部、ない警察本部が混在)
- 車両検査員
- 林野庁森林管理局署職員(特に指定を受けた者は「国有林野・部分林・公有林野官行造林、その林野の産物に関する罪又はその林野・国営猟区における狩猟に関する罪」について特別司法警察職員としての権限を有する)
- 刑務官(刑務所・拘置所等の職員で「看守」と俗称される)
- 法務教官(少年院・少年鑑別所等の職員)
- 税関職員
- 衆議院衛視(衆議院事務局所属の警備職員。議院警察権を行使できる)
- 参議院衛視(参議院事務局所属の警備職員。議院警察権を行使できる)
- 郵便事業株式会社・郵便局株式会社従業員(旧郵政事務・郵政外務職員。郵政民営化のため民間企業の社員となるが、郵便認証司は信書を取り扱うなどの関係上「みなし公務員」とされる)
- 消防庁職員(私服勤務の場合が多いが、式典・訓練・災害などの際には消防吏員の物に準じたデザインの制服または活動服と職名章を着用することがある)[6]。
- 消防吏員
- 消防団員(火災や風水害等の際に動員される非常勤公務員であり、専任の職業ではない)
- 水防団員(水害の危険性がある際に動員される非常勤公務員であり、専任の職業ではない)
- 海防団員(香川県観音寺市の設置する海防団の団員・海難救助等の際に動員される非常勤公務員であり、専任の職業ではない)
- 漁業監督官(漁業取締船に乗務する水産庁職員のため、外国入港時の式典の際等に着用する礼服が支給されている。通常時は一般に市販されている作業服と同等の被服で勤務。なお漁業監督吏員は都道府県職員のため、都道府県によって服制が異なる。)
- 地方公共団体(都道府県または市町村)の消防・防災関係部署職員(平時はほとんど私服勤務だが、式典・訓練・災害などの際には消防吏員の物に準じたデザインの制服または活動服と職名章を着用することがある)[7]
- 地方公共団体(主に市町村)の一般職員(平時の「事務服」、作業時の作業服、災害時の防災服または活動服)
- 作業服・防災服・活動服は地方公共団体名が入ったものを着用することが多い。大規模な自然災害の発生時には、首長・議員など特別職も防災服または活動服を着用する。「事務服」は定めていないところ、女性職員のみに定めているところもある。
公務員・公営企業職員、またはこれに準ずる者のうち現在は廃止されたもの
- 天皇服(第二次世界大戦後の僅かな期間、天皇の制服「天皇御服」として定められていたもの)
- 皇族(平安装束、水干)
- 采女(采女装束)
- 旧日本軍の軍人(敗戦に伴う軍の解体・消滅により廃止)
- 旧日本軍の軍属(同上)
- 華族(宮中参内時や各種式典時に着用する大礼服が制定されていた・華族制度の廃止により自然消滅的に廃止)[8]
- 消防組組員(警防団へ改組移行)
- 警防団団員(敗戦に伴い存在意義を喪失・解体。消防団へと移行)
- 警察予備隊隊員(保安庁へ移行・後の自衛隊の母体となる)
- 海上警備隊隊員(海上自衛隊へ移行)
- 韓国統監府職員(朝鮮総督府へ移行)
- 青島守備軍民政部職員(青島統治権の中国への返還に伴い廃止)
- 朝鮮総督府職員(敗戦に伴う当該区域の統治権喪失で廃止)
- 台湾総督府職員(同上)
- 南洋庁職員(同上)
- 樺太庁職員(同上)
- 関東都督府・関東庁職員(同上)
- 禁衛府衛士隊員(禁衛府の消滅に伴い廃止)
- 宮内省職員(終戦後廃止)
- 戦前の文官官僚(同上、ただしいわゆる大礼服のみで普段は私服)
- 戦前の外交官(同上)
- 刑務所・拘置所・その他の矯正施設に勤務する刑務官以外の法務事務官および法務技官(かつては制服・制帽が制定されていたが、現在は廃止され私服勤務となっている)[9]
- 南満州鉄道職員(終戦に伴う活動停止・閉鎖により廃止、半官半民の特殊企業であった)
- 日本国有鉄道(国鉄)職員(1987年の国鉄分割民営化により廃止)
- 鉄道公安職員(同上)
- 帝都高速度交通営団(東京メトロへの民営化により廃止)
- 郵政事務・外務職員(郵政民営化により民間企業の社員となったため、旧郵政省時代および旧郵政公社時代の制服は廃止された)
- 国民服
- 人民服
公務員・公営企業職員あるいは民間企業(法人・団体等)の従業員
民間の企業もしくは法人・団体等の従業員
- 公共交通機関の職員
- 工場勤務など(作業着、つなぎ)
- 高速道路交通管理隊
- 電力会社
- 警備員
- 医療従事者:医師・歯科医師・薬剤師・助産師・看護師・保健師等
- 調理師:コック、板前等
- ウェイター、ウェイトレス
- ソムリエ
- 家政婦(メイド)
- ホテル従業員(フロント係、コンシエルジュ、ドアマン、ベルボーイ等)
- 銀行、信用金庫ほか金融機関の女性従業員
- 宗教関係者(僧、神職、神父、牧師、救世軍の士官・下士官・兵士、神宮衛士等)
- エレベーターガール、ショッピングセンターや百貨店の総合案内担当社員
- テーマパークで園内業務に直接携わるスタッフ
- 一般企業の女性事務系従業員(定めていない企業もある)
- プロ野球選手(移動の際は背広着用が基本である 特定のアパレルメーカーとスポンサー契約を結び、その社の製品と義務付けるチームもある)
- 力士(外出の際は和服着用とまげを結うことを義務付けられている、廻し)
- 武道家(道着、帯 (柔道)、弓道着、防具 (剣道)、ゆがけ)
- 交通指導員
- 審判(ブレザー、ブルゾン)
- ポロ、テニス、ゴルフ選手 (ポロシャツ、オープンフィンガーグローブ)
- 乗馬、馬術選手(燕尾服、シルクハット、山高帽、ヘルメット、ブーツ、ジョッパーブーツ、拍車、乗馬ズボン、チャップス、鞭)
- 登山、アメリカンフットボール、アイスホッケー、スキー、ブレイクダンス、ローラースケート、スケートボード、乗馬、競馬、パラグライダー、ハンググライダー、水上オートバイ、モーターボート、ホバークラフト、スノーモービル、全地形対応車(ヘルメット)
- サッカー選手、ゴールキーパー(ゴールキーパーグローブ、ショーツ、ジャージ、ストッキング、レガース)
- ホッケー、アイスホッケー(レガース)
- 野球、ソフトボール選手(グラブ)
- ボクサー(ボクシンググローブ、バンテージ、オープンフィンガーグローブ)
- スキンダイビング、スクーバダイビング(ダイビング器材、シュノーケル、保護スーツ、ウェットスーツ)
教育を受けている者
- 在学生
- 幼児 (幼稚園児など):国立や私立の幼稚園では制服を定めているところが多い。
- 児童 (小学生など):公立(特に東日本)では定められていないことが多く、また制服ではなく標準服であることも多い。いわゆる「体操服」を、制服に相当するものとして校内では常時着用させるところもある。国立・私立の小学校では大抵、制服を定めている。
- 生徒 (中学生、高校生、中等教育学校生、専修学校生〔専門学校生、高等専修学校生等〕、各種学校生など):中学校・高校では国・公・私立を問わず多くの学校で制服を定めている。中学校の場合、地域によってはジャージ(夏季は体操服)を制服に相当するものとして常時着用させ、制服は登下校時や式典時のみ着用というところもある。
- 学生 (大学生、大学院生、短大生、高等専門学校生など):定められていない、あるいは定められていても着用義務がなく在学生にも存在が知られていないことが多いが、応援団・体育会サークルで制服を定めているところもある。また、商船系や水産系の大学では主に乗船時に着用する制服がある。女子大学、女子短期大学の中には制服の着用が義務付けられているところが存在する。群馬医療福祉大学は男子学生の制服も定められており式典や就職活動時には着用することとなっている[1]。
その他
- 日本赤十字社職員(通常は私服勤務であるが、勤務部署等によっては胸部・上腕部あるいは背面に赤十字のマークが入ったブレザー、ジャンパー、ポロシャツ等を着用することがあり、これが実質上の制服と言える。また災害時等の際には「救護服」と呼ばれる作業服・防災服的な衣服を着用して救護活動に従事することがある)
- ボーイスカウト
- ガールスカウト
- 海洋少年団
- 鉄道少年団
- 合唱団員(プロ・アマを問わず演奏会の際に着用する制服(標準服。白のドレスシャツやブラウスに揃いのネクタイ、黒のスラックスやロングスカート)が定められていることがある。ただし制定していない合唱団も多い)
- 各種のサークル・クラブのメンバー
- オリンピックやワールドカップなどにおけるナショナルチーム選手(競技の際のユニフォームとは別)
- 囚人(囚人服)
制服を悪用した犯罪
制服が職業・職務を表すという機能を悪用し(警察手帳を貸与され携行しているにもかかわらず、提示を要求されても応じず「制服が身分証明だ」と強弁する警察官もいる為である。1988年には警察官ネコババ事件が発生)、警察官などを装った犯罪は後を絶たない。このため、階級章一体で個人コードが刻まれた名札「識別章」が導入された。
制服以外の身分証明を求めたり、電話で確認することで防げる事もあるが、通常はそこまで確認は困難である。宅配便業者では訪問先・地域ごとに専従の担当者を置く対策法を取るところもある(別の人間が配達に訪れる事はあり得ない)。消防署団員を装った消火器販売や電力会社・ガス会社の集金・点検を装った詐欺事件、宅配便業者を装い鍵を開けさせる強盗事件なども起きている(このため電力・ガス・水道各社では使用量通知書に「本票を使って集金する事はありません」と注意書きをしている)。1968年には、東京都府中市で白バイ警官を装った男が現金輸送車から三億円を強奪する事件が起きた。
ノルウェー連続テロ事件のウトヤ島銃乱射では、犯人は警察官の制服を着用してテロ対象者を安心させた上で犯行に及んでおり、被害者はテロリストを警察官と信じて整列した。そのため、69人が死亡した。
ハーグ陸戦条約では交戦相手国の軍服を着用し偽装して武力行使する事は禁止されている。1944年のバルジの戦いの際には、オットー・スコルツェニー率いるSS特殊部隊がアメリカ軍兵士が遺棄して行った軍服を着用し連合軍勢力圏に潜入、通信網や交通網に混乱を与えたこともあったが、もし連合軍兵士によって素性が明かされたら銃殺は免れなかった(実際に数名が、発見されたその場で銃殺されている)。逆に、自軍の軍服の上に敵軍の軍服を着込み、戦闘時には敵軍の軍服をパッと脱ぎ捨てるという方法も両軍の一部特殊部隊では行われており、この戦法を採ったおかげで処刑を免れた兵士も多かったという。
制服の管理
制服はそれ自体が身分・職業を示す意味が大きく、司法官権職員や治安・保安・防災関係機関やライフライン関係機関の職員は特に厳正に制服を管理しなくてはならない。
また、制服を着用するだけで無条件に信頼するのでは無く、身分証明書自体も制服の装備品の一つとして考えられ、当然通常は着用(携帯)しなくてはならない(例えば、警察官の警察手帳は、“制服着用時にも必ず携帯し、公務執行で市民から求められた場合は提示すること”と法律で定められている)。
警備会社は社員である警備員に制服を貸与しているが、制服を紛失した場合は速やかに管轄の警察署に届け出る事になっている。これは、制服を悪用されないためであり、制服の着用による社会的立場を悪用した犯罪を防止する観点から必要な措置なのである。
犯罪に悪用されないまでも制服自体に興味を持つ愛好家も多数おり、紛失する可能性は極めて高い。
制服を管理する上で留意する事は、洗濯し制服を干す場合は外に干さない(特に低階層住宅)事や、制服を運搬する場合には、中身を秘匿するなどが考えられる。
警察博物館では警察官の制服、徽章の展示がされているが、このコーナーはコピーを防止するために常に職員が写真撮影されないように見張っている。
参考文献
- 太田臨一郎『日本服制史』上・中・下巻 (文化出版局、1989年)
脚注
- ^ たとえば制服を着用した駅員は一般客との区別がつきやすく、これにより乗り換えについての質問や緊急事態発生時の連絡などをスムーズに受けられる。なお警察官や警備員などでも、捜査中で身分の露見を防がねばならない・労働争議中で制服着用が争議関係者を刺激するなどの場合は私服勤務が許される。
- ^ 2007年2月24日付け配信 産経新聞
- ^ 「受講申請のない北朝鮮の大学」(朝鮮日報2001年7月6日付)
- ^ 西村克仁 『日本は中国でどう教えられているのか』 平凡社、2007年。ISBN 9784582853988 P25より
- ^ 但し外出着のようなラフな格好が許されているわけではなく、基本的に背広若しくはそれに準じた服装で勤務するよう定められている。事務官に関しては最低でもジャケットを着用するように指導される。また技官に関しては専用の作業服での勤務を命ぜられており、創立記念行事等でも姿を確認出来る
- ^ http://www.fdma.go.jp/ugoki/h1701/16.pdf
- ^ 例:「三重県消防関係職員の服制及び被服貸与規則(昭和四十三年二月二十七日三重県規則第八号・最終改正平成一九年三月九日)」・他の地方公共団体にも同様の規則が存在すると思われる。
- ^ 明治十七年十月二十五日宮内省達乙八号「有爵者大礼服制」参照
- ^ 昭和二十七年三月二十二日法務府訓令第一号「刑務官服制」の別表および形状図参照
関連項目
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